"Stay, Heaven's Blade" Fate said. “「その天の刃、待たれよ」と『運命』は言った。” 作:haru970
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公安機関、自衛隊 視点
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『撃て!』
その通信でF-15Jの何機が同時にミサイルを撃ち込む。
『■■■■■!!!』
臓硯の咆哮が上昇し始めるパイロット達のカノピーの強化ガラスをガタガタと音を鳴らせる。
『どうだ?! 一個ぐらい効果有りそうなのは無かったか?!』
『ダメです中尉! ミサイルもバルカンも呑み込まれていきます! ダメージを与えてはいますが…………』
先程からF-15Jの戦闘機部隊が交代制で様々な火器を使って攻撃していた。
が、決定的なダメージは目に見えていなかった。
それどころか、功を焦った何機かは接近しすぎてミサイル同様に
『クソ、もうすぐタイムリミットが来るって言うのに!』
内心ハラハラしっぱなしの葉鳥羽中尉は出来るならば一度上層部に取り合って空爆をあの怪物限定にし、それこそ怪獣映画のように自衛隊と米軍の総力を集結して打つような相手と分かっていた。
今までの行動に意味があるのかどうかも分からず、数機を既にロストした。
同僚達の断末魔からしてパイロットは死んだと見ていい。
唯一の救いは怪物が一機のUH-60Jを追っていて、彼らが怪物を人里から誘導していた事か。
これを見たF-15Jのパイロット達は何度も通信を試すが通信機が壊れているのか、応答は無かった。
というか恐らく通信が聞こえていなかったのだろう、何せ
『だがやるしかない! ダメージがあるのならば、攻撃の手を緩めなければ少なくとも被害を小さくできる筈だ!』
そう言い、F-15J達が臓硯に目掛けて攻撃を再開しようとしたときに新しい声が通信越しに聞こえてきた。
『こちら陸上の武田大佐だ。 少し無理を押し通して君達航空の通信に繋いでもらった。 君達も恐らく、我々と同じような命令を受けたと思うが………別の通信機で聞こえて来る通信を聞かせるぞ────』
『────ビーザザザザザ………………こちらレッド1、公安と自衛隊の諸君聞こえるかね? 私は今航空隊が攻撃をしているあの化け物が追っているヘリに搭乗している者の一人だ』
それは青年男性の声で、もし彼に言っていた事が本当ならばあんな切羽詰まった状況の中だというのに冷静な声は彼が如何に修羅場慣れしているかを表現していたようだった。
『私を信用しろとは言わない、ただ今からあの化け物に
その途端、一閃の光がヘリコプターから射出されて大きな爆発と共に怪物を怯ませた。
それは、F-15J達のミサイルを数発同時に着弾させた成果と同じ火力だった。
『さて、見ての通り
それは航空隊、及び双眼鏡などで見ていた陸上隊や米軍には信じられない光景だった。
たった一つの攻撃でミサイル数発の攻撃力があるヘリコプターの人物はそれこそ文字通り超人としか思えなかった。
『ありえない』。
それだけが頭を駆けて行った。 いよいよ恐怖や不安などで幻覚や頭が狂ったのか………
『では本題に入ろう。 あの怪物には“核”があり、それさえ健在であれば
『そんな馬鹿な』。 その考えだけが自衛隊員達や米軍に残った。
何故なら、そんな都合の良い話がある訳が無い。
そんな、まるで
『もし、これを承諾するのならばこの周波数で返事をしてくれ』
『……………各隊員、上空で待機! 私が様子を見る!』
『『『『中尉?!』』』』
そう葉鳥羽中尉の機体が急降下し、怪物の前を飛んでいるUH-60Jへと近づく。
『さあ、どんな秘密兵器を────なッ?!』
そこで葉鳥羽中尉が見たのは一人の成年男子が開いたドアから
キャビンの中では15,6歳程の白い髪の毛をした少年少女と、メイド服らしきものを着た成人女性、そしてパイロットはプロポーション抜群でボディコン服を着た女性。
『ハ………ハハハ…………何の………悪い冗談だこれは? 質の悪いアングラB級映画より酷いじゃないか』
『は、葉鳥羽中尉?』
『中に
『『『『『『『はぁ?』』』』』』
混乱した他の航空隊や陸上の声が返ってくる。
