原作21話のその後もしもの話。残ったさつまいもをどうしようか悩む花塚家とそれを上手く解決してあげようとする文治さんのお話。


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お久しぶりです。気がつけば年末、前回から数ヶ月も経ってしまいましたが、煙と蜜の二次小説書きました。21話のその後を想像して書いたものです。21話と繋がるお話になっていますが、あくまでも二次小説ですのでご了承ください。(原作21話のネタバレありますので未読の方は注意です)今回もなんでも許せる方向けです。時代にそぐわない言葉もの、言い回しありましたらすみません。
そしてこの小説はおじロリ、おにロリです。苦手な方は要注意です。

パンケークの材料や作り方はさかきしんさんの大正の献立るり子の愛情レシピを参考にいたしました。こちらも大正時代をテーマにした漫画
でとても面白いので興味ある方は読んでみてください。
電子書籍ならすぐに読めます既刊1〜3巻。

※今回衛戌病院内にある酒保を捏造しております。改装前の娯楽室の資料が不明瞭なので捏造して酒保がある設定にしました。(ごめんなさい)原作には登場しないのでご了承ください。名無しの酒保の購買係も原作には登場しませんのであしからず。
別嬪さんと言う言葉は京ことばですが、発祥は愛知の豊橋だそうなので
六藤大尉が知っているという流れにしております。
また花塚家の料理器具は日本のもので統一させていただきました。
天火(オーブン)も普段使わないということにしております。
文治さんが炊事兵をやっていたというのも捏造です。原作では描かれていないのでこの作品での設定ということでよろしくお願いします。
(料理に手慣れている理由づけです)


さつまいものパンケークと別嬪さん

さつまいものパンケークと別嬪さん

 

「煙草一つと、あんぱん一つ」

「はい」

「どうも有難う」

「しかし、土屋少佐殿が甘味を選ぶとは珍しいですな」

酒保の管理と購買係を務める下士官はそう言うと煙草とあんぱんを文治に手渡す。ここでは上官に対して無礼講で良いと暗黙の了解がなされていた。くしくも購買係の下士官は文治より年上で齢50をこえる者だった。目元に皺を重ね頬はこけているがその眼光は優しい。

 

「甘いものを食べると疲れにいいと聞いてね」

「なるほど、お勤めご苦労様です」

 

第三師団司令部、第六連隊内にある衛戌病院。その中にある娯楽室に設置された酒保。日々の生活必需品や文具や菓子などを取り扱っている。厳しい訓練をこなす軍人たちの束の間の憩いの場といったところだ。小さな購買店のようなものだが、すぐ側にテーブルや椅子がいくつか並べてあり、カフェーのような雰囲気がある。

明治後年に建てられた病院と共に年月を経た建物は床は軋み窓はガタつきはじめていたが、それがなんともいえない風情があるという者もいた。文治もその一人である。

 

テーブルで文治で一息つこうと煙草にすぐ火をつける。なんとはなしに一服していると、見知った顔がよっ!と片手をあげて酒保に入ってきた。

「相も変わらず辛気臭ぇツラしてるなあ」

「もともとがこういう顔だから仕方ないさ」

「それはそうと、お前さんが甘い物買うなんて珍しいじゃねえか」

どかっと向かいの椅子に腰掛けると髭面をニヤつかせながら六藤は言った。

「私が甘味を買うのはそんなに珍しいのか六さん?」

「ああ、その仏頂面にあんぱんは似合わない」

「ハハハッ言ってくれるな。まあ、なんだいつも世話になってる家でさつまいもが沢山余ったらしくてね。それをどうにかできないものかと考えていてね」

手付かずだったあんぱんにかぶりつくと文治は軽く眉を顰める。甘いものを食べ慣れていないが故、甘さに驚いたというような表情(かお)だ

「ほお、余ったさつまいもをどうするか困っているか…。アテならあるぜ」

「本当か六さん」

「ああ、任せろ!俺の部下に洋菓子屋の息子がいてな。そいつならさつまいもをうまーく捌いてくれる方法を知ってるに違いねえ」

 

しかつめらしい顔で煙草をふかす六藤。

「助かるよ、この礼は」

「一杯やるってことで頼むぜ」

熱燗をちょいちょい注ぐ仕草をしてみせた六藤にわかったと文治はうなづきはじめて口の端を上げ嬉しげに笑った。

「しかしよ、その世話になってる家のお嬢さんか女は余程別嬪さんなのか」

「別嬪さん?」

「そうか別嬪さんを知らねえのか、なら教えてやる」

「別嬪さんっていうのはな…」

 

 

 

さつまいものパンケークと別嬪さん

 

 

 

大正五年。名古屋秋から冬へ季節が変わり出した頃。かすかに感じる冬の気配を誰もが感じはじめていた。

 

木枯らし吹く中いつものように花塚家は賑やかである。その賑わいに一つの不安がある以外は

通常通り。

 

「奥さまどうです。芋粥にしてみんなで食べてしまうといのは」

「芋粥ねえ…これだけ残ったさつまいもを芋粥にして食べきれるかしら」

数日前に文治と姫子とその学友達で芋掘りした時にかなりのさつまいもを収穫し半分は焼き芋残りは料理、さらに残ったものは干し芋にしたのだが、それでも5本ほどさつまいもが残ってしまった。さてどうしたものかと考えあぐねていたのである。

