"Stay, Heaven's Blade" Fate said. “「その天の刃、待たれよ」と『運命』は言った。” 作:haru970
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セイバー運営、遠坂凛、間桐慎二、ライダー、アーチャー 視点
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そこは遠坂邸の通路で、三月とアーチャーが向き合っていた。
「…………これは提案なのだが────」
「────うん、
アーチャーが話し終わる前に三月のあっさりと了承した事に彼でさえも目を見開く。
「…………君はこういう場合、もう少し相手の話が終わってから詳しい事を聞いた方が良いぞ?」
「でもそれで皆を助けられるでしょ? なら
アーチャーと三月のそのやり取りはまさに凛と士郎がしていたやり取りに酷似していた。*1
「………………」
アーチャーがズカズカと硬い表情をしながら三月を壁際に追い込む。
「へ?あ、ちょ、待っ────」
これも以前、凛が士郎にした事に酷似していた。*2
【告。 心拍数急激上昇。 安定さセマスか?】
「…………………」
「えーと? アーチャーさん、困り…………ます?」
「君はもっと
「…………………………?」
三月はただ?マークを出しながらアーチャーを見上げる。
「君はどこかイリヤに似ていて違う。 そして凛にも似ていて違う。 まったく、君の兄は苦労したのだな」
「まあ………否定できないかな? で、アーチャーさんの『提案』って言うのは────」
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
三月とアーチャーが居間へと寄ると凛とイリヤ、そして起きた士郎と慎二とライダー達が情報を交換しながら話し合っていた。
そしてそこには昔のように感情の見えない桜もいた。
「(あ……………桜、昔みたいになっている…)」
「はは、見てよ桜。お、俺達これでお似合いの髪の毛になったな。ハハハ」
「………………ハイ…………」
「桜………」
そこには痛々しいほど桜に元気づけようと話しかける慎二と、彼女の豹変ぶりにどこか悲しそうな雰囲気のライダーがいた。
「ごっめ~ん! 私たち、何かミスっちゃった?」
「三月────って、アーチャー?! お前、やっぱり生きて────?!」
「アーチャー! 良いところに来たわ! 私と────!!!」
「────リン! アーチャーは私と契約するの────!」
「お嬢様~~~~~~~~~~~~!」
「────ぶえ」
凛とイリヤが言いあいそうになり、場の空気を読まずただイリヤへと飛び、彼女を力いっぱいにまだ動く右腕で抱きしめるセラが叫んだ。
「このセラ、ちゃんとお嬢様の事をお伝えましたよ!」
「もがががが!!!」
「お嬢様、お怪我はないですか?!」
「…………………………………ぷは! セラ! 大丈夫?!」
「和んでいる所すまない、状況が状況だけに話を進めるぞ。 あまり時間がない」
安否を確認しあうイリヤとセラに、アーチャーの真剣な声と表情に皆が彼に注目し、彼はアインツベルン城で姿を消したところから出来事を説明する。
それは彼が感じていた
「ねえ、何で桜は……その……えっと」
「恐らくだが彼女は間桐のご老人に
凛が言いにくそうになり、慎二がビクビクし始め、桜は身構えたのを見るとアーチャーがそう強く言い切った。
「恐らくはこうでも言われたのではないか? 『凛達の命が惜しくば、アインツベルンの少女を教会まで連れてこい』と。 現に、アインツベルンの召使は瀕死の傷とはいえ、とどめを刺されなかった理由もそこにあると私は睨んでいる」
「ッ」
桜はただ俯いて何も言わなかった。
「さて、教会での出来事だが────」
そこからはアーチャーが先程セイバーに説明した教会での出来事を言うと凛が考え込み、士郎と慎二は唖然とする。
「そ、そんな…………『聖杯』が
「────あの爺さん…………やっぱり僕達を騙していたんだ」
「慎二君………」
「何が『幸せにしてやる』だ?! あの爺さん、僕を騙すだけでなく…………桜まで…………畜生……………ウッ………グス………畜生ッッ!!!」
慎二が人前で隠す素振りもせずに泣きだしたのは誰もが驚いた。
が、全員は敢えて何も言わず、気付かない振りをして話を続けた。
「ねえ、アーチャー? 確かに彼らはイリヤを『用済み』と言ったのね?」
「ああ、そうだ」
「そうね、リンの考えている通りだと思う。 あの神父の人達は『聖杯』に必要な魔力を集めて、私と言う『鍵』を使って降臨させたと思う」
「そして臓硯をあのクソエセ神父が『聖杯の呪い』に食わせて今暴走中って訳ね……………」
「「「「(綺礼のあだ名に“クソ”が追加された?!)」」」」
「ああ。状況は最悪に近い。 一つの救いは教会が人里から少し離れているという事ぐらいだ。あれは『聖杯の呪い』、あの神父は『アヴェンジャー』と呼んでいたものが『聖杯』を原動力としている以上、無限に広がり続けるだろう」
「なら何とか核になっている『聖杯』を打ち壊すしかないわね…………」
「そうだ、そこで私からの提案があるのだが………かなりのハイリスクリターンを伴うが、聞く気はあるかね?」
アーチャーは真っ直ぐに士郎達を見回しながらそう言う。
「……………異言がないのなら続けるぞ。 まずは
ガタン!
