"Stay, Heaven's Blade" Fate said.  “「その天の刃、待たれよ」と『運命』は言った。”   作:haru970

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『運命』を認識したある歯車は黙視した。

ズレが生じた今こそ『楽しい』と。

未だにくるくるくるくる回る歯車達。

歯車達の『運命』や如何に?
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第21話 ばーさーかーはさいきょうなんだ!

 ___________

 

 セイバー運営、遠坂凛 視点

 ___________

 

 士郎、三月、セイバー、凛が走り、城が見えた所で後方から爆発音にも似た音が聞こえて来た。

 

「後ろはアーチャーに任せて、私達はイリヤスフィールと合流するわよ!」

 

「分かった! セイバーは三月を────」

 

 士郎の言葉が、突然横に飛翔しながら剣を振るうセイバーの動きに遮られる。

 セイバーの剣が()()()()()()を弾き飛ばすと、鎖のジャラジャラとする音が聞こえた。

 

「この武器、ライダーか!」

 

「慎二のサーヴァントが何で?!」

 

「……忘れたかしら衛宮君、休戦はあくまで『キャスターとアサシンを打倒するまで』。アサシンはともかく、メインのキャスターがいなくなった今無効になっているわ」

 

『……驚きましたね。 聞いていた話よりもっと熱い方と想定していましたが、そのように冷静に考えられるのですね』

 

「あら、褒めても何も出てこないわよ、ライダー? 精々ガンドの乱れ撃ちぐらいね」

 

「あ、久しぶりでーす」

 

「「「三月?!/ミツキ?!」」」

 

 三月の何時ものマイペースでのほほ~んとした姿をまだ見せていないライダーへの挨拶で士郎、凛、セイバーは驚愕する。

 

『………………』

 

「貴方、何呑気に挨拶なんかしているの?!」

 

「そうだぞ三月! 時と場合を考えろ!」

 

「え? でもでも、あんなにかw────」

 

『────私の受けた命令はサーヴァントの足止めです』

 

「「…………へ?」」

 

 ポカンとする士郎と三月に凛はセイバーを見る。

 

「だ、そうよセイバー?」

 

「分かりました。 ではリン達は先を」

 

「ええ。行くわよ、衛宮君!三月!」

 

 凛が他の二人を引っ張り、セイバーはその場に残る。

 

「ありがとうございます、ライダー」

 

『…………何の事です? 私の獲物は貴方────』

 

「────ですが無用な足止めをあの三人にせずに済みました」

 

『もう勝った気でいるのですね…………では────』

 

 

 

 

 先頭を走る凛に士郎は声をかける。

 

「遠坂、あれは一体何だったんだ?!」

 

「多分だけどライダーはサーヴァントの足止めを命令されているのを遠回りに私達に伝えたかったのよ! それを理解した私セイバーはとっとと決断しただけ!」

 

「それって、ライダーは俺達を見逃したかったという事か?」

 

「多分ね! (それだけじゃないと思うけど…………あのタイミングの事を考えれば────)」

 

 アインツベルン城の城壁に着いて、いざ中へ入ろうとすると途端に中から様々な武具が飛び出て城は瞬く間に穴だらけになっていく。

 

「イリヤ?!」

 

「チッ、敵はもう既に中に入っているなんて!」

 

「イーちゃん!!!」

 

 士郎達三人はボロボロになっていくアインツベルン城の中へと突撃する。

 

 ___________

 

 バーサーカー運営 視点

 ___________

 

 

 時間はその日の昼頃へと戻る。

 イリヤスフィール達は過去の聖杯戦争の書類を漁り、同じような異常事態、または通常から外れている文章などを探していた。

 

 そこで見つけたのは第一次から前回の第四次聖杯戦争の結末などだった。

 第一次では明確なルールなど無かったものの参加者たちは純粋に聖杯の降臨を目指していたので何事も無く聖杯は出現した。 だがいざ完成した聖杯が降臨するとルールが想定されていない上に令呪のシステムの無かった為に冬木市は混沌へと変わり、聖杯は自然に経過時間によって消滅した。

 

 第二次では先の聖杯戦争の教訓からサーヴァントを御する令呪のシステムが第一次の生き残りの一人、マキリ・ゾォルケンが提案し、採用する事となったが聖杯戦争は結局失敗に終わる。 新しい令呪のシステムをよく理解していなかった為、令呪を三画すべて使用するなど、サーヴァントを強要するなどと言居た行為が犯され、サーヴァントの反逆などが出てきて聖杯戦争どころではなかった。

