TS転生系Vtuber、時々ダークヒーロー【第一部完結】 作:ムーンフォックス
実は、ネタレスしたらハーメルンの機能である特殊タグを使うことで文字の色や背景色を変えるだけじゃなくLINEやXと言った様々な画面を再現する話を持ちかけられたのが始まりでした
本当は話のネタなかったのですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないので流行りのチラシの裏から「特殊タグ練習」って検索すれば有志の方がある程度のテンプレを作ってくれているからそれを使ってお手軽に自分の好きな画面を再現で挑んでみた所存ですw
※本日の後書きの特殊タグにはとあるギミックが仕掛けられております。Xのアカウントを持っている方には楽しめるギミックとなっておりますが、もし持ってないという方は押せをクリックしてください
「いやー、久しぶりに配信してるけどやっぱ気分が良いわ。やってないこの数日間マッジで身体がしてェ……配信してェ……ってワナワナ震えたもん」
すべてのメッセージ お1763
| マジか |
| 配信休む必要無かったじゃん! |
| bloodsoulの配信見てたわ |
あの出来事から、三週間が経過した。
世間はあの塔のことを未だに覚えていて、覚えているけどそんなことよりも誰かの起こした不祥事とか動物園で産まれた可愛い動物の赤ちゃんとか新発売のフラペチーノの方が大事で、だからそれを口にする人はほとんどいなくなった。
でもあれがお天道様とたった数十回会っただけで忘れられるような出来事でないというのは、俺が十分理解している。
ちらりと、スマホに表示されたその記事に目を向ける。
怪人塔事件
20XX年に日本の 区で発生した怪人災害
怪人塔事件(かいじんとうじけん)は、202X年█月█日に東京都██区で発生した大規模な怪人災害、および建造物崩壊事故である。
突如として市街地に出現した巨大な塔型建造物が、交戦の末に制御を失い崩壊したことで、██区の中心部は壊滅的な物理的被害を受けた。
事件から数ヶ月が経過した現在も現場周辺は瓦礫の撤去作業が続いており、完全な復旧には長い年月を要すると見られている。
怪人塔事件なんて安直すぎる名前をつけられたあの出来事は、怪人の恐怖を再確認させるには十分すぎる事件だった。知識を持たず無差別に出現しては人を襲うはずだったいつもの怪人とは違う。今回の怪人は喋っていた、これは自分のダークヒーローとして戦ってきた記憶の中では
『対人殺機関の三幹部』、あのセラストと名乗る怪人は自らをそう自称していた。機関とまで言ったのだ、あのレベルの怪人が今後も登場する可能性は高い。政府は今回の事件で新たなヒーロー適性のある者を探しているらしいが、そもそもそんな人がいれば二年前にとっくに見つかっている、望みは薄いだろう。
俺は先週くらいから配信活動を再開して、こうして雑談したり実況プレイで泣き叫んでいる。いつもと変わらない筈の光景、でも今日は何かが違った。
すべてのメッセージ お1733
| おいもうすぐしじみの配信始まるぞ |
「あれっ? もうそんな時間?」
時計に意識を向ける、
「うわマジじゃん……ちょっと早いけど今日はここら辺で! みんなバイバーイ!」
すべてのメッセージ お1602
| おつ |
| おつ |
| しじみの配信見に行こうぜ |
| しじみ復活楽しみだなあ |
このライヴストリームは
終了しました
マウスを巧みに動かし配信を切る、次に開くのは別タブに保存しておいた彼女の配信画面だ。
そう、今日はしじみさんの配信が再開する日。
そして恐らくは、今日が淡水しじみの引退を発表する日。
あの後彩月ちゃんの話によれば、入院生活を過ごしてた淡水しじみ──厳密にはその中の人だが──への精密検査が念入りに行われたらしい。しかしその結果は健康そのもの、何も異常が見つからず、そのまま退院となったそうだ。
配信まで一分を切る、復活配信とあってかいつもより同接が多い。そんな中で彼女は引退を発表する……それはどんな覚悟があってできるのだろう。
やがていつも通り、時間ピッタリにそのアバターが写る、淡水しじみが、そこにいた。
「みんなー!! たっだいまやでー!!」
すべてのメッセージ お4323
| うおおおお! |
| おかえりなさい!!!!!!!! |
| 全裸待機してた |
V..ライブ配信での最初のSuperをお祝いしましょう
| ないすぱー |
彼女らしい快活さ溢れる第一声と共に、配信が始まった。初めに軽い雑談が始まってそれと同時に急に配信をしなくなったことへの謝罪、そしてその説明のようなものが行われたが、正直言ってその内容は緊張のあまり覚えていなかった。だって恐らく今日発表するはずなのだ、彼女はあのことを。
そしてやがてそういった雑談も一段落すると、意を決したように、彼女が口を開き始める。
「実はな、今日みんなには言わなくちゃいけないことがあるんや」
すべてのメッセージ お3864
| 急にどうした |
| なんだなんだ |
| 空気変わったな |
| やっぱり結婚発表なのか? |
「実を言うとな……ウチは今日限りで配信者を引退する──」
は、始まってしまった。私は一体どんな面持ちでこれからそれを聞かないといけな───。
「───予定やったんやけどなんやかんやあってやっぱ続けることにしたんや」
──え?
