"Stay, Heaven's Blade" Fate said. “「その天の刃、待たれよ」と『運命』は言った。” 作:haru970
……………すみません、疲れているもので…
ではお楽しみください!
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セイバー運営、遠坂凛、間桐慎二 視点
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「………アー………チャー?」
「まさか
だがそれも束の間、アーチャーの持っていた刃の欠けた短剣は光の粒子となり消え去って、凛は三月達の声が聞こえる。
「うわ?! ぎr────ぐへ?!」
「ちょちょちょ────ガハ?!」
凛がハッと見上げるとギルガメッシュは以前出した剣で三月と慎二を士郎から
「三月! 慎二!」
「ギルガメッシュ! 貴方は二人で一体何をしようと言うのです?!」
士郎達の中でも運動神経抜群のセイバーならギルガメッシュが剣を振るうよりもいち早く反応出来ていた筈。
だが彼女は彼の持っていた剣がどのような物か知らなかったので一瞬判断が遅れた。
そしてその過ちの所為でギルガメッシュは人質を二人(?)入手してしまった。
「ん? 分からぬか、セイバー? 我は
「「「?!」」」
『願いを叶えたい』。 それはサーヴァントにとって────
「貴方は聖杯を求め、手に入れると言うのですか?!」
「セイバーよ、たった10年だぞ? もう忘れたのか? 以前言った様にあれは元より
「なっ?! う、嘘よ! だって、聖杯戦争はまだ────!」
「────時臣は貴様に何も伝えていなかったと見る」
「…………ぇ?」
ここで凛がまた
「今度は何を明かされるの?」と半分好奇心、半分ザワザワとした恐怖の心境で。
「『聖杯を呼ぶ為の儀式』なぞくだらぬ戯言よ。 『七人のマスターによる生存競争』? 『最後の一人となったマスターのみが聖杯を得る儀式』だと? そんなものは隠れ蓑にすぎんと言うのに」
「ギルガメッシュ、貴方は聖杯が何であるか知っているのですか?」
「やれやれ、バカな女とは思っていたが…………良いか? 魔術師共は毎回、聖杯を用意してから七人のサーヴァントを呼んだ。 奴らが必要としたものは聖杯そのものではなく、その
「そんな………まさか…………」
ギルガメッシュがニヤリと笑みを浮かべる。
「ほう? 理解が早いな、遠坂の娘よ。 そうだ、聖杯を
「「な?!」」
「お、お前! 正気か?!」
「この世界は楽しい。 が、同様に度し難いものだ。 凡百の雑種が生を謳歌するなど 『王』に対する冒涜に過ぎん」
「…………まさか?! 貴方は『聖杯』の異常の事を────?!」
「────やっとお前も理解したか、セイバー。 そう、10年前の大火災は『聖杯』から零れ落ちた一部の
「そんな事をすれば人間が種として途絶えてしまうではないか、ギルガメッシュ!」
「ならば是非も無し。 自らが犯した罪で死に絶えるのならば生きる価値などあるまいて。 我が欲しいものは有象無象では無く、地獄の中ですら生き延びられる者こそ支配される価値があると見る。 その点で言えば前回は落第だったぞ? あの程度の炎で死に絶えるなど、今の人間は余りにも弱すぎる」
「アンタが欲しているのは『聖杯』で、イリヤの心臓の『聖杯』はもう手に入れた筈。 ならその二人をどうしようって訳?!」
「理解が早いと先程評したが撤回しよう、遠坂の娘。 『聖杯』の起動には莫大な魔力が必要でな。 そこはそれ、自己で補えなければ他人から奪うのが世の摂理。 幾らでも手はあるが、
「何だと?! どういう事だ?!」
「言葉通りの意味だ。 少々興が欲しくてな、退屈しのぎと言う奴よ」
ギルガメッシュが三月と慎二を担ぎ、士郎達へ言葉をただ続ける。
「我は今から『聖杯』を起動させる、柳洞寺でな。 もっとも、
「「「?!」」」
「来るなら来い。 そこで我らの決着もつけようではないか、セイバー。 フハハハハハハハハハ!」
「待て、お前────!」
「────
様々な武具がギルガメッシュの言った様に雨みたいな憩いで落ちる場を後にして、彼はそこから去る。
土煙が収まるとセイバーが叩き落し、凛が切り札の宝石達を使って結界を張っていた。
「………リン、シロウは?」
「俺は大丈夫だ……けど、三月達が────」
「────ええ、時間が更に無くなったわ。 あの『金髪』……じゃあ三月と被るから『金ピカ』が慎二の言った様に臓硯の『同盟者』としたら、これまでの昏睡者や行方不明者の魂を『聖杯』の実体化に使ってもおかしくない…………それに…………」
「それに………何だ?」
「いえ、もうここまで来たら文句を言っていられないわ。ここにあるモノを拝借して、今は自分達の手当てなどを済ましてすぐ移動を開始しましょう。 柳洞寺ならば一度衛宮君や私の家によるより直接ここから向かった方が早いわ。(アーチャー、まさか貴方はこの状況を見通して
凛は速足で歩きながら先程のアーチャーの言葉を思い出す。
『
それは死にゆく者の言葉ではなく『バトンタッチ』をする者の言い分だった。
確かにアーチャーが『未来の士郎』の可能性ならば理論的に
だが
ならアーチャーはどうやってそれを士郎に克服させるつもりだったのだ?
