「イエーイハッピーバースデー! フォー! 僕!! ついでに祈!!」
「いえーい」
ぱちぱちぱちぱち。
本日は12月7日。
結局、オレの誕生日の記録は見つからなかったので、まとめて行うことにした。
何回も祝うよりこっちのほうが楽だし。
ちなみに候補としてはオレと悟が出会った日を誕生日にするという話もあった。どっちでもいいと思ったが、悟はこちらを選んだのである。
理由はそのときはわからなかったが、今になると少しわかる気がする。
「いやー、祈も一緒にするといろんな人が来てくれるね。ラッキーラッキー」
「オマエそれが目当てとか言わないよね……?」
たぶん本音は違うと思うけど。
わざわざ場所を借りて開いた誕生日会には、たくさんの人が来てくれている。
家入さん、見たことない金髪の男性、一回顔を合わせたことのある学長さん、見たことのない黒髪の女の人、高専の制服を着た人たち。
たぶん悟の関係者なんだろうけれど、口ぶりからするにこれまで祝いに来てくれたことのない人も多いらしい。
どんだけ人望ないんだこいつ。
「でも七海が来てくれるとは思わなかったな。術士やめるつもりなんでしょ?」
「ええ、まぁ。ですが結婚されるようですし。今年を逃すと祝うタイミングもないと思ったので」
「ん、それって僕の誕生日を祝いにきたわけじゃないってこと?」
「それはまぁ。おめでとうございます」
「ほらほらもっと盛り上げてよ。ねーほら七海。ねー、もっとアゲてこうぜ七海イエー」
「えいっ」
「蒼」で引っ剥がした。
未だに制御がうまく利かない術式だけれど、ほとんど密着するようにして視界を対象で占領したら効果は一点に集中させることができる。
そんなことせずともちゃんと発動させることはできるが、うっかり絡まれてる人を巻き込む可能性もあるので、ここは丁寧にやることにした。
「あなたが祈さんですか」
「あ、はい。はじめまして。よろしくおねがいします」
「こちら、ささやかながらプレゼントです。お誕生日おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます」
「おいちょっと待て七海。僕とのその対応の差はなんだ」
「ソンケーされてないんだよ気づけよ」
足を蹴る。今度は痛めないようにつま先で。
そりゃあ五条悟みたいに距離感が異常に近くてウザいやつより、オレみたいな清楚で常識のあっておしとやかな超絶美少女のほうが遥かに祝いたいに決まってるじゃないか。ふふん。
「考えてること丸わかりなんだけどー? 僕とタメ張るくらいにろくでもないヤツじゃん君さぁ。うわ、すげー伸びる」
「いひゃいいひゃい」
引っ張るな痛い。
美少女のほっぺは繊細なんだぞ。それをお前、よくも。そう思って睨みつけようとして、辛うじて静止。
こんなところで「茈」をぶっ放したらどうなるのか、知れている。当然ひとたまりもないだろう。
今日は眼帯をしていないのだから、特に危険だ。
「アンタ、女の子の扱いくらいもっとちゃんとしたら? 嫌がってるじゃん」
「あ、歌姫。今年は呼ばなかったのに来てくれたんだね」
「おっ、お前……! 私が空気読めないヤツみたいな言い方すんな!」
「今年は私が呼んだんだよ。祈の同性の知り合いは少ないだろう?」
「あーね。そりゃそうだ」
悟を祝いにきた人がほとんどいない……。
例年の誕生日とかどうなってたんだろうか。
かなり目立ちたがりだから、たぶん大々的に開くと思うが。
果たして人は来るのだろうか。ちょっとかわいそう。
解放された頬を手で冷やしながら軽く撫でる。
今日ももちもち肌である。荒れのない、美少女の肌だ。ふふん。
肌のケアに関しては家計を握ってる権限を悪用してがっつりとしている。
最初の監禁生活よりも美少女度が上がったので、もうこれは人間の領域を超えちゃった美しさだ。
「で、はじめましてね、祈ちゃん。私は
「あ、はい。よろしくおねがいします」
「…………」
「…………?」
「硝子、ひょっとしてこの子ってすごくいい子?」
「あー、はい。ちょっとナルなところがありますが、それでも基本は素直ないい子ですよ」
