こちらはあとがきになっております。
もしも最終回を読んでいない方はエピローグが事前に投稿されていますので、一話前をご覧になってから見ていただけると幸いです。
私は自分をかなり厄介な呪術オタクだと思っています。
ですので、正直な話をするとおそらく自分が執筆してなければこのお話は読まなかったと思います。
この作品を呪術作品と呼ぶことすら烏滸がましいし青評価くらいくるんじゃないかとまで最初の段階では思ってました。
ですが、一番最後まで執筆し終えた今となっては呪術作品とは呼べませんが、少なくとも作品としては納得のいくものになったなと思います。
呪術二次のセオリーやらなんやら投げ捨ててほんとにすみません!
翻ってみるとこんな感想になったのはおそらく、最終章をいざ形にすることで、自分の中でも靄がかっていた「五条祈/伊野幸人」という高校生がようやく等身大になったからだと思います。
伊野一家の執筆はすごく楽しかったです。
幸人くんの一喜一憂、悩み、苦しみ、渇き──それを、一番近くで見ているからこそそれぞれのアプローチがあるんだと思いながら、終盤に向かうにつれて自分自身にお話が突き刺さっていきました。
ですので、書き始めは個人的にかなり地雷混じりだったこの物語は、私の執筆してきたお話の中でも特にお気に入りになりました。
短い期間ながら、祈ちゃんは私にとって大事なものをくれたような気がします。
・五条祈(伊野幸人)
なろう系をこなよく愛するTS少女。
初期の彼女がナチュラルにイカれてるのは、自分のいる現実を夢のように思っているという理由があります。
あと、記憶が消耗しているから自分が「こうしたい」と思っていた行為をそのまま表に出せてます。
14話で主人公が「馬鹿でありたい」と言っていたことが前面に出たのが五条祈です。
本編が終了するからっていうので最終話でヤケクソ強化されましたね。メルクオリア・プロトコルかよ。
というのはさておいて、この子に関しては「転生モノの主人公がこの子でなくてはならない理由」というのをしっかりと意識して執筆しました。
まぁ最初はそんなのあんまり考えずに、飄々とやってたんですけど……。
ともあれ、彼の設定をちまちまと明かし始めたのは6話からですね。
現在が2021年にもなろうとしているというのに、主人公の知っている記憶を2018年に設定したというのはこれが原因です。
これだけだと呪術廻戦一巻の単行本が発売されたのが2018年っていうところで、原作を深く知らない転生者というアピールともとれるかなーと思いながら、この情報だけを放流しました。
次に私が覚えているところで意識して出したのは、12話の領域展開のところです。
なぜか五条悟が領域展開しているシーンを知っている、というところですね。
ここで鋭い人は気づいたんじゃないかなーって思います。
嘘です。情報少なすぎますね。
それから祈ちゃんの回想に入りました。
これに関してはなんで領域を知っていたのかをすぐに解説しないとご都合主義で片付けられるかなーと思ったからです。
ということで、このあとはもう決定的な伏線を散りばめていくだけです。
評価って形で意見が可視化される以上、覚醒的な展開においては、長期的な伏線が仕込み難いっていうものがあります。
私の場合なんかは物語の構成力がよわよわだし、描写もやけに淡白になってしまうので余計にですよね。文章力ください。
なので、終盤はもう畳み掛けるようにいきました。
おかげで一気に詰め込むことができて、執筆している側も楽しかったです。
このラストの章で祈ちゃんへの理解が深まるのかなぁとか。
祈ちゃんに最後突きつけられたものは、「自分のために他人を傷つけていいのか」の亜種のようなところだと思っています。
祈ちゃんが現実に戻るということは、「伊野幸人」という個人の生存をなにより愛して喜んでくれる人に対して「本当は自分は死んでいる」と告げることと同じなわけです。
あの家にいて生活することは、彼女にとってはすごく幸せなことだと思います。
実際彼女も父親の最後の言葉によって夢を選ぼうとしましたし。
でもそうすると、彼女が今際の際にようやく見つけることのできた「やりたいこと」を放棄することになります。
だから彼女は選ぶことを迷っていました。
けれど、弟くん以外の全員、いや、彼も含めて全員が、彼のやりたいことを何より大事にしてほしいという思いを持っていました。
その後押しによって、現実に戻るという決心ができたわけです。
このエピソードに関しては、文章がひとつひとつ出来上がっていくたびに涙をこぼしながら執筆しました。これは自分自身の思い出を振り返りながら書いたっていうのもあると思います。
頭の中の映像を完璧に共有できるわけじゃないのが残念です。
もっとアウトプットの力を高めてきます。
・伊野豪太
主人公の祖父です。
基本的に豪胆な人。
主人公とあまり喋る機会がなかったのは、彼は最初から主人公が死んでいるとわかっていたからですね。
二度と会えない人とは喋るべきではない。
お互いに未練が残るから。
それでも餅をつこうと提案したりだとか、最後に頭を撫でたのは、孫と最後の思い出にするつもりだったからでしょう。
・伊野純
主人公の祖母です。
つよつよばあちゃん。
彼女の言葉は、主人公にとって大きな意味を持ちます。
母親はなかなかアレな人ですし、父親もあれ。
物事は基本的に「誰が言ったか」で受け入れられるかは変わりますし。
ところで彼女は主人公が恋をしていると思っています。
つまりはまぁ、そういうことです。
・伊野緑次
主人公の父親。
一番偉いのは誰かって言う話をしたら想いに優劣をつけるようでやりづらいんですが、それでも挙げるとするなら彼だと思います。
たぶんこの一家の大人の中では一番メンタルが弱いというか、まぁいわゆるなよっとした感じの父なので。
特に主人公に関しての話題を率先して出していたのは彼になります。
それだけ主人公のことが大事だったし、できることならばずっとこの夢の世界に縛り付けていたいと思ったことでしょう。
引き止めたい気持ちを抑え。
言葉で呪わないように気をつけて、
それでも最後は、永遠の別れになってしまうから、本心を告げる。
それが呪いになるかもしれない、と思っていても、口をついて出てしまう。
それでも彼は、ちゃんと主人公を送り出したんです。
・伊野うず
主人公の母親。
パワーが強い系のオラオラな感じの女性。
かなりハチャメチャなところがあります。
わりと明け透けに話すところが多く、特に息子に対する好意なんかは直球で告げてましたね。
「夢を追え」って直球で最初から伝えていました。
主人公が現実に戻るきっかけのひとつに間違いなくあると思います。
・伊野薩摩
主人公の兄。
五条悟とはまた別のベクトルでウザい系の兄です。
チャラ男……?
