"Stay, Heaven's Blade" Fate said.  “「その天の刃、待たれよ」と『運命』は言った。”   作:haru970

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ヒサイコワい、ヒサイコワい。 ブルブルブル。

ちなみに今回のイメソンはやはりUBWサントラの「Archer」で、0.5テンポスピードで聞いていました。


第30話 アーチャーと言う男(前編)

 ___________

 

 衛宮三月 視点

 ___________

 

 三月は夢を見ていた。

 その夢の中ではまるで自分が幽霊になったかのようにフワフワと浮遊感を持ちながら舞っていた。

 

「(おー! すげぇ~、ピーター〇ンじゃん!)」

 

 そして景色が見えた。

 かつて自分が見ていた夢とそれはどこか似ていた。*1

 

「(何だ。 ()()())」

 

 明確な違いがあるとすれば、それは集中的に一人の男が()()()を義務付けられ、任されてボロボロになって行く様を見ていった事か。

 

 『体は────で出来ている』

 

 以前聞いたような言葉に不思議な感覚が沸いた。

 ただし前回より今回はもっとハッキリと聞こえた。

 だがその言葉の後に続くのはある男の成れの果てだった。

 

「(()()()()()さん……………)」

 

 そして景色が様変わりし、今度は目覚めた凛がアーチャーと話す。

 どうやらさっき見ていたのは凛自身が見ていたもので、これはバーサーカーと対峙した夜の事みたいだった。

 あの激戦の後、凛は流石に消耗して疲れ切ったのか、近くの公園で一眠りしてアーチャーが警護を務めていたらしい。

 律儀にもアーチャーは厚手のコートを『()()』して仮眠する凛に被せていた。

 

「(あー! ブカブカコート! 温そうだな~)」

 

 そしてそこで凛とアーチャーのコント(?)が始まり、普段見ない微笑ましい出来事に三月は笑う。

 

≪ねえアーチャー? 自分のやって来た事を後悔したって考えた事ある? 私はできれば最後までしたくないけど、それってきっと難しいんでしょうね。 私が考えている以上に≫

 

≪…………出来る者もいれば出来ない者もいる。 凛。 鮮やかな人間と言うものは、人より眩しいものを言う。 そういった手合にはな、歯を食いしばる時など無いんだよ。 そして君は間違いなくその手合だ。 『遠坂凛』と言う人間は、支えさえあれば最後まであっさりと自分の道を信じられて生きていけるさ≫

 

≪じゃあ貴方は最後まで、自分が正しいって信じられるのかしら?≫

 

≪………………………その質問は無意味だな。 忘れたのか、マスター? ()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 そこでまた場面が変わり、今度は現代の何処かの工場のような場所に────

 

「(────あれ? ここって原子力発電所?)」

 

 何故三月はここが何処かの原子力発電所と分かったのはテレビやドキュメンタリーで似たような構造のした場所を以前見ていたからだ。

 

 そしてそこにはボロボロになりながらも、体に鞭を打って引きずっていた()()()がいた。

 

「(うわ! 兄さん凄い傷! え? あれって……撃たれた跡?!)」

 

 そしてその夢の中の士郎は倒れそうになると、目の前に魔力の塊のようなものと話していた。

 

「………それで………………誰も泣かずに済むのなら………………()()()()

 

 何かと契約を成して、少年は幾度の危機に応じてその場へと跳び、元凶達を()()()

 それが救いに繋がると信じて。

 

 そして次の元凶に行き、また()()()

 ()()()

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 そして遂には青年になった少年は()()()()世間(ヒト)に問われ、救った者達によって処刑()された。

 だが契約中だった以上、その者は死んでもただ現世に呼び戻し続けられ、()()()()()

 

 青年は殺し続き、殺され続け、身も心も更にボロボロになって行く。

 

 かつては眩しかった心境も酷く空気がよどみ、緑の草は荒地へと変化していった。

 それでも青年は信じ続け、他人の為に武器を手に取ってそれが限界に来ると地面に突き刺し、次の武器を使い始めた。

 

 だが結局最後に自分自身には何も残らず、他人の為に戦い続けた男が手に入れた歩みの果てが様々な剣が突き刺さった丘の上に自分がただ一人。 体中から血を流して死んでもただ次の()()()()()()が待っているだけ。