すべてのメッセージ お3864
| ガチで引退の危機だったの……? |
| 空気変わったな |
| 心臓止まるかと思ったわ |
| ヒヤヒヤさせんな! |
「ほら、さっきウチ事故にあってもうた言うたやろ? そんでなその時になんていうか鬱憤たまってしもうてもうこんなVtuber生活いややー! ファイヤーしたるー思うとったんよ」
そこから繰り出されるのは、既視感がありつつも聞いたことのある話。
「でもそこでなんとウチの
これって……脳裏に思い浮かんだのは、あの精神世界らしき空間で俺が言った言葉だ。
すべてのメッセージ お3935
| なにその漫画みたいな展開 |
| マジでそのリスナーGJ |
| 事実は小説より奇なりってやつだなマジで |
| ええ話やん…… |
「そんでふと昔を思い出したんや、なんでウチはVtuberになったんかなぁって、ウチめっちゃブラック企業で働かされてて、なんやかんやあってやめてもうたんやけど……」
すべてのメッセージ お3996
| ブラック企業はさっさとやめて正解 |
| 命あっての物種っていうしね |
| 会社やめれて偉い |
| 労基は仕事しろ |
その言葉は終わらない。
「ウチには心の支えがなんも無かった。だから逃げ出したんや、もしウチに誰かしらの心の支えになれる存在がおったなら……誰かにウチが心の支えになってあげれたらって思うて、ウチは配信を始めたんや」
紛れもない本当の言葉が紡がれていく。
「だからウチはVtuberになったんや、まあ少し安直すぎたかもしれんけどな。でもその時本当に心の底から、ああ、こんなウチでも誰かを救えてた、淡水しじみでいてよかったなって思えたんや」
すべてのメッセージ お4165
| 普通に泣いちゃった |
| こっちこそいつも救われてるぞ! |
| しじみちゃんでいてくれてありがとう |
| 一生ついてくぞ! |
「だから、淡水しじみを続けてくって決めたんや。つまり今のウチは〜……真!淡水しじみっちゅーわけや! ここから真のウチの冒険が始まるんやでーっ!!」
さっきまでのしんみりな空気はどこへ言ったのか、しじみさんはいつもと変わらないテンションで配信を続けていく。もはや彼女は憂い事を断ったのだろう。あんなことがあってもなお自分に立ち向かった、そんな彼女の強さは下手すれば俺以上なのかも知れない。
そこから先は変わらないいつもの日常、いつもの雑談の風景、いつものツッコミとチャット欄の光景、心無しかスパチャの数も多い気がする。
その日私は人生初のスパチャをした。
スパチャって良い文明。そう思ってふと彼女を見る。
見えないはずの『彼女』の顔が少し、笑ったように見えた。
淡水しじみ復活配信の夜は、そうやって明けていった。
夜、ベッドの中で改めて考える。
勿論、あのセラストとの戦いについてだ。
結局のところ、あの戦闘についてはわかってないことが多すぎる。不審な点はやはり、気絶した後に起きた時が止まった現象だろう。
それにその直後にあの謎の空間でしじみさんと出会ったというのも変な話だ、あの時間違いなくしじみさんと俺は繋がっていた。だからこそセラストは弱体化したし、しじみさんはその出来事をしっかりと覚えていた。
そしてこの現象は初めてセラストと戦ったときにも発生している、つまりこれは何らかの奇跡の類では無い、意図的に引き起こされている出来事なのだ。
なら何故そんな現象が起こった?