彼に関しては主人公の名前の由来を語ってくれる人でしたね。
主人公との思い出をひとつひとつ背負っていた人でもあります。
距離が近いぶんいろいろとね。
主人公が今を幸せと言ってくれたことは、きっとなにより嬉しかったと思います。
彼はそういう人です。表に見せることはあまりないですが。
・伊野洞爺
主人公の弟。
彼だけが、主人公を引き留めようとしてました。
そりゃあ当然で、折り合いがつくわけないんですよ。
それもよく一緒に遊んでくれた兄と永遠に別れるとなれば。
・伊野瑠璃
主人公の妹。
すごく幼いイメージです。
主人公が死んだっていうことも、きっとよくわかっていません。
だからこそ、彼女は主人公をすんなり送り出せました。
作業用BGMも相まってここらへん涙で机をぼたぼたにしながら書いてましたね。
家族の面々に関してはだいたいこんな感じです。五条悟はだいたい原作と変えることはなかったので特に語らないでもいいかも……。
家族のお話を主軸にするのは最初から決めてました。
五条が「関係性は呪いだ」と言っていたように、家族関係について祈ちゃんは悩むことになりました。
家族っていくら仲が悪くても、嫌いでも、それでも離れてたって家族なんですよね。
呪いみたいなものだなぁと思います。
だから、祈ちゃんにかかった家族の呪い。
それを家族が解く……そんな感じの展開になりました。
でもすべての問題が全部解決するわけないです。
全員どこかで妥協してます。
それでもこの選択が最良だったと、そう思えるような、思いたいような……。
そんなお話。
ちなみに小ネタなんですが、それぞれの名前の一番最初の文字を抜き出してつなげると「ごじようさとる」。
つまり「五条悟」になります。
はい。
物語のキーになったのがち○こなのがなんとも言い難いですが、まぁタグに「じゅじゅ○んぽ」ってあるし……。
はい。
ということで、だいたいこんな感じのお話でした。
ちなみにこれ、警告タグをいくつか詐欺っています。
具体的には「神様転生」と「転生」ですね。
死んで生き返ってるので転生はありかも?
主人公の主観では神様転生だったし、ということでなにとぞ。
主人公の術式ずるくない? っていうのには「はい……」です。
私もやりすぎでしょとか思ってます。
チートオリ主にする気はなかったのにチートになってしまった。
そのせいでラストやけくそに強化したわけではありますが。
はい。
あとこれだけはネタバラシしておきたかった。
三話に関して!!
なんとセリフが五十音順になっております!!
……は行以外。
は行の存在を完璧に失念してました。
そしてその次の四話です。
なんと文中に「は行」、つまり子音が「h」「b」「p」の文字を使っていません!!
確認しましたがそのはずです。
なので誤字報告のときに「頭をかしげる」→「首をかしげる」っていう修整が入りましたがすみません……。日本語としておかしいって思っていつつも適応できませんでした……。
本当にごめんなさい!!
これに関しては「感想で指摘されないかなーわくわく」ってしてました。
あとがき執筆中現在、なかったです。
当然でしょう。クソほどわかりづらいですし。
でもなかったからってそれをアピールするのも違うなって思って、なのであとがきまでネタバラシ禁止にしてました。
存分にぶっちゃけれて満足です。
これで「浮かれた五条悟は死ね」、本当の本当に最後の果てです。
ここまで読んでくれたみなさん、評価・感想をくださったみなさん、更新の糧になりました。ありがとうございます。
お気に入り・評価・感想は必要ございません。
こんな最後の最後まで見てくれたというだけですごくうれしいので。
本当の本当にありがとうございました。
またハーメルンのどこかで会えたらいいな。それでは!