東方絆紡録   作:空亡之尊

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虹色マスタースパーク

神無 悠月side

 

 

「先手必勝‼ 魔符『ミルキーウェイ』」

 

 

魔理沙はスペカを掲げると星型をした大きな弾幕が螺旋状に回転しながら展開される。ところどころに小型の星弾幕がばら撒かれ、周囲の竹や地面から跳ね返りながら迫ってくる。

いつもの様に斬り払いながら避けていくが今回の弾幕はより一層強さを増しているように思えた。

 

 

「今日はいつもよりも気合入ってるな」

「そりゃあな、こんな機会なんてめったになんだからさ」

「今まで無理矢理弾幕ごっこに誘ってきやがったくせに」

「それはそれ、これはこれだぜ‼」

「それもそうだな‼ 気功『昇龍降華』」

 

 

地面一面に色鮮やかな弾幕を展開させると刀を斬り上げる動作で弾幕を撃ちあげた。

しかし、魔理沙は箒の乗って器用に弾幕を避けていっている。日頃から霊夢と弾幕ごっこしているお陰か弾幕の見切りは幻想郷でも随一だろう。

 

 

「へへ、この程度の弾幕で落とせるかよ」

「おいおい、ちゃんとスペカの名前は憶えてるのか?」

「気功『昇龍降華』だろ。そのくらい……‼」

 

 

スペカの意味に気付いた魔理沙は咄嗟に空を見上げた。そこには先ほどの弾幕が雨のように降り注いでくる様子だった。

昇ってくる弾幕を避けた後に降り注ぐ弾幕、それが気功『昇龍降華』の特徴だ。

魔理沙は慌てる様子もなく難なく弾幕を避ける。

 

 

「危なかったぜ」

「この程度でもうおしまいか?」

「まさか‼ ますますやる気が出てきたぜ」

「そうこなくちゃ、魔理沙じゃないぜ」

「言ってくれるな‼ 魔符『スターダストレヴァリエ』」

 

 

楽しさを増した笑顔を浮かべた魔理沙の周りに七つの魔法陣が現れると四方八方へと飛んでいき、小型の星弾幕をばら撒きながら徐々に魔理沙の下へと戻って行く。威力こそないが、その密度はこれまで見た弾幕の比ではない。

 

 

「魔法には魔法ってな‼ 七曜『巡り巡る日月火水木金土』」

 

 

刀を地面に突き刺すと周囲にそれぞれの曜日を象った色の魔法陣が現れ、それぞれ魔理沙と魔法陣に向かって飛んでいくと弾幕を放ちながら迫っていく。

魔理沙は箒でうまく飛びながらそれらを避けていくが、魔方陣の方は同士討ちで消えてしまった。

 

 

「この魔法、パチュリーのか」

「日頃から盗難されている本の恨みも込められてるぜ」

「だーかーら‼ 死ぬまで借りてるだけだって言ってるだろ?」

「だーかーら‼ それが盗難だって何度言えば分かるんだよ‼」

「さあな‼ 恋符『ノンディレクショナルレーザー』」

 

 

誤魔化すように展開された十のうち五つの魔法陣がレーザーを放ちながら時計回りし始めた。しばらく避けていくとレーザーは消え、今度は反時計回りにレーザーが放たれる。なんとなくパチュリーの弾幕に似ているのは気のせいなのだろうか? そう思った時、突如星型の弾幕が展開された。

 

 

「っ‼ ただの盗作じゃないってことか」

「人聞きが悪いぜ‼ ユウキだって人の事は言えないだろ」

「そういう設定だから仕方ねえだろ‼ 奇談『欲無き者の道標』」

 

 

目の前を斬り裂くとそこから数本のレーザーが放たれ、それが枝分かれをするように分裂すると弾幕を避けながら魔理沙へと向かっていき、魔方陣へと直撃し爆発する。

 

黒煙が立ち込める中から魔理沙が出てくる気配が無い。なにか仕掛けてくるのかと思ったその時、黒煙の向こうから見覚えのある極太のレーザーが放たれた。しかし、その範囲や威力は今まで見てきたマスタースパークとは似て非なる物だ。

咄嗟に見切った俺は大きく後ろに跳んで避けたが、元いた場所は黒く焼け焦げている。

 

 

「ふふ~ん♪ どうだ、魔砲『ファイナルスパーク』‼」

「相変わらず桁違いの威力だな。いくらの俺でも受け流しきれないぜ」

「でも、まだ諦めてないって顔だな」

「ああ、こんな所で負ける程、俺も落ちぶれちゃいねえぜ」

「そうでなくちゃな‼」

 

 

俺は刀を構え走り出すと同時に魔理沙は再びファイナルスパークを放った。再び避けるとその爆風で辺り一面に砂埃が立ち込める。その所為で俺を見失った魔理沙は注意深く見渡す。

