EXPO見てないんで色々食い違いがあるかもしれません。
ゼットとタイガについてはギャラファイの予告か何かで面識があるような描写があったので知り合いと言う設定です。
M78星雲、ウルトラの星の光の国。
ここでは地球を遥かに超越した技術と肉体、精神を持つウルトラ族と呼ばれる巨人がやや波乱に巻き込まれつつも平和に暮らしていた。
その光の国の中、美しい翡翠の輝きに照らされた国を見渡せる場所にて。
頭部から角にも見える刃、スラッガーと呼ばれるそれを二本伸ばし、額に翡翠の球体をつけた鋭い黄金の目を輝かせ、胸部と肩にプロテクターを纏った銀、赤、青の三色に包まれたウルトラ族がそわそわと落ち着きなくその場をうろついていた。
父に栄光のウルトラ兄弟であるセブンを持ち、今では若きウルトラ戦士の筆頭とも言える人物、ウルトラマンゼロだ。
今ではこの光の国の憧れとなる宇宙警備隊とは異なる新たな精鋭、ウルティメイトフォースゼロのリーダーである。
「フフ、少しは落ち着いたらどうだい?彼だって地球でたくさんの闘いを経たんだ。心配なんて必要ないかもよ?」
そんな彼の様子が余程おかしかったのか、隣でずっとゼロを見ていたもう一人のウルトラ族が口元に手を当てて微笑ましいものに対するような声をかける。
銀色のボディに赤いラインを走らせたシンプルでいて一種の美しさを持つデザインを感じさせる戦士、その名をウルトラマンメビウスと言う。
宇宙警備隊教官、ウルトラマンタロウを師に持ち、本人もウルトラマン兄弟に加わる炎の巨人である。
本人は荒っぽくも面倒見の良さを見せるゼロとは対照的に温和で天然な好青年然とした性格をしている。
「そうかなぁ……そうかもしれないなぁ……」
彼等二人の後ろに控えるのはシルエットこそ一般的なウルトラ族のものであるが、ゼロよりも更に鋭い、一見すれば悪者にも見えてしまう目付きをした銀と赤に黒が混じったボディのウルトラマンジード。
特殊な生まれを持ち、ゼロの弟分のような存在である彼であるが、ゼロとは正反対にやや控え目で人間臭い性格をしている。
それも仕方無いだろう、彼は生まれや育ちに関して、ウルトラ族ではなく人間に近しい生活をしてきたのだ。
ゼロがそわそわとし、メビウスがからかうように見守り、ジードが心配そうに考え込む。そんな彼等の行動の原因は同じものに帰結する。
「いやお前ゼットだぞ……?そりゃ成長してるかもしれないけど……あの性格だけは絶対直らんだろ……」
「そうなんだよなぁ……」
「酷いな君達」
ゼロの口から飛び出したのは噂の彼の名、ウルトラマンゼットである。
このゼットと言うウルトラ族、勝手にゼロの弟子とジードの弟弟子を名乗る図々しさとメビウスを遥かに超える天然っぷりを見せるポンコツであり、それでいて体育会系の実直な奴と言うどこか憎めないアホなのだ。
地球の飼い犬のごとくゼロやジードに尻尾を振るアホ犬である事を十二分に理解している二人からすれば否が応でも心配してしまう奴なのである。
「いや何となく俺の勘が告げているんだ……あいつが何かとんでもない事をやらかして帰って来るんじゃないかって……」
「ハハ、まさか。あっ、噂をしている内に帰って来たよ、彼が」
「帰って来ちゃったか、ゼットの奴……」
俯くゼロに対し、メビウスが一笑して指を差した空にキラリと光が輝いたその時、彼等の話題の中心の彼が姿を見せる。
胸に青いZ型のカラータイマーを輝かせ、銀と青を基調とし、黒、赤と色様々に染まったボディの新人宇宙警備隊、ウルトラマンゼットが。
「あっ、師匠師匠師匠ぉーっ!ウルトラマンゼット、ただいま戻って参りましたぁーっ!」
『ここがゼットさん達の暮らす星……お邪魔しまぁーすっ!』
『どいつを斬れば良いんだ?』
「ほらぁぁぁぁぁっ!言ったじゃん、俺言ったじゃぁぁぁぁぁっん!」
何か二人程引き連れて。
ーーーーーー
「お前……またやらかしたなお前……」
「違うんです師匠……」
「何をどう間違えたらこうなるんだよおい。流石に俺もドン引きだよ」
「……」
「何でお前ベリアルの生首持ち帰って来てんの?」
