ガンダムビルドダイバーズ Behind the scenes 作:ほぼ読み専
レイが別行動をするようになってから一週間が経過した。
「ふーむむむ……」
セントラルディメンションのロビータワーにある中央カウンター。そこにセナの姿はあった。
「うむむむ……」
奇妙な唸り声を上げながらセナが見つめているのはミッションの一覧。このところの彼女といえば、対人環境からは少し距離を置き、様々なガンダム作品、その中でも激闘と呼ばれるエピソードを再現したミッションや、特定の機体が集中して出てくるようなミッションを中心に挑んでいた。
いずれもセナにしてみれば大した難易度ではないのだが……これはマギーの助言によるもので、彼女にとっては座学の側面が強い。レイに出会うまでガンダム作品に馴染みがない状態だった知識面を補う目的があった。
「マギーさん厳選のアニメエピソードも並行して見たおかげで、だいたいざっくりだけど、有名な武装や機体の特徴は把握できた……と思うんだけど、次は何をしよう? ……やっぱりヴァルガに……」
マギーから提示された課題を熟し続けること一週間。
世間的には高難易度に分類されるミッションを熟し続けてきたこともあり、セナのランクもAに到達。ランクに応じた平均的な腕前と機体があれば、どうにかクリアできるよう調整されている公式からのミッションはセナにとってはさほど乗り越えるのに苦労はない。──まあ、この短期間でこれだけランクが上昇したことを踏まえれば、彼女のミッションに挑む回数と、その成功率というものは常人からは逸脱していると言えるのだが……ついにそれも終わるところまで来た。
下手に独自改造やプラグインを組み合わせたカスタムガンプラを相手にするより、それらの
「基礎が終わったなら次は応用。身に着けた知識を実践で試してみましょうか」
「お? マギーさん?」
「まさかこんなに早く課題をクリアするとは思ってなかったわぁ。セナちゃんは頑張り屋さんね」
声をかけられたセナが振り向けば、いつの間にかすぐ傍にマギーが立っていた。
「へへー。それほどでも。マギーさんのおかげで、ガンプラバトルの武器のクセもだいぶ掴めたよ!」
ありがと! と笑顔で礼を述べるセナに、
「んまー! 嬉しい事言ってくれるじゃない! セナちゃんは素直で可愛いわねぇ!」
と、感激したようにマギーは両手を合わせて喜ぶ。
「それでマギーさん、実践って? ヴァルガじゃだめなの?」
「うーん……それも悪くはないんだけれど、今のセナちゃんにはこっちのほうがオススメね」
そう言ってマギーが呼び出したホロウィンドウには、あるイベントバトルの詳細が記載されていた。それは──
「……レイドバトルイベント?」
「そ。今回のはダイバー同士が大人数で戦うPvP形式で、参加資格がAランク限定。色んなランクが入り乱れるヴァルガも悪くはないけれど……高ランクダイバーだけが集まる大規模戦、経験してみるのも悪くないんじゃない?」
GBNで定期的に開催されているイベントのひとつに大規模戦闘イベントがある。
MMOという特性を生かした多数のプレイヤーが同時に参加するこのイベントバトルは、運営が用意した超大型NPDを擁する軍勢と戦うPvE形式が有名だが、ダイバーが二つの陣営に分かれて戦う純粋なPvPによる大規模戦闘が今回の催しだ。
奇しくも今日がそのエントリー締め切りであり、予想外の速度で自分が課したミッションを全てクリアして、ランクもAという上位のきざはしに到達したセナ。
まるでそんな彼女のために用意されたような……運命めいたものをマギーは感じた。
「ヴァルガみたいにぜーんぶが敵じゃなくて、最初から味方が誰かハッキリしてるほうが色々と観察できるでしょう? 他のダイバーが使うガンプラの戦いぶりもしっかり見て、覚えて、糧になさいな」
ぱちり、とウィンクをするマギー。そんな彼女を見上げたセナは力強く頷く。
「うん! レイも頑張ってるからね! 負けてられないよ!」
イベント参加申請を送り、「それじゃ、イベントまで肩慣らししてくるねー!」と元気にヴァルガへ転移していくセナの姿にマギーは思わず苦笑する。
「あらあら……本当に、バトルの好きなコねぇ」
§
そして迎えたレイドバトル当日。
「おおー、壮観だなー」
