"Stay, Heaven's Blade" Fate said.  “「その天の刃、待たれよ」と『運命』は言った。”   作:haru970

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ここからどんどん時空とかが加速して行きます。

あと、ワカメたちの登場です。

1/14/21 追記: この話から『信二』から『慎二』に修正していきます。 誤字報告ありがとうございます宇宙戦争さん!


第4話 カラスがガーガー鳴いて…………いなかった!

 ___________

 

 三月 視点

 ___________

 

 おじさんのお葬式から数年、中学に上がった私達の周りには色々と変化が起きた。

 

 まず、私は出来るだけ『明るく、接しやすい子』に()()()

 

 周りを笑顔に出来、笑えるように色々な知識や情報、髪型やファッションに至るまでメディアなどから『()()』して、()()()()()

 色々な事を試した結果、『これ』が一番他者と付き合いやすい様子だった。

 結果、『友』と呼べる者はいないが、大勢には『顔見知り』程度にはなった………と思う。

 

 おじさんが亡くなった『あの日』の感覚は不愉快極まりなかった。

 

 後、お兄ちゃんとは別々のクラスになってしまい、お兄ちゃんはすっかり大人びた落ち着きを身に着けていた。

 そして彼の頼み事に対して拒否しない性格を良い事に、周囲から便利屋扱いされてしまっていた。

 

 当時それを知り合いの女子生徒から聞いた時は胸がムカムカとして、頭の温度が上昇した(これが後に『血が頭に上る』という現象かとも『理解』した)。

 未だに私と彼が全くと言って良いほど似ていないので皆、私達が義兄妹なのをよく忘れる。

 

 が、その先でお兄ちゃんは嬉しくなりながら私に話した。

 

『間桐慎二』との出会いの事を。

 

 その日、お兄ちゃんは文化祭の準備を押し付けられていた。 お兄ちゃんはちゃんと自分の仕事をこなしていたのに皆、ただ『遊びに行きたいから』という理由でクラスメイト達が大物作りの仕事を彼一人に丸投げにした。

 

 最初はその『間桐慎二』が手伝ったのかと聞いたが、そんな事はしていなかった。

 彼はただずっとお兄ちゃんが作業するのを見ていたらしい。

 そして文句を言っていた。 

 

 彼はお兄ちゃんが断れない性格の事を気に入らなかったみたいだけど、完成した品をを見たら彼はこう言ったそうだ────

 

「────あの出来は正に完璧だった。嫌々やっていたら、あんな物は作れないよ。正直、押しに弱い軟弱者だと思っていたけど、考えを改めさせられたよ」

 

 それからお兄ちゃんとよくつるむようになり、早くも『親友』となった。

 

『間桐慎二』の事は噂だけは聞いていて、あまり他者とは関わらない人だったようだけど、お兄ちゃん(衛宮士郎)は別だったみたい。

 

 衛宮邸にも良く来る事になって私も彼と顔を合わせるようになり、彼は意外と噂で聞くより『良い人』のように思えた。

 

 別に話しをする訳でもなく、学外で会う時はせいぜい会釈をする程度。しかも、私からの一方通行。お兄ちゃんがいる時にちょっっっっっと話に混ぜてもらえる程。 しかもお兄ちゃんが混ぜようとする時だけ。

 

 それだけでも、『間桐慎二』は『良い人間(ヒト)』と推測できた。 

 何せ話や情報を総合すると彼には『裏』などなく、良くも悪くもまっすぐなほど『表』しかない。

 

 そしてそんな彼が事前連絡もないのに急に衛宮邸に押し掛けてきた。

 

 最初「士郎ならいませんよ」と言ったのだが「それでもかまわない」と言われて(自分で)上がってきた。

 

 変だな、いつものなら「そうか、邪魔したな」で終わるのに。

 

 勝手にお邪魔して何かと思ったが、お兄ちゃんの友人なので取り敢えず彼の話に相槌をしている。

 

「────ところで三月」

 

「はい?」

 

 多分『衛宮』と呼んだらお兄ちゃんと被る事になるだろうからそう言ったと思うけど………

 急に何だろう?

 

「衛宮って誰か好きな子とかいるのか?」

 

 ……………………………何その激突な質問は?

 

「えーと?」

 

「いや、君の顔は男性女性との間では結構広いからな、そのような事も知っているんじゃないかなって」

 

 まあ、確かに努力の末に『顔見知り』は多くなったし、情報源も広くなったけど………

 やはり食べ物の力は偉大だ。 おじさんが亡くなった後から弁当箱を二段にして、おかずを他の人達に分ける作戦は思ったより効果的だった。

 

「それに学校で『月の女神』って呼ばれているお前の周りにいる女子の誰かが衛宮の興味を引くと思ったんだが…………」

 

 なんだ、それ?

 私は初耳やぞ?

 これは後で聞く必要があるな。

『月の女神』って何だ?

