"Stay, Heaven's Blade" Fate said.  “「その天の刃、待たれよ」と『運命』は言った。”   作:haru970

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第36話 人外と破綻者

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 イリヤ、アーチャー 視点

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 緊張と恐怖が希望を見た瞬間、イリヤは叫んだ。

 

「アーチャー!!!」

 

『ぬぅぅぅぅ! またも貴様か?!』

 

 そしてアーチャーは部屋の端にいた桜を担ぎ、イリヤの方へと飛び移る。

 ()()()()()()()()()姿()()()()()()()

 

『な?! 貴様、いつの間に?!』

 

「私は別に仮面もタキシードも着けていないからな、律義に特撮などの『正義の味方(ヒーロー)』みたいに何も正面切っての行動する通りもない」

 

「ほう、『幻術』を使うアーチャーとは、何と多才なことだ」

 

 もし三月がここに居ればツッコンでいただろう。

「せめて薔薇系の剣を投げて!」とか。

 もしくは「古いよ?! ネタ古いよ?!」と言った所か?

 

「アーチャー、アーチャーアーチャー!

 

 イリヤはヒシッとアーチャーを抱きながら安心から涙を流し、彼は優しく震える彼女の頭を撫でる。

 

「黒幕である貴様たちにそのように言葉をかけられてもな。 それに私を褒めてもせいぜいが矢が飛び出るだけだぞ? 貴様の顔面にな、言峰綺礼。 (間に合って………良かった)」

 

「フフ、怖い怖い」

 

 声も表情も何一つ変わらない綺礼と違って臓硯は苛立ちと怒りを全く隠さなかった、この不可解な状況に。

 

『しかし貴様のその状態、何時消えてもおかしくはないのにどうやって────?!』

 

「何、()()に活を入れたどこぞのバカがいたモノでね。 『()()()()()()()()()()()()()()』と思っただけさ。 待たせたね、イリヤ。 大丈夫か?」

 

「ッ!!! うん! うんッ!!!

 

「良かった。 (()()()()、オレは────!)」

 

「────ランサーはどうした?」

 

「貴様の番犬なら()()を外した瞬間、何処かへ飛んで行ったさ。 余程貴様の事が嫌いだったらしいな」

 

『何と使えぬ英霊じゃ! いや、それ以前に貴様、どうやって令呪の契約を解除した?! キャスターでもない貴様が! いや、そもそも何故儂らの事を────?!』

 

「────知れた事。 強いて言うのであれば影でこそこそと謀りを進められると背中がムズムズする性質でね。(伊達に『守護者』をやっていなかったという事か。 まさかそれに感謝する日が来るとはな)」

 

 アーチャーのそれはある種の『直感』に近かった。 『守護者』である彼はその地の異変に敏感で、凛と冬木の町の見回りなどをしている間に激しい違和感を持ち始めた。

 それは「自分がこの街を知っている」というものだった。

 以前の機械化したアーチャーはただただ延々と『守護者』の役割を果たし、今回もそうだと思っていた。

 だが時が進むごとにつれ、彼はその街に見覚えが湧き、少しだけ灰色の記憶が蘇った。

 自分がかつて()()()()()()()と気付いた。

 更に凛が就寝した夜や彼女が学園に登校に同行する度に様々な記憶が蘇った。

 それは断片的にではあるが、()()()()()()()の中で自分の『()()()()()()』が固定さ(歪めら)れた出来事でもあった。

 故に彼は当初の目的を果たそうとした、「自分(エミヤシロウ)という存在を消す為に自分(衛宮士郎)を殺す」。

 

 だがここには明確に自分とは違う存在がいた。

 それは「衛宮三月」と言う()だった。

 故に彼は様子を見る事にし、事の成り行きを見守っていた。

 そして自分が()()()()()出来事とはあまりにも色々なモノがかけ離れていた。

 

「マトウシンジ」があまり捻くれて諦めていなく、未だに義妹思いで、腐らずに『錬金術』に励んで、サクラに暴力を必要以上に振るっていなかった。

 

「マトウサクラ」が兄の事をあまり苦手とせず、彼の事をちゃんと見て、自己としての芯が強かった。

 