転移ゲートを潜った先、戦いの舞台となる宇宙空間に出現したカイムのコクピットの中でセナは歓声を上げる。
開始の合図を待つガンプラの軍勢。そこに居並ぶのはいずれ劣らぬ猛者ばかり。己の操縦技術とガンプラ、双方を磨き上げ研ぎ澄ませたダイバーたちが放つ闘気が目に見えるようで、ヴァルガでのそれとはまた違う緊張感が自然とセナの背筋を伸ばす。
「あのガンプラはZ系かな、ってことは変形するのか。あっちは……おっ、UCとアナザーのミキシングかー。太陽炉は人気あるねー」
きょろきょろと自軍のガンプラたちを眺めては、覚えた知識と照らし合わせをする。
マギー厳選のアニメエピソードの他に、彼女が手ずから編集したというガンダムアニメのベストバウトを凝縮した映像をレイと共に鑑賞し、つきっきりで解説までしてもらったことでセナの知識は飛躍的に増えていた。
初心者の
最初こそ見た目のインパクトに圧倒されたが、マギーの姿勢にはレイもセナも敬意を抱いている。
「ヴァルガに潜ってる時は感覚で戦ってたから気にしてなかったけど、こうして事前に手札を予想出来るようになると見え方も変わるね」
刻々と減っていくカウントダウンを一瞥し、さて、と気合を込めて操縦桿を握る。
「オーガじゃないけど、この大戦。存分に味あわせてもらうよ!」
セナがそう言うと同時、カウントがゼロを示して戦いの火蓋が切られた。
「──しっ! いっくぞー!」
まず飛び出したのは速度に優れる可変機を先頭にした高機動機体たち。当然セナのカイムもその中に含まれる。
『一番槍は貰うぜ!』
そんな中、集団の先頭を飛翔するモスグリーンのキュリオスのダイバーが威勢よく吠えた瞬間だった。
漆黒の闇を切り裂くようにして色とりどりの光が殺到する。それは敵軍の砲撃部隊が放った迎撃の弾幕。バスターライフルやサテライトキャノン、あるいはビッグ・ガンに代表される長距離攻撃を可能とする大出力の砲撃だ。
『──各機、散開ッ!!』
『言われなくとも──!』
『開幕ブッパになんてやられるかよ!』
ビームの雨あられを避けて進むカイムのコクピットに友軍回線を通じた味方機の声が響くと、突出した集団はまるで示し合わせたように瞬時にバラけて攻撃を躱して、すぐさま再集合して編隊を組む。
このイベントでは同じフォースからエントリー出来る人数は三人までと制限されている。そのため連携など期待できず、初手から乱戦になると思っていたセナだったが、ヴァルガのモヒカンと異なり、即席のはずの編隊が各々の回避行動で味方の進路を塞ぐことなく、見事なマニューバを披露して進む姿に感心する。
「みんな、やるねぇ」
ここに集うのはいずれもAランクのダイバーたち。経験豊富な彼らはフォースバトルの対戦回数も多く、人によっては傭兵のように様々な戦場を渡り歩く者たちもいる。そんな彼らにしてみればこの程度の動きは造作もないのだろう。
そうしている間にも敵軍からも同じような集団がこちらへと接近してくる。今度はセナたちの背後からも同様に敵の先遣隊へと迎撃が放たれるが、先ほどの焼き直しのようにあちらも回避運動を見せる。
『オラオラオラァッ!』
『簡単にはやらせるかよッ!』
交錯する互いの先鋒。
ぶつかりあった集団はMSに変形して切り結び、あるいは銃撃戦を展開し始める。
「天誅ッ!」
『な、バカな──!』
それはもちろんセナも同様で、さっそくとばかりにドラグーンを展開しようと足を止めた敵機をひとつ、すれ違いざまに切り捨てた。
「ビット系の武装は展開か格納する時に足を止めることが多い。だから運用が難しい──っとぉッ!」
宇宙というフィールドの中で最も死角となる足元。そこからD.O.D.S効果を持つ螺旋状のビームが放たれる。
「ふっ──!」
カイムの移動方向を狙った偏差射撃。それを脛のレイザーブレイドで切り裂く。
一瞬、そちらへと視線を向ければドッズライフルを構えたGバウンサーが。しかし、
『足で切り払いとは器用なマネをををを──ッ!?』
逃げるセナに再度照準を合わせるGバウンサーだったが、直後真上から浴びせられたビームマシンガンの雨に全身を穴だらけにされて爆散。
『戦場では足を止めたヤツからやられるのよ!』
