"Stay, Heaven's Blade" Fate said. “「その天の刃、待たれよ」と『運命』は言った。” 作:haru970
『運命』と言う精密機械の歯車達。
ズレが生じた今、『運命』の役割は変わるか否か。
くるくるくるくる回る歯車達。
歯車達が『運命』を認識するとどうなる?
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若干長くなりました。
自分の非才が怖いです………
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セイバー運営 視点
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「あら衛宮君、早かったわね」
士郎が着いたのは冬木市にある公園だった。 かつてあった辺りのビルは十年前の火災でほとんど焼け落ち、公園に変換された今の日中でも人気はあまりなく、どこか人や生物を寄せ付けない雰囲気だった。
「どうしたんだ、遠坂? わざわざ俺達だけに聞かせたい事って?」
「じゃあ聞くけど、貴方と三月はどういう関係?」
これに対して士郎は困惑する。
「???? 『どう』って、義妹だけど?」
「じゃあもうちょっと回りくどくない聞き方をするわ。 貴方と彼女と貴方達の親はどうやって会ったの? 彼女と貴方が義兄妹なのは見れば分かるわ、でも経歴は?」
「何だ、そんな事か。
ベンチに座った後、士郎は凛に説明し始める。
自分と三月は十年前の火災からの孤児同士で、衛宮切嗣が二人の後継人になり、住処と戸籍を提供し、世話をしてくれたと。
「そう…………何だ。 ごめんね、そんな事聞いて……」
「いや、別に構わないさ。 別に不満があった訳でも無いし、その前の事はほとんど覚えていない俺や三月でも生きて来たんだ」
「それって……『記憶喪失』って事?」
「『解離性健忘』。 確かに『記憶喪失』の類だが、俺の場合はまだ覚えているモノもあった。 だけど三月の場合、余程のショックだったのか
「そうなの? 彼女を見たら想像しにくいけど…」
「ああ。 最初は何にでも怖がっていて、必ず俺か藤姉かじいさんにピッタリくっついて行動したり、オドオドしていた。 表情もほとんど変わらなかったし、自分からは何も言わないとか、色々な」
「ッ………御免ね、衛宮君。 話しを途中で止めて。 でも私にそんな事喋っていいの? 自分の事だけならともかく………」
「良いさ、それは。 それに三月なら多分笑いながら『あ、そんな事もあったな~。 ハッハッハ』とか言うさ、きっと。 話を続けるけど────」
そして士郎は衛宮切嗣の話をする。
彼から魔術を習っていた事を────
「────待った。 じゃあ何? 彼は魔術刻印を二人に継がせなかった訳?」
「ん? ああ、継がせなかった。 じいさんは俺達に魔術とは無縁の人生を生きて欲しかったんだと思う。 最初は俺達がどれだけ頼んでも首を縦に振るまでかなり時間がかかった」
「それは…………彼は本当に魔術師なの?」
凛からしてみれば、衛宮切嗣は魔術師としては失格者のように感じた。
彼の言動が余りにも異質で、それは衛宮邸の結界も見れば分かる事だった。
本来結界とは住人を守るか、他者を拒む者、或いは何かの阻害。
だが衛宮邸は『招かれざる者に反応する』
「リン、私の話を聞いてもらえますか?」
「「セイバー?」」
「シロウ、リンに
「???