 

 やがて青年の心境も動かなくなり、「役目」は「義務」へと真に変わり、青年は機械化していった。

 

 

 

 

 三月が目を開けると目の前には────

 

 

 

 

「────知らない天井だ」

 

「三月?! だ、大丈夫か?! ど、どこか痛むのか?!」

 

 そしてすぐそばには心配していた慎二がいた。

 

「あ、慎二だ~…ってあれ? ここは?」

 

 三月が身を起こし、周りを見ると仮眠を取っていたかのようなアーチャーがキツイ目で三月を見ていた。

 

「あ、アーチャーさん。おはようございます」

 

「何故君は泣いている?」

 

「え?」

 

 三月が手で顔を触ると確かに涙を流していたような跡があった。

 

「………分からない」

 

 グゥ~~~~~~~~~~~。

 

「あ、もしかしてお腹空いたからかも?」

 

「ッ! ま、待ってくれ! 僕が何か探してくるよ!」

 

 慎二が立ち上がって物置か小屋らしき建物から走り出る。

 

「…………」

 

「どうしたの、アーチャーさん?」

 

「君は随分と肝が据わっているな。 それとも状況を理解していないのかな? 君は拉致され、明らかに違う場所に移されているというのに」

 

「へー」

 

 三月の気の抜けた答えにアーチャーの毒気が若干抜かれたかのような空気になる。

 

「もう一度聞く、何故泣いていた?」

 

「夢を見ていた」

 

 そこで三月は先程の夢をアーチャーに話し始めると、彼の顔がみるみると険しいモノへと変わる。

 

「…………妙だな。 マスターとサーヴァントは時折パスを通してマスターはサーヴァントの記憶を見ると言うが……………もしかして、君は相当霊やその類などに余程敏感なのかもしれんな」

 

「サーヴァントも夢を見るんですか?」

 

()()()()()()()()()()()()

 

「へー、そうなんですか? あ、そう言えば、さっき『拉致』と言いましたけど、誰が拉致されたんですか?」

 

「君だが?」

 

「誰に?」

 

「私に」

 

「へー…………………………何で???」

 

 ?マークを出すマイペースな三月に、アーチャー溜息を出す。

 

「私は知りたいのだよ。 そのために君を利用した。 幼い君に、こんな事もどうかと思うが────」

 

「────幼いってどういう意味?」

 

「…………女性に無礼で承知の上だが見たところ、君はイリヤ嬢とそんなに体格が変わらないからな。 十歳かそこそこの年齢だろう?」

 

「え゛? えーと……………私、兄さんと同い年なんだけど?」

 

「?????? 飛び級………ではなかったのか?」

 

「全部断った」

 

 三月ほどの子ならば学校で飛び級もおかしくない話だが、彼女は過去にそれらの誘いを全て断っていた。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()」と思い。

 

「…………………まいったな、やはり()()は似ている」

 

 アーチャーが「お手上げだ」と言ったような感じで苦笑いをする。

 

「ねえアーチャーさん? 無理、していないかな?」

 

 これを聞いたアーチャーの表情は固くなり、三月を睨む。

 

「どういう意味かね?」

 

「何か、最初見た時からずっと張り詰めている様子だったから……心配で……」

 

「……別に…………………本当に………()()は似ている

 

「???」

 

 アーチャーが何か小声で言うが、三月には聞こえなかった。

 

「ねえ、さっきアーチャーさんは『知りたい』って言ったわね? それって何?」

 

「………言っても良いが、一つだけ条件がある」

 

「何?」

 

()()()()()()()()()()()

 

「これって兄さんの為になる事?」

 

「……………ああ、()()()()()()()()()()

 

「うん、()()()()

 

「…………………………………私とエミヤシロウはこれから戦う。 奴の方は知らんが、少なくとも私は全身全霊で彼を()()するつもりで相手をする」

 

「そっか」

 

 三月の短い答えと予想していた説明を求める言葉が無いのにアーチャーは顔をしかめる。

 

「……………それだけか?」

 

「うん。 だって、貴方は()()()だから」

 