奇しくも撃墜した敵機と同じ色に塗装された白いガーベラ・テトラの友軍機が下方向へと過ぎ去ってゆく。あの機体の接近を察知していたセナは、軌道からその狙いを理解していた。
目の前の敵だけに捕らわれない広い視野。ヴァルガで積まれた経験もまた、彼女の中で確実に糧となっている。
双方の先鋒がぶつかり合い広がっていく戦場。そこへ後続の部隊も合流し始め、いよいよ戦いは佳境へと向かっていく。
§
「友軍各機に通達! 現在ポイントSにて戦線が押し込まれつつある! 敵は対ビーム装備に優れた相手だ、実弾か白兵主体の者は応援に向かってくれ!」
通信機能を強化されたガンプラからそんな通信がセナの元に届いたのは、概ね戦線が安定し、双方の軍勢が展開しきった頃だった。
大規模部隊のような連携は望めずとも、戦況の大まかな把握が出来るアドバンテージは大きい。それを理解している有志の一部が、戦闘力を犠牲にしてでもこのような機体に乗って戦いのサポートに務めてくれる。そういった手合いは普段からフォースバトルを主体として活動するダイバーたちによく見られた。
「ってことは、わたしの出番、かな!」
彼らが戦場の「目」ならば自分の役割は「剣」だ。機体を翻し、行きがけの駄賃とばかりに進路上の敵機を切り捨てながら、送信されてきた座標へとレーダーを頼りにセナが向かえば、小惑星を中心としたフィールドに黄金の煌めきが見える。
『ハハハハハ! この俺の無敵の護りは誰にも破られはしない!』
小惑星の上という疑似的な地上を駆けるのは、全身に金メッキが施されたハイペリオンガンダム。
ビームによる射撃攻撃を跳ね返す装甲の「ヤタノカガミ」と、アルミューレリュミエールという舌を噛みそうな名称の防御兵装を併用することで鉄壁の防御力を備えている。
どちらも出典作品が同じ世界観のためか両者の組み合わせは相性が良く、ビームは装甲で、実弾は腕部に装備したアルミューレリュミエール……要は特殊なビーム・シールドで完全に防いで部隊の矢面に立って攻撃を引き受けて前進してきている。
「金メッキってたしか特別な設備が必要だよね? よく作るなぁ」
破格の防御力と展開中でも内側からのビームを透過することで、防御と攻撃を両立できる特性を持つが、引き換えにエネルギー消費が激しいアルミューレリュミエール。その弱点を補うためのヤタノカガミ。
ガンダム作品に登場する様々な装備。それらをGBNでの利用頻度が高いものに絞って履修した。だからこそ、今はそのシナジーに気づき感心する。
「ならば白兵で──!」
「応!」
「いくぜ!」
セナと同じく通信を受けて駆け付けたのだろう、一機のソード・カラミティがスラスターを全力で吹かして突貫を試みると、それに続くようにして近接戦闘タイプにビルドされたであろうガンプラたちが追従していく。
『迎撃ーっ!』
もちろんそんな行動を敵側が黙って見ているはずもなく、ソード・カラミティを先頭とした集団へとハイペリオン側の部隊からビームと実弾の混ざった迎撃の火砲が放たれる。
「あめぇあめぇ!」
「援護射撃! 撃ちかたはじめ! てーッ!」
しかしてこちらも伊達にAランクの集いではない。持ち前の機動力、あるいはナノラミネートアーマーやPS系装甲といった堅牢な装甲を頼りにして弾幕砲火の中を突き進む近接集団。そしてそれを援護するために斉射される射撃兵装の火線が大型ミサイルを撃ち落とし、あるいは強力なビーム照射を相殺して道を切り開いていく。
だが──、
『させんよぉ』
一歩、二歩、三歩。
たったそれだけの踏み込みでハイペリオンの後ろから飛び出した機影がソード・カラミティに肉薄。三度笠を被ったような特徴的な頭部をしたそのガンプラ。
『──チェァッ!』
気合一閃。
「ぐっ!? ──嘘だろ!?」
腰部から抜き放たれた実体剣による居合いの一撃は、防御のため咄嗟に構えた巨大な対艦刀ごと、ソード・カラミティの胴体を上下に断ち割る。
『シィッ──!』
さらに踏み込んだ足を軸として方向転換。
その動きはMSらしからぬ、人体を意識した滑らかな動きであり、
「あれは……」
セナにはいくぶんか見覚えのある……特に対人戦VRゲームにおける
「ガンダム・
後隙を狙って斬りかかったグレイズのナイトブレードを太刀で受け、それによる接触回線の声がセナにも聞こえてくる。
『おめぇさん、なにか勘違いしてねぇかい?
