"Stay, Heaven's Blade" Fate said.  “「その天の刃、待たれよ」と『運命』は言った。”   作:haru970

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お待たせしました。20話目です。


第20話 夢と低血圧と中華と『お姉ちゃん』

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 アーチャー運営 視点

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 凛はその夜、衛宮邸の結界が優秀な割に明確な外敵に対して余りにもお粗末だったのを、「せめて自分の借りている部屋は」と思い、新たに結界を施している最中にアーチャーから連絡が入った。

 

『凛、いつまで遊んでいるつもりだ?』

 

「あら? 魔術師たるもの、自分の身を守る結界ぐらい────」

 

『────そうではなくて今の状況の事だ。 他の者と協力関係になる事自体は悪くない。 だが君の場合、選んだ手段と工房場所が悪すぎる』

 

「前にも言ったけれど、衛宮君なら何があっても裏切らないと思うし、裏切ったとしても程度が知れているわ。 私の能力範囲内で充分対処可能よ。 それに場所に関してはあの()()がいるもの、出来るだけ近くに居れば────」

 

『────そうかな? ここには“()()”が有るのが大体の理由かと思ったのだが、見当違いか?』

 

 ピクリと凛の作業する手が一瞬止まる。

 

『魔術師の君の事だ。 “()()”を解析し、応用出来れば君の立場はかなり有利になるのではないか?』

 

「………そうね。 興味が無いと言ったら嘘になるわ。 でもまずは遠坂の当主としてこの異常な聖杯戦争を調べるのと起こっている事件を止めるのが先よ。 幸い、キャスターという()()()魔術師は排除できた。 あと、アーチャー────」

 

 凛が作業を再開する。

 

「────()()()()()』呼ばわりしないで頂戴」

 

『私は治癒薬の方を話していたつもりだが、はて?』

 

 のらりくらりと答え続けるアーチャーに凛は嫌味たっぷりの声で答えた。

 

「どうだか。 貴方が言うと、どちらにも聞こえくるわ……………………………アーチャー?」

 

 アーチャーから予想していた答えが返ってこない事に凛は頭を傾げる。

 だがそんな日もあるだろうと思った凛は結界の作業を終えて、就寝する。

 

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 衛宮三月 視点

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 三月は夢を見た。

 何時もの、自分一人だけがいる景色ではなく。

 何時もの、自分が何度も酷い目に会う経験ではなく。

 今回は、少し違った。

 

 『体は────で出来ている』。

 

 知らない声で復唱していて、知らない場所で、知らない人達が死んでいった。

 それはどこかかつてのおじさん(切嗣)の見た風景のようだった。

 

 今では遠い、遠い記憶。 胸の奥に閉まった記憶が呼び起されたのかと三月は思った。

 だが場所も時代もその人達の装備さえも関連性は無く、バラバラで、終わりが来るとすぐさま次の場に()()

 その有様が余りにも機械的で、どこか()()()さえ覚えた。

 

 だがそう思った瞬間、ザワリ付くような感覚に三月は目を覚まし、()()()()()に寝相の悪さで布団から出ていて部屋の端の壁側に横たわっていた。

 

「…………………………さぶ!」

 

 そして寒さで一気に意識は覚醒していた。

 せめてもの救いは今回パジャマが開けていなかった事か。

 

 ___________

 

 衛宮士郎 視点

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 士郎は夢を見ていた。

 自分はどこかの緑に満ちた平原で立っていて、目の前には不毛な地が続いていた。

 それはまるで極端に世界自体に『線』が引かれて、自分がいるのは『生きている地』で線の『向こう側』が『死んでいる地』のようだった。

 

 後ろに気配がすると思い振り返ると、そこには自分の知っている友人達や知り合いの姿があった。 自分は何でこんなところに立っているのだろうと思う中、不毛な地の方へと再度視線を送るとそこには自分の()()()()()人の後ろ姿があってその地を一人で歩いていた、士郎は手を伸ばし────

 

 

 ────士郎は目を覚ました。

 

「…………何だったんだろう?」

 

「…………………………さぶ!」

 

 隣の部屋から三月の声が聞こえて、士郎は体を起こした。

 

「…………三月?」

 

 襖が開いて、士郎は先日の姿を思い出して顔を逸らし、襖がまた閉まる音がした。

 

「おはよう、兄さん。 って、何でこっち向かないの?」

 