「芋粥ならいくらでもおら食べられますよ」

「こま子、あなたみたいに沢山芋を食べられるわけじゃないのだから芋粥案はやはりなし」

「さつまいもって一度に沢山食べられないのよね」

 

星子と月子がため息混じりに言うと、こま子がしゅんとするが、瑞子がわざと明るく

「大学芋でも作ろうかしら、揚げたさつまいもにみつを絡めていただくのだけど、それなら」

言ってみせると、皆の顔が少し明るくなった。

「名案ですね!奥さま大学いも作りましょう」

龍子が鼻息荒く言うと月子と星子もそれにならってそうしましょうかと袖を合わせて同意する。

 

「お母様、ねーね達どうしたんですか」

皆よりひとまわり小さな姫子がすっと顔を覗かせた。頭には朱のリボン。まんじゅう菊と梅があしらわれた着物に帯は梅模様。

「姫子さま大学いも食べたことありますか」

「ないです…大学いもってどんな食べ物なんですか?」

まんまるくした瞳で無邪気に聞いてくる姫子に

「それは…」

龍子が答えようとするとがらりと引き戸が開く音がした。

「こんにちは」

 

すかさず姫子がぱたぱたと玄関に行くと、軍服の青年が朗らかな顔をして敷居を跨ぎ玄関にいた。年の頃は30で背は高く、目の下には深い隈がある。一見すると怖いという印象を与える顔つきも柔和な笑みが加わると、見た目に反して怖くないというのがわかる。なにより姫子は文治か優しいことを知っていた。

 

「いらっしゃいませ文治さま…?」

「ああ、これですか」

大風呂敷を抱えた文治に目を丸くした姫子。

その風呂敷の結び目から黒く長い柄のようなものがのぞいている。

「それは、何ですか?文治さま」

「フライパンですよ」

「はい?」

 

 

台所

 

「随分と大きなフライパンですねえ」

「玉子がたくさん焼けそうだねえ

真っ黒な鉄鍋を目にして驚く星子と月子とこま子。黒く鈍色に輝くそれはよく使い込まれていながらよく手入れされている風だった。

「このフライパン?どこから借りてきたんですか?土屋さまのものではないでしょう?」

「さつまいもが余っているとお困りのようでしたので、借りてきました」

「洋食屋からですか?」

「訳を話すと長くなりますが、私の部下に伝(つて)がありましてね、洋菓子屋をやっているそうです」

「まあ!洋菓子屋さんってビスケットやマシュマロなんかを作るのよね。食べてみたいわ」

「ビスケットやマシュマロだけじゃないでしょう星子、ドーナットとかタピオカジェリーとかもよ」

「ビスケットにドーナット、タピオカジェリー…ああ、おら考えだけで涎が出そう」

「ちょっと月子、星子それに、こま子話の腰を折らないの…それで土屋さま、そのフライパンでいったい何をするんですか?」

鶴の一声とばかりに龍子が場を制すると女中たちはさっと口を噤んだ。

「さつまいものパンケークを作るんです」

「「「「「さつまいものパンケーク?!」」」」」

瑞子以外の全員が声を揃えてそう言って文治と無造作に置かれたさつまいもを交互に見る。

「ええ、西洋の焼いたケークにさつまいもを入れたお菓子です」

「なんだか美味しそうですねさつまいものパンケークって」

姫子が無邪気にそう言うと

「姫子、やってごらんなさいな」

瑞子がそう言って優しく微笑んでみせた。

 

 

 

 

「パンケークってどんなお菓子なんですか、ケークとは違うんですよね」

姫子が小首を傾げて文治に尋ねる。

「天火を使わず作れる薄焼きのケークだそうです。異国では朝餉に食べたりもするそうですよ」

「へえ…お菓子なのに朝ご飯としていただくってなんだか不思議です」

「甘いんですよね、おかずに例えると甘い玉子焼きみたいなものでしょうか?」

「甘くないパンケークもあるそうですよ龍子さん」

「甘くないものがあるならご飯の代わりになりそうですね」感心ある風に龍子はこたえた。

 

木べらにすり鉢、菜箸とおたま。調理に必要なものを一揃えし、卵、メリケン粉、重曹と水を用意する。調理の下準備用にと姫子は着物にエプロンフリル姿、月子と星子は前だれ、龍子とこま子は割烹着姿である。

「ええと…まずはさつまいもを軽く茹でて水気を取り、賽の目切りにしまして再び柔らかくなるまで煮ると…」

龍子が文治から渡されたパンケークの拵え方をを読み上げる。

「芋を煮ている間にパンケークの生地を作ればいいのかしら…」

 