「僕に似てるね!」
「祈ちゃん! こいつみたいにはなっちゃ駄目よ!!」
「え、ええ……? なりませんよ、こんなクズに」
「うわ、なんか懐かしい響き」
「そうだねー。まだ二年のときだったっけ」
悟の高専時代のことについて、詳しいことは知らない。
けれど、少しだけひっかかることがある。
悟の同期の友人は、一体どこにいったのだろう。
ここにいないことから、なんとなく推測はできる。
けれどオレは、それを指摘することはなかった。
目に見えている地雷を踏むほどバカじゃない。
けれど。
少しだけ、五条悟に同情した。今度はちゃんとした意味で。
「いやー、楽しかった」
「ん。片付け疲れた」
「主役なんだし任せとけばよかったのに。そういうところ真面目だよね」
「それくらいしかできることないし」
もう一度、「真面目だねぇ」と言って、悟は黙った。
「ケーキ食べれる?」
「用意してたの?」
「夜中、任務で出てったじゃん。だから作った」
「手作りね。なんのケーキ?」
「ショートケーキ」
「食べよう」
とのことなので、用意しておいたものを冷蔵庫から出す。
大皿に移し替えて、取り分けるようの小皿も二つ出す。
「フォークとスプーンはどっちがいい?」
「普通フォークでしょ」
「へー、そうなんだ。じゃあそうするー」
ということで、フォークを二本。
「あ、飲み物ってどうする?」
「……どうしようか……ここはカフェオレでいこう」
「ん、了解。オレはココアにしよっと」
実は甘党なもので。
カフェオレはインスタントのスティックを用意して、お湯が沸くのを待ちつつ。
ココアは牛乳をレンジで温めてから作る。
ちゃんと淹れれればいいのだけれど、それはなかなか難しい。
いつかは習得する気でも、今できないのなら意味がない。
……来年にはできるようになろう。
「おまたせー」
「おー、ありがと」
持ってくる前に切っているので、あとは取るだけである。
皿に取り分けたものを差し出すと、悟はさっさとフォークで取って食べた。
「おー。また料理うまくなったんじゃない?」
「こんなのレシピ見たら誰にもできるだろ」
少なくともオレにはできた。
だから、これについて、オレが深く思うことはない。
ただあるがままの事実を述べる。
そのまま、のんびりと食べ終える。
外はすでに真っ暗だ。充足感もあり、そろそろ眠気も襲い来る。
「そういえばプレゼント買ってきたよ」
「えー?」
「なんでそんな嫌そうな顔するの」
だって、ろくなものを買ってきそうにないもの。
そう思っていたが、渡された袋を開いてみると、そこには未来では当たり前になったもの。
「スマホだ」
「ケータイ持ってなかったよね? せっかくだし最近流行りのを買ってあげたよ」
「おー……」
「あれ、要らなかった?」
「いや、ごめん。想像以上にちゃんとしたものがきて驚いてたところ」
自分でも酷いな、と思った。
iPhone4だ。性能的には古いし、まだLightningコネクタじゃないところが時代を感じさせる。
けれど、それでも嬉しいものは嬉しい。
「一応僕の電話番号は登録してる。あと今日来てくれたやつらの電話番号も登録させといたから、これでいつでも連絡とれるよ」
「……ありがと」
あー、くそ。
こういうとき、表情が動きづらいのはいやだな。
だって感謝が薄く見えるし。
「すげー嬉しい」
そう言って、五条祈は笑みを浮かべたのだった。
ナナミンは高専出て四年で仕事二年目らしいっすね。
仕事を転々としてたのかそれとも高専後に大学に編入してからの入学……?
でも高専は一般には私立の宗教系学校ってされてるらしいしこまる。
たしか呪術高専は5年めはほとんど自由時間みたいな扱い云々ってあったはずなので……たぶんこのタイミングでナナミンは受験勉強してたのかなとか……。
わかんないから実際に違ったら死にます。こ……ころ して……。
そこらへんたぶんファンブックで語られると思うので設定矛盾あったら死にます……。小説で語られてても死にます……。
駄目だったら許してください。