「トオサカリン」の考えが更に柔軟で周りを意識していて、他者や親族のサクラとの「魔術師と一般人」の壁と「天才と凡人」の壁を自らの手で壊し、他の者と共に怖からず歩もうとしていた。

 

「イリヤスフィール」は「衛宮切嗣」の行動をある程度理解し、エミヤの者を敵視していないどころか友好的で、『聖杯』の異常を知った途端に協力的でアインツベルンの悲願である筈の『聖杯を完成させる』を蹴ってまで聖杯戦争を中断した。

 

「エミヤシロウ」は「独り」で生きてきたのでは無く、彼を必要とした存在が幼少から近くにいる事で「周りの人達」の大事さに無意識にだが気付き始め、生きようとしていた。

 

 それらは全て、アーチャーが()()()()()()時に初めて手遅れながらも気付いたものばかりだった。

 

 以上の等々のあらゆる面で違いがあり、「本当に自分の記憶は正しいのか?」とアーチャーが思ったほどだった。

 

 そして最後にそれらの出来事の中心には全くの未知の存在が少なからず関与していた。

 

「エミヤミツキ」。 「エミヤシロウ」の()()

 

 その少女はどこかイリヤを思わせながらも人外でありながら「エミヤシロウ」よりも()()に近い部分があり、周りの者の本質を見抜く直感か洞察力を持ちそれに対応し、物事を円滑に進めようと絶えぬ努力家。

 

 不可解で不思議な存在の塊だった。

 

 だがアーチャーは気付く。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と。

 故にアーチャーは大雑把な計画と方針を練り、機会を待った。

 

 もし彼が未だに自分の間違いなどに気付かなければ自分が彼を殺し、当初の目的は達成し、後は自分が事を解決すればいい。

 そして「エミヤシロウ」が自分なりの答えを得て、自分とは違う道を歩むのならギルガメッシュを彼達に任せ、自分は別の事を解決する。

 

 まさにどっちに転がってもいい、合理的な方針。

 

 まあ、まさか素手でエミヤシロウに殴り倒されるとアーチャーは夢にも思っていなかったし、まさかサクラが()()タイミングで臓硯に操られるとはアーチャーにも予想外だった。

 

 まだまだアーチャーの思っていた事などは数々あるが、今は現在の出来事へと戻るとしよう。

 

『ふん、だがまあ良い。 貴様のその体は死にたい、どこまで持つか見ものよな!』

 

 ここでアーチャーの異変にイリヤが気付く。

 

「アーチャー、あなた魔力が────!」

 

 アーチャーがまたイリヤを撫でて、彼女に向きながら()()()()()になりながら優しく声をかける。

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

 その笑顔はイリヤにとって初めて見る顔ではなかった。

 だがあり得なかった。

 まさかのまさかで先程自分の助けを呼ぶ声が通じたとは。

 

「………………()()()……………なの?」

 

「ッ! (………まいったな、つい昔の自分になりかけていた。 だがまあ……良いか。) 少し荒事になるけどいいか、イリヤ?」

 

「………うん!」

 

 笑顔で英霊エミヤに答えるイリヤ。

 

「茶番はそれで終わりかね?」

 

 綺礼へと視線を戻すアーチャー、そして未だに続いている三月特製の魔術礼装の結界に阻まれている臓硯。

 

「強がっても無駄だぞ、言峰綺礼に間桐臓硯。 確かに私は死にかけだが腐ってもサーヴァント。 老いた代行者と衰えた妖物に遅れは取らん」

 

『おのれぇぇい! あと少しで悲願が達成出来るというのに、なぜ今になって────!』

 

「────フム、やはりあれが『聖杯』か。 では消し飛ばすとしよう」

 

「早く壊してアーチャー! アレは起動させちゃだめよ!」

 

「わかっている、イリヤ。 だが目的をここで聞いた方がいい。 直感がね、もしここで彼らを闇雲に滅ぼせば最悪の状態になると言っているのだ」

 

「────成程、確かに貴様を相手にするのが私達であれば敗北は必須。 『守護者』であるならば尚更の事」

 

『何?! こ奴が例の“守護者”じゃと?!』

 