 

 

「どこだ~?」

「――斬符『暁月』」

「そこだ‼」

 

 

紅い閃光が放たれたと同時に振り返った魔理沙は容赦なくファイナルスパークを放った。閃光とぶつかるとその衝撃で辺りの砂埃を吹き飛ばした。

 

 

「にしし、これで私の勝……ち……?」

 

 

自信満々で勝ち誇った笑みを浮かべた魔理沙の顔色が変わる。

 

 

「――シャンハーイ♪」

 

 

そこには俺ではなく、俺のスペカを持った上海が浮いていた。

魔理沙は近くで見物していたアリスへと視線を向けたが、彼女も何が起こったのか分からないといった表情をしている。本当に何が起こったのか分からず魔理沙は動揺する。

その一瞬の隙を、俺は狙っていた。

 

 

「――人形劇は楽しめたか?」

「な‼」

 

 

魔理沙の背後に回っていた俺は口元をニヤッとさせた。上海が囮となっていた隙に俺は彼女の背後まで竹を伝って跳び登ってきた。

振り返った彼女は咄嗟に八卦炉を構えようとするが、もう遅い。

 

 

「星斬『スラッシュストライク』」

 

 

マスタースパーク同等の威力を持つ斬撃を至近距離で放つとその衝撃で魔理沙は地面へと落ちていった。その時、近くにいたアリスが彼女を抱き留めた。

着地した俺は地面にあぐらをかいているボロボロになった魔理沙の下へと近付いた。

 

 

「あ~負けた~‼」

「おつかれ。少しは強くなったんじゃねえか」

「勝った奴に言われて皮肉にしか聞こえないぜ」

「そう拗ねるなよ。これでも必死だったんだぜ?」

「だからって、やっぱり悔しいものは悔しいぜ」

 

 

魔理沙はそう言い放つと地面に両腕を広げて寝転がった。

 

 

「それにしても、まさか上海が手を貸すなんてね」

「それは私も驚いたぜ。最初はアリスの仕業かと思ったぜ」

「何で私がそんな無粋なことしなくちゃいけないのよ?」

「ああ、あれはアリスのスペカで代役『上海ドッペルゲンガー』っていうんだ」

「代役……なるほど、自分の身代わりにするってことね」

「人聞きが悪いな。このスペカは上海に俺のスペカを使えるようにするってのが正しい使い方だぜ」

「でも……」

 

 

アリスは何やら不満そうな顔をして俺の顔を見ている。

まあ、自分の人形が身代りにされるのは聞き捨てならない話だから仕方ないだろう。

そんな話をしているとアリスの服を上海が引っ張っていた。

 

 

「ん? なに?」

「――‼」

「心配しなくても私は大丈夫? そう言われても……」

「――‼‼」

「ユウキは優しい人だから大切にしてくれる。ね……」

「へえ~人形にも好かれてるんだな」

「そう言われると少し照れるな///」

「……本当に大丈夫なの?」

「――♪」

「そう……なら良いわ。貴女の好きにしなさい」

「――♪♪」

 

 

アリスの許しが出ると上海は嬉しそうにその周りを飛んでいる。

 

 

「そういうことだから、この子に何かあったらただじゃ済まないわよ?」

「ああ、できるだけ大切に扱うさ。俺にとっては友達の一人だからな」

「――♪♪♪」

「なんだか、私の事なんてどうでもよくなってないか?」

「さあな? それじゃあ約束通り、先に行かせてもらうぜ」

「あ、待って、私も……」

「貴女はしばらく安静にしてなさい」

「うぅ……後で追いつくからなぁ‼」

 

 

魔理沙の悲痛な叫びを聞きながら俺はその場を後にした。

この先で待ち構えている者は果たして鬼と出るか蛇が出るか楽しみだ。

 

 

 

 

 




空亡「え~第一回戦は見事ユウキの勝利でしたね」
悠月「いや、これでも結構ギリギリの勝負だったと思うぞ」
空亡「やっぱり主人公だけあって弾幕を避けるのが上手かったですからね」
悠月「今までの相手の事を思うと胸が痛くなるな」
月美「それよりも、私の台詞が一回もないような気がするのですが?」
空亡「ああ~それは……」
悠月「戦闘描写だけに気が取られていてお前の存在を忘れていたらしい」
空亡「もうちょっとオブラートに包みましょうよ」
月美「否定はしないのですね……」
空亡「あ」
月美「それでは、次回も楽しみにしていてください。ですが……」
悠月「その時に駄作者が生きていればな」


次回予告
第二遊戯、結界と夢想が織り成す巫女の実力、今宵は何を奏で踊ろうか?
東方永夜抄、少女幻想曲、どうぞお楽しみに‼
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