アーチャーは運任せなどに頼るような者では無い。
何処かにヒントがある筈。
凛はそう思い、セイバーは士郎の体から鉄の破片などを取り出しながら手当てをし、士郎は近くに置いてある保存食などを次から次へと食べていた、少しでも体力と魔力を戻す為に。
凛はポケットの中に手を入れて、ペンダントを出す。
「…………やっぱり魔力は貯蔵されていないか………」
それは士郎の持っていた方ではなく、アーチャーから渡された方だった。
もしやと思い、凛がそれを取り出して魔力を感知しようとするが、ペンダントの魔力は枯渇したままだった。
後は────
「────ッ!」
凛は
「…………衛宮君、貴方の『投影』は
「…ああ」
「…………衛宮君…………申し訳ないのだけど、貴方は命を賭ける覚悟はあるかしら?」
「それが三月達を守る為ならば、賭けるさ」
「シロウ?!」
「………………………………………ハ?」
凛がジト目で未だにむしゃむしゃと食べる士郎を見る。
「………衛宮君? こういう場合、もう少し相手に詳しい説明を聞いて頂戴な?」
「三月と慎二が危ないんだ。 命を懸けるなんて安い物だ……アイツに言った通り、俺は俺の周りの者達を守る。 俺はどうすれば良いんだ、遠坂? …………って遠坂? どうしたんだ?」
そこには涙腺が緩くなり、凛の目に涙が留まっていた。
「馬鹿! アンタもアーチャーも結局、頑固者で馬鹿同士ね?!」
先程の士郎の言葉で凛はアーチャーを彼の上に連想してしまった。
そしてアーチャーの結末も。
「もう一度言うわよ衛宮君?! まずは自分が第一よ! それが約束出来なかったら私一人でもギルガメッシュをぶっ倒すんだから!」
「お、落ち着け遠坂!」
「リン、聖杯はどうするのですか?」
「………アイツが言った様に十年前の大火災が
「では────」
「────壊すんだな遠坂、聖杯を」
「ええ」
「ですが、リンは良いのですか? 聖杯を得るのは遠坂家の悲願では?」
「………そういうセイバーこそどうなの?」
「以前アーチャーは言っていました、聖杯は『悪質な宝箱』と。 今なら彼の言おうとした事が真に分かるような気がします」
「そっか……………私は初めから叶えたい望みがあった訳じゃないし、壊すのならそれはそれですっきりするわ。 それに私自身は『聖杯の為』じゃなくて『勝つ為』に聖杯戦争に参加したんだし………『聖杯』を得るなんて私にとっては次いでよ、次いで」
「何か………『さっぱり』しているな、遠坂」
「でなきゃやってられないわよ、こんな事。と言うか半分はあんた達兄妹の所為なんだけど、ブツブツブツブツブツ」
「え? 最後なんか言ったか遠坂?」
「な、何でも無いわよ! じゃ、じゃあ作戦会議、移動しながら始めるわよ!」
凛のゴニョゴニョした独り言(愚痴?)を聞こうとした士郎に凛は誤魔化すように話題を変えた。
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衛宮三月 視点
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三月はまた夢を見ていて、以前のアーチャーの時のように浮遊感があり、飛んでいた。
それは太古の景色で、まだ世界に緑が溢れていた時代のようだった。
「(あー、何かホッとするなー………羊羹とお茶が欲しい~よ~)」
それらが跋扈していた時代のような風景に三月はとてもとても────
────
「(う~ん、平和だね~)」
その時、一つの都市にあるジッグラトを見つけてそこへ三月は向かった。
その中に大きな見晴らしの良いバルコニーから入ろうとすると────
「────貴様、許しも無く我の中を見るのも大概にせよ」
「うきゃあああああああ?!」
ドスの効いた、耳に来る怒りに満ちた声で三月はガバっと起き────
「あわわわわ────プゲ?!」
ドサリ!