それを直視していない彼らからすれば葉鳥羽中尉の通信はもはや夢物語の領域を超えて、『発狂』のレベルだった。
『…あー、中尉? こちら陸上の武田大佐だ、もう一度────』
葉鳥羽中尉が見ている中、弓から矢を射て、先程と同じ攻撃が怪物に当たる。
『本物だ! 奴は本物だ!』
赤い服装を着た男性は通信機を頭に戻す。
『さて、隣にいるのは航空隊の指揮官かね? 私を信じるかどうかは別にして、このままジリ貧のまま攻撃を続けるか? それとも協力して────
────
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ライダー運営、セラ、アーチャー 視点
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「(さて、どう出る自衛隊)」
アーチャーは先程のパフォーマンスの為にワザと爆発力の高い武装を使った。
勿論今の臓硯の内部にあるはずの『聖杯』相手に必要なのは『爆発』ではなく『貫通力』なのだが敢えて
「(しかし皮肉なものだ。 英雄などと言ったモノを毛嫌いした私が………)」
『…………こちら航空隊の葉鳥羽中尉だ、君は誰だね? 所属と名を言え』
「(かかったか。) 何、こちらはただの通りすがりの『正義の味方』だ。 名はとうの昔に捨てた。 それで私を警戒するのは当たり前なので、まず情報を与えよう。 『アレ』に対する武装は全て着弾前に起爆出来るものに限定しろ、『アレ』に触れた時点で主導権を持っていかれる。 あと、既に何機か取り込まれたようだが『アレ』の近くに行ってはダメだ。 見ての通り
『…………君は何故そこまでするのだ? 君の様なモノなら────』
「────さっきも言ったように、『アレ』は無限に再生する。 今はこちらの攻撃などで増殖は止まったが、それも何時まで持つか分からん。 『アレ』は
『…………………』
『……こちら、陸上の武田大佐だ。 私は彼に賭けようと思う』
『大佐?!』
『これで貸しは無しだぞ、葉鳥羽』
『………こちら葉鳥羽中尉だ。 聞いた通りだ皆』
アーチャーはフッと笑いながら新都の北にある海岸を見た。
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衛宮士郎、遠坂凛、イリヤ、衛宮三月 視点
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ダダダダダダダダダダダダ!
「うひゃあ?!」
「きゃ?!」
「な、何何何何?!」
先に起きたのは士郎、凛、イリヤの誰かではなく、全員が同時に銃の発砲音によって叩き起こされる。
「皆、捕まっていて!」
ギャギャギャギャ!
タイヤがアスファルトにきつく当たり、悲鳴を上げて車がドリフトしながらターンをすると後ろから追っていた車の何台かが転倒するかビルにぶつかり大破する。
「ゲホ! ごめん皆! 後から
三月はあれからドライブを続けている内に新都内へと入らずを得なくなり、先遣隊の自衛隊や米軍、後は初めて駆け付けた公安の
「ガキ共が車に乗っているぞぉ! 免許持ってんのかよぉ?!」
「生意気な奴らだぁ! 引きずり降ろせぇ!」
「ヒャッハー! 次はオレにぶっ殺させろぉ!!! ノコギリもあるからよぉ!!!」
「へっへ! 肉はきっと柔らけぇんだろうなぁ!!!」
正に世紀末の様なセリフが飛んできた事に、士郎達の寝起きの頭は覚醒した。
「なッ?! あいつら、警察とか自衛隊の筈だろ?!」
追ってくる血塗れで、明らかに人などを撥ねたバンパーのパトカーやトラックに乗っていた人達の服装から士郎はびっくりする。
「あの人達はもう駄目ね、『聖杯の呪い』で精神が滅茶苦茶よ」
「という訳で今彼らを助けようとしても無駄よ、衛宮君」
「そんな?!」
「ウッ! ゲホ! ゲホ!」
「三月? 大丈夫か?」
咳き込む三月に士郎が声をかける。
「
ダンダンダン!
ダダダダダダダダダダ!!!
遂に追ってくる狂人達が自前の銃を撃ってくる。
「クッ! 撃ちなさい、衛宮君!」
「分かっている遠坂! イリヤは弾倉の装填頼む!」
こうして士郎と凛が車に残った火器と魔術を取り組んで撃ち返す。
ブォォォォォォォォォォォン!