皆が座っていたテーブルから音が出る。
士郎と凛が急に立ったのだ。
「お前! 何を────?!」
「────そうよ! それに貴方、前の時はどうやって私との契約を絶ったのよ?!」
「何、前者は効率と合理性の問題だ。 そして後者に関しては『無限の剣製』でキャスターの持っていた『破戒すべき全ての符』を自身に使っただけだ。 本当に時間がないから続けると、一流の魔術師と再契約を果たしたセイバーの機能は大きく上昇した上に令呪が三画に戻る。 敵は呪いの蟲の大群故に、私の『無限の剣製』と彼女の『約束された勝利の剣』が最も適しているだろう」
士郎と凛がライダーの方をちらっと見るのをアーチャーとイリヤが見て反応する。
「彼女はライダー、つまり騎乗兵のように接近せねばならいタイプの宝具と見たが、違うか?」
「いえ、その通りです。 私の『
「────『特攻野郎〇チーム』?」
「「「「「ブボ」」」」」
そこにいた皆(ライダーと桜以外)が噴出した。
何しろデフォルメしたライダーがポッコリとちょっと太ったこれまたデフォルメした天馬に乗りながら
「…………………………………………………………………………………」
ライダーの静かな視線が三月に注がれ、彼女はライダーの周りにドンヨリとした、「自分明らかに凹んでいますよー」空気で流石にやりすぎたと思い、言葉を続けた。
「あ、いや、その、ごめん。 場の空気をちょっと軽くしたかっただけ。 あとで血を吸っても良いから、ね?」
「仕方ありませんねではそれで手を打ちましょう」
彼女が早口と力強く即答し、発する空気が一気に「うおっほいやったぜ、ウハ♡ウハ♡」へと変わり、三月にはライダーの周りから無数のハートマークが飛び出していたかのように見えた。
「(でも何でハートマーク???)」
「…………コホン。 という訳で、彼女は機動力を使った戦闘では優秀だが、このように呪いに触れたらアウトのような場面ではリスクが高すぎる。 故に私とセイバーや遠距離攻撃が可能な凛と三月が必然と来る事になるが…………ここで皆に紹介したい
ドゴォン!