────上がろうとして体がぐるぐる巻きに縛られていたので見受けの体制も取れず、横に倒れて頭を打つ。
「いたたたたた…………鎖?」
三月が痛みに顔をしかめた後、周りと自分の体を見るとどこかの森の中で鎖によって体が拘束されて横になっているのに気付く。
「フン、ここには我しかいない。 何時まで
「ん? 『みつきは はねる をつかった』!」
ジャラ!ジャラ!ジャラ!
三月の後ろからギルガメッシュの声がしたので、三月は頭と首、そして体が跳ねながら回転する。 そしてそれをする度に鎖のジャラジャラする音が辺りに響く。
正にコイ〇ングの
「………………………」
そこにはイラついているのか、呆れているのか、近くの倒れた木の上に座って退屈そうな表情で三月を見るギルガメッシュがいた。
「…………………『しかしこうかはなかった』」
「『奇を衒う』のは程々にしておけよと以前、我は言った筈だがな? …………まあ良い、さっさと済ませるか」
ギルガメッシュが立ち上がって空中の歪みから一つの黒い槍を取り出し、三月の方へと歩く。
「あの~? それの刃がなんか私に向けr────」
グサッ!
「────────────────────ッッッッッッッあ?!?!?!」
三月の体に突き刺さり、今まで感じた事の無い痛みと気持ち悪さが体中を走り、すぐに意識を失いつつ、体が激しく痙攣する。
その間、槍の柄の部分がどんどんと黒から青へと変色し、まるで生きているかのように脈を打ち始める。
「ほう、流石だ」
数秒後、ギルガメッシュは真っ蒼になった槍を三月から引き抜き興味深そうにそれを見て、未だに意識がなく、地面で僅かに痙攣し続ける三月を後にする。
「聞こえぬとは思うが、やはり貴様は
ギルガメッシュはかなりご機嫌な態度で三月を後にして、その場を去る。
「…………………………………………………………………………」
グゥ~~~~~~~~~~~。
そして三月のお腹が鳴る音が辺りに響くのであった。
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セイバー運営、遠坂凛 視点
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士郎、凛、セイバー達は柳洞寺へと向かう為に山の中を上がっていた。
以前の騒動で円蔵山の結界はかなり乱れていたのでその中でもサーヴァントが行動出来る道を歩いていた。
「衛宮君、体の調子はどう?」
凛が心配そうに士郎の方へと見ると、彼はダラダラと汗を掻いていた。
冬の夜の中で。
「大……丈夫だ、遠坂。 少し……息苦しい……ぐらいだ。 気を付けないと………
「シロウ………」
凛達の作戦は至って単純だった。
柳洞寺にある『聖杯』に山の中を登山し、セイバーの宝具で消し去る……………
と思わせてギルガメッシュを打つ。
だがそう簡単に奇襲をさせるようなのはいくらの彼でも無い筈なので彼の注意を引き、セイバーが不意打ちをかける。
これは最初セイバーも反論するのかと凛は内心ドキドキして遠回りの言い方をしたのだが、意外とセイバーは了承したのだ。
「自分が現状の状態で宝具を撃てるのは二回、良くて三回」だと。
これならば二回を目安に一回はギルガメッシュ、二回目は『聖杯の器』の破壊という作戦になるのだが…………………
≪衛宮君。申し訳ないのだけど、貴方は命を賭ける覚悟はあるかしら?≫
先程の凛の提案で士郎は
これによってセイバーが『宝具を撃てるのは二回、良くて三回』から、『士郎の人体が耐えられる間、何回でも撃てる』といった具合に変わった。