 

 第三次ではさらにルールが細かく決められ繰り広げらるものの、第二次世界大戦直後だった為に、当時の大日本帝国にとって重要な港町の一つであった冬木市の屯駐地の帝国軍とナチスが町の異常に気付き戒厳令を宣言、そして介入した。 これにより魔術協会と聖堂教会と共に後に介入し、そして聖堂教会から監督役を配置する事で折り合いをつける事となる。

 

 ここでイリヤには違和感が出た。

 

 第三次聖杯戦争はこれだけ細かく資料などがあるのに、アインツベルン(聖杯の器提供者)の書類にはただ『聖杯の器が途中で戦闘に巻き込まれ破壊され、聖杯戦争は無効となった』とだけあった。

 

 各運営のサーヴァントの情報や推測、長所短所の推測などがあるのに第三次に至っては()()()()()()()()()()()()()()()()()()ような報告書だった。

 

 だがこれはシステム上()()()()()。 何故なら聖杯を降臨させる聖杯戦争システム設立当初には「七人のマスターと七騎のサーヴァントを用意、優先的に御三家からマスターを選択し、他四名が選択される」となっている筈。

 

 では第三次にアインツベルンは()()召喚した?

 

 少なくとも「聖杯の器」の報告書があったという事はアインツベルンは参戦していた筈。

 

 そして遂に第四次聖杯戦争、衛宮切嗣が「聖杯の器」の護衛役と共にマスターとしてアインツベルンに雇われる。

 最後には聖杯を手に入れられる一歩手前で衛宮切嗣は聖杯を手放し、()()()()()()()()()()()()

 そう報告書や書類には書いてあるが、イリヤは以前に三月から話を聞かされ、衛宮切嗣を()()()()事により、衛宮切嗣の()()()の原理や聖杯戦争中の行動をある程度解釈できた。 

 そして彼の降臨した聖杯に対しての圧倒的()()()()の決意。

 これを十年前、冬木市に大きな爪痕を残している「冬木大火災」を照合すると────

 

「セラ、リズ。 アハト翁に大至急連絡を取って。 『第三次聖杯戦争に()()()()()()のか聞くまで聖杯戦争は中断する』、と」

 

 これを聞いたセラは目を見開く。

 目の前のイリヤがアインツベルン当主に愚痴どころか、「苦情」を出すと言ったのだ。

 それも「役割」に対してストライキレベルの。

 

「お、お嬢様?! お気は確かですか?!」

 

「本気よ、セラ。 貴方がやらないのなら私がやる。 こんな状況で聖杯戦争を続けるなんて馬鹿げているわ。 もしかしたら……いえ……とにかく、連絡を送って」

 

 イリヤはささっと何かを紙に書いてから立ち上がり、近くの窓を開けて髪の毛から作った糸状のアオガラにその紙を括り付けると糸状のアオガラは飛び立つ。

 

「セラがやらないのなら私が送る」 ←棒読み

 

「リーゼリット?! 貴方まで!」

 

「イリヤは本気で怒っている。 激おこぷんぷん丸」 ←棒読み

 

「…………何ですか、それは?」

 

「三月曰く『すごく笑えるくらい怒っている』という事」 ←棒読み

 

「クッ、()()あの娘ですか?!」

 

 三月の事を思い出したセラの頭に半分反射神経のように痛みが走り、彼女は顔をしかめる。

 何せ三月と会ってからのイリヤはともかく、リーゼリットもかなりの影響を受けていた。

 自我の希薄な筈の彼女は三月と会ってから生気と言うか、未発達だが『感情』さえも芽生え始めていたかのように思えた。

 

『リーゼリット』。 アインツベルンの『ホムンクルス』に()()()()。 本来は聖杯として作られたが「失敗作」と印を押され、廃棄処分だった運命を「イリヤの侍女」の役割に収まり延命。 ただ元々人間性などを持たせる事を前提にしていなかった為、『ホムンクルス』として機能などの欠陥が目につくほどで、以上に並べた「希薄な自我」も「イリヤ」と言うアインツベルン最高傑作の副産物だった。

 

 始めはリーゼリットの変化はイリヤの変化に由来していたとセラは思っていたが時間が経つにつれ、イリヤとは()()と感じた。

 

 天真爛漫かつ計画的なイリヤに対して、以前のリーゼリットは良く言えば「マイペース」。 悪く言えば「イリヤイエスウーマン」。

 