「かまどに火をいれて、それから鍋に水を入れないと」

「じゃあおら、かまどに火ぃつけてくる!!」

こま子が三つ編みを揺らしながら勝手口へ向かうと月子は鍋を取りに行き、星子はさつまいもと水の準備に取り掛かる。

「私達はさつまいもを茹でますから、龍姐と姫子さまは生地作りお願いしますね」

「はい、星ねーね、月ねーね」

大きなすり鉢をよいしょよいしょと運びながら、姫子が返事する。そんな姫子を見て微笑む龍子。

そして龍子と姫子の仲良さげなやりとりをそっと見てやはり嬉しそうに煙草を吸う文治。

 

かまどに火が入ると肌寒かった土間に暖かな空気が流れ出す。冷え切った流しも土間も熱が伝わり暖かくなっていく。夏の台所とは違う、はりつめた雰囲気がかまどの火徐々に和らぐのは冬の時期しか感じられない特別なものだった。

 

肝心要の生地作りはすり鉢に卵とメリケン粉、重曹、水を混ぜる。ダマにならないよう細かく混ぜる必要があるが、菜ばしで細かくムラなく混ぜるのはかなり難しい。

肩上げ姿で菜ばしを使う姫子は真剣だ。

「思ったより、混ぜにくいです、ねっ」

菜ばしで懸命にぐるぐる生地をかき混ぜ続ける姫子だが、生地はよく混ざらずダマもいくらか残ってしまっていた。

「こうするとよく混ざりますよ」

シャツ姿の文治が、姫子の混ぜる菜ばしに手を添えると小気味良く生地をかき混ぜはじめる。

「文治さま、お上手です」

頬を赤らめた姫子はなすがまま、文治のやり方にほうっと感嘆のため息を吐く。

 

2人の手でかき混ぜられた生地は程よく滑らかに仕上がった。

「へえ、随分と上手いものですね。男子厨房に入れるべからずなんて言われますが、嘘のように感じますよ」

「軍の中で炊事兵になると飯の支度をやらされるんです。器用でない者もいますが誰でも大抵、簡単な調理ならこなせるようにはなります」

臆面もなく答える文治に龍子はそうですか、といいながら、生地の準備は完成しましたねと言いさっと姫子から文治を引き離す。

 

「月子と星子」

「「はい」」

「さつまいもの方はどう?」

「下茹でが終わったわ!」

「あとは切って煮るだけね。姫子さまどうします?やってみますか」

「やってみたいです!龍ねーね。さつまいも切るの」

「わかりました。刃物は危ないですから、私が切り方を教えます」

それを見て、瑞子が何かを準備しはじめた。

「奥様、どうしたんですか?パンケークなら私達が作りますから…」

「ふふ、見ていたら私も何か作りたくなってきたの」

「何をお作りに?」

「みたらしのタレよ」

「みたらしのタレ?ですか」

「ええ」

きょとんとする龍子。それに構わず瑞子は台所の棚から醤油や砂糖を取ってきて準備を進めていく。

 

柔らかくなった芋を切る。皮が切りにくいので皮を剥いてから、包丁を入れる。

「まずはさつまいもを輪切りにします。だいたいこのくらいに…」

龍子がお手本に包丁で切って見せると、今度は姫子が包丁を手にして芋を切ろうとしてみる、が…

「手が切れそうで怖いです。どうすれば」

「私としたことが、姫子さまは包丁に不慣れでしたね。なら、指を折ってげんこつの形にしてみてください」

「げんこつ…こう?ですか」

「そうですそうですその形で芋を軽くおさえてください。」

「はい」

「それから包丁は、押して切ると切れないです。手前に引いてまた戻すとしっかり切れますから」

「は、はいっ!げんこつで押さえて包丁は引いてから戻すですね」

ぷるぷる震えながら包丁を握る姫子がおそるおそる芋を包丁で切る。龍子に言われた通りやってみると

「本当だ。ちゃんと切れました」

端から斜めになりながらも芋が切れているのを龍子は眼を細めて見一言

「やりましたね姫子さま」

「はいなんとか…龍ねーね達は毎日こんなことをやっているんですね。」

「慣れていますし奥さまや大旦那様、それに姫子さまのためなら大したことではありません」

「私、もっと頑張ります!」

「へっ?」

「龍ねーねみたいになんでもできるようになりたいので」

「まあ、そんな風に言っていただけるなんて私、姫子さまの女中を勤めさせていただいている甲斐があります。ありがとうございます」

感極まった口調で龍子は言い手で目下を押さえた。

「ちょっと龍姐、早くさつまいも切らないと火が弱くなるわよ」

月子と星子の言葉に促され、残りのさつまいもを切り終えると(姫子は二つ切った)鍋でもう一度茹でる。芋が柔らかくなるまで少し時間があるので、文治が話をしてくれることになった。

 