「ぬおっ──!?」
鍔ぜり合いによる拮抗は武雷が突如地を這うように姿勢を低くして繰り出した足払いによって中断され、宙に浮いたグレイズの機体を掬い上げるような逆袈裟によって切り裂かれたことで終わる。
「あのガンプラ、わたしと同じだ」
今の動きでセナは直感した。あれは他の対人ゲームで相当
「くそっ、迎撃、迎撃ー! ヤツの好きにやらせるなぁーっ!」
おそらくはガンダム・バエルを素体にしたものだが、原型機と異なるのは脚部に集中的に配されたスラスターで、それによる神速の踏み込みと地上での変幻自在の移動、いや
現に今も襲い来る弾幕をひらりひらりと躱しながら、ハイペリオン対策として前に出ていた近接部隊を切り伏せては、小惑星の乾いた岩石の大地を恐ろしい速度で駆け回り、セナたちの部隊を引っ搔き回している。
このまま敵軍の白兵部隊が合流されては、早晩、こちらの戦線が瓦解してしまうだろう。
あれは放置しておいたら不味い──、相手のことは知らないが先ほどの動きでそう判断したセナが、まさに飛び出そうとした時だ。
『アレはアタシに任せな! アンタはあの金ぴかを頼むよ!』
そう言ってセナの横を掠めて飛び出していったのは、彼女にとって見覚えのある色をしたガンプラ。オーガのそれよりも少し暗いマゼンダカラーのヤクトドーガは、フェダーイン・ライフルから牽制射撃を行いつつ武雷に接近すると、
『アタシは武装の関係で相性が悪いからね! 任せたよ!』
ソード・カラミティを一閃したその居合いを、なんとフェダーイン・ライフルの後ろから発振したビームサーベルの刃で受け止めて、見事に剣鬼の足を止めてみせた。
「りょーかいっ!」
すぐさま間合いを取り、左肩のファンネル・ビットを展開するマゼンダのヤクトドーガに一言返すと、セナはカイムのウィングスラスターを全開にして飛翔した。
『フハハハハ! いける! いけるぞ! このまま押し込め──』
自軍が優勢であることにすっかり有頂天になっている様子の金ぴかハイペリオン。だが、彼は一羽の悪魔が向かってきていることを知らない。
『馬鹿野郎ホッシー、浮かれてる場合か! 敵が一機突破した!』
『なんだと!? ええい、猪口才な! 囲め囲めぇ!』
殆ど全ての射撃兵装を無効化するハイペリオンだが、唯一の弱点は近接兵装による白兵戦だ。だから当然のように対策を講じており、その筆頭が武雷だったのだが相手もさるもの。あの剣鬼を足止めする手練れが混じっていたことには多少驚かされもした。
しかしながら白兵戦は武雷だけに任せているわけでもない。彼に続いていた白兵部隊が、いわば第一の守りも兼ねて、進軍するハイペリオンの前へと展開していたのだがその壁を食い破り迫る者がいた。
果たしてそれは剣鬼と似たような──剣を携えた悪魔だ。
警戒を怠らなかったダイバーたちが足止めにかかるが、いくらAランクであろうとも実力にはバラつきがあり、それはカイムを止めるには些か足りない。
「チェスト天誅!」
『グワーッ!!』
ハイペリオンの直掩についていた汎用機、近接も射撃もバランス良くビルドがなされたガンプラたちを、巨大な刃で切り刻みながら先ほどの武雷のように突出してこちらへ迫るガンダム・カイム。
『ヴァカめ! 飛んで火にいる夏の虫! このフォルファントリーで焼き尽くしてくれるわ!』
浮かれながらも敵の動きをしっかりと追っていたハイペリオンは、背部に装備された長距離ビーム砲を展開。最大出力で撃ち放つ。