「こっ、この剣はベリアルじゃなくてベリアロクって言うそっくりさんなんです師匠」
『持ち主を余り選ばん俺だがお前だけは無いな』
「うるせぇーっ!俺だってお断りだよベリアルの生首なんて!おいゼット、こいつ絶対あれと同一人物だろ!それか生まれ変わりだろ!」
ゼットは正座させられた。
床が固くて足が痺れそうになるが師匠の余りの剣幕にずぶといゼットも従う他なかった。
その隣でふわふわと浮かんでいるのはこの光の国の反逆者、黒き巨人、ウルトラマンベリアルの生首……ではなくそのベリアルの頭部から刃を伸ばしたような剣、幻界魔剣ベリアロクである。
キレ散らかすゼロの後ろで物凄く申し訳なさそうにするジードと、グリーザと言う物凄くヤバい怪獣から生まれた意思持つ剣である。見方によってはジードの息子とも言えなくもない。
「ベリアルの生まれ変わり……ベリアロク父さん……?」
「ややこしくなるから出てくんな!」
『俺様を手にして、お前は何をする?』
「面接タイムですぞ兄弟子!誤答に気をつけて!」
「えっ、ええ……じゃあ、その……キャッ、キャッチボール、とか……?」
「ほらなった!ややこしくなった!しかも何か重い感じの奴出てきた!」
『フ、良いだろう……』
「何で!?」
「なんかジード先輩に対しては随分とガバガバですな……」
しかしゼロの言葉で何か感じるものがあったのか、ジードが動揺して口走った一言にベリアロクが反応し、お決まりのデスシウム面接をジードにおみまい、ジードが正答してしまう。
ゼロは最早振り回されっぱなしである。
『ベリアルって人の事は余り知らないんスけどベリアロクさんは良い人っスよ!』
「そして何で地球人を連れて帰って来てるんだお前は……」
「色々あってハルキとは一緒に宇宙の平和を守る為闘う事になりました!」
「色々あり過ぎだろ」
そしてゼットが連れ帰ったのはベリアロクだけではない。
彼等からは見えないが、声を出しているのはゼットと同化した地球人、ナツカワ・ハルキ。
ゼロがゼットと似た者同士と評価する実直な青年だ。
地球ではゼットと同化し、様々な怪獣と闘ったゼットの相棒とも呼べる人物である。
ベリアロクのインパクトがデカかった為ゼロが一周回って冷静になっている。
「あっ、フッフッフ……」
「……何だよ急に笑いだして」
「師匠、前に俺の事三分の一人前って言ってましたよね?」
「……ああ、それがどうしたよ」
「今じゃ俺はハルキとベリアロクで三人で一人前ですよ!」
「どや顔してっけどお前が三分の一人前って事は変わらないじゃねぇか!」
「ああっ!ウルトラショック!」
話してみて分かったが、どうやらゼットはゼロが地球を任せた時から余り成長していないようだ。
まぁこのポンコツっぷりは早々に直るものでもないかとゼロが溜め息をついたその時。
『そんな事ないっスよ。確かに俺達はまだ未熟かもしれませんが、俺達は地球で一緒に助け合って成長してきたんですから』
「む……」
『ゼットさんがいなかったら、俺は今生きていませんし、地球は救われてませんでしたから』
「ハルキぃ……!」
「フ、ちょっとは成長したって事かこのバカ弟子も」
ハルキの心の底からそう思っているであろう言葉に、ゼロが感慨深い笑みを溢す。
ウルトラマンの多くは地球を守る中、地球人と交流し、互いに影響を与えて成長していく。
この二人もその一部なのだろう。良い相棒を持ったな、とゼロが腕を組んで頷く。
「ん……師匠、俺の事今弟子って言いました?」
「……言ってない」
「いやいやいや言いましたって絶対!」
「言ってないっつってんだろ!」
「言いましたー!俺の事弟子って認めましたー!」
「シャイニングスター……」
「ちょっ、何で困ったら直ぐ金ぴかに光るんですか!?ずっりぃ、こっすい!時間戻すのは反則ですよ!」
しかし迂闊に放った一言がゼットを調子づかせ、困ったゼロは即奥の手である黄金の形態、シャイニングウルトラマンゼロとなり時間を戻そうとし、ゼットに肩を揺さぶられる。
ゼロとゼットは喧嘩を始め、ジードとベリアロクがキャッチボールを始め、メビウスが平和だなぁと呑気に観察する中。