「…………ハッハッハッハッハッハ!」

 

「???」

 

 一瞬呆気にとられたアーチャーがかつてない高笑いを出して三月に問う。

 

「何を言うかと思えば、私のどこが()()()なのだ?」

 

「だって、私を拉致する為にわざわざ慎二君に頼んで、彼に私を衛宮邸の外まで誘う必要は無いでしょ? そのまま貴方が不意打ちをかけて皆が混乱している間に私を拉致すれば良い」

 

 三月は今パジャマではなく私服姿だった。 昨日風呂から出てセイバーとイリヤ達と何かパーティーゲームでもしようとしたところに慎二が「ちょっと話がある」と言って彼女を衛宮邸の外まで連れ出しところでアーチャーが彼女の意識を刈り取り、アーチャーが三月と慎二両方を担いでアインツベルン城まで連れて行った。

 

 余談だがアーチャーは慎二を脅したのに、三月だけを連れ去ろうとした瞬間慎二が頑なに「自分も彼女の連れ去られる場所に連れて行け!」と言って来たのでアーチャーが彼も連れ去った。

 

「それは勘違いと言うものだ。 その方が合理的にかつ、実質な人質が二人に増える」

 

「それにしても私と慎二が拘束されていないのは何故?」

 

「君を拘束しようと思えばそれなりに魔力を消費しなければいけなくなるし、たとえそうしたとしても本当に君を拘束出来るか分からないからな。 ならば慎二と言う小僧を君に対しての人質に取った方が合理的だ。 彼を拘束しなかったのは、彼には何も出来ないからだ」

 

 そう、アーチャーの言うのは確かに理にかなって、合理的な言い分。

 ただ一つの事を除けばだが。

 

「それにしては彼の気配を察知し続けるんじゃなくて、私に神経を集中しているみたいだけど?」

 

「…………………………本当に、鈍感なのか鋭いのか分からなくなるよ」

 

 グゥ~~~~~~~~~~~。

 

 三月のお腹がまた鳴り、アーチャーが近くの袋からラップされたおにぎりを何個かと水のペットボトルを三月に渡す。

 

「ほら、少ないとは思うが────」

 

「────バクバクバクバクバクバクバクバクバクバク! ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク! ごちそうさまでした」

 

早いよ?!

 

「え?」

 

 ものの数秒で全てのおにぎりを平らげる三月にアーチャーは彼らしくない言葉とツッコミを発した事に三月は頭を傾げ、アーチャーは顔を逸らす。

 

「あ、いや、すまない………食べ終えるのが意外と早くてな」

 

「ごめん。 今滅茶苦茶お腹空いていたから」

 

「らしいな。 ほら、これも一応手渡しておくぞ」

 

「おー、私が昔呑んでいた薬。 ありがとう♪」

 

 さっきから調子が狂うアーチャーに三月はそれを知らずのまま笑顔を向ける。

 そこに息を切らしながら袋を持っていた慎二が現れた。

 

「あ、アーチャー! 彼らが来たぞ! 三月、ここにソーセージとチーズやリンゴなどを────」

 

「────あ、じゃあそれも持って行くから付いて来て、慎二君」

 

「あ、ああ…………て、え?」

 

「……………付いてくるのか?」

 

 その場を離れようとしたアーチャーの後をトテトテと付いて来ようとした三月が?マークを頭から飛ばす。

 

「ダメ????」

 

「…………さっきの条件さえ守ってくれればな」

 

()()()()

 

「お、おい! 条件って、何の事だよ?!」

 

「アーチャーの『邪魔をしない』っていう条件」

 

 後を付いてくる慎二に三月が答え、三人は物置から出てアインツベルン城の中へと入る。

 

 ___________

 

 セイバー運営、遠坂凛 視点

 ___________

 

 士郎、セイバー、そして凛はアインツベルン城に向かっていた。

 

 昨日、桜が兄の信二から士郎宛の置きメモを部屋で見つけたのだ。

 

「三月はアーチャーに連れて行かれる」と。

 

 そこで三月と慎二が衛宮邸にいない事を確認して、明日の明朝にアインツベルン城にアーチャーに指定された士郎とセイバー、そして凛が行く事となる。

 