 その様なリーゼリットが自分から「ケーキが欲しい」や、「今日のイリヤにはこっちの服の方が似合うと思う」等々の『意見』を出し始めていた。

 この変化に純粋に喜ぶイリヤと違い、セラは三月の事を危険視していた。

 

「あれだけアインツベルンの『ホムンクルス』に(しかも失敗作に)()()()()()()()()()()()()()()()は何だ?」と思わせるほどに。

 しかも主のイリヤは彼女が(自分達が言うのも何だが)人間(ヒト)ではない事に気付きながらも気軽に会おうとしている。

 

 イリヤが良く三月や士郎の事を良く話すのが面白くないのは(あまり)セラには関係が無い(筈)。

 

「お嬢様。 重ねて申し上げますが少年の方はともかく、彼の妹君の方は危険です。 距離をもう少し取った方が────」

 

「────セラ、たまにはイリヤのさせたいようにさせた方が発散になる」 ←棒読み

 

「ほらー! リズもこう言っているんだし! 少しくらいいいじゃない!」

 

「………(あの娘、どうにかしないと)」

 

「それはそうとリズは次彼女が来たときは何のケーキだと思う?」

 

「シフォンケーキが良い」 ←棒読み

 

「ええ~? 私はチョコフォンデュ!」

 

「どちらでもワクワクする」 ←棒読み

 

「(………本当にどうにかしないと私が持たないわ!)」

 

「ズンッ」とした、お腹に来るような感覚が三人を襲い、彼女らは即座に同じ方向を向く。

 

「お嬢様────」

 

「────招かれざる客が来たみたいね。 リズ、武装を用意して。 セラは索敵の遠見を────」

 

 ここにいた誰もが想像していなかったであろう、()()の対決に幕が上がる事を。

 

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

『遠見』の向こうでは金髪の青年がアインツベルンの森を()()()()()()()

 

「これは?!」

 

 しかしただの森とは訳が違うアインツベルンの森を金髪青年は平然と歩き、罠などをことごとく破るどころか無視していたかのように見えた。

 発動はしているのだが攻撃が当たる前に()()に対処されていた。

 

 そして青年は『遠見』しているセラを睨むかのように見て、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「きゃあ?!」

 

 水晶玉は砕け、槍はそのまま部屋の壁に突き刺さって数秒後に光の因子になってから消える。

 

「セラ、大丈夫?!」

 

「わ、私は大丈夫ですお嬢様。 私とリーゼリットが時間を稼ぎます。 ですから────」

 

 さっきの「ズンッ」とした感覚が数回三人を襲い、破られた結界に再度負担がかかるのを彼女らは感じる。

 

「新手────」

 

 リーゼリットは近くに立てていたハルバードを手に取る。

 

「イリヤとセラは…………私が守る」

 

 そこには何時もの「棒読みトーン」ではなく、しっかりとした覚悟の籠っていた声で、イリヤとセラは驚く。

 

「リーゼリット、貴方────」

 

「だから、逃げて」

 

「………嫌だ」

 

「お嬢様?」

 

 かすかに笑うリーゼリットがイリヤに逃げてと言い、イリヤはそれに異を唱える。

 

「………さっき、シロウ達に連絡を送った。 だから、私達はここにいるべきよ! 三人で皆を迎えるの! それに…………バーサーカーが守ってくれる!」

 

 ドゴォン!

 

 イリヤが喋り終わると外から大きな音がした。

 まるで壁が粉砕されたような音だった。

 

「では、この無礼なお客…………いえ、『賊』を城主としてもてなしましょう! 行くわよ、セラ!リズ!」

 

 城の庭園にイリヤ達が着くと、そこには先程水晶玉で見た金髪の青年が屋根の上から懐かしそうな目で下にある庭園を見ながら座っていた。

 

「十年の時を経ても変わらぬ、か」

 

 イリヤ達はこの青年の放つ空気だけで本能的に感じていた。

 ()()()()()()()()()()と。

 

「イリヤ。 セラ。 逃げて────」

 

「む?」

 

 青年が初めてイリヤ達に築いたかのように見て、笑顔になった。

 イリヤ達には恐怖の元でしかない笑顔であったが。

 そしてセラとリーゼリット、そしてイリヤに対して言葉を送る。

 

「何かと思えばホムンクルスか。 悪くない出来のようだ、人型でありながら自然の嬰児として成立している。 余程良い鋳型で作られたのだろうよ……ん? ほう、そこのお前が聖杯の器を持つ人形か? ホムンクルスと人間の混ざりものとは…………ハ、また酔狂なものを作ったな」