凛は『前回』と言う単語を不思議に思い、士郎は頷いた。
そしてセイバーは掻い摘んで話す。
自分の知っている
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
セイバーの話が終わり、凛は複雑な顔をしていた。
だが
ならば第四次聖杯戦争の事を魔術師らしく、論理的に分析してくれると信じた結果で彼女に話した。
「そう…………だったの………でもおかしいわ。 もしその聖杯戦争が以前のものだとしたら、本来のサーヴァントは再召喚されたとしても記憶は引き継がない筈よ?」
ここは士郎も疑問に思っていた。
前回のセイバーの説明ではこの事に触れていなかった。
と言うか今まで知ろうとは思わなかった。
ただ単に「セイバーは聖杯戦争の経験者なんだな、頼もしいや」程度に思っていたが、凛が言った事で気付いた。
聖杯戦争で召喚されるサーヴァントは保存されてある『本体』の『コピー』の筈。
つまり召喚される度に新しい『コピー』が呼ばれる筈なのだ。
「……私は特殊なケースです。 恐らくは私が生前に『世界』と契約した為、私は聖杯戦争で勝てなかった場合
「「な?!」」
これに士郎と凛両方がビックリする。
つまりセイバーは聖杯戦争に召喚される度に聖杯を得なければ繰り返す事になるのだから。
自分が死ぬ前の瞬間を。
「それとシロウ……………私は……………謝らなければなりません。 十年前のあの日、私は……………私はここの地にて、『あの火災』を────」
────セイバーの声はどこか何時もの彼女と違った。
まるで目の前には英霊ではなく、人g────
「────やめてくれ、セイバー。 もし……もしもじいさんがお前に令呪を使ったとしたら何か理由がある筈なんだ…………」
「……衛宮君、一旦貴方の家に寄ってからアインツベルン城に行きましょう。 話の続きは歩きながらするわ」
凛は突然立ち上がる、士郎を無理矢理立たせる。
「アインツベルン城に? 急にどうしたんだよ、遠坂?」
「もしセイバーの言った聖杯戦争が前回の聖杯戦争で、その時に異常があったのなら今回もあるかもしれない。 そして聖杯に異常があるかどうかの話、アインツベルンなら調べられる筈よ。 あと、衛宮君には話しておくわ。 今日新たな昏睡状態と行方不明者が数人、新たに出たわ」
「な?! でも、キャスターはもう────!」
「────つまり今日のは彼女以外が原因という事よ。 それにキャスターの件では色々と考えないといけない事があるのよ。 衛宮君は違和感とかないかしら?」
士郎は黙り込んだ、それこそ自分が昨夜考えていたような事だったからだ。
「あと、もしさっきのセイバーの話が本当なら、この聖杯戦争はお父様から色々聞いたのとは違う上に通常のとも違うケースも十分あり得るわ。 キャスターはもういないけれど、敵対しないのをアインツベルンとの話が終わってからまで延長しないかしら?」
「俺は別に問題は無いが、セイバーはどうだ?」
「確かに聖杯に何らかの異常があるのだとすれば、アインツベルンと話を付けた方が良いでしょう。 聖杯に願いをするとしても、聖杯自体の機能に異常が来ていればまずそちらに対処をしなければなりません。 (やはりキリツグ、貴方は説明不足です! アイリスフィールにも、イリヤスフィールにも、私にも! 何故説明せずにあの時令呪を使ったのですか、キリツグ?!)」
「アーチャーもそれでいいかしら? これは聖杯戦争が根本から歪んでいる可能性があるわ。 ならば律義に歪んだ儀式を進める事に私は反対よ」
『もし私が“反対だ”と言っても、それこそ今回は令呪を使う気なのだろう? ならばそれは取って置け、凛。 だが一応忠告はして置こう。 力のない者との協力はデメリットが大きいぞ? それを忘れるな』
「忠告ありがとう。 士郎、最後に貴方の義妹………三月の事なのだけれど…」
凛は小さなガラスの小瓶に入っている錠剤を士郎に見せる。
「これが、彼女が摂取していた薬で間違いないかしら?」
「あ、ああ。 ってか三月から聞いていないのか? 良く分かったな?」
「当り前よ、これは────」
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
セイバーとアーチャーは(恥ずかしがる)士郎と(なんともない)凛を抱えながらアインツベルンの森を駆け抜けていた。