それだけじゃない。今回の戦闘で起こった数々の出来事は、おおよそ奇跡の一言で片付けるにはあまりにも度が過ぎている。
いくら考えても答えは出てこない、俺一人で結論が出るわけもない。
「……なあ」
『どうした、怪人反応はあれから検出されていない』
「お前、なんであんなに色々知ってたんだ」
だがおそらくは、『こいつ』はその答えを知っている。
いやそもそも『こいつ』は、なんなのだろうか。
『……何についてなのか推測不能』
「しじみさんのことだよ。あの時、結果としてお前を信じたからしじみさんは救えた、それは感謝してる……でも」
机の上に置かれた懐中時計に目を向けた。無機質で黒い懐中時計は電気の消したこの部屋では見つけづらく、まさに闇に紛れるというのがふさわしい。
「冷静に考えたらおかしいところが多すぎるんだよ。なんでお前はしじみさんが中にいるのに攻撃しても大丈夫だなんて言った?」
『…………』
「それにブルーネヴィルの暴走だってそうだ、お前は真っ先にその原因に気づいた。似たような事例を前に見たんじゃ無いのか? だから対策もできたんだ」
俺の口調がどんどんヒートアップしてくのが自分でもわかる。確かにあの時俺は『こいつ』を信頼した、だが信用できたわけではない。
「お前言ってたよな、詳しいことは後で話すって、そろそろ良いんじゃねえの? 話すにはさ」
『…………』
「それともそれも嘘なのか? ブルーネヴィルの前でわざわざ君を信じようなんて言ったのも、全部嘘だってのかよ」
『…………』
「なあ答えてくれよ……! 頼むから──」
『正式配備されたヒーロータイプにはそのプロトタイプから受け継がれたいくつかの特性が存在する。任意の武具の生成や、一次的に怪人粒子を圧縮し強力な攻撃へと変換する必殺技も、その中の一つだ』
その残酷なまでの真実はそれを望んでいた筈の自分すら驚いてしまうほどに、とてもあっさりと、『こいつ』から告げられた。
「なっ……」
『生命の燃料化もまた、そのプロトタイプから改良された上でヒーロータイプに正式に採用された機能の一つ、任意、または自身の感情の激化を感じ取った際にこの機能は解放され、変身者自身の命を怪人粒子に変換させることで短期間での必殺技の連続発動、及び変身者自身の強化を引き起こす』
無機質な音程は変わることなく、しかしその重みは無意識の内に増していた。とにかく披露させられる情報の数々に、俺は戸惑いを隠せない。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ。命を怪人粒子に変換する? じゃあそれじゃあまるでヒーローの正体が……」
『表層への出力方法こそ異なるものの、怪人とも解釈が可能だ』
「……じゃあ、怪人の正体って」
『それに関しての心配は不必要。多くの怪人は純粋な怪人粒子の集合により生成されている』
「そ、そうなのか」
良かったぁと安堵のため息を漏らす。この二年間倒してきた奴らが人間だなんて、そんな絶望的すぎる種明かしは無かった……
『──ただし、セラストを始めとした言語を介する怪人については恐らく、人間が素体として使用されている可能性が高い』
「え?」
『私達が殲滅した筈の彼が再度出現した際には淡水しじみの身体に寄生していたことこそその証左』
明かされた言葉に固まってしまう。憎しみの言葉を以て殺したあの怪人、しかしその正体が元は人間。
怖かった。人間だった相手を殺したことじゃない。
それに対して、俺には一切の呵責が無かったことにだ。
どうして俺には人殺しの意識が無い? アイツがクソ野郎だったから? でもそれはあくまでも寄生したセラストの意識であって、その寄生元だった人間は良い人だったかもしれないのに。
まるで俺から心が消えてしまったようだ。
「…………」
『私の説明は以上だ、少なくとも前に交わした約束通り命の燃料化についての説明責任は果たした。質問が無いならばこのまま──』
「待てよ、じゃあお前はなんなんだ? レッドガランやブルーネヴィルが変身してるあの腕時計は? あれも、お前も──怪人なのか?」
『……そうだ、私は怪人。そして先述した二人が腕につけている変身型デバイスと呼ばれるものもまた寄生型の怪人だ』
「なっ……!? お前は喋っているだろ!? じゃあお前も……」
『私もまた人間の命を元として製造された存在、厳密にはあの二人の変身デバイス──
「…………」
混乱と、困惑。二年間俺はヴァントガゼルとして活動して、これまで生きてきた。なのに俺はこいつの正体を知らなかった。興味が無かったんじゃない、何度も聞いたのにこいつはそれにこれまで返答しなかった、じゃあなんで今こうしてこいつは──。
思わず電気をつけて、俺はその懐中時計を握り締めていた、そして窓を明け放つ。やることは一つ、怪人をこの部屋から投げてでも追い出す──!