 

「えーと、聞いた事ない…かな?」

 

「ふーん、やっぱりな。 アイツもお前も男女の色恋には疎い感じだしな」

 

 確かに色恋には疎い。

 ()()()()()のだから。

 

「ただいまー、ってあれ? 慎二?」

 

「遅いぞ衛宮! まったく……茶は旨かったが正直待ちくたびれちゃったぜ?」

 

「いや、慎二が来ているとか予想外だし────」

 

「────うるさいな! 休日や学校後は僕がいつ来ても良いように自宅に待機しておけよ! 人に何も頼まれなかったら他に大した用事も無いような奴だろ?」

 

「………それは理不尽すぎないか?」

 

 私もそう思う。

 

「そうだ衛宮、暇なお前達を我が家へ招待してやるよ。 ついでに僕の妹にも合わせてやるよ」

 

「急だな、おい」

 

「ところで三月、ガイスバーガーマーチを頼む」

 

「無視かよ…って、毎度の事ながら何でお前が人の妹を当然のようにコック扱いしてるんだよ?!」

 

「分かったわ」

 

「…………三月は三月でそんな簡単に了承するなよ」

 

 お兄ちゃんに言われたくない。

 

 別に慎二がこのようにご飯を注文するのは初めてではない。

 ただある日、私とお兄ちゃんが自身の弁当を自作していると聞いた日から何かと私に世界各地の料理を注文するようになった(二段弁当箱にしたのでレパートリーは自然と増えていたし)。

 

 私は料理のレシピを『()()』する。

 確かドイツのシュトゥットガルト州内のシチューだったっけ?

『ヨーロッパの食べ物紹介』で出てきたような…………

 ()()()、番組の16:48のこれだ。

 でも丁度家に食材が無いものもある…………

 

「じゃあちょっと食材買いに出掛けてくるね、()()()()()

 

「ああ、いっ────」

 

「ブフゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ?!」

 

「うわ、慎二?! 大丈夫か?!」

 

 何故か急に慎二が口に含んでいたお茶を盛大にぶちまけて、お兄ちゃんは慌てていた。

 二人に留守を任せて私は町へと出ようと玄関で靴を履いていたら中から慎二の叫び声が聞こえた。

 

「お、お、お、お、お、『お兄ちゃん』だとぉぉぉぉぉぉ?!?!?!?!?!?!?!?」

 

 ああ、そう言えば慎二の前で『お兄ちゃん』と呼ぶのはこれが初めてだったな。 いつも何かとそう呼ぶタイミングなかったし。

 

 …………………………でもそのあと彼の言った『イケる』との一言は何の話だろう?

 

 

 

 そして商店街に入ると、ふと私は気付く。

 

「…………あれ? 『間桐慎二』に『妹』なんていたの?」

 

 そう、今まで『間桐慎二』に『妹』がいるなど聞いた事もなかったのだ。

 

 歩きながら『()()』すると確かに『間桐桜』と言う名前を見つけるがそれ以上の情報はコレといって何もなかった。

 

「…………………フ~ム、これはこれでナゾナゾね~」

 

 私は内心ウキウキしながら商店街を回り、この頃見ている探偵モノにハマっているのが影響したのか、あるアニソンを鼻声で歌いながら食材を買った。

 『一つの真実』の方じゃなくて、『混乱した記憶』をオープニングにしている方だ。

 じっちゃん(おじさん)の名に懸けて全力を出そう。

 

 そしてガイスバーガーマーチどころか、ドイツのフルコースディナーを作り、慎二を見返した。

 数々のおかずを前にタジタジになった慎二を更にからかう為に長くなった金髪をポニーテールにしたままエッヘン!とエプロンを着けたまま胸を張った瞬間、吹き出しそうな慎二が顔を逸らす。

 

 ガツガツ食べるのは構わないけど二人共(お兄ちゃんと慎二が)(明らかに)無理して食べようとしなくても良いのに………

 ラップして、また次の日に食べたら良いと言ったら────

 

「「────(三月の手料理に)そんな勿体ない事できるかッッ!!!!」」

 

 と何故か二人共叫んだ。

 

 ………………………なんでさ?

 

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 あれから数日後、慎二が私とお兄ちゃんを間桐邸に招待してくれました。

 恐らく完全な善意から招待したと思うのだけど……………

 

「ようこそ、我が家へ。衛宮に三月」

 

 私はナゾナゾにウキウキしていたと言ったな?

 前言撤回をしよう。

 

【警告。 異常地帯を感知しました。 身の危険、大。直ちに撤退を推薦シマス】

 

 

 今すぐ滅茶苦茶帰りたい。

 

 

 え、何このバイ〇ハザード感は?

 

 いやゲームをプレイするんじゃなくて、まるで私がゲームの中に放り込まれてアー〇レイ山の洋館の前に立たされている感覚が一番しっくりくるか。

 

 あとさっきから【  】の声がビンッビンッにさっきから引っ切り無しに警告してくるんだが。

 てか『異常地帯』って何? バミューダトライアングルに私、今から突入するの?

 ……………生きて帰って来れるかな、私?