「────きゃあぁぁぁ♪ 早~い♪ 景色が変わるのはや~い♪」
そして三月はセイバーの首に手を回し、腰に足を回し、背中に『コアラ抱き』をしていた。 勿論手足は『強化』済み。
「この子、衛宮君みたいね」
「どういう事だよ、遠坂?」
「そのままの意味よ?」
「人の事をまるで能天気の様に────」
「────あら、違ったのかしら? 無防備で『のほほん』とした態度で私に襲われただ・れ・か・さ・ん?」
「グッ」
「それにしてもミツキは大丈夫なのですか?」
「ほぇ? どゆこと?」
「いつもなら体の調子が────」
「────まあそうなんだけど、今日は絶好調よ!」
セイバーが心配するのは無理も無かった。 あの後、凛と共に士郎達が衛宮邸に戻ったら三月が何やら
人数分を。
三月は三月で先日得た結界術などの魔術の応用や工夫に付与の試行錯誤で作ったのだが………………
「(どないしよ、これ?)」
三月が自分の前を見ると
「(…………やっぱりこれって規格外よね。どう考えても)」
そのお守りは某ゲーム風に呼ぶのなら『パッシブスキル』を追加する装備。
とはいえ欠点と言えばそれらは所詮魔術礼装なので、魔力が無くなればただの物置以下。 そして効果は『
今の三月は今までにないような気分で、前からして見たかった事を次から次へとしてみた結果の一つがこれだった。
あと士郎と凛がアインツベルン城に向かうと伝えると糸状の鷲の足に書いた手紙を取り付けて、先行させていたりと色々やっていた。
そして移動前に三月は
「何だこれ? トランプカードの箱か?」
「え、衛宮君…これ、凄く精密な魔術礼装なのだけれど…これって貴方たちの親の『衛宮切嗣』が作ったものかしら? (これならば彼の異質性が多少説明されるわ)」
「あ! ウン! そう! そうなの! 何かこの頃物騒だからさ! (その手があったかー! って、今遠坂さんがおじさんの名前を言った時に違和感あったな。 何だろう?)」
「へー、じいさんがねー…………って遠坂? 大丈夫か?」
士郎が見る凛はブツブツと独り言と受け取った魔術礼装を睨んでいた。
「ですがよろしかったのですか、ミツキ? そのようなものを凛に渡して?」
「あ、大丈夫よセイバー。 桜にも渡したから」
「いえ、そういう意味では────」
────その時、糸状の鷲とアオガラが三月の前に降り立った。
それは御三家アインツベルンの聖杯戦争代表からの正式な招待状だった。
「あれ? ここに遠坂の名前が無いぞ?」
「ん~??? 私、確かにイーちゃんに三人の名前書いた筈なんだけど」
「………三月、その『イーちゃん』って……まさか」
「??? イリヤの事だけど?」
「…………
「「???」」
「上等じゃない! これなら否が応でも行ってやろうじゃない!」
何故かヒートアップする凛を士郎と三月は?マークを浮かべながらアインツベルン城に向かった。
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間桐桜 視点
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『頼れるお姉ちゃん』。
それが間桐桜の、三月に対しての印象だった。
昔に
≪初めまして。 『衛宮』三月です≫
そして彼女は
初めて会った時、明らかに『衛宮の兄君』と容姿が違った。
その事を理解した桜の挨拶はワンテンポ遅れた。
≪……初めまして。 間桐桜です≫
そこから『衛宮』三月は何かの話題を探すように幼い桜に色々な話をしてきて、時間が経ち、衛宮邸で桜の顔が引きついた時その場にいた者達の嬉しい気持ちで死んでいた心に温かさがやっと戻り始めた時に────
────
桜が間桐家の正式な後継者として
その日から慎二は変わった。
彼が桜を衛宮邸に連れていく事はもう無くなり、態度も急変した。
以前では何処か気にかけていたのも、「勝手にしろ」と放置するようになった。
そして桜が中学の時、ある
その
その
これを見ていた桜は久しぶりに何とも言えない気持ちになり、二人に言葉を心の中で送った。
『諦めろ』、『やめてしまえ』、と。 ただただ心の中で言いながら二人を見ていた。
だが時間が経てば経つほど、桜の気持ちは大きくなっていった。
何故ならその兄妹は
気が付けば桜は涙を流しながら、その場を去った。