「……………この間、お前の寝相凄かったぞ? ()()()()()()()()()()()()()()()

 

「あれ? そうだっけ? ………でも今回は大丈夫よ?」

 

 そして士郎は思い出す。

 

「その…………………三月って…………」

 

「うん?」

 

「下着履いていないのか?」とは言えなかった。

 

「じゃあ、私先に出ているね。 時間になったら道場に行くから」

 

 三月の気配が士郎の部屋を出ていくと、彼はセイバーがまだ眠っているのを確認した後、何時もの朝が────

 

「────ほら遠坂さん! シャンとして!」

 

「ん~~~~~~~~~後…………五分…………」

 

 訂正。何時もの朝では無かった。

 リボンのしていない黒髪がぼさぼさしていて、明らかに寝起きに状態の凛を三月が支えていた。

 

「あの………私は朝御飯の用意をして置きますから」

 

「助かる~! 桜ちゃんほんっと良い子になったわ~♪」

 

「いえ、これも先輩達のおかげですから」

 

「んあ~~~~~~~~~~」

 

 未だに全然意識の覚醒していない凛を連れて次々と朝の支度をさせる三月に桜が苦笑いを浮かべていた。

 

「おはよう桜、すまないな朝から色々と」

 

「いえ。 私は…大丈夫です」

 

 聖杯戦争が活発的に行われていないとは言え、アサシン(またはそれに類する者が健在の事)や、初日からほぼ姿を見せていないランサーなどの不確定要素がまだあるなか、稽古は継続していた。

 夜の予定してある巡回もあるので自衛手段と戦いの中で冷静な考えが出来るように。

 そしてその朝の稽古にセイバーが士郎達を褒めていた。

 

「二人共には驚きました。 まさか数日の間にこれだけ腕を上げるとは」

 

「え? そうか?」

 

「はい。 昨日の稽古より数段腕が上がっていたので思わず少し本気を出しそうになったくらいです」

 

「あ、じゃあやっぱりあの『ブワッ!』ってした風の流れはセイバーなの?」

 

「はい。 あれは内側に貯めてある魔力を一気に放出し、一時的に自分の能力を上げる手段です」

 

「あ、じゃあ『プチ瞬間激強化』みたいな?」

 

「な、何か三月の思い浮かぶネーミングセンスって安直だな」

 

「それはおじさん(切嗣)の所為と思って」

 

「ですが三月、本当に身体の様子は大丈夫ですか? 私が言うのも何ですが、無理はしていませんか?」

 

「だーいじょうぶだって! もうほんと全然調子が良いから! 何なら第二回戦行っても良いくらい!」

 

「ほう?」

 

 三月の宣言に目を細めるセイバー。

 そして再開される二回戦────

 

「────でやぁぁぁぁ!」

 

「フン!」

 

 ドォン、ドォンと重い音が道場から響き、飛ぶ風圧に道場の窓と扉はガタガタ音を立てて、士郎の髪の毛は揺らいでいた。

 

「(あー、何かセイバーが二人いるみたいだー)」

 

 若干現実逃避をし始める士郎の目の前には金髪の少女(?)が二人激しい攻防を交えていた。

 竹刀とは思えないほど重い一撃を両方が繰り出し、笑いながら。

 

「流石セイバー! 凛が羨ましがる訳ね!」

 

「ミツキこそ! 良く私の剣筋をここまで再現しています!」

 

「実際には流している方が多いんだけど、ねッッ!!!」

 

 流石に場所を二人は意識をしているのか、道場自体は傷ついていない。

 だが────

 

 バキィ!

 

「「────あ」」

 

 セイバーと三月が同時に声を出して、手の中の()()()()()()()を見る。

 

「あちゃ~、遂にやっちゃったか」

 

「ご、ごめん兄さん!」

 

 士郎に体が申し訳なさそうに畏まり、顔がショボショボし始める三月。

 

「申し訳ないです、シロウ」

 

 そして同じく申し訳なさそうに頭を下げるセイバー、そして前回三月が言った様にヘナヘナと項垂れるセイバーのアホ毛が彼女の心境を表していた。

 

「い、いや良いんだよ。 竹刀なんてまだあるし、買えば良いからさ」

 

「み、皆さ~ん。 あ、朝御飯の用意が出来ました」

 

 道場の外から来た桜の声にセイバーのアホ毛はピンッ!と跳ね上がったブンブンと元気よく動く。

 