「さつまいもは江戸時代には甘藷と呼ばれていたそうです」

「甘藷ですか」

「青木昆陽という私塾を開いていた町人がいまして甘藷には栄養があるという蕃薯考をお幕府に献上して、自らさつまいもを作り米不足で飢饉になった人々を助けたそうですよ」

「お米の代わりにさつまいもをご飯として食べたんですね。なんだかパンケークと似てます」

「確かに似てますね。さつまいも、甘藷で人々を飢えから救ったことから青木昆陽は甘藷先生と呼ばれるようになったと言われています」

「おらなら、ご飯はご飯、さつまいもはさつまいもで食べたいなあ」

「こま子ったら!でも確かに」

「さつまいもは甘味という感じよね」

月子と星子がこま子の言葉にうんうんと頷く。

「さつまいもとご飯は一緒にしても普通に食べられるのに不思議ねえ」

瑞子が言うと皆もそういえば、という顔をした後おかしくなって笑い出す。文治も姫子も釣られて笑い賑やかな空気が生まれた。

「そういえば、この前遊びに来た姫子さまのご友人の鬼頭さん。やけに大人びたこと言ってたわね」

「そうそう姫子さまと同い歳なのに接吻なんて言葉使ってだものね」

浪漫小説でも読んだのかしらなどと、こそこそ月子と星子が囁き合う。

「言葉だけ知ってて意味はわからない風だったわよね」

「そこがまた、可愛かったんだけど」

「月子に星子」

「うわっ龍姐」

「今の聞いてた?」

背中から聞こえた低い声にびくりと肩を震わす2人を

疑わしげに龍子は見ると、口に手を当ててひそひそ

「最初から全部聞いてました。姫子さまがいる前でご友人のことをつらつら言うのはやめなさい」

「だって文治さまのことをおじさんなんて言ったんでしょう。このくらい言ってもばちは当たらなくてよ龍姐」

「はあ、私も聞こえてしまったけど、土屋さまのことをおじさんと呼んだのは正直驚いたわね。」

「だけど龍姐、それで大笑いしてたじゃない。」

「あ、あれは姫子さまが必死になって土屋さまはお兄さまですとおっしゃるから」

「ふふっ姫子さまにとっては文治さまはお若いといいうことなのよね。ご本人はおじさんですなんて認めていましたけど」

 

「何か大事な相談事ですかな」

「あっ」

龍子たちの後ろに笑顔で文治がいつのまにか立っていた。怒っている様子は無いのに、それ以上何か言うのは如何なものか?という有無を言わせぬ圧力を出している。これにはたまらず、ひゃっと背中に冷や水を浴びせられたような気持ちになり、女中達は押し黙ってしまった。

「さあさあ、パンケーク作りに戻りましょう」

「はい」

龍子が号令をかけると月子も星子もささっとかまどへ直行し、さつまいもの煮え加減を確かめに行った。

 

 

ぐつぐつ煮える鍋の湯気が、台所に漂うとなりで瑞子が醤油と砂糖を混ぜたものを火にかける。

すると、甘い匂いがたちこめた。

「この匂い!みたらし団子の匂いだあ」

「とっても甘くていい香りです」

「でも、奥さまが何故みたらしを?」

「ふふ、パンケークには蜂蜜をひとたらしすると美味しいらしいのだけど、みたらしのタレでも美味しくなると思って作ってみたの」

飴色のタレを深めの皿に移し終えると瑞子は

いたずらっ子ぽく笑ってみせる。

「私みたらしのタレ好きです。早くかけて食べてみたいです」

「では、生地を焼くのもやってみますか?」

龍子が姫子に聞くと待っていましたとばかりに

「いいんですか?龍ねーね」と姫子。

「もちろんです。姫子さまがおやりになりたいとおっしゃるなら是非やってみてください」

「ありがとう」

胸の間に両の手を組み合わせてぐっと押し当てると

とびきりの笑顔で姫子はそう言い、龍子に抱きつく。嬉しくなったり恥ずかしくなった時にやる姫子特有の癖なのだ。

「全く姫子さまったら」

抱きついてきた姫子を受け止めた龍子は少し照れながらされるがまま抱きしめられていたが、文治がじとその様子を見ていることに気がつくとさっと姫子を離し何食わぬ顔をしてみせた。

 

「お芋柔らかくなりましたよ!!」

同じ頃合いに竹串をさして芋がやわらかくなったか確かめていた月子、星子が良い加減になったと言い。その場はうやむやになった。

 

パンケークの拵え方続き

寝かせておいた生地に茹でたさつまいもを加え、火で熱したフライパンで焼き上げる。生地を流す時はおたまを使って円形に生地を流し入れる。

生地にふつふつと気泡が浮かんできたらひっくり返返しもう片面も焼きあげて完成である。

仕上げにバタを乗せ、蜂蜜をかける。

 

「かまどの火が弱くなってきたわね」

「おら、薪を足してくる」

こま子が勝手口を出て行くと文治が、フライパンを持ってやってくる。シャツを肘までたくし上げ、腰にはどこからか借りてきた帆前かけ。まるで料理をしにきた料理人のような出立ちだ。