これは
それは────
「(体の奥からマグマが溢れ出ているかのようだし、頭がボ~っとするし、気を付けないと体と魔術回路がウズウズして独りでに暴れそうだ! 三月が小さい頃、こんな薬に頼らないと生きて行けなかったのを知らなかった自分が………許せない!)」
────『三月の薬』の服用だった。
以前凛とイリヤが解析しようとした結果、全て分かった事では無いが少なくとも莫大な魔力を
彼女達の見立てでは錠剤であるものの、あまりにも一気に魔力が増えるので人体の崩壊を防ぐ為に強力な治療薬の
あと凛にセイバー、士郎自身でさえ気付いてはいないが、士郎の「
「そのような爆弾を、衛宮君に背負わせる私は…………ほんと、自分が嫌いになるわ」
「遠坂の………所為じゃない……効率…………だ…………ぁ!」
士郎が倒れそうになり、近くの凛が彼を支える。
初め、凛は自分が薬を服用しようかと思ったが遠坂家の魔術は宝石などの貴重なものなどを媒体にするので基本的に効率の良い魔術
車で例えるのならエコ車に普段より数十倍デカいガスタンクを追加で詰めるようなもの。
長期間の走りは問題ないが今すぐ必要なのは高い威力が出るような、
それに、どちらかと言うとセイバーのマスターである士郎が服用すれば自身とセイバーの使える魔力が増える方が戦力の上昇に繋がる。
1を10にではなく、1.1を11にした方が
その上、イリヤから聞いた話も照合すると恐らくだが『聖杯の器』の核として使われるのは『魔術師』ではない慎二。
その方が、
つまり三月は
これも士郎自らがリスクを背負う要因となった事に凛は彼の心配する半面、自分へのリスクが減少した事に自己嫌悪をしていた。
「(本当に、自分が嫌いになるわ…………でも、これで何とか行ける筈! セイバーの宝具、私の秘蔵の宝石達と魔術師としての腕、そして衛宮君の『投影』と…………まだ使えるかわからない『固有結界』は無い物としてもあの『金ピカ』と腐りきった『聖杯』の破壊ぐらい────)」
その時、凛は久しぶりに前向きに物を考えていた。
『キキ』
突然
「ッ! シロウ、リン! ハァァァァァ!」
セイバーが力任せに剣を振るうと地面を抉り、その上を走っていた蟲共々吹き飛ばし、返しの剣で
「これは、臓硯と
「二人とも先に行ってください! ここは私が食い止めます────!」
「────わかった! 合図を送ったら戦闘離脱するか、しながら宝具をぶっ放して!」
「遠坂、飛ぶぞ!」
「うぃえ衛宮く────きゃああああああああ?!」
士郎が凛の手を取ると同時に
これに度肝を抜かれそうになった凛に悲鳴がすぐさまセイバーからは聞こえなくなっていく。
これは別に距離が開けたからではなく、蟲達の音が更に騒がしくなったからだ。
マイケル:くそ爺が生きていただとぉぉぉぉぉぉ?!
ラケール:というかこの「士郎」って子大丈夫なのかな?
ウェイバー(バカンス体):あれ?作者は?
チエ:「死ね」と命じたからな
三月(バカンス体):多分明日には復活するでしょ
ライダー(バカンス体):何だそのけったいな復活の仕方は?
チエ:一度だけ殺したからな
ウェイバー(バカンス体):…………まあいいや。 チエさん! 次はこの論文を読んでくださいますか?!
チエ:ああ、いいぞ
ウェイバー(バカンス体): ッッッッッ!!!! (ガッツポーズ
ライダー(バカンス体):ううううむ、こういう坊主を見ると────
三月(バカンス体)「ほっこりするのぉ」、でしょ?
ライダー(バカンス体):ハッハッハ! まったく持ってその通りだわい!
雁夜(バカンス体):そろそろもっと大きいコタツが欲しいな