 最初は全員で行こうとイリヤが言っていたが流石に団体ともなると移動速度が遅くなり、あまり無い時間を更に割いてしまう。

 そこで凛が士郎とセイバー以外に今衛宮邸にいる人員で自分が士郎達と行くと言い、行きたがっていたイリヤを凛が(珍しく)言い負かす。

 

「私のサーヴァントの失態だから私が責任を取るわ。 それに悪いけどイリヤの体格と能力を考えれば遠征や攻撃より拠点防御に向いているから衛宮邸を任す」と。

 

 イリヤは不満そうにだが了承し、桜は目撃した。

 ()()()が行われたのを。

 

 凛が渋々と自分の分のマカロンとカスタードプリンとエクレア全てをイリヤに譲り、それでイリヤが手を打ったのを。

 

 余談だが、衛宮邸ではいつの間にか女性軍の間で通貨となっていた手作りの菓子が保管されている冷蔵庫は以前三月に買収(?)されたセラによって結界が何重にも張られ、イリヤでも手こずるような、規模が小さい要塞と化していた。

 

 衛宮邸の拠点防御はイリヤ、セラ、桜とライダーに任せ、士郎達がアーチャーから三月と慎二の奪還を試みる。

 

 後、凛自身には何か思惑があるみたいなのもイリヤは気付いていたので凛の分の菓子で手を打ったのもその理由の一つだった。

 

 道中、士郎達は黙っていたが凛が口を開ける。

 

「ねえ、衛宮君。 昨日見せたペンダントだけど────衛宮君?」

 

「……………ん? ああ、すまない遠坂。 どうしたんだ?」

 

 未だに考え事に耽っていた士郎は凛の声に少し遅れて反応する。

 

「昨日のペンダントなんだけど、貴方はあの夜からずっと持っていたのかしら?」

 

「ああ。 まあ、お守り変わりだよ」

 

 そこで凛は()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「な?! と、遠坂いつの間に?!」

 

 士郎が自分のポケットに手を入れて()()()()()()()()

 

「……………え?」

 

「やっぱり、ね」

 

 士郎が歩みを止めて、凛と士郎達が手にあるペンダントを見比べ、()()()()()()

 と言うか、その二つは()()()()だった。

 

「同じだ……………」

 

「リン、これは一体どういう事ですか? 何故貴方がこのペンダントを?」

 

 士郎の言葉にセイバーは凛に聞くと、凛は何かを考えて頭を上げる。

 

「衛宮君。セイバー。 私の手にあるこれは()()()()()()()()()()()()()よ」

 

「……………え?」

 

「私はてっきりアーチャーが学校に戻って拾ったのかと思っていたけど…………」

 

「………遠坂?」

 

 そこで凛は今までの情報と()()()()()()()()()()()()()を思い返していた。

 そこで彼女は一つの仮定によって結論を見出し、士郎を見た。

 

「まさか………アイツ………」

 

「…………なあ、遠坂。 俺、思ったんだけど………英霊を記録する『座』って────」

 

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 士郎達はアインツベルン城に入るとアーチャーが階段の上で座っていた。

 

「早い到着だな、衛宮士郎。 もう少しウジウジしているかと思ったが、違って何よりだ」

 

「三月は何処、アーチャー?」

 

「心配するな凛、あそこだ」

 

 アーチャーが広い玄関の横にある二階のバルコニーの一角に指さすと床に座りながらモグモグと口を動かしながら手を振っている三月と隣に寝不足の慎二がいた。

 士郎達からは見えないがブルーシートを敷いており、ピクニックの様な感じがした。

 これに士郎がホッとして、凛が呆れる。

 

「何、私の用事が終わるまでお前達が手を出さなければ私も何もしない」

 

「アーチャー、貴方は一体何がしたいの?」

 

「その前に一つ。 衛宮士郎に凛……私に何か聞きたい事があるのではないかな?」

 

「そうだな。 ここに来る途中、遠坂がペンダントをもう一つ見せたよ。 ()()()()()()()()()()をな」

 

「……それで?」

 