「土屋さま、その格好は一体?」

「芋の切り方は龍子さんが教えていたでしょう。私も姫子さんのお手本になる手伝いがしたくなりましてな」

「お手本ですか…でも、お手本ってまさか」

「炊事兵をやらされていた時期は色々作らされましてね。焼く物は特に」

だから、パンケークの生地を焼くことも難しいことではないと文治は言うとフライパンを火にかけ、生地の入ったすり鉢を持つ。

「おたま、それからバタはありますか?」

「はいっ。おたまとそれからバタ」

星子が慌ててそれらを渡すと文治は手際良くバタをフライパンに落とし、よく馴染ませてからパンケークの生地を流し入れる。

ジュという音がし生地が焼けはじめると姫子が駆け寄ってきてきらきらとした眼差しで文治と焼き上がっていくパンケークを見つめていた。

「すごいです!文治さまパンケークの焼き方知ってなさるなんて」

「いえ、実はパンケークを焼くのはこれがはじめてなんです。似たようなものを作ったことがあるので真似てみただけですよ」

「そうなんですか、それでもすごいです。私だったら失敗するのが怖くて、きっと出来ないだろうから」

生地にふつふつと気泡ができ始めたのを文治は確認すると今度は木べらを手にして生地の下に差し入れると迷うことなくひっくり返す。きつね色に焼きあがった生地が表になるとわあっと歓声が上がった。

「失敗しても大丈夫です。失敗するから上達するし、成功した時の喜びも大きいんです」

「失敗してもいい…んですか」

「そうです。失敗があるから人は頑張ろうと努力する。私も失敗は沢山経験しましたから」

文治は苦笑いすると再び木べらを使って生地の下を掬い上げ、用意されていた皿にパンケークを綺麗に乗せてみせた。

「大事なのは失敗しても挑戦し続けることですよ。姫子さん。それを笑う人がいようと、無駄だと言う人がいたとしても関係なく挑戦しようという気持ちが大事なんです」

「挑戦し続けることが大事…」

「ええ」

「わかりました。私やります1人で」

「1人で、ですが」

困惑する龍子に姫子はにっと笑いかけると

「生地作りの時も、お芋を切る時も文治さまと龍ねーねを頼ってばかりでしたから今度は全部1人でやってみます」

きっ、と意を決した視線をフライパンに向けると姫子はすり鉢に手をかける。片手にはおたまを構えているがその手は震えていた。

その姿を見て大袈裟に割烹着の袖を涙で濡らしているのは龍子であった。

「姫子さまが、自分からお料理をしようなんて私思ってもみませんでした。初めてお会いした時は、あんなに小さかったのに随分と立派になられたのですね。」

少し前にも赤だしを作るので手伝いはしたが、あの時姫子がしたのは味噌をとかすのと具材を煮て味見することくらいだったから料理したといっても形だけに過ぎなかった。具材選びは姫子がしたのだが。今回は、パンケークを焼き上げる工程を全て自分でやるというのだから龍子が驚くのも無理はない。

 

姫子は文治がしていたのを思い出しながら、おたまで生地をすくうとフライパンに流していく、綺麗な丸型とは言い難いが丸い形ができるとほっと息をついた。

「なかなか上手いわよ姫子」

そっとフライパンを瑞子がのぞいてそう言った。

「はっはい!」

緊張のあまり吃る姫子。おたまを木べらに持ち替えて、いつ焼きあがっても大丈夫という構えを見せるが表情は硬く、額からは大量の汗が浮かんでるいる。

「姫子さま、ひっくり返す時は力抜いてください」

「ひっくり返す時は力を抜くですね…」

すーはーすーはーと深呼吸を繰り返すと姫子は木べらを握り直し、ふつふつ気泡が立っている生地の下に木べらを差し入れた。中ほどまで入ったところでぐっとひっくり返してみる……が、返す時の力が足りなかったせいか生地がフライパンの端に乗ってしまい少し折れた形になってしまう。

「ああ…」

「まだです姫子さん」

「料理は完成するまで終わりじゃないですよ」

「でも、」

「いいから続けてください」

「わかりました」

文治に言われしぶしぶ形が歪になったパンケークに向き直ると焼きあがった頃合いに再び木べらを使って生地を掬う。皿に慎重に乗せてみると文治のものとの差は歴然としていて姫子は落ち込むばかりだった。焼き上がりの色もきつね色より薄く、美味しそうに見える色ではない。

「文治さまみたいに上手く出来なかったです」

「それはどうでしょう」

「??」

不可思議なものでも見つけたかのような眼差しで文治を見やる姫子を優しい目で文治は見つめ返す。

 

「どんどん焼かないとまた、火が弱くなるわよ」

「はあい、次は私がやりますね」

「じゃ、その次はおらが焼く」

「はいはい、その前に熱くなったフライパンを冷まさないと…」

龍子が手際良く濡らした手ぬぐいの上に空のフライパンを乗せて熱を冷ます。台所には甘いパンケークの匂いが漂っていた。

「姫子さま料理が美味しくなる秘訣教えましょうか」

「そんな秘訣あるんですか、なら教えて欲しいです」

「それは、」

「それは?」

「食べさせてあげたい人のことを思って愛情を込めながら作ることです」

「愛情を込めると料理が美味しくなるんですか?」

「なりますよ。愛情はとっておきの調味料なんです」

龍子は姫子の肩に手を乗せ励ますように言ってみせる。すると、姫子は元気を取り戻し料理の秘訣は愛情、料理の秘訣は愛情と何回も繰り返し小さく呟いた。

 

 