「では本日の稽古はここまででどうでしょうか、シロウ?」

 

「あ、ああ。 先に行ってくれセイバー。 三月と相談したい事があるから、皆には先に食べててくれって言ってくれ」

 

「そうですか。 ではそのように皆に伝えてきます」

 

 セイバーが道場の後をすると彼は竹刀の片付けをしていた三月に声をかけた。

 

「三月、少し相談に乗ってくれるか?」

 

「んー? なーにー、兄さん?」

 

「朝御飯の後、俺の鍛錬に付き合ってくれないか?」

 

「セイバーじゃなくて?」

 

「ああ、そっちの鍛錬じゃなくて────」

 

 士郎の頼みを(何時もの様に)受けて即答する三月と彼はその後久しく嗅いでいない香辛料に頭を傾げる。

 

「あれ? 何の匂いだこれ?」

 

「…………ラー油?」

 

 ダイニングの方に行くと何か勝ち誇ったような凛がドヤ顔で立っていた。

 

 そしてテーブルの上にはありとあらゆる中華料理。

 

「さあ! たーんと召し上がりなさい!」

 

「これ………遠坂が作ったのか?」

 

「は、はい………」

 

「そうよ! 先ずは────」

 

 士郎がどこか落ち込んでいるような桜に聞くと肯定の答えが来て、凛が士郎に作ったものの説明し始める。

 そして桜の様子に気付いた三月は何か彼女に耳打ちをしていた。

 

「え?! で、でも」

「いいじゃん! ちょっとした仕返しよ! 良い────

 ?」

 

 凛の後ろで話していた二人に気付いた士郎だが未だに喋り続ける凛。

 そして────

 

「あ、ありがとうございます、姉さん」

 

「ウェ?!」

 

 突然後ろから抱いて来る桜に戸惑う凛は必死にニヤつく顔を止めようとしていた。

 

「ありがとう、お姉ちゃん♡!」

 

「ハウ?! ♡」

 

 そして二撃目の三月が抱きつき、元気よく声をかけると凛の抵抗が空しく敗れる。

 

「どう皆? 遠坂さんのにやけ顔?」

 

 三月の注目で皆が見た凛の顔が『ミス・パーフェクト』や普段見る彼女からは程遠いだらけ顔があった。

 

「「「…………………ブフゥー?!」」」

 

「……………ハッ?!」

 

 凛のあられもないだらけ顔に士郎、桜、セイバーまでもが吹き出し、これによって凛は現実に戻る。

 

「(フ、如何に強固なATフィールド(絶対不可侵領域)とは言え────)────アガッ?!」

 

 三月の頭が凛の両手に摑まれ、ニッコリとした凛の顔が三月の顔に迫った。

 

「三月ちゃん、ちょ~っとあっちで話し合いまそうか? ♡」

 

「きょ、きょ、拒否権────」

 

「────なんて無いに決まっているじゃない♡」

 

 凛はそのまま三月を(体を頭から持ち上げられて)ダイニングの外に連行される。

 

『……………ぎぃぃぃやあああぁぁぁぁ!』

 

「じゃ、じゃあ冷める前に食べようか?」

 

「そ、そうですね」

 

「ハイ」

 

 苦笑いを浮かべながら士郎がご飯を食べ始め、桜とセイバーも同じくする。

 

 以前三月が作った激辛麻婆豆腐の印象があったが驚く程凛の中華料理は美味で、味わいが楽しめた。

 帰って来た凛は肌のツヤが良くなっており、逆に三月は若干ゲッソリしていたが料理を食べ始めると何時もの(?)調子に戻った。

 

 ___________

 

 衛宮士郎、三月 視点

 ___________

 

 そしてその後、三月と士郎が薄暗い土蔵で何かをしていた。

 

「じゃあもう一度行くわよ?」

 

「ああ」

 

 土蔵の中が一瞬光、三月の手の中には()()()()()()()()が握られていた。

 それを士郎が手に取るとずっしりとした重さが帰って来た。

 

「やっぱり俺のとは違うな」

 

「え? そうなの?」

 

「ああ、俺のは()()()()()()()

 

 士郎は自分と三月の『投影』を比べていた。

 今朝の稽古の最後士郎には珍しく、三月に「魔術の鍛錬に付き合ってくれ」と頼んでいた。

 三月は一瞬「どうしたものか」と考えたが士郎が大抵の場合こういう風に面と向かって頼むときの彼は『余裕が無い時のみ』と()()していたので(躊躇なく)承った。

 