細い横道などから二輪車などが出てきて、後ろの追手と同じような狂人共が全員を襲ってきた。
大きな鎌や斧と、二輪車の後ろに付けた
「「「豚共々皆殺しだぁぁァァァ!!! ヒャーハハハハハハ!」」」
「「「民間人はぁぁぁぁぁ!!! ジャマァァァ! スルナァァァァァァ!!!」」」
士郎達、公安と先遣隊の自衛隊や米軍達、そして新都の暴動を生き残って来た強者達の三つ巴が開始した。
二輪車やトラックで来て、刃物や鈍器、ロープや鎖に公安と自衛隊からぶんどった装備や自家製火炎瓶などで襲い掛かる数が多い新都の住民達。
訓練をされ、正規の銃保有者や装備で数は少ないが洗礼された動きと行動を取る、狂った公安と先遣隊。
そして少年少女とは言え、魔術師を乗せた車一台。
全てがこの最後の一台の車によって新都の北へと向かう。
「死ねぇぇぇぇぇ────ぐはぁ!」
「うるせぇ!」
士郎が銃を乱射して二輪車に乗って近づいて来た一人を撃ち、搭乗者は二輪車と共に車を追っている自衛隊のトラックの下でミンチへと変わる。
それでも尚戦いは続く。
凛は魔力の温存の為に銃を不器用ながらも、反動を抑えながら狙って撃つ。
「イリヤ、次!」
「もう無いわよ! これを使って!」
そして次々と残弾が少なくなって行くにつれて仕方なく魔術を使い始める。
「あぐ?!」
「ミーちゃん?!」
急に声を出した三月を聞いてイリヤは彼女の名を呼ぶ。
「大丈夫………掠っただけ────」
「────イリヤ、次!」
凛に次の銃を要求されるイリヤはまた士郎達の方に振り返って、三月は抑えていた脇から血が流れ────
────ていなかった、言うほど。
「(…………大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫ッッッ!!!)」
直ぐに治癒術で傷口を消して、痛覚をまた遮断した後運転に戻ろうとして投げつけられた火炎瓶を片手でキャッチして投げ返す。
「アギャアアアアアアア!!!」
三月たちの車に体当たりをしようとしたトラックの運転手が火達磨になり、トラックが転倒して何台かの二輪車と車を道連れにする。
『三月君! こちらは全員配置に着いた! そちらは────?!』
『ごめんアーチャーさん、新都の狂った人達の相手をしている最中! ちょっと忙しい!』
『そちらに何機か航空自衛隊の機体を送った! それまで持ちこたえてくれ!』
『………アーチャーさんに令呪を使っても無理っぽい?』
『………………恐らくは』
『そっか、じゃあ仕方ないね。
『………大丈夫かね?』
『
三月が後ろを見て
「イーちゃん、ちょっと運転代わって────」
「え?!ちょっと、ミーちゃん?!」
三月が急にイリヤにハンドルを握らせて、運転席から乗り出して『
「I am────」
ビキビキと筋肉が悲鳴を上げる。
「────the bone of ────」
ギシギシと腱の摩擦がうるさくなる。
「──── my sword!!!」
ヒュン!
鋭い音と共に三月に視界がぼやけて、彼女はゴクリと喉に込み上げる血を飲み込んだ。
ドゴォン!
「グアァァァァァァァァ!!!」
大きな爆発が後ろに起きて敵達を一掃する。
車や二輪車たちは光の中に消え、アスファルトがめくり上げられ、道路が消える。
「ス、スゲェ」
士郎が思わず感心する。
「(やっぱり、今のってアーチャーの『弓矢』! あの時綺礼を殺ったのと同じ! 彼女はやはり危険ね)」
三月の事を更に不審に思う凛。
「………ミーちゃん? 三月!!!」
そして三月の名を呼ぶイリヤが見たのは力尽きたかのようにダランと体を車の外に出す三月は────
────目と耳と鼻と口から血を流していた。
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
車を近くのクリニックの跡らしきビルの近くに駐車して、凛が中に入って荒らされた店の中を漁る。
その間に士郎は近くを見てきて、他に使えそうな車や食べ物のある店などを探していた。
イリヤはと言うと三月の服を脱がして治癒を────
「────ッ」
イリヤは短く息を呑む。
「イリヤ! 彼女の容t────」
カゴに色々な薬や包帯などを詰め込んだ凛が戻って来て、それを落とす。
カラカラと地面の上を転がる包帯と薬の瓶。
「……………………何よ、
彼女達が見た三月の体はやつれていて、あばら骨などが浮き出ていて、まるで皮だけの状態だった。
まるで
────ガシィ!