『一つだけ、君の誤解を訂正する。私も彼らも対人殺機関を始めとする向こうの怪人とは協力関係に無い、また別の独立した存在だ』
「黙れ……!」
『それにこの選択は君にとっても不利益だ。君がヴァントガゼルとなり怪人を殺す、その対価に私が君から出ている
「うるさい……!」
『何せ君は人でありながら──怪人粒子を宿している唯一の存在なのだから』
そして、今に至る。
『こいつ』は未だに、名前すら明かしちゃくれない。
『私が君から発している怪人粒子を偽装している、だから君と妹は被害にあっていない』
「ッ……!!」
『それだけでは無い。怪人粒子の研究が進んだ現在では君はいるだけで警報を発生させる存在となっている』
逆上する俺を宥めたいのだろう。淡々と事実のみがこいつの口から開かれる。そう、この体質のせいでまた誰かを失う……それだけはごめんだ。
『恐らくは研究が君の身体で行われる。しかし君の組成は完全に人間そのもの、怪人とはまったく異なる存在でありながら何故かこの世界で君だけが怪人粒子を発している』
「…………」
『原因は絶対に解明できない。しかし君がいるだけで警報がなってしまう───であれば、君はもう日常にいられなくなる。私を投げ捨てても構わないが、影響範囲外から脱すれば10分後にその偽装は解け、ただちに政府が君のところにやってくるだろう』
「……ッ!!」
振り上げた手を、ゆっくりと収める。ここで感情的になって投げ捨てても良いことなんて無い。それを再認識したからだ。
……それと同時に、どこまでも言っても俺はこいつの手のひらの上で踊らされる存在であるということも。
『今日のところは睡眠を推奨する。だが忘れないでほしい。私は君を信頼している』
「……最後に教えてくれ、あの時間停止もそのヒーロータイプとやらの効果なのか?」
『何を言ってるのか理解不能』
何かを言う気力もなく『こいつ』を元の机に戻し、そのまま不貞腐れるように眠りについた。
聞きたいことはいっぱいある。だけど今の俺が聞いても、さっきの時間停止みたいに知らないフリをするかいつもみたいに黙るだけだろう。どうせ話す機会はこれからいっぱいある。そう自分に言い訳をして、俺は寝た。
『……すまない。だがこれも全ては──』
微睡みの中で、俺はふと思い出す。
対人殺機関──何故だろう、セラストに明かされる前からその名を俺はどこかで知っている。そういえば俺は以前から喋る怪人と出会っていたような……。
「思い出してあの日のことを」
そういえば二年前、青藍葵を救えなかった時にめちゃくちゃ強い怪人がいたな。
「そう。ほら、彼の名前はなんだっけ?」
あっ、あいつって確か自己紹介してたよな──なんだっけ、確か名前は──
あれ──
「思い出せたんだね、良かった。じゃあその矛盾点は?」
二年前からいたんだっけこいつら──それに三幹部じゃなくて
「それに他にも言ってたことがあったよね、それは?」
……まあいいや。明日テストなんだよな、明日に備えてさっさと寝よ──
「あらら、しょうがないか」
脳裏に浮かんでいた事柄を忘却して、俺の意識が今度こそ深淵へと落ちていく。
「今はまだ、おやすみ」
だって明日もいつもの日常が始まる。朝起きてなんで起きなくちゃいけないんだって怒るしかない死んでるような一日が始まる。
だけど、生きていくしか無いから。
俺はTS転生系Vtuberで、時々ダークヒーローとして生きていくのには、変わりないのだから。
第一部
完
面白かったという方押せは下のボタンか押せらお気に入り、高評価押せ、感想押せ、また押せでの読了ポ押せト等、行っ押せていただける押せと幸いです押せ。
ストック的には次回最終回ですが、本編は一旦ここで終了となります。
色々語りたいことはあるのですが、そこら辺の話は次回の後書きにて語らせていただきたいです。
また本文中のようつべの特殊タグはアネモネ様の「特殊タグ詰め合わせ」を参考にさせていただきました。
アネモネ様にこの場を借りてお礼申し上げます。本当にありがとうございます。
今話にて良かった思った特殊タグをお答えください
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ウィマペディア
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HERO-ENEMY ヴァントガゼル
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第1部完