「ぬ? (どうしてだ? 何故この二人が『守護者(私の事)』を知っている?)」

 

 綺礼が初めてアーチャーの反応に対して()()を浮かべ、イリヤとアーチャー二人がぞっと体を震わせた。

 彼の笑った顔に、ガラス玉に色を塗っただけのような不出来な眼球が明らかに異常だったのだ。

 

「フ、アーチャーよ。 君は『神』という存在を信じているかね?」

 

「何?」

 

 質問の意図が分からない、と首を傾げるアーチャー。

 確かにここは教会で目の前の男は神父。

 だがこんな局面で彼は臓硯のように「なぜここが分かった」や逃走の為に時間稼ぎをしているようにも見えなかったことにアーチャーは戸惑った。

 

「何故『今』、そのような質問を?」

 

「答えないならばそれでいい。それまでの話だ」

 

 とりつく島もなく綺礼は会話を終わらせ、親指で『聖杯』を撫でる。

 

「…………私が敢えて答えてやるとしたら、『そんなモノはどうでも良い』というだろう」

 

「………ク……ククク………ククククク」

 

 アーチャーとイリヤ、そして臓硯までもが一瞬目を見開き、綺礼はその表情を納める事もできずに笑い出す。

 何故なら彼は笑っているはずだと言うのに憎悪、嫌悪、害意、絶望などと言った、あらゆるもので声が染まっていた。

 

「なんと…………なんと、下らない。 下らなく()()()()()答えだ」

 

 それは実に愉快そうに笑う綺礼で────

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────あまりにも()()だった。

 

「もっともだ、もっとも過ぎる。 ああ、私にも未練というものが()()()あったのだ。 しかし、感謝しよう。 ()()の反応を示してくれて。 そうか。 私は()()()()()のか。 クククククククク」

 

「何がおかしい、言峰綺礼?」

 

「いや何、私も貴様と同じだったという事だ。 だが()()()に私が会ったときは貴様と同じ答えをしたというだけだ。 感謝しよう。 クククククククク」

 

 綺礼が言い終わると彼の顔は口元を僅かにつり上げて、笑みを浮かべていて、不気味なほどに静謐な雰囲気へと変化していた。

 

 もし事が事でなければ、それは「聖人」と言っても過言ではなかった。

 その「神」が「悪魔」かどうかは別として。

 

「貴方は、何を言っているの?」

 

 イリヤは言いようのない悪寒を振り払うかのように強めに言葉を放った。

 

「やめろ、イリヤ。 ()()彼を分かろうとするな。 彼は既に()()()()()()()()()()()()()。 ()()から思っていたが、()()()()ハッキリ言おうこの()()()()()()()。 ()()()()()()()()

 

 それは()()、とある出来事で言峰綺礼が衛宮士郎は「自分と似ている」と言った意趣返しのようだった。

 

「さて、喋るのはここまでにしよう。 吐いてもらうぞ、お前()の事を!」

 

「ある程度魔力を確保し、聖杯の疑似降誕。 それを利用して、残っているサーヴァントを殲滅し、真に聖杯を確保する。それが少なくともそこの間桐臓硯()目的だ」

 

「「『なっ?!』」」

 

 不意に世間話を投げかけるような何気ない口調で綺礼から回答が帰ってきて、そのあまりの気軽さにアーチャー、イリヤ、そして臓硯すらも唖然として、綺礼以外誰もが思考を一瞬止めたように固まった。

 

 だが様々な場所や人を見てきたアーチャーは正気に戻り、人外である筈の臓硯より()()の綺礼を警戒した。

 彼はここまでの破綻者ではなかった筈。以前からは得体の知れない男だったが更に拍車がかかり、今は臓硯よりも警戒していた。

 

「…………()()()()()()()()()?」

 

「お前の問いに答えた。 それだけだが?」

 

『それを嘘だと思うのも、欺くためだと思うのも、すべてそちらの勝手だ。それ以上もそれ以下も存在しない』。 綺礼の言葉の続きをアーチャー達にはそう聞こえた。

 

 そう言わんばかりの態度であり、確かに綺礼からはそれ以外の意図が何も感じられなかった。

 

