浮かれた五条悟は死ね   作:moti-

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君はイカれたボーイ/ガール

「それじゃーまず自己紹介といこうか。僕は五条悟。君の従兄妹にあたる」

 

「はぁ」

 

「君は自分の記憶も曖昧だと思うから、これは説明しておこうか。君の名前は五条(いのり)だ。

 君は三歳のときに母親を殺して、厳重な封印措置にあった」

 

「オレみたいな美少女がそんなことを……」

 

「はっはー、君結構いい性格してるね? まぁいいさ。物心ついたときから自分しかいない場所。()()なるのもわかる」

 

 いや別にそんなことは思ってないんだけど。ていうか関係ないんだけど。

 と、「祈って呼ぶね?」なんて聞いてくる悟に頷いて返す。

 

 オレは自分の見た目がかわいいことを認識しているが、それだけだ。内面に関しては一切なんとも思っていない。別段特別な感情なんて当然ないし、そういうのが当然だろう。

 

「つまり、年月にして十年。君が捕まっていたのはそんな長い期間だよ」

 

「十年……そんなに?」

 

「といっても、君の自我は希薄だったし。記憶もほとんど薄れているだろう。

 だから体感としては一年程度だったんじゃないかな?」

 

「んー」

 

 オレ自身の体感としては、一日も経ってない。

 しかしそういう事情があったのならオレの意識がこれまで出てこなかったのも納得だ。

 一体なかなかどうしてそういったことになったのか。首を傾げて問いかけると、五条悟は説明を続ける。

 

「五条家っていうのは、呪術界御三家と言われるほどの呪術の名門だ。

 故に家系相伝の術式っていうものがある。

 けれど祈の場合はなかなか特殊な術式の現れ方をしてね」

 

「特殊?」

 

 と言ったら、すぐに思い浮かぶのは「眼」だ。

 オレは睨むことで、悟いわく「きょしき・むらさき」なるものを発生させることができる。

 しかしそれは本来異端(イレギュラー)な現れ方。

 

 天才だから、これだけの状況証拠があればすんなり理解(わか)ってしまう。ふふ、自分の才能が恐ろしい。

 ……とはいえ、これのせいで母親を殺してしまった。少しだけ、思うところもある。

 

「祈の場合は」

 

 目の前に指が突き出される。

 

「右目に順転の術式:「蒼」が。左目に反転の術式:「赫」が。

 六眼は持ってないようだけど、『焦点を当てた部分に術式が発動する』──そんな、イカれた能力がある」

 

「……今、オレが睨んでたらどうなってたと思います?」

 

「敬語とかいらないよ別に。あと、その問の解答としては僕ごと「茈」で吹き飛んだだろうね。

 「茈」は反転と順転を衝突させて、それを押し出す──いわば「無」を飛ばすわけだ。重なったところをこいつが削ぎ落としていくから、どんなに硬かろうがどんなに強かろうが関係ない。

 本来はこれを使うのは限りなく難しい。けど、祈の場合は見た場所に反転と順転を同時に発動させるから、「茈」を無理なく発動させることができる。

 つまり無差別破壊兵器ってことだ」

 

 代わりに、と続き。

 

「祈は眼にしか術式がない。つまり無下限呪術のニュートラルな力は君には使えない。

 だから、君を捕らえて封印するのは簡単だ。

 それでも僕は君を引き取ることを選んだ。なんでだと思う?」

 

 二秒考えた。

 

「オレが……可愛かったから……?」

 

「……………………」

 

 黙られても困る。

 いや、黙ったということは認めたのと同義ではないだろうか。

 つまり五条悟はオレをカワイイと思っている。

 正解に違いない。

 ふふん。

 

「……さて。当面僕が君の面倒を見るわけだが」

 

「はい」

 

「とりあえず、服とか用意しないといけないね」

 

「そうだねぇ」

 

 

 

 

 