そして辛い時にはこの暖かい風景を思い浮かべて、まるで自分がその輪の中にいているような事を妄想していた。
それから時間が経ち、ある時
「衛宮の所に通い、何としてでも自分をそこに居させろ」と。
桜は嬉しい反面、恐ろしかった。 麻痺していた心が動くほどに。
あのような顔は、桜が知る限り自分の
あの二人に会えることは内心嬉しい、だけど同時に
あの二人を巻き込みたくなかったが、自分に従う以外の選択肢はない。
そして出掛ける前に
「あの二人は良い奴らだ。 怖くなったら
ただそう言い、
桜には不思議な事でしかなかった。
何時もなら自分が
そしてその日から桜は何度も衛宮邸に通い、何時か夢にまで見た輪の中にいた。
それは想像以上に暖かく、心地が良いもので、自身の体が間桐邸と衛宮邸の温度差や過去の事を思い出しながら震えると、衛宮家の妹君が優しく声を掛けながら体を抱きしめる。
更に時が経つと、衛宮家の兄君から合いかぎを渡され、兄妹二人から笑顔を向けられ『いつ来ても良い、
それから更に時が経ち桜は知った、聖杯戦争の事を。
そして、自分の大好きな先輩が
桜は恐怖した。
絶望した。
自分の所為で兄妹二人に迷惑が掛かってしまうと泣いた。
その時、珍しく
「提案がある」と。
それからは(桜が見えている範囲でだが)どうやら聖杯戦争で
そしてそれは正解に近い。
何しろ
衛宮邸で。
「いや~。苦労したけど…何とかなりそうだよ、桜」
ここは衛宮邸の居間。 衛宮家の二人はどうやら遠坂先輩と出掛けたようで、それを確認した
「お疲れ様です、兄さん」
桜がお茶を入れると、慎二は嬉しそうに飲みながら出された菓子を食べていた(三月手作り苺タルト)。
「ライダーもどうですか?」
「いえ、私は大丈夫です桜」
部屋の隅で立っていたのはライダー。 索敵能力は高くは無いが、人間よりは優れているので衛宮家やセイバー、遠坂凛やアーチャーの警戒をしていた。
間桐慎二は衛宮邸に桜一人になると時折、こうしてお邪魔してきてはお茶や菓子を楽しみ、桜に愚痴などを零していた。
聖杯戦争開始直後に慎二の態度は昔みたいになっていったのに桜は内心嬉しかった。
「それで、どうですか兄さん?」
「ああ、最初は大変だったさ。 何せ僕は正式のマスターではない上にライダーの弱体化を補うなんて普通の奴なら無理さ。 でもこの僕にかかればどうって事は無い。 それと桜────」
急に慎二が何時ものヘラヘラした顔から真剣なものに変わる。
「────体の調子はどうだ?」
桜は赤くなりながら慎二から目を逸らした。
無理もない。 たとえ慎二が心配から
と言うか最初の頃、桜は
「それ位の才能しかない」と言い。
その所為で暴行じみた行動にも桜は会っていたが、それを見つけたのが
もし
「………………」
「言いたくないのは分かる。 だけど
「────大丈夫です、マスター」
そこでずっと黙っていたライダーが慎二に答える。
「??? どういう事だ、ライダー?」
「時々様子を見に来ていましたが、桜の状態は以前より安定しているかのように見えます」
「ッ?!?! そ、それは?! よ、良かったじゃないか、桜!」
慎二は心から安心したような笑顔に一瞬なり、それに気付いたのかすぐに顔を逸らしながら言い直す。
「よ、良かったな、桜。 で、でもどうしてなんだ? 何か変わったのか?」
「…………………………」
「ライダー?」
ここでライダーが顔を逸らし、何か後ろめたい事を隠しているかのような雰囲気に桜が気付く。
昔の自分のようだったから分かる空気だった。
「………いえ。 何でもありません」
「…………そうだな、桜の調子が良いのならそれでいい」
「兄さん…」
「後もう少しだ桜。 もう少しなんだ…………これが終わったら僕達は……………
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セイバー運営、アーチャー運営、バーサーカー運営 視点
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『アインツベルンの森』。
冬木市から西へ外れたところにある森でアインツベルンが管理する結界に覆われており、魔力と気配を遮断しない限りすぐに見つかり、迷いの森としての機能もあるので毎年に迷い込んだ人が何人か消息を絶っている。
突然凛が立ち止まり、士郎と三月に先を歩いてくれと頼み、二人はそうすると────
ビリッ!