『貴様! 裏切るつもりか?!』

 

「裏切る?」

 

 綺礼が返したのはただの復唱であった。

 言っている意味が本当に分からないが故の、ただの聞き返し。

 

「おかしな事を言う。 もうお忘れになられましたか? 最初に『裏切り』を働いたのは間桐のご老体、貴方でしょう?」

 

「(まさか、ゾウケンはキレイを利用していたつもりが、実は反対だった? 分からない………)」

 

「(この男、かつての私と似ている。 だが私と違い、真に『諦め』そのものだ)」

 

「さて────」

 

 綺礼はポケットの中から時計を出して時間を確認すると、杯はかかげたまま右腕の袖をたくし上げる。

 

「令呪をもって『()()()()()()()』に命ず。 ()()()()

 

『おお! そ、その手があったとは!』

 

 綺麗の手に持っていた杯からドプリと『泥』が溢れる。 それを直視したイリヤは、思わず吐きそうになり、両手を素早くアーチャーの胴体から離し、自分の口を覆った。

 

「(令呪を使ったという事は、()()()()()()()()の筈。 でも何だ、 この『違う!』と叫んでいる直感は?)」

 

 その『泥』はギルガメッシュが顕現させたものと似ていて、ただ『そこに居るだけ』で悪意を振りまき、同時に悪意を煽る呪い、呪縛だった。

 

「これが………『聖杯』の異常なの?」

 

 吐き気が落ち着いたイリヤがボソリとそう独り言を言う。

 言いながら思った。

 

「(これが、キリツグが『聖杯』を破壊した理由! セイバーに令呪を使ってでも抹消すべき存在! 今ならわかる! キリツグ! 貴方は間違っていなかった!) アーチャー────!」

 

「────重ねて命じる。 『()()()()()()()』よ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「「なっ!?」」

 

『ま、マテ────ギッ?!』

 

 綺礼の命令と共に『泥』は一瞬にして蟲の群体を飲み込み、池となった『泥』の中から粒のようなものが次々と溢れる。

 

 それは大量の、今までの比にならない蟲の大群で、『泥』と杯から生み出され続け、溢れ出ていた。

 

 ここが真に教会であるのなら、その光景は『ヨハネの黙示録』の第6章第8節に記される第四の騎士の『疫病』がしっくりくるような場面だった。

 

 アーチャーは本能半分、直感半分で問答無用にイリヤと桜を抱えたままその場から全力で離脱した瞬間、彼らが立っていた台の周りの防波堤のように突き刺さった武器達が黒く変質して()()()()()()()()()

 

「チッ」

 

 アーチャーがその場を見ながら舌打ちをする。 『泥』が教会の四方にある壁を内側から突き破り、黒い粒が散漫していった。

 

 この様子では、綺礼の生死は確認できない。 だが彼がどうなっていようと、考慮していられる段階ではなくなったのは確か。

 

 彼が『()()()()()()()』と呼んでいたサーヴァントは臓硯を取り込み、最悪の事態へと変わった。

 

「これはもう、私情など優先できる状況ではなくなったな。 このまま凛達と合流するぞ。 ()()()()もそれで良いな?」

 

『流石“守護者”ですね』

 

「え?」

 

 アーチャーが突然何か言いだしたと思うと、不意に()()()()()()()()()の声が聞こえた。

 

「やはりな。 微弱ながらサーヴァントの気配を感じたからまさかと思ったが良くまだ居てくれた」

 

『かなりギリギリの状態ですが、貴方が霊体を感じれるとは思わなかったです』

 

「まあこれもどこぞの()()のおかげだがな。 奴に出来て私に出来ないという通りはない」*1

 

 アーチャー達はそのままとある屋敷の方向へと向かった。

 

 

 ___________

 

 セイバー運営、遠坂凛、間桐慎二 視点

 ___________

 

 場所は遠坂邸に移り、外では警戒するセイバー。 中ではまた出かける準備の真っ最中だった凛と三月。

 

 何とか歩けるようにはなったが魔力をほぼ使い切った士郎と魔術回路が初めて開き、無理をした信二と瀕死の怪我を負っていたセラは少しでも回復する為に三人とも仮眠をとっていた。