 そして朝ご飯の後、土蔵に籠ると言った士郎が同時に凛や桜に「邪魔しないでくれ」と頭を下げた時、桜はすぐに同意したが凛は不服だった。

 

 それでも士郎は三月と土蔵に入り、セイバーに見張りを頼んだ。

 ちなみにそのセイバーは報酬として三月特製手作りビスケットをポリポリと食べていた。

 なおアホ毛はミョンミョン動いていたのでかなり気に入っていたのは誰にでも分かっていた。

 

 土蔵の中で士郎は恐らく三月は『投影』も使えると思い、「アーチャーの双剣を『投影』して見てくれ」と頼むと案の定、三月は士郎が思った通り『投影』をした。

 三月は先日見た士郎とアーチャーの剣の()()()を【  】のログ(記録)を検索すると割とすぐに『投影魔術』が出てきて、行使した。

 

 そして不思議な感覚に三月が包まれた。 それは以前どの魔術を行使した時でも感じた事のない既視感に似ていた。

 以上が事の出来事の順番である。

 

「あ、待って兄さん。 体の調子はまだ万全じゃないんでしょう?」

 

 士郎が『投影』しようとするのを三月が止めた。

 

「まあ、体の痺れは引いたし今は意外と体の調子が良いんだ。 一回ぐらいは良いだろ。 『トレース、オン!』」

 

 そして士郎の手には双剣の内一つの片割れが表現されていた。 それを士郎はよく見ると溜息を出し、三月に手渡す。

 

 姿形はひどく似ていて、ほぼ同じ。だが敢えて言うのならやはり士郎が言うように()()が違った。

 

「うーん……………何だろう? 『何が違う』って聞かれたら困る」

 

「だろ? 何かが違うんだ………やっぱり俺には────」

 

「────そんな事ない。 兄さんは昔から自分を過小評価し過ぎ。 弓何かは兄さんほど上手く射てる人はいない、私も含めてね」

 

「でもあれは……違うんだ」

 

「違う????」

 

「あれは、魔術の鍛錬の応用だ。 弓道で自分を()()()、自分を『無』にするんだ」

 

「自分を…………()()?」

 

 三月の胸がざわつき始めたが、彼女はそれを振り払うかのように士郎の作り出した短剣を両手で握る。

 

「私になら…もしかすると()()()かも知れない」

 

「三月?」

 

「…………」

 

 三月はただ眼を閉じて集中する。 長年()()して使っていないモノを。

 

【…………………告。 『干将・莫耶』の模造品が魔力不足にて更に劣るコピー版】

 

「キタキタキタァァ! これだぁぁぁ!」

 

「うわ?! な、何だ三月?! どうしたんだ!」

 

 びっくりする士郎に三月は二カッと笑いながら言う。

 

「兄さんはただの魔力不足なんだって!」

 

「………………ハァ?」

 

「これなら遠坂さんに相談すれば何とかなるかも知れない!」

 

 三月の言葉で気付いた士郎は徐々に笑顔になり、三月を抱きしめた。

 

「わ?! わ?! わ?!

 

「でかした三月! 流石だ! これで俺も()()()()()()()()()()!!!」

 

【告。 心拍数上昇。 安定サセマすか?】

 

「あー、お兄ちゃん? ちょ~っと近い。かな?」

 

「ん? うおわ?! す、すまん!」

 

 士郎はすぐに三月を手放して、振り返る。

 だがさっき抱きついた時の、一つの違和感が彼の脳裏を過ぎった。

 

「…………そう言えば三月ってブラしていなかったな」

 

「え? してるよ、私?」

 

 サァーっと血の気が引く士郎の顔は暗い土蔵でもハッキリと分かるくらい青くなっていた。

 

「……………お、俺………もしかして声に出していた?」

 

「ん? まあ厳密に言うと────」

 

 そして別に何でも無い様に延々と言葉を続け、士郎の後ろではシュルシュルと布の擦る音とかが聞こえた。

 

「────これはブラじゃなくてk────」

 

「────そこまでの説明はしなくて良いから!」

 

「????」

 

 三月はただ?マークを飛ばすだけだったのだ。

 