「ベ、ベリアルの、生首が……!」
更に話がややこしくなりそうな奴が現れる。
両の側頭部から伸びる立派な二本の角と髭をたくわえた、真っ赤なマントを羽織った光の国の大英雄、宇宙警備隊の大隊長、ウルトラの父ことウルトラマンケンだ。
「大隊長!大隊長、師匠が嘘つくんですよ!大隊長も何とか言ってください!」
「お前それは卑怯だろ!」
「時間戻そうとした人が言う!?」
「べべべ、ベリアルの生首、生首……!」
「……あっ」
先生に告げ口をするようなゼットとそれを自分のしようとした事を棚に上げて咎めるゼロを無視し、ケンが震える声と指先で差したのは、ジードとキャッチボールするベリアロク。
それに気づいたゼロが口に手をやりやっべぇと内心唸る。
「えっとこれはその……」
『お前も無いな』
「何か知らんが拒絶された!」
「おおもう……」
「何故だベリアル!何故私は無いのだ!」
『デリカシーとか凄く無さそう。息子にも遺伝してそう』
「ぐわぁぁぁぁぁっ!?」
「だ、大隊長が膝をついた!?」
「言葉の切れ味が鋭い……」
幻界魔剣ベリアロク、その切れ味はかの暗黒大皇帝エンペラ星人と渡り合った大英雄の心さえも容易く切り裂く。
「大丈夫です大隊長!お孫さんはちょっとデリカシー無いけどウルトラの母似の優しい子です!」
「ウルトラショック!」
「お前が一番デリカシー無いんだよ!」
その傷を抉るのはベリアロクの所持者にして戦友、ゼット。
失言の多さは光の国随一だろう。本人に悪気がなく、思っている事を馬鹿正直に言っているのが更に質が悪く傷つく。
流石のウルトラの父もキャラ崩壊して仰向けに倒れる。
「お前もういいからあれだ、ヒカリの所でも行ってゼットライザーやらメダルのあれこれ報告して来い!」
「おっと、そう言えばこれの事も報告しなければなりませんな」
「ベリアルのメダル!?そんなもの無かった筈じゃ……」
ゼロがしっしっとゼットを追い払い、彼が思い出したようにどこからともなく取り出したメダルにメビウスが反応する。
後ろでジードが凄く申し訳なさそうにしていた。
ーーーーーー
「ふいー、セレブロの報告やらしていたら随分と疲れましたなぁ」
『俺は色々見れて楽しかったッスよゼットさん』
ヒカリへのゼットライザーやメダルの報告から警備隊への怪獣の報告や対策(ゼットもハルキも頭を使う仕事は苦手なのでベリアロクがほぼやった)が終わった数時間後、ゼットは街を見渡せる高台へと移り、相棒のハルキと静かに談笑していた。
「ハルキがそう言ってくれて嬉しいですな」
『え?』
「自分は色々あって地球にやって来て、ハルキに会って怪獣と闘って、色んな地球の皆様を見て……そうしていく内に地球の事が大好きになってしまったのです」
『ゼットさん……』
「だからハルキには、光の国の事も好きになって欲しかったのです」
『……押認!』
ゼットとハルキは、地球で出会い、今まで多くの闘いを共にした。
苦しい事も、辛い事もあった。
だけど、それだけでは無かった。
一人じゃないから、苦しい事も辛い事も乗り越えられた。二人だけじゃなかったから、この大きな手でも救い切れない大切なものを守り抜けた。
そんな事があって固い絆で繋がれた相棒が自分の故郷を好きだと言ってくれる事が、ハルキには凄く嬉しい事だった。
言われずとも、この光の国の事はもう好きになっている。
「しばらくはハルキに光の国の事を知ってもらう為案内しましょうか!」
『本当ッスか?じゃああの塔は一体……』
「プラズマスパークタワーですな。昔ベリアルとどこかの不届き者が手を出そうとして……」
だけど、これからもっと好きになれそうな確信が、ハルキにはあった。
余談であるが、ゼットとハルキが街を歩き回る中、彼等の手元を離れたベリアロク。
彼は毎日のように光の国の地面に突き刺さり、道行く人にデスシウム面接を行う様を見て、ウルトラマンヒカリがついに壊れたと噂されたとか。
ウルトラマンZとか言うかほぼほぼベリアロクの話。こいつ便利過ぎる……。
皆様ウルトラよいお年を。