 

「何と言う血なまぐさい男────!」

 

 セラの苦し紛れのような文句に青年はただ笑う。

 

「何、そう怯えるな。 その畏怖をもって我への不敬を免罪とする。 そこな二人の召使、命が惜しくば疾く失せよ。 十秒の猶予を与えてやる」

 

「その言葉は聞けませんね。 お嬢様を外敵からお守りするのが我ら二人の役割!」

 

「それにイリヤを置いて逃げるなんて死んだ方がマシ」 ←棒読み

 

「セラ、リズ………」

 

「フ、魔術師共も学ばぬな。 ()()に人の心をつけるなど…………所詮人間共では、お前たちの純粋さに報いられんと言うのに────」

 

「────ッ! バーサーカー!」

 

 青年の周りの空気に歪みが生じると、イリヤはほぼ本能的にバーサーカーを霊体化から呼び出す。 すると空気の揺らぎからあらゆる武具が放出され、正面に立ったバーサーカーによって払い落とされる。

 

「バーサーカー、私()を守って!」

 

「お嬢様?!/イリヤ?」

 

「三人で…………皆でシロウ達を迎えるの!」

 

 青年の笑顔は更に大きくなり、彼が屋根の上で立ち上がる。

 

「だそうだ。 では来るがいい、大英雄! 貴様が相手ならば我の倦怠も晴れるかも知れぬというもの!」 

 

「■■■■■■!」

 

 バーサーカーが答えるように咆哮を上げる。

 

「神話の戦い、ここに再現するとしようではないか!」

 

 青年の周りから様々な武具が飛べ出てバーサーカーへと飛来する。これらをバーサーカーは払い落とす事無く、自らの巨体を盾代わりに使って後ろの三人を体で守る。

 

「……ほう? ではこれはどうか!」

 

 次に放たれた武具をバーサーカーは払い落とす事に取り掛かるが、量が多かった為、今回はバーサーカーの身体に次々と突き刺さり始め、武具は光の因子になり消滅する。

 そしてまだ健在であるバーサーカーを青年は面白そうに見ていた。

 

「よもや、死から蘇る者がいようとはな。 成程、貴様の人生や逸話を宝具として昇華したものか。その様な宝具()()は我の手にはない。 業腹だが、貴様には最上級の武具しか通じぬらしいな」

 

 ここで青年は屋根から庭園に飛び降りるとイリヤはセラとリズに小声で喋る。

 

「セラ、リズ。 シロウ達をここに連れて着て頂戴」

 

「お嬢様を置いて────!」

 

「────セラ。 私たちは邪魔、行くよ」

 

「え?! ちょ、ちょっとリーゼリット降ろしなさ────ああああああああ?!」

 

 リーゼリットはセラを担ぎ、無理矢理その場から猛スピードで連れ去る。

 

「…………あの二人を見逃すの?」

 

 そしてイリヤは青年に挑発的に言う。

 

「もとより俺は退()()()()()の為にここに来た。 それだけだ」

 

 イリヤはギリっと奥歯を噛む。

 

退()()()()()』。

 

 この青年は自分のバーサーカーとの戦いをそう呼んだのだ。

 それを────

 

「────曰く、()()()()()は十二の難行を乗り越えてその末に神の座に迎えられたという」

 

 イリヤの身体がビクリとする。

 何故ならこの青年は先の出来事でバーサーカーの真名を当てていながらも素振りや態度を全く変えていなかったからだ。

 

『バーサーカー』。 真名はギリシャ神話の大英雄ヘラクレス。 彼は主神ゼウスと人間の娘との間に生まれた半神半人の英雄で、かのアルゴノーツとしての航海、巨人族とオリンポスの神々との戦いなど数多の冒険を繰り広げ。

 

 余談だがキャスターであったメディアは同じアルゴー号の乗組員であった為彼とは面識はあり、この聖杯戦争での第一の声は────

 

「────あの肉ダルマ(ヘラクレス)がバーサーカーですって?! イィィィィヤァァァァァァァァァァ────!!!」

 

────と頭を抱えながら絶叫し、床をゴロゴロと転がっていたとかなんとか(そして後日キャスターは自身の番犬(佐々木小次郎)にこの事でからかわれた)。

 

 そんな大英雄を前にこの青年は関心や怯むどころか、()()を見つけたように面白く笑った。

 