 

「ねえ三月」

 

 準備の為に宝石の補充と服装を新しいのに着替える凛が突然同じように着替えていた三月に声をかける

 余談だが凛は三月に伝えていないが、彼女に貸していたのは自分が子供の頃に着ていたお古だった。

 

「ん? な~に?」

 

「貴方はあの薬を飲むのに何とも無いのかしら?」

 

「あ、士郎から聞いたの? ()()()()()()()()()()?」

 

「そう…………って貴方、か………かなり物騒なもの持っているのね?」

 

 凛が三月の方を見て顔が引きつる。

 

 無理もない、三月が動きやすいシャツとジーンズに着替えて()()()()をし始めていた。

 

「ん~、()()()?」

 

「何でそこで疑問形なのよ?」

 

「まあ、おじさんの忘れ形見みたいなものだから」

 

 それらは『魔術師殺し』として現役だったころの衛宮切嗣の武器や装備等だった。

 

 これらは衛宮切嗣が三月にいろいろと試していた時に癖からか点検を行うと、彼女もし始めてまたも切嗣の目玉が飛び出そうになった。

 後に藤村組に切嗣が頼んで()()と調達した物も入っている。

 

 これは三月が彼に頼んでの事だった。

「士郎を頼まれたからには万全の準備がしたい」と三月が言ったから始まった。

 

 今では切嗣が以前の第四次聖杯戦争に使っていたキャリコやトンプソン・コンテンダー、WA2000、手榴弾等の上にスペツナズ・ナイフ、焼夷弾やベネリM2散弾銃等々が追加された。

 

「『備えあれば患いなし』って言うからね」

 

「………………」

 

 そこで数々の火器を見た凛は「もし衛宮君たちを本気で殺す私がいたら」と思い、ハチの巣になった自分を連想する。

 

 ドガシャァァァァァン! ガラガラガラガラガラガラガラ!!!

 

 そして急に上からの破壊音に凛と三月がビクリとする。

 

「今のは何?!」

 

「客間からみたいね!」

 

 凛と三月は急いで部屋を出て、二階にある居間の扉が歪んでいたのを見る。

 三月がドアノブを捻ろうとしても開かなかった。

 

「扉の周りがひしゃげて開かない!」

 

「ええ、ドアを無理やり開けるわ!」

 

 もの凄~~~~~~~~~~~~くごく最近なデジャヴに襲われた凛は三月と共にドアを蹴破り────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────って()()貴方なの、アーチャー?!」

 

「リンの開口一番が『また』とはかなり奇妙な主従関係をお持ちね、貴方達」

 

「それを言わないでくれイリヤ。こうでもしなければセイバーにいちいち説明しないといけなくなる」

 

『というか何も屋根を突き破る必要はなかったのでは?』

 

「言うなライダー!」

 

 セイバーが屋根の穴から飛び降りる。

 

「あ、アーチャー?! それにイリヤスフィールにサクラにライダー?」

 

「あ、アーチャーさんこんちゃーす」

 

 固まった凛の前には何時かアーチャーを召還した夜を連想させた。

 

 ただ今回違うのはソファーに座っていたアーチャーの首の周りに腕を回したイリヤと、彼が抱えた桜がいたことか?

 

「凛、すまないがサクラをどこか休める部屋に────凛?」

 

 凛がズカズカとアーチャーに迫って彼の顔に拳をそのままの勢いで一発お見舞いする。

 

「グボォ?!」

 

 アーチャーはサクラをソファーの上に放り、イリヤは腕を離し、彼は床へと落ち、凛の顔はツヤが光っていた。

 

「あ、アーチャー……その…ご愁傷さまです?」

 

『やはり奇妙な主従関係ですね』

 

「あー! スッッッッッッッッッキリした!」

 

「「()()()! 大丈夫?!」」

 

 これを見た三月とイリヤがアーチャーのところへと向かい、彼を支えると同時に互いを見る。

 

「あれ? イーちゃん知っていたの?」

 

「う、うん。 ついさっきに、ね。 ミーちゃんこそ、何時分かったの?」

 