その後、順々にパンケークを焼き上げていくと、皿に盛り付けていった。全部で16枚ものパンケークが焼き上がり文治と姫子たちで食べることになった。

「本当に助かりました。文治さんのおかげでさつまいもを全部使い切ることができました」

「いえいえ、こちらこそいつも上手い飯を食べさせてもらっているので」

「なかなか様になってましたよね。文治さまの菜ばしと木べらさばき、それから帆前かけがとても似合ってましたわ」

「帆前かけひとつで男前になるなんて文治さまやっぱり素敵」

「私もそう思います。男の方が料理なさる姿ってとても凛々しくて格好良くて…。パンケークをあんなに上手く焼けるのもすごいです」

頬を赤く染めながら言う姫子は袖で顔を隠して、隠れようとする。

「褒めるほどのものじゃないですが、ありがとうございます」

至極真面目に文治が答えると、龍子が一瞬ぶすっとした表情を見せたが、それも一瞬ですぐにきりっとした顔になると大きな声でこう言った。

「さあ皆、出来上がった料理を茶の間に運んで頂戴!」

月子と星子がパンケークの乗った皿をお盆に乗せて運び、こま子はお茶を姫子は箸とみたらしのタレを運ぶことになった。

 

皆が、準備する為に台所を後にすると、残されたのは文治と龍子と瑞子だけ。少し静かになったところで龍子がぽつりと零す。

「姫子さまが元気になられたのも、名古屋に越してきてから」

「そうねぇ、龍子ちゃん。あの子には沢山我慢させてしまったから申し訳ないと思ってるの」

「奥さまだって無理をなさっていたでしょう。本来なら姫子さまを元気付けるのは私がやらねば、ならないことでした」

「龍子ちゃん…」

龍子の悔しげな物言いに瑞子は悲しそうな目をするが、すぐいつも通りの優しい顔をして

「そんなことないのよ姫子は龍子ちゃんがいたから、素直で優しい子に育ってくれたのだし」

「奥さま…」

「それにね文治さんも姫子と話をちゃんとしてくれているでしょう。姫子が今幸せでいられるのは文治さんがいるからだと思います。あの子ね、文治さんが来るのをいつも心待ちにしているの。来るとわかった日にはね、着物はどんな柄にするか迷いに迷って決めていたり。まだ、12歳だけれども立派な女の子でしょう」

病気がちで少しこけた頬に柔らかい笑みを浮かべた瑞子は目を伏せた。辛い日々を少し思い出したのかその目には涙が浮かんでいる。

「ええ姫子さんは立派な女性です」

光の灯らない昏い眼とは裏腹の暖かみのある声で文治はそう言った。

 

 

茶の間

 

ちゃぶ台に人数分のパンケークの乗った皿を準備し、お茶も同じだけ用意すると。女中達は一息吐く。

「終わったのよね。ケークはある、お茶もある、お箸もあると…」

「準備は終わり。後は食べるだけ」

「でも、奥さまと龍姐と文治さまは?」

「後から来るんでねぇの?」

「そう言えばまだ来てないですね。お母さまに龍ねーね、文治さま」

姫子がそう言った後、すぐぞろぞろと龍子たちがやって来た。

「姫子さま遅れてすみません。後片付けをしていまして」

「私も手伝っていて遅れました」

「ふふ、でもこれで皆揃ったのよね」

じゃあ、食べましょうと瑞子が言い。ようやくパンケークを食べることになった。

 

包丁で切り分けたパンケークに瑞子が作ったみたらしのタレをかける。

「いただきます」

「姫子さんの焼いたパンケーク食べてもいいですか?」

自分で焼いた焼き色の良くないパンケークにかぶりつこうとしていた姫子は箸を空に止める。

「えっ、でもこれは失敗作で」

「食べてみたいです。姫子さんの焼いたパンケーク」

「でも」

渋る姫子だが、押しの強い文治に負けついに

「いいですよ」と言い真っ赤になった。

「では遠慮なくいただきます」

姫子が箸で掴んでいたパンケークをそのまま口にする文治。

「あのあのっ!」

突然のことに驚いた姫子と平然としている文治。

2人の態度は対照的でありながら、慈愛に満ちた空気が茶の間を包んだのは確かだった。

「美味しいです」

「美味しい?ほんとうに」

「美味しいですよ。」

言われて恐る恐る自分のパンケークを一口食べてみる姫子。

「あ、思ったより美味しい…です」

「でしょう」

にこにこと言う文治に悪気は一切感じられない。

のだが、心臓が口から出てしまうのかというくらいどきどきしていた。

 

「さつまいもとふんわりした生地がほどよい甘さでそこにみたらしのタレが絡むとまた違う風味が出ていいですね」

「やっぱりみたらしのタレにしてよかったでしょう」

「そうですね、パンケークとよくあって美味しいですね」

2人の甘い雰囲気を見なかったふりをしてパンケークの感想を言い合う瑞子と女中達。それが逆に姫子をいたたまれない気持ちにさせ、顔をほてらせることになる。

「芋粥よりもこっちの方が沢山食べられそうだぁ

「ふふっこま子ったら」

「いい食べっぷりよね」

 

 