──しかし、そこには既にカイムの姿はない。
『なぬっ!?』
あまりにも鋭角なマニューバ。
雷のような軌跡を残して飛翔するカイムのスピードに、一度は捉えたハイペリオンのロックオンマーカーが発射の瞬間振り切られたのだ。
「墜ちろ金ぴか!」
『バ、バカな! この俺の護りがこんな簡単にいいい!?』
警告音に従って見上げたハイペリオンの頭上。そこにはレイザーブレイドを大上段に構えたカイムが既にいて、咄嗟に両腕に展開したアルミューレリュミエールも虚しく、交差させた腕ごと機体を真っ二つに断ち割られた黄金の盾は、小惑星の大地に大きな花火となって消える。
『くそっ! ホッシーがやられた!』
『機体も腕もいいんだが、どうしてこう……』
『慢心しないとホッシーじゃないからね、しょうがないね』
──などと気の抜けたやり取りをしていたハイペリオン側のダイバーたちだが、直後彼らは血相を変えることになる。
「ダブル・ビーム・コンフューズ!」
近接特化ゆえ広範囲攻撃を持たないと、それこそ慢心していた彼らの頭上から、突如としてビームの雨が降り注ぐ。
『うわぁっ!?』
『な、なにっ!?』
カイムに装備されている高出力ビームサーベル。それを同時に発振して二つを別々の箇所へと投擲、フルチャージしたウィングスラスターのドッズライフルでもって、左右それぞれ別方向に投げたその刀身を撃ち抜いたことで、ランダムに散らされたビームがハイペリオンを中心として固まっていた集団に襲い掛かったのだ。
回転して飛ぶビームサーベルの刀身へ、固定武装によるピンポイント狙撃を中てる。それも立て続けに二回。
呆れるほどの神業で繰り出された攻撃は、ハイペリオンの軍勢の武装や機体、あるいは通信装備を確実に損傷させる。
「これも持ってけぇーッ!」
さらにダメ押しとばかりに、混乱した彼らへとカイムが連結したレイザーブレイドを投げ放つ。
『ぐわーッ!?』
『そ、そんな……!』
戦艦すらも沈めるレイザーブーメランの一閃は、ハイペリオンがやられてうろたえる敵機を次々と撫で斬るように飛翔する。
撃墜にまで至った機体は実のところそこまで多くはないが、カイムの攻撃が敵に与えた衝撃は大きく、集まっていた敵軍はすっかり浮足立ってしまう。
「敵部隊は壊乱しつつある! 今だ押し込めぇーっ!」
機を見るに敏とはこのこととばかり、冷静に戦況を俯瞰していた通信担当が号令をくだすと、セナを追ってきていた味方機たちは俄然やる気に満ち溢れてこちらに殺到してくる。
逆に敵軍の白兵部隊はといえば、突然自軍の後方部隊が大打撃を受けたことで動揺が広がっている。確かにここは勝負所だ。
「よしっ! 役目は果たした! 待ってろよー!」
戻ってきたレイザーブレイドが両腕に装着されるのを確認したセナは、味方部隊とすれ違うようにして、もと来た場所を目指す。これだけアドバンテージがあれば味方陣営の優位は覆らないだろう。ならば自分は
「カイムと同じガンダム・フレーム。その動き、見て、糧にさせてもらうからね!」
Tips
・レイドバトル
GBNで定期的に開催されているバトル系のイベント。あらかじめ開催スケジュールが発表されている。
今回セナが参加したように参加者のランクを限定した大規模なPvPから、フォース専用のものや、PvEで大型のNPDを協力して打ち倒すタイプのものなど多彩な種類がある。