 それから糸状のアオガラが二人のいた土蔵に降り立った。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 太陽が落ち始めた頃に士郎達はアインツベルンの森までタクシーで近づき、森を歩いていた。

 

 朝、イリヤから連絡がありアインツベルン城に来て欲しいと。 ただ時間もあり、霊体化出来ないセイバーも居た為、いつも以上に時間を要していた。

 前回みたいにサーヴァントに支えられ高速で移動するならそこまで時間はかからない。 が、少なくとも人目が付く可能性の午前で派手な動きは出来なかった。

 もし魔術の秘匿が出来なかった場合、聖杯戦争中であれ魔術協会がすぐに『秘匿』と言う名目上の武力で攻め込み、聖杯戦争関係者全員を殺すかホルマリン漬けにされて標本にされるだろう。

 文字通りの『証拠隠滅』と『確保』である。

 

「怖っ?! 魔術協会怖い!」

 

 これを愚痴っていた三月に説明した凛はジト目で彼女を見る。

 

「当り前よ。 だからマスターは人目の付かない所で戦うのよ」

 

「そうだったのか。 てか、流石に今回は結界や罠に遠坂が巻き込まれる事は無い筈だよな?」

 

「……………………………………」

 

「な、無い筈だよな?」

 

「……………………………………」

 

「遠坂さん?」

 

『何故黙る凛? 正直に“あの娘ならやりかねない”と言えば良いだろうに』

 

「うっさいアーチャー!」

 

『それより凛、気を付けろ。 結界に異常がきているらしい』

 

「え?」

 

「そうなの、アーチャーさん?」

 

 聞く三月をアーチャーは答えず、ただ話し続ける。

 

『先程結界の境界線を越えたがピクリとも反応していない』

 

「そう言えば………」

 

 アーチャーが突然姿を現し、すでに双剣を両手に構えていた。

 

「セイバー、剣を構えろ」

 

 セイバーが私服姿から甲冑に変え、アーチャーとは反対の方向を警戒していた。

 

「方向が上手く読めません、恐らくはアサシン…………」

 

「……凛、ここは私に任せていけ」

 

「アーチャー?」

 

「私はこの中で囮に適している、違うか? それとも────」

 

「(何であいつ、こっちを見ているんだ?)」

 

「────()()()()を囮にするかね?」

 

「癪に障る言い方。 いい、アーチャー? 深追いはしなくて良いわ。 私達の目的を見失わないで」

 

「勿論だとも。 走れ!」

 

 アーチャーは双剣をそれぞれ別の方向に投げ、迫って来ていた黒い短剣(ダーク)を叩き落とすと同時に凛達は走り始めた。

 

 残されたアーチャーは双剣を再び両手で握ると笑いながら襲撃者に声をかけた。

 

「標的を追わなくて良いのかな? 余裕を持っているのかな? それとも追えないのかな?」

 

「………………………」

 

 帰って来る沈黙にアーチャーは軽く舌打ちをしながら気配を感じ捉え始めた。

 彼の認識ではアサシンは()()()()()()のではなく()()()()()()()

 つまりアーチャーが囮を買って出たように、襲撃者も囮、『足止め』だった。

 

「(ならば早急に終わらせる!)」

 

 アーチャーは弓を出して歪な剣に似た矢を次々と放ち、周りの木の上部分を吹き飛ばし始めた。

 周りの遮蔽物の除去と同時に敵を炙り出す為の行動に彼は出た。




マイケル:ちょっと待てい!

作者:ヒッ?! な、何ですか?

マイケル:この『凛』ってこの顔、誰も写真を撮らなかったのか?!

ラケール:ちょ、マイケル。 時代を考えなさいよ。 携帯自体が珍しいのに…

マイケル: あ? 『携帯』? 『スマホ』じゃなくて?

三月(バカンス体):あ~、そこからか。 『携帯』は殆どの場合電話機能しかないわよ?

マイケル:なんですと? …………………そんな時代があったのか?

チエ:何を言っている? 『電話』さえ無かったぞ、私の場合

マイケル/ラケール:え゛

作者:う~ん、懐かしきノキアの電話時代!

マイケル:そんな時代に俺は住みたくねえ!

作者:………………………

マイケル:おい!やめろ! にやけるな! 俺を見るな!

作者:………………………

三月(バカンス体):ちょ?! 今度は私を見ないでよ?!

作者:どうしよかな~
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