「それでようやく遠坂に言われて気づいたんだ。 あのペンダントが二つある筈が無いと。 あれは────」

 

「────そうだ。 あれは命を救われた()()が生涯持ち続けたもので、遠坂凛の父の遠坂時臣が娘に残した遺品の一つでこの世界に()()()()()()()だ」

 

「アーチャー、やはり貴方は────!」

 

 セイバーの言葉を遮ってアーチャーは喋り始める。

 

「────英霊の召喚には触媒が必要とされているが必ずしもそうでは無い。 遠坂凛は呼び出す為の触媒がなかったと思い込み、故に彼女は呼び出したサーヴァントには何の縁も無いと思い込んだ。だが()()に呼び出される英霊などいない。 何故なら召喚者と英霊には必ず縁がある」

 

 アーチャーが立ち上がり、階段をゆっくりと下る。

 

「英霊を記録する『座』に時間の観念は無い。 それはセイバーの一件でも理解は出来るだろう? 過去も未来も関係無く、英霊となれば等しく扱われる。 つまり────」

 

 アーチャーが士郎達のいる一階に下りて、士郎を真っすぐと見る。

 

「────()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、と言う事だ。 出来れば、凛がここにいなければオレとしては都合が良かったのだが………」

 

「おあいにくさま! 暴走した()()()()()()()()()を他人任せにするほど私は日和っていないわ!」

 

 凛がキッとアーチャーを睨むのに対してアーチャーはその視線を受け流し、士郎は「やっぱり」と何処か納得したような顔をする。

 

「それに貴方、どうあっても衛宮君を殺すって言うつもりよね?!」

 

「フン、その様な甘い男は今の内に消えた方が良いだけだ」

 

「アーチャー!」

 

「待ってセイバー。 私に話させて頂戴」

 

「頼む、セイバー」

 

「………分かりました」

 

「アーチャー、確かに衛宮君が甘いって事は言われなくても周知の事実よ────」

 

「────おい遠坂、それはいくら俺でも無い────」

 

────シロウ、本当の事なので今は黙っていて下さい

 

「…………………」

 

「ありがとう、セイバー………そんな衛宮君でも『ああでなくちゃいけない』って思えて、『ああ言う奴も居ても良いんだ』って()()救われている!」

 

「と、遠坂?」

 

「けど、アンタ自身はどうなの? アンタは『身勝手な理想論を振りかざすのは間違っている』って思うわけ?!」

 

「遠坂、何を────?」

 

「────何度も何度も他人の為に戦って! 何度も何度も裏切られて! 何度も何度もつまらない後始末をさせられて、それで『人間(ヒト)』ってモノに愛想が尽きたっていうの?!」

 

 それは凛の心からの叫びだった。

 

「…………成程、君()そこまで視ていたとは予想外だったよ」

 

 凛は先程の三月の様にアーチャーの記憶を召喚当初から時々見ていて、今まで感じていた事が今一気に押し寄せてきていた。

 心がムカムカして、心底腹が立って、悔しかったのだ。

 

 アーチャーは誰かの為になろうと、ずっと道を歩んで最後でさえも「それで人々を救えるのなら」と死後さえも手放した。

 

「では君の言葉に少々付け加えようか? オレはこう思った、『生前は力が足りなくて救えなかったが、英霊としてならあらゆる悲劇を打破出来る』と信じて死後の安らぎを売り渡した。 聞き覚えが無いかね、セイバー?」

 

「そんな?! それではまるで────」

 

「────そうだ、セイバー。お前の様に、オレはもっと多くの何万人という命が救えると信じ切って戦った。 だが、最後の最後に唯一信じた理想にさえ……………オレは裏切られた。『トレース、オン』」

 

 アーチャーの両手に双剣が現れ、セイバーが身構える。

 

「衛宮士郎! 私はお前に()()()()を申し込む! 受けて立つか?!」

*1
第12話と第20話より




作者:ハイ、と言う訳でここまで来ました

チエ:ほう、一騎打ちとは。このアーチャーも見所がある

三月(バカンス体)/ラケール:そうかな?

マイケル:まあ…………分からんでもない……………かも知れない

作者:お気に入りや感想、評価等あると嬉しいです! すごく励みになります!
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