「────のわ?!」
「────わきゃ?!」
「プッ。 『のわ』に『わきゃ』って何、二人とも?」
その森の結界を通った瞬間士郎と三月は溜まった静電気に似たビリっとした感覚が体を走り、声を上げると凛が吹き出しそうになる。
「わ、笑い事じゃないぞ遠坂! い、今のは何だ?」
「あ、多分これって『結界』って奴なんじゃないかな?」
「その通りよ三月」
「………でも俺達、招待されているんじゃなかったのか? それに家のとは訳が違うぞ?」
「これが普通の結界よ、衛宮君。 寧ろ衛宮邸のは優しすぎるくらいよ────」
────そこで凛が通ろうとすると────
バリリリリリリリリリリリリリリリリリリッ!!!
「────ウギャアァァァァァァァ?!」
普段の彼女………と言うか女性から聞くような叫び声とは言い辛いものと共に凛の身体に高圧電流に似た物が流れ、何某ギャグアニメみたいに彼女の骨格が浮き出たような幻覚が士郎と三月達には見えるようだった。
プスプスとした音と体から湯気が出ながらヨロヨロと士郎達のいるところに歩いた凛のツインテールの髪の毛は立派にボワッと広がっていた。
「……(あ、どこぞのミッ〇ーマウスの耳みたいだ…………それともダ〇ボかな~?)」
「………………」
「と、遠坂?」
「……………………………やってくれるじゃない、あのクソガキャァ! 今笑ったの確かに聞こえたんだからねー!」
怒りながら叫ぶ凛の最後の「ねー!」が森の中で鼓動し、場所はアインツベルン城でとある部屋へと移る。
そこには『遠見』の水晶玉経由で士郎達側の出来事を見ていたイリヤが笑っていた。
「アハハハハハハハハハ! 引っかかった、引っかかった! リンのような奴でも、こうすれば面白いわ!」
「うん、確かに面白い」 ←棒読み
「お嬢様。 あの二人は良いとして、三人目は如何なされますか?」
「勿論、楽しむ為────じゃなくて玩具────ン゛ン゛ッ! 勿論彼女が相応しいか『試す』のよ。 セラ、リズ。 客間の準備を」
「ジー」
「??? どうしたのですか、リーゼリット?」
リーゼリットが水晶玉の中を見ていたのを、セラは声をかける。
「イリヤ、ケーキとかはあのリュックの中?」
「うん、そうだと思う」
「ホクホク。 楽しみ」 ←棒読み&僅かなホクホク顔の微笑み
「うん、私も!」
そこには三月が何時ものポシェットと更に背中に背負っているリュックサックが水晶玉によって映されていた。
「………ず、頭痛薬の残りが…………」
そして部屋では目を光らせているイリヤとリーゼリットとは反面にドヨ~ンとした疲れるセラの姿が。
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
「皆さまアインツベルン城へようこそ。 城主のイリヤスフィール・フォン・アインツベルンと申します。 歓迎するわ」
「アインツベルン城にお招き頂きありがとうございます。 日頃のお心遣い、心より感謝申し上げます。 私は衛宮三月と言います。 しがない者ですが宜しくお願い致します」
イリヤはスカートの裾をちょこんと持ち上げて一礼し、これに対して三月は短パンの裾をあげて、同じように一礼する。
このやり取りに呆気に取られる士郎に表情の変わらないセラとリーゼリット。
そして普段ならこのような場面で真っ先に反応する筈の凛がボロボロで、まだ落ち着かないイリヤへの苛立ちを御していた。
「「……………プッ」」
そこでイリヤと三月が同時に吹き出し、共に笑い始める。
「今のな~に、『イーちゃん』?」
「『ミーちゃん』こそ急に畏まって」
「だって~」
「「ねー!♡」」
意気投合する少女二人であった。
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
そしてリーゼリットとイリヤが睨んでいた通り、三月のリュックの中からロールケーキ2ホールと三段箱クッキーセットがお土産として出て来て、一つの客間で皆はお茶をしていた。
「ところでイリヤ、何で俺と三月の場合罠が発動しなくて遠坂に反応したんだ?」