「その所業と苦難の乗り越え、まさに不撓不屈。 人間の忍耐の肖像そのもの! だがこの通り、我は英雄殺しの武器は有り余っている。子守りはそこまでにしておけ、ヘラクレス。 さもなくば貴様の試練()、全てをここで使い果たす事になるぞ!」

 

「バーサーカーは誰にも負けない……………私達は世界で……………一番強いんだからぁ!」

 

 イリヤの言葉に自分も入れたのはその小さな方に乗っている期待という言葉から。

 

 イリヤはアインツベルンが千年の生産を継げて完成した「最高傑作」。

 もうこれ以上の無い、一族の技術の結晶であり到達点。

 

 だがイリヤは知った。知ってしまった。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そして「最高傑作」である為に、その捨て場に出くわしたイリヤは破棄されたホムンクルス達の残留思念達を拾い上げ、知ってしまった。

 

 自分(イリヤ)の後継機は存在しない。 存在しあり得ないと。

 

 イリヤはこの時今よりまだ幼く、ひどく混乱しながら悲しんだ。

 何故なら自分(イリヤ)が失敗すれば『ホムンクルス製造』と言う()()に意味は無く、アインツベルンは時代遅れの技術に千年も費やした(命を無駄にした)という事実だけが残るからだ。

 

 それを知り、理解したイリヤは覚悟を決めたつもりだった。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()」と。

()()()()()()()()()()()()()」と。

 自分(イリヤ)そうでなければならない、と。

 

 以上、士郎達が城の近くまで接近するまでの出来事だった。

 

 ___________

 

 セイバー運営、遠坂凛、バーサーカー運営 視点

 ___________

 

 ボロボロになっていくアインツベルン城に士郎達は正面の入り口の前に出るとセラ(グロッキー状態)を担いだリーゼリットに会う。

 

「あ、こんちゃーす」 ←棒読み

 

「こんちゃーす、リーちゃん!」

 

 それは何時かの挨拶*1を、三月とリーゼリットは交わしていた。

 

「衛宮君」

 

「ああ、流石の俺もこれは駄目だと思う」

 

「こっち来て。 イリヤが戦っている」 ←棒読み

 

「分かった」

 

 答える三月がリーゼリットの後を走り、士郎も同じようにしようとすると凛が彼の肩を掴む。

 

「???」

 

「衛宮君、良い? 誰かを助けるなんて、まず自分を助けてから考える事よ。 自分第一よ。 例えそれが………身内の者だったとしてもよ」

 

 凛は何処か悔しそうな顔を作りながら唇を噛み、左腕を右腕でぎゅっと力強く掴む。

 

「遠坂?」

 

「…………追うわよ、衛宮君!」

 

 士郎と凛は三月の徒歩に合わせていたリーゼリット達に追い付き、入り口付近に着くと、何かを体で守りように丸まっていたヘラクレスが串刺しされた後なのか、体中に穴が開いていて、血を流していた。

 

「(アイツ、桜の家を彷徨ついていた奴か?!)」

 

「(まさか、アイツもサーヴァントだったって言う訳?! あり得ないわ!)」

 

「(イーちゃん!!!)」

 

 士郎、凛、そして三月は目の前の出来事はあまりにも現実離れしていたのに思考だけが動いていた。

 以前あのセイバーとアーチャー、そして凛も参戦していたのに三人を翻弄していたバーサーカーとイリヤが今回は一方的にやられていたのだ。 たった一人の青年に。

 

「貴様の敗北は決定した、ヘラクレス。 どうあれ死ぬのなら最後に()()を捨てろ。 全力の貴様ならまだ我を仕留める余地があるぞ?」

 

「■■■■■■!」

 

 ヘラクレスはイリヤの前に立ち、咆哮を上げる。

 

「では主ともども死ぬがいい!」

 

 青年の周りの空気がゆがむとリーゼリットはセラと持っていたハルバードを捨ててイリヤへと走り、これに気付いたイリヤと三月が同時に声を出す。

 

「リズ?!/リーちゃん?!」

 

「イリヤは、守る!」

 

「フン、やはり人形は所詮人形か」

 

「■■■■■■!」

 

「バーサーカー?!」

 

「何?」

 

 青年は初めて表情を若干崩す。 ヘラクレスがイリヤを掴み、リーゼリットへと()()()のだ。

 

 本来、バーサーカークラスのサーヴァントは大幅な全ステータスブーストを得る代わりに「理性が失われる」、「一部の能力が劣化、または使用不能になる」、「魔力消費量が膨大になる」などというデメリットが多く、並のマスターであればに、三回の出陣が限界な程の暴れ馬クラス。

 