「姫子さん」

「はいっっ」

パンケークの味もなんだかわからないままもくもくと食べていた姫子は突然話しかけられてびくりと肩を震わせた。

「私の焼いたパンケーク食べてみますか?」

「いいんですか?」

「勿論。姫子さんに食べて欲しいんです」

「………」

「姫子さん?」

また恥ずかしくなり顔が赤くなってきた姫子は、

「でっでは、いただきますねっ」

姫子が文治の皿に箸を伸ばそうとすると、ひょいと箸を取られてしまう。

「あれ、文治さま?」

「はい、どうぞ」

姫子の箸で自分のパンケークを一切れ取ると、文治は姫子に差し出した。

「あの…」

「どうしました?」

「いえっ、自分で食べられますから箸を返してくだ…」

「それは出来ないです」

「へ…」

姫子が助けを求めて周りを見ると、龍子はお茶を入れに行くと言い、こま子は食べるのに夢中、月子と星子も用事を思い出したとさっといなくなり、瑞子は知らないふりをまだしている。

「姫子さん、さどうぞ」

「っ…はむ」

逃げられないと悟った姫子は思い切って文治が差し出したパンケークを頬張る。口の中にほんのりとした甘さが広がった。

「美味しいです!私のよりも」

目を輝かせて言う姫子の頬は上気し赤らみ唇も紅を差したかのように艶々と朱い。

「ハハハッそれは良かった。姫子さんが喜ぶ顔は別嬪さんですね」

「別嬪さん?」

 

 

「別嬪さんっていうのはな…別格の美人って意味だ」

「そうか、勉強になった。ありがとう六さん」

数日前、六藤から聞いた言葉が、ふと頭をよぎり文治は自然と口にしていた。別嬪さん。かの夏目漱石も小説で使った言葉だそうだ。

 

「あら、別嬪さんって美人って意味ですよ姫子さま!」

「でもいつの間にそんな言葉を…隅におけんわね」

「えっ!びび美人っ」

星子と月子がしゅっと現れ、姫子に囁く。

すっかり真っ赤になってしまった姫子。それを気にもせずパンケークを平らげていく文治。

「ごちそうさまでした!」

 

ひとしきり食べ終わり、女中達も瑞子も台所へ行ってしまった後。食後の一服を文治は楽しんでいた。それを横目でちらと見ていた姫子は残しておいたパンケークを一切れ箸で掴むと、文治の前に差し出す。

「姫子さん?」

少し驚いた表情で人差し指と中指の間に煙草を

挟んだまま、目の前にあるパンケークを暫し見つめる文治。

「文治さまだけ、ずるいです私も文治さまに食べさせてあげたいです」

むっとした顔で姫子が言うのが可愛くて文治は笑いそうになる。が、ぐっと堪えて代わりに

吸いかけの煙草に口をつけ、一息吸い煙を吐き出した。むわっと茶の間の天井近くに煙が広がり暫く漂う。

「わかりました。ではいただきます」

そうして姫子の手から食べさせてもらうと不思議なほど甘く、清福を感じる味がしたのであった。

「私は姫子さんが自然と笑顔になってくれたら、とても嬉しいんです今のように」

「私も文治さまが笑ってくださるのが1番嬉しくて幸せです」

見つめ合う2人は歳の差という隔たりがあっても、お互いを大切にしたいという気持ちは同じであった。

 

まだまだ、自由恋愛が許されなかった時代。

許嫁という関係でありながら、文治と姫子2人は少しずつ心の距離を縮め愛を深めていくのであった。

時は大正5年。西洋文化がようやく日本に浸透し馴染みはじめた頃の話である。

 

終わり

 

 

おまけ

 

学校が終わり、姫子が帰ろうとしていると野々目が花塚さん一緒に帰ろと声をかけてくる。

「いいですよ」と答えてみせると姫子はにっこり微笑んだ。

 

風呂敷を持ちながら楽しく下校し、花塚家にいよいよ着くという頃姫子があっ!と大きな声を出した。

「どうしたの?花塚さん?なんか忘れ物した」

「違うの、野々目さん。急なんだけど今度また遊べますか?」

「あ?えっと…遊べるけど」

真剣な顔で言う姫子にびっくりする野々目。

「じゃあ次の月曜日に遊びましょう!鬼頭さんも誘って」

「リンも?」

「この前いただいたお菓子のお礼したいので」

 

「わかった声かけとくね!花塚さんは優しいね。あたしはリンにそこまで優しくできないや」

んじゃーまた明日!と手を振って野々目が帰っていくのを姫子は見えなくなるまで見送った。

 

 

リンが言うには花塚さんの家に行くのは、しばらく遠慮しておきたいとのことだったが、どうにかこうにか野々目がなだめすかして、最後は菓子折りの礼をしたいからという名目で遊ぶ約束を取り付けた。姫子が話そうものなら、ふいっとそっぽを向いて相手にしないのだ。

「そんなにお礼がしたいと花塚さんが言うなら、行ってあげてもいいわよ」

切長の目を伏せ、恥ずかしそうにリンは言う。

「ありがとう!鬼頭さん」

きらきらとした笑顔で返す姫子にバツが悪そうにふんと顔をそらしたリンの顔は赤らんでいた。

 

 