「え? ちゃんと見た()()()辺りから」

 

 これを聞いた凛が驚愕する。

 

「ハ、ハァァァァァァ?! あ、あんたアーチャーの事を知っていて、どうして平然としていられるのよ?!」

 

「と言うかミーちゃんはどうやって知ったの?」

 

「え? だって体の特徴とか真剣な顔は兄さんそっくりじゃん?」

 

「「え”」」

 

 顔の頬を片手で覆うアーチャーが起き上がる。

 

「そ、それは私にも盲点だったな。 ちなみ、どこが奴と同じなのだ?」

 

「え? だから言ったじゃん。 真剣な顔とか困った顔とか眉毛とか右の耳たぶの後ろの小さなホクロ三つの内に二には毛が二本ずつ生えているところとか────」

 

 などの事を言う三月にそこに(意識のある)人達は唖然とする。

 そして固まっている間にイリヤが確認すると確かに右の耳たぶの後ろの小さなホクロ三つの内に二には毛が二本ずつ生えていた。

 

「…………と、とにかく桜を診て情報交換しましょう? アーチャー、再契約するわよ────」

 

「────待ってリン。 もし再契約するのなら別の誰かにすれば理論上、令呪が三画使えるようになるわ。 だから私と契約しましょう?」

 

「え」

 

「ちょ、何人のサーヴァントを勝手に横取りしているのよ?!」

 

「いや、私は今マスターのないサーヴァント────」

 

 「「────アーチャーは引っ込んでいて!」」

 

「……………………………………………………………………………………………何でさ?」

 

「アーチャーさん、私は取り敢えず桜を診るから部屋の用意をお願いしていいかな? ここは初めて来る家だからまだちょっと慣れていなくて」

 

「……………………………………………………そうだな」

 

 未だにガミガミと言い合う凛とイリヤをそっちのけでアーチャーが桜を抱えて部屋を出て、三月が後をトテトテと追い、セイバーも後を追う。

 

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

 桜を診てから彼女を寝かせた後、アーチャーは状況を掻い摘んでセイバーに説明し、協会方面を集中的に見張ってくれと頼んだ。

 最初はいまだに敵か味方かもわからないアーチャーに指図されるのは嫌だったのか、聞きたくなかったらしいが、彼の弱まった状態と今の状況で何かをする気配もなく、一応それを了承して遠坂邸の外へと出た。

 

 そこで彼が三月に話しかける。

 

「…………君はどうして、私が『エミヤシロウ』と感じた時、私に聞いて来たり、他のものに話さなかったんだ?」

 

「え? だってアーチャーさん、明らかに隠したかったでしょう?」

 

「………どうしてそう思うんだい?」

 

「兄さんが隠し事をしたい時は左顎辺りがピクピクするから」

 

「……………………………………………………………………本当かね?」

 

 立ち止まったアーチャーに三月が振り返って、二カッと笑う。

 

「うっそぴょ~~~ん♪」

 

「………何故今の状況でそんな冗談を言える?」

 

「え?」

 

 まだ笑う三月に真剣な顔をしたアーチャーがそう聞く。

 だが三月にはこう聞こえた。

「何故今の状況でまだ笑える?」と。

 

「だって、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 それは、あまりにもあっけらかんとし、言わば合理的な答えでもあった。

 人間は緊張や恐怖などの状態が続くと何もしなくても実情以上に疲弊する。

 『故に()()()()()()()』とアーチャーは取っていた。

 

「君は…………本当に()()()

 

「でしょう? エッヘン♪」

 

 まだ立ち尽くすアーチャーを三月は見上げていた。

 

「????」

 

「…………これは提案なのだが────」

 

*1
第18話前半より




マイケル:タキシードと仮面? なんのこっちゃ?

作者:あ~、ちょっと古かったかな?

ラケール:そ~う?

三月(バカンス体):全ぜ~ん? 分かる人には分かるのよ

作者:そうそう

マイケル:だからなんのこっちゃ?

作者:あと今週の投稿が遅れる可能性大です。 誠に申し訳ございませんが、ご了承くださいませ。後、今までのアンケートにはちゃんと目を通してはいます、ご協力ありがとうございます。

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