 買いに行くことになった。

 アルティメットスーパー美少女たるオレと並んで歩くとは羨ましいやつめと思うが、しかし悟も相当なイケメン。

 五条家は美形のバーゲン・セールかよ。

 それでもオレが一番かわいいけど。

 

 ──しかしながらオレはというとこの体初心者。ついでに女の子初心者。

 着替えを買いにきたということはつまり、アレである。

 

 どっさりと試着室に持ってきた服を床に置きながら、オレは颯爽と上に着ていた服を脱いだ。

 

「ふっ」

 

 ブラしてねぇ。

 

 十三歳って普通付ける年じゃないの? と思ったが、オレが最初着ていた服はそれはもう悲惨なものであったため仕方ないのだろう。

 そんなの付けてる場合じゃないということだ。

 

「っ──」

 

 ここは悟がいないときに調べるとして、今はとりあえず服の噛み合わせを選ぶべきだ。

 ということはなるべく厚着がいいだろう。重ね着スタイルで行くか。

 

「……むむ」

 

 ここで、迷う。

 個人的な感情としてはズボンを履きたい。

 けれどIQ200のこの頭的にはスカートのほうが間違いなく合うだろう。

 どうするべきか。

 とりあえず下に着ていた服も脱ぐ。

 

「ふっ」

 

 ノーパンじゃねぇか。

 

 以下省略。

 

 完璧に全裸になってしまったため、普通にズボンは履けない。

 オレはスカートを履くことになったのだった。

 

「よぉーし」

 

「あ、着替えた?」

 

 と、真後ろからそんな声。と同時に、鏡越しににゅっと出てきた五条悟の顔。

 そしてオレは未だになにも着ていない。下着すらつけてなかったので完全に全裸である。

 

「……ゴメンネー」

 

 いや、仕方ない。

 今のは勘違いしてもおかしくないよね。

 

 なわけあるか。

 

 試着室に持ってきたものを全部手に持ち、最初の服に戻す。

 その姿のまま外に出る。

 

「おっ、どした?」

 

「全部買って?」

 

「了解、全部ね」

 

 最初からこうしとけばよかったんじゃないかなぁ……。

 

 

 

 

 

「──で、結局なんだったの?」

 

「んー?」

 

「オレを引き取った理由」

 

「…………」

 

 思い出すのは、親友との決別。

 道を違えた二人。自分の過ち。生き方を決めることにした一件。

 

「過ちっていうのはさ。『過ぎてから』って書くんだよ」

 

「……? そうだけど」

 

「ははっ」

 

 彼が彼女を引き取った理由なんて、全て私的な理由だ。

 無下限呪術は六眼とセットで運用することによりその真価を発揮する。

 けれど、それは希少がすぎる。

 五条悟以前に現れたのは数百年前の話。

 

 だからこそ。

 

「無下限呪術の扱いなら、現代にこの僕以上の人間はいない。

 だからだよ」

 

「なるほど……ってことは、この眼の暴走も、制御できるようになるのかな?」

 

 彼女は五条が引き取ってから、あまり感情を見せていない。

 それが術式の暴走を防ぐためだということは明白だ。

 

 彼に裸を見られても、決して睨むことなく無表情で切り抜けた彼女。

 発言から、感情表現が豊かな子だということはわかっている。

 けれど、そんな彼女が感情を殺さざるをえない現状。

 

 五条悟は、それが嫌だった。

 

 それに加え。

 

 虚式「茈」が扱える術士というのは、本当に貴重だ。

 あれを睨んだだけで放てるということは、術士として相当な才を持っているということは間違いない。

 「止める」力がなく、その上「蒼」や「赫」の精密な制御ができないのは残念だが、それを補ってあまりあるその力──だからこそ。

 

「できるさ。必ず」

 

 五条悟は、彼女に願いを託すのだ。





 いつになったらじゅじゅ○んぽしてくれるんですか?
 おっかしいな……こんな予定じゃなかったんだけど……
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