花塚家へリンと野々目が行くと最初の時と同じように姫子が2人を出迎え後ろに女中が続いた。リンは濃紺色に萩模様の着物。野々目は紅葉の小紋柄の着物である。

「いらっしゃい!野々目さん、鬼頭さん」

「こんにちは!花塚さん」

「こんにちは…」

「あら、いらっしゃい!この前来てくれた姫子さまのご学友の方ですね。ゆっくりしていってくださいな」

 

茶の間へ通されお茶を出された後

しばし待たされる。野々目とリン2人きりになったところでリンが口を開いた。

「花塚さんって自分が嫌われているってご存知ないのかしら」

「花塚さんはリンのこと友達だって思ってるんじゃない」

「友達…私は花塚さんのこと友達なんて思ってないわよ」

「とか言って遊びにきてるし」

「それとこれとは別よっ!この前のは傘を借りた礼をしなさいって言われただけで…」

「ふうん。その割に花塚さんと話してたよねリン。しかも花塚さんのいいなづけ?だっけ?

その人のこともじーっと見てたし」

「帝都に暮らしたことがあるのに華やかさがないものだから気になって話しかけただけよ。許嫁の方は歳が随分と離れていたものだからつい」

「ほら、気にしてる」

「気にしてないったら」

黒髪を大きく揺らして首を左右振るとリンは頬を膨らます。

「ん…なんだかいい匂いがしてきた」

「本当、甘い匂い」

砂糖を煮詰めたような甘い匂いがぷんと茶の間に漂ってくる。カステラと似ているがカステラではないような。

 

間もなく、

「お待たせしました!」

お盆にパンケークを二つ乗せて姫子が茶の間へ入ってきた。

 

「うわー花塚さん、何その麵麭をつぶしたみたいなの!」

「カステラではないのよね?」

湯気を立てている平べったい円形の菓子にリンと野々目は興味深々。しげしげと眺めては首を傾げている。

「これはパンケークと言って西洋の焼いたケークです。」

「へえ、ぱんけーくって言う食べ物なんだ」

「ふうん」

 

「美味しくなるよう作ってみてたので、食べてください」

「えっ?これ花塚さんが作ったの?」

「はい!文治さまに作り方を教えてもらいました」

「すごい!私こんなの作れないし」

「へえ、あの方に教えてもらったんだ、でも上手くできてるかはわからないじゃない」

 

「はくっ!むぐむぐ…うん!美味しい」

「って?!野々目いつの間にっ」

「しのごの言ってないではやく食べなよリン!とっても美味しいから!」

「〜〜〜〜ーーっ??!!」

先を越されたのが悔しくてきいっと歯噛みした後、リンは箸でパンケークをつまみ恐る恐る口に入れてみる。

 

「どう?ですか鬼頭さん、お味?」

「う…」

「う?」

「おいしい…」

「よかった!」

満面の笑みを浮かべてみつめあう姫子と野々目。一方、リンはまた悔しそうな顔をして、パンケークなんておツルに頼めば作ってもらえるんだから!いつか私も作れるようになるんだから!と心の中で叫ぶのであった。

 

 

おわり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでくれてありがとうございます。今回1万字以上書いてしまいました。お疲れ様です。誤字脱字ありましたらすみません。
本当は焼き芋の話を書こうとしていて原作と被ってしまったということで書き直しさつまいものパンケークを作るという話に落ち着きました。
(芋を手押しポンプで洗うところとか考えていたままだったのでボツになりました。二次の焼き芋話)今回はまさしく煙と蜜のタイトルに沿った話という感じになりました。それと日本ぽい蜜はみたらしのタレかなあと(大正の献立では黒蜜を蜂蜜代わりにしてました)
パンケーク、ドーナットなんかも大正期に食べられるようになったお菓子のようですね。酒屋さんなどがしている帆前かけ姿の文治さんを書いてみたいというのもありました。それからお互い食べさせてあげるという流れも…。煙草を吸う描写自然に出すため吸っている人はどんな仕草をしていたか思い出しながら書きました。指に挟んだりくわえ煙草だったり、色々ありますよね。
かなり長い上相変わらずグダグダな終わり方ですが楽しんでいただけたら幸いです。
あとがきおわり
*2月9日老兵のセリフ土屋殿を土屋少佐殿に訂正しました。
*2月23日おまけを追加しました。
*3月3日お菓子の種類を変更しました。ケークはビスケット、ジェリーはタピオカジェリーに。+マシュマロ。ビスケットは明治から食べられている西洋菓子。スポンジ生地のショートケーキは大正11年くらいから登場したみたいです。すみません。タピオカゼリーは明治時代から滋養にいいと食べられていたようです。マシュマロも明治にあったみたいです。


そんなことより
長蔵ヒロコさんの煙と蜜がこのマンガがすごい!2021オンナ編で13位になったそうですね。おめでとうございます!それだけ注目されているということは煙と蜜を読んでくれた人が前より増えたということで、とても嬉しいです。
興味があるけど、まだ読んでいない方現在第1〜2集発売中です。2021年には第3集も出ますのでよろしくお願いします。ハルタ本誌に連載中です。現在22話サクラではないです。この二次創作や他の方の二次創作で知った方もよろしくです。

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