 というのにヘラクレスはイリヤを()()()()()()()()と言う、バーサーカーでは考えられない行動を取った。

 

 その間にも彼は様々な武具に串刺しにされていく。

 

「バーサーカー!」

 

「イリヤ、近づくのは駄目」

 

 イリヤをキャッチしたリーゼリットは腕の中でもがき、涙を流す少女をしっかりと掴んでいた。

 

「イリヤ!/イリヤスフィール!」

 

 士郎と凛もリーゼリットの近くに走ろうとするが────

 

「────ふん」

 

 青年が鼻で笑い、一つの出した剣を手に取って振るうとリーゼリットと彼女が抱えていたイリヤが引き寄せられたかのように彼の前へと移動していた。

 

「「「「え────」」」」

 

「────邪魔だ、人形」

 

 ザシュ!

 

 青年がまた剣を振るい、二本の腕が宙を舞う。

 

「リズ?!」

 

「イリヤ、逃げて」

 

 リーゼリットは青年が剣を振るう前にイリヤを後ろへと投げると彼女の腕が両方とも切断されていた。

 

「イリヤ!」

 

「衛宮君、あそこに行ったら死ぬわよ!」

 

 駆け出そうとする士郎を凛は物理的に止める。

 

「■■■■■■!」

 

 ヘラクレスが青年へと突進し、武具が次々と飛来し、文字通りヘラクレスは串刺しにされながら青年はまた剣をイリヤの方向に振るおうとしていた。

 

■■■■■■!

 

 そしてハリネズミ状態になったヘラクレスは股を着きながら鎖に拘束され、剣を振るった青年の前にイリヤは落ちていた。

 

「フン、早々に主を見捨てておけば勝ち目はある事を捨てるとは。 同じ半神として期待していたがよもやそこまで阿呆とはな」

 

「あ………あ…………バーサーカー! 『引き千切りなさい!』」

 

■■■■■■!

 

 イリヤの身体が一瞬赤く光り、令呪が使用されたのを語る。

 だがバーサーカーは鎖に拘束されたままだった。

 

「どうして?! どうして、バーサーカー?!」

 

「無駄だ人形。 それは天の鎖。 この鎖に繋がれたものは神であろうと逃れる事はできん。 寧ろこの男の様に神性が高いほど効果がある。 そんな鎖が令呪による足掻きなど許すものか」

 

 そして駄目押しというばかりに巨大なハープーンでヘラクレスの脳天をぶち抜き、その返り血が未だにショック真っ最中のイリヤに降り注ぎ、ヘラクレスの目が死んでゆく。

 

「バー…………サーカー?」

 

「な、何なんだあの男…圧倒的じゃないか?!」

 

「何なの、何なのよアレは?! 本当にサーヴァントなの?! 規格外も規格外なのだわ?!」

 

「イリ………ヤ………に………げて…………」

 

 唖然とする士郎に驚愕する凛、そして床ではリーゼリットが肘から先の無い腕の体でイリヤの方へと這いつくばりながらも動こうとしていた。

 

 イリヤは信じられない光景を見ているかのように目を見開いたままバーサーカーのそばにより、彼の身体を小さな腕で揺すっていた。

 

「…………やだ…………やだよ、バーサーカー…………バーサーカー!!! ハッ?!」

 

 イリヤが青年の方を見ると、彼は剣を振るう途中だった。

 

「イリヤァァァァ! 離せぇぇ遠坂ァァァァ!!!」

 

 そこに一人の声が静かに上がる。

 

固有時制御(タイムアルター)四重加速(スクエアアクセル)

 

*1
第12話より




マイケル:バーサーカーが死んだ!

ラケール:この人でなし!

作者:と言う訳で『最古のガキ大将』が出てきました

マイケル:と言うか何なのこいつ?! 出鱈目過ぎない?! 何この剣を振っただけで強制移動って?!

作者:そこはもう盛りに盛った『チートキャラ』でして。ハイ。 こう、『間合いを斬る』的な?

ウェイバー(バカンス体):うわぁぁぁぁぁ!!! 最悪じゃないかぁぁぁぁぁぁぁ?!

ライダー(バカンス体):おお! 別の世界で余を殺した男か! しかしこれはまた………『暇つぶし』とは………そこは坊主みたいに『びでおげーむ』で済ませぬか、あの金ぴかは?!

チエ:………………

ウェイバー(バカンス体):あ、チエさん!

三月(バカンス体):今話しかけない方が良い。彼女、今凄い悪い気分だから。
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