外から大きな衝撃音が聞こえ、男性の声とセイバーの口論が聞こえてくる。
『おい待て待て待て! 俺は別に今は────!』
『問答無用です!』
『人の話聞けよ?!』
「この声は────」
「────さて、ちょっと席を外すが…すぐに戻ってくる」
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
「いや~、まさかあんたに助けられるとは世の中どうなるか知らねえもんだな? アーチャー」
それは両手を上げながら半透明になっていた青タイツ男、別名ランサーだった。
「その声はやっぱり、ランサー?!」
「あ、こんちゃーす」
「あ? 何だぁ、その挨拶は? 当世の奴か?」
「俗語」
「ハッ! 嬢ちゃんは小せえのにさっぱりしていて大物だな!」
「『小さい』は余計だよ『青タイツ』?!」
ほぼ反射神経で反論する三月をランサーは心底面白そうに見る。
「へー? 他のギスギスした奴らとは大違いだぜ! どうだ、俺のマスターになるか?」
「うん、
「「「「「何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ?!」」」」」
「……………………あ?」
そこにいた皆が三月の即答に驚愕の声を出し、からかい気分で提案したランサー本人も呆気にとられていた。
「………………ハーハッハッハッハ! 即答かよ?! いいね、いいねぇ! ますます気に入った! じゃあ、さっさと契約しちまうとするか!」
「あ、ちょっと待て! その前にアーチャーは大丈夫なあの?!」
「ん? ああ、それも説明するがランサーがこちらに加わることで戦力の上昇も確かな事だ。 そこで凛、彼とも契約を出来るか?」
「え?」
「あ、じゃあアーチャーは私と契約するのね? やった♪」
アーチャーの言った事に複雑な顔をする凛とは反対に明らかに喜ぶイリヤ。
だが────
「────すまない凛、性格上の問題と効率を考えただけなのだが……そうだな、今の君にはセイバーだけでもかなりの負担になるな…………三月
「………………………え?」
そこでイリヤも凛同様に固まる。
「あ? 何だ嬢ちゃん、もう先約がいたのか? 誰だよ?」
「いや、私だが?」
「「「「「…………………………………」」」」」
皆が静まり返り、これを見た三月は────
「────テヘペロ、契約しch────」
冷た~い目をした凛とイリヤ、士郎と慎二がアーチャーを見た。
「────いや、その…………私も言うのもなんだが恐らくランサーの性格はイリヤとは合わないだろう? それに魔力量の問題も────」
士郎より多少は空気が読める
が、結果はご覧の通りである。
「────どうでも良いが早く契約してくれ────うおおおおお?!?! もう足が無くなって来やがった?!」
ワイヤワイヤと一瞬騒がしくなったものの、アーチャーの言うとおりに効率と魔力量を考えた結果、セイバーが凛と契約し、アーチャーと契約した三月はそのままランサーとも契約をした。
当初、アーチャーは士郎やイリヤ辺りが騒ぐかと思ったが不安は憂鬱に終わった。
士郎は────
「────え? その話なら俺よりセイバーとしてくれ。 もともと俺は彼女に聖杯を勝たせる為に契約したんだから彼女の意思を俺は尊重するよ」
そのセイバーは────
「────
これに凛は了承し、誰も見ていない(と彼女が思っていた)時にガッツポーズをし『ウキウキダンス』をしながら「セ・イ・バー・ゲッ・ト♪ やった♪やったわよ~♪ お・と・う・さ・ま~♪」と不可不思議な歌を歌っていたのを士郎達は遠坂邸のキッチンで目撃した。
「まさに『うっかリン』だね♪」と後先考えずに言う三月の一言で見ていた皆が噴き出し、凛にすぐバレるのだが…………
そしてランサーと言えば────
「俺ぁ、別に願いなんてものを『聖杯』なんぞにかけるつもりはねえ。 強ぇぇ奴と戦えればそれで良かったが、今はあの腐れ外道の綺礼だけは俺の手で殺さなきゃ気が治まらねえ。 奴は
そこでランサーが語った内容は聖杯戦争開始の前に魔術協会から派遣された武闘派魔術師である彼のマスターは冬木市に着いた後、調査をして何らかの異常に気付き、監督者の言峰綺礼に協力を求めるが騙し討ちにあって左腕ごと令呪を奪われた。
「だから一つだけ約束してくれ。 俺にあの腐れ外道を討たせろ」
「うん、
「もとより言峰綺礼はこの期に及んでは単なるおまけだ、好きにするが良い」
「ヒュ~! カッコつけやがって、この野郎!」
最初はイリヤがマスターになるという選択もあったが現状の彼女の体の負担などを配慮すると『マスター』ではなく『魔術師』としての後方支援を士郎と共にする事になった。