「ああ。 それは彼女がここに来る辿り着くに相応しいかどうか試していたのよ」
「「え」」
「ングッ(いえ、ここは我慢よ遠坂凛。 『何時如何なる時も常に余裕を持って優雅たれ』。 お父様を思い出すのよ!)」
士郎と三月の動きが一瞬止まりイリヤを見るが、彼女はどこ吹く風のように振舞っていた。
凛はと言うと今にでもイリヤに飛び掛かりそうな心を精神で御していた。
「それで? 皆がここまで来たのには理由がある筈よ? 用件は何かしら?」
「じゃあ聞くわね────」
そこで凛はイリヤに今回の聖杯戦争の不可解な部分や前回の第四次聖杯戦争の説明をし始める間、士郎はケーキとお茶を楽しむ三月を見ながら今日の朝、凛に話された事を思い出す。
『三月は
三月が昔摂取していた薬の全てを調べられなかったとはいえ、凛が判明出来た部分だけでも魔力を含んだ強力な治癒薬で、
そんな薬を三月が平気に服用していたのを見ていた士郎はかなり動揺したが、最近の三月を見た彼は少し納得した部分もあった。
そして凛に士郎は忠告を受けた。
「三月には注意、警戒しろ」と。
この世界では人ならざる者達が人と接触するのは例外中の例外以外では人に何か求めているか、奪うかの二択。
前者であれば選択や対策の余地があるが、後者の場合で人ならざる者が強者であれば────
「────忠告ありがとう遠坂。 でも三月は三月だ」
と、忠告&脅し中の凛に対して士郎は言った。
「それがどうした?」と言う態度で。
彼からすれば三月は昔から一緒に住んでいる義妹で、所々
「呆れた……じゃあ何、衛宮君? もし彼女が『血を寄越せ』とか『臓器が食べたい』とか言ってきたら『ハイどうぞ』と言う訳?」
「そんな事は無い」
「ホ。 良かった、そこは割と────」
「────まず『どの位欲しい?』とは聞くし、臓器に関しては『代用になれるモノはあるか?』と聞くさ」
「………………………………………………………………」
そこから凛は何か諦めたみたいに衛宮邸に戻り、三月からお守りを受け取り、アインツベルン城の今の状況に至る。
ちなみにセイバーとアーチャーは部屋の端で立っていた。
丁度凛が説明し終わったところらしく、イリヤは何か考えているようだった。
「……………そうね、もし聖杯に異常があるのなら律義に聖杯戦争を続けている場合じゃないわ。 でも調べるにはサーヴァントを何騎か消滅させるかもう少し時間が経ってからじゃないと出来ないわ」
「??? それは大丈夫じゃないかしら? 現に
凛の言葉にイリヤは若干反応し、イリヤは彼女を見る。
「リン、それは本当?」
「え? ええそうよ。 アサシンはともかく、キャスターは衛宮君と私が見ていたし」
「…………………」
イリヤが疑うような目で凛を見ると士郎が反応した。
「待ってくれイリヤ、遠坂の言った様にキャスターは消えた。どうして疑うんだ?」
「……………………」
「? イーちゃん?」
イリヤが黙り込み、三月が彼女の表情に築き、声をかける。
何時もの『悲しみ』ではなく、あれは『諦め』だった。
「それは………
作者:『イーちゃん』ってなんやねん?!
三月(バカンス体):え? 可愛くない?
作者:いやそこはもう普通に“イリヤ”でええやろ?!
三月(バカンス体):そんなのつまんないわよ。 ね、チーちゃん?
チエ:ん? 呼んだか?
作者:頭痛い…
マイケル:どうだラケール? 碁なら勝てそうか?
ラケール:無・りッ!
ライダー(バカンス体):グワッハッハ! よもやこの様にいろんな盤上遊戯があるとは思わなんだ! お、何時ものつまみがあるではないか! バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリッ!
作者:ちょ?! またか! ていうか俺のおかきがー?!
チエ:征服王、これを呼んでくれ
ライダー(バカンス体):む? 何々…………『お気に入りや感想、評価等あると嬉しいです』、だとぉ? 何だこれは?
作者:後ストック切れました。 間に合うかどうかわかりませんが次話頑張ります
ライダー(バカンス体):おい! 余を無視するでない!