 

【告。現在の状態での生存率は────】

 

 ────うわー、聞きたくないなー。

 

 そんなこんなで私達は間桐邸の中に入った。

 

 ………ああ、ご心配なく。

 カラスはガーガー鳴いていませんでしたし、犬もバウバウ吠えていませんでした。

 鳴いて(吠えて)いたらもうサバイバルホラーどころか、ホラー映画並みにお兄ちゃんを引きずってでも全力疾走で逃げている自信があったよ。

 

 鳴いて(吠えて)欲しかったよ、トホホ。

 

「妹の桜は居間にいる。 僕から見ても可愛いからな、きっと三月と気が合う筈だ」

 

 何言っているんだ、このアホワカメ?

 まるで『可愛い者同士』イコール『仲良し』と本気で思っているのか?

 乾燥してんのか?

 いや、この屋敷内ジメジメしているからあり得ないな。

 あ~、全身鳥肌が総立ちするし、膝も笑っているー。

 

「衛宮、いいゲームを見つけたんだ。 僕の部屋で遊ぼうぜ」

 

「おう!」

 

『おう!』じゃないよお兄ちゃんッッッ?!?!?!

 妹をこんなところで一人にする気?!

 

「ほら、こっちだ」

 

 慎二がさらに奥に入り、お兄ちゃんも歩くと、私はヒシっと昔みたいにお兄ちゃんの背中に引っ付く(隠れる)

 

「? どうした三月?」

 

「あ、いや、その~」

 

「ああ! 慎二の妹に会うのに緊張しているのか! 大丈夫だって。きっと、慎二の奴みたいにズケズケと物を言ってくると思うから緊張している暇なんて無くなるさ」

 

 ………………うん、緊張は緊張だけど度が全然違うよお兄ちゃん。

 

「桜! 紹介するよ。 こっちが衛宮で、そっちが三月だ」

 

 …………あー、慎二君? 私が見ているのは蝋人形か何かかな?

 

 そこにいた『ソレ』には『()()()()()()()()()』。

 

「ハハ、こいつ無愛想なんだ」

 

 ぺシッ。

 

 慎二が桜の頭を叩き、桜は慎二を光の無い虚無の瞳で見つめながら感情のない声を上げた。

 

「…………いたい」

 

「じゃあ、もっと愛想良くしろよ!」

 

 ………………何だろう、胸の奥がザワザワしてチクチクして若干ポカポカして…………

 こんなの初めてだ。

 理解不能。

 理解不能。

 理解不能。

 理解不能。

 

「じゃあ男子は男子で、女子は女子で別れようぜ! 行こうぜ衛宮!」

 

「ああ!」

 

 うぉい?! ちょっと待ていぃぃぃぃぃ?!

 

 声に出す前に二人は階段を上がり、私の手は上げたまま宙ぶらりんになっていた。

 

「………えーと?」

 

 未だにのっぺりとした顔の桜に私は振り向かう。

 

「初めまして。 『衛宮』三月です」

 

「……初めまして。 間桐桜です」

 

 ………ん? さっき私が『衛宮』って言った時に目が揺らいだような……

 気の所為かな?

 良し。 『明るく、接しやすい子』モード、全開!

 

「ねえ、趣味は何?」

「ありません」

「好きな事は?」

「ありません」

「嫌いな事は?」

「…ありません」

 

 お? 少し言い淀った?

 でも『好きな事』は即答で『嫌いな事』はあるって………

 

 しかも明らかに年下のこんな子が…………

 

「ね、ねえ? 部屋でテレビでも一緒に見よっか?」

「無いです」

「無いんかい?!」

 

 桜の体がビクッとする。

 

 あ、やば。 思わず『ガサツ』と『ツッコミ』が同時発動してた。

 今は『待機』っと。

 

「ご、ごめんね急に大きな声出しちゃって? あ、あははは~」

「………………………………」

 

 『私』にどないせいっちゅうねん?!

 

 頑張れ『明るく、接しやすい子』。

 

 黙らっしゃい『クールな子』!

 

 寧ろこのまま質問攻めにすればいいのでは?

 

 それだぁぁぁぁ! ナイスだ、『理性的な子』!

 

「アイスブレーカー、ファイアースターター!」

「………………………………………………………」

「……………………………………コホン、親友との一番の思い出は何ですか?」

「ありません」

「今まで誰かにした一番悪かった悪戯は何ですか?」

「した事ありません」

「お気に入りの服は何ですか?」

「ありません」

「好きなお菓子は?」

「ありません」

「土曜日の朝、起きたときに最初にすることは何ですか?」

「呼吸をします」

 

 おぅふ。

 これは……

 普通のゲームのハードモードどころか、『NINJA GAID〇〇(ニンジャ ガイデ〇)』のハートモードをクリアした時のレベルの難問だ。

 

 ハイそこマニアックゲーマーなんて言わなーい。

 これも立派とした話題共通情報ですー。

 




と言う訳で三月はかなりのアニメファンとゲーマーと料理人になってしまいました(笑)。

「型月の世界にこんなゲームとかあるの?」と思うかも知れませんが、まあ魔術協会とかが意図的に「そういうのは架空の存在」で秘匿に一枚噛んでいるという事で。

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