慎二は『魔術師』に文字通り成ったばかりなので遠坂邸に桜とライダー、そしてセラ達と共に「待機」という名の留守をする事に。
明らかに桜のそばに居たがる彼を引き離すのはアーチャーでも難しく、一緒に連れて行ったとしても出来る事が今の状況ではあまりなかった。
「それに、ここには衛宮君の家よりは強固に結界などを施しているからそう簡単に落ちない筈よ」
と言う凛の推しで留守をする事に。
今の状態の桜と言えば、とても戦場へ連れていける様子ではなかった。
と言うか論外だった。
臓硯が何を彼女にしたのかは直接聞いてはいないが、明らかに過去のトラウマ以上の事があったのは誰の目にも明白だった。
そしてライダーは勿論断固として桜から離れる事を拒んだ。
「もし離そうと思うのならば宝具を爆砕覚悟の上で躊躇なく使いますよ?」という『脅し』に聞こえた『本心』もかけられた。
「ではおさらいするとしよう────」
アーチャーがもう一度出かける準備をする皆に方針を明らかにした。
先ずは教会に行く前に魔術師の皆(慎二と桜と三月以外)の魔力を凛の秘蔵の宝石等を飲み込み、魔力を回復。遠坂邸を出来るだけ拠点として防御の仕掛けなどを施し、要塞化する。
それが終わり次第、教会へ移動。 そして道中、アーチャーが遠距離攻撃で蟲を薙ぎ払い、ランサーとセイバーは士郎、イリヤ、三月を守りながら進む。
教会が見え次第、可能であればアーチャーかセイバーが宝具で教会ごと『聖杯』を壊す。
できなければ一人目が放った宝具の余波があるうちにもう一人が接近して、宝具を更に打つ。
更に破壊できなければもう一人がもう一度宝具を打つ、といった具合のゴリ押しだった。
その間に綺礼が生きていればランサーが宝具を使い、仕留める。
「────といった具合だが、異論はあるか? なければこのまま────」
「────なあ、もしかして俺がマスター達全員を担ぐのか? 嬢ちゃん達はともかく、野郎は趣味じゃ────」
「────ううん、
「「「「
三月が指さしたのは近くの駐車場にある車だった。
勿論無免許の彼女のではなく、赤の他人達のだった。
三月はテクテクと車の運転手側のドアまで行き、ドアと車体の間に三角形の板のような物をガンガンと力ずくで押し込み、隙間ができ次第針金を使って鍵を解除した。
「ほら、イーちゃん以外乗って」
三月はそう言い、今度はハンドルの外側に取り付けていたキーを差し込む部分をM2散弾銃のストックを使ってキーシリンダーを取り出し、キーロックの部分を外して剥き出しになったキーシリンダーを再度差し込み、鍵を捻るとエンジンが掛かり、三月は車から出た。
「???? だから乗って?」
「「「「「………………………………………………………………………………」」」」」
この行動が全て終わり、要した時間はざっと三分ほどで、士郎、イリヤ、凛、アーチャー、セイバーが呆気に取られていた。
「はっはっはっはっは! いやまったく、俺のマスターは頼もしいねぇ~! もっと早くに見つけて契約したかったぜ!」
「えーと、ありがとう?」
約一人の豪快に笑うランサーを除いて。
「あー、三月? どうしてこんな事を知っているんだ?」
「???
「じゃ、じゃあさっきの三角の板を使うアイディアをミーちゃんはどこで見たの?」
「アメリカの空港署ドキュメンタリーで駐車場料金を払っていない車達をどうやって動かすか見せていたのを観た」
これを聞いたランサーも流石に何かを思ったのかアーチャーを見て聞いた。
「なぁ、もしかした俺らのマスターってとんでもない奴か?」
「大丈夫、君も時期に慣れるさ」
「…………俺の女運がここでも発動するとは、末恐ろしいねぇ」
「全く同感だ」と内心同意したアーチャーだったが敢えて何も言わずにウキウキと運転席に座るイリヤと助手席に座る三月を見て青くなる士郎と凛に同情した。
ちなみに騎乗スキルを持っているセイバーも運転は出来るのだがそうすると宝具を打てないのでその案は却下され、代わりにイリヤのドライブテクを以前見た三月が彼女を推薦した。*3
作者:コントはほぼ無しです。 楽しんで頂けたらお気に入りや評価、感想等あると励みになります。 宜しくお願いします。
三月(バカンス体):ちなみにこの車の開け方は実際前にアメリカの空港で働いていた作者の知人が撮ったビデオからそのまま取った方法です。いや~、日本とは大違いですね~。 色々と
作者:ではまた次話で会いましょう! ……………大丈夫かな、これ? もしかすると読み直して修正するかもしれませんが、その場合、次話の前書きとこの話のここ、後書きにて追記します!