「ヒィ!!!」
イリヤの腕を三月がガッシリと掴んで、イリヤは思わず短い悲鳴を出した。
「ヒュー……………ヒュー……………」
ヒューヒューと息をする間に三月の口が動いて、イリヤが近くまで耳を寄せる。
「………彼女は、何て?」
イリヤが涙を流しながら凛に伝える。
「………『お兄ちゃん達には言わないで、
凛がビックリして三月の顔を見ると、三月はただはにかんでいた。
まるで安心させるかのような、かつての
「う………」
凛は思わず口を両手で覆い、静かに泣いた。
「遠坂、イリヤ! こっちに良い状態の車がお店の駐車場にあったんだ!」
士郎の近づく声で三月に服をいそいそと着させる凛とイリヤ。
「ハァ、ハァ、あ、あっちに────って、どうした二人とも? 目が赤いぞ?」
「な、何でもないよ! た、ただ眠いだけ!」
「そ、そうよ! そういえばお店ってどんなところ?」
イリヤと凛の元気な声に呆気に取られる士郎。
「え………えっと、コンビニなんだ。 だから食べ物とかも────」
グゥ~~~~~~~~~~~~。
三月のお腹が鳴って、三人は彼女を────
「────あ、ああ! 衛宮君は周りを警戒して! 私とイリヤで付いていくから!」
「そ、そうそう! お兄ちゃんがこの中で今一番接近戦とかに長けているから!」
そう士郎に言い聞かし、彼を先に行く様に言う凛とイリヤ。
そして三月を抱きかかえる。
それほどまで異様に軽かったのだ。
「ウ………ミー………ちゃん………」
「大丈夫、大丈夫だから泣かないで
泣きそうになるイリヤに静かに声をかける三月を見る凛はまた泣いていた。
何とか気丈に振舞っているが、正直気持ちが未だにグチャグチャだった。
『三月は
それは理屈として分かっている、警戒した方が良い事も分かっているし、この様に『害』どころか『利』まで得ている事も『魔術師』ならば
人に害を成すかも知れない人外が自ら自滅していくのだから。
だが『人間』として凛はただ悲しく、以上のような考えをする自分が恥ずかしくて自己嫌悪して、どう行動すれば良いのか分からなかった。
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
「バクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバク!!!」
三月は車の中でこれまでにない程、食物を食べていた。
ラップなどを乱暴に剥ぎ取り、ただただ口の中へとひたすら次から次へと積み込んだ。
【告。 生命活動の停止の可能性『大』。 材料を要シマス】
「(だから食べているんでしょうが?! 取り敢えず『
さっきから【 】の声がずっと三月にそう言っていたので彼女はひたすら食べ物を食べて、『
まあ、さっきからの『可能性“極大”』からはマシなのだが。
凛はせっせと三月が食べやすいようにラップなどを取っていたがとても付いて行けず、最終的にはただ次の物を彼女に渡していた状態だった。
「三、三月良く食べるな」
三月はただ「グッ」と笑顔を浮かべながらサムズアップを士郎にする。
「あ! 見て!」
運転をしているイリヤの言葉に皆が見ると、ヘリコプターを追いかける昆虫状の
「何、アレ?」
「ング…………アーチャーが『間桐臓硯』だって」
「「「アレが?!」」」
『おうマスター! 長引いてすまん、令呪頼むわ!』
『
『………もし、俺が生き残らなかったら────』
『────じゃあ犬飼って“クフちゃん”って名付ける』
『オイ』
『だからちゃんと帰って来てね』
『………………………………』
『クフちゃん?』
『ああもう分かったから“クフちゃん”呼びやめろや!』
『じゃあ“勝て”、
『…………………………………………………あいよ! ご武運をな、マスター!』
『神父さんの事、ごめんね?』
『良いってことよ! その代わり俺にたらふく飯を奢れ!』
『うん、良いよ』
三月の体が一瞬光って、凛とイリヤの体がびくりとする。
「な?! い、今のは何だったんだ三月?!」
「ランサーが『令呪くれ』って」
「…………そうか………」
「ちなみに彼にご飯を奢ってね、兄さん?」
「な、何でさ…」
「あの、私も余裕はあまり無いけど………」
「遠坂?」
「あ、ずるいわリン!」
「モグモグモグモグモグモグモグモグモグ!!!」
三月はただ食べる事に戻る。
そして彼らの後ろから大量のトラックや装甲車などが追いつき始める。
「ああ、もう! またアイツらか?!」
「モグモグモグ、ゴクン!!! 違うよ遠坂さん、アレは味方達」
「「「へ?」」」
そこで小さく「けぷ」と声を出す三月は士郎、凛、イリヤにアーチャーの作戦を説明する。
作者:ちゃんと書けたか心配です…
マイケル:おお、今回書けたじゃん!
三月(バカンス体):珍しくね
作者:まあこれも読者達のおかげです。 本当に、誠に、ありがとうございます!!
雁夜(バカンス体):というか、今思ったんだが誰だこいつ?
マイケル/三月(バカンス体)/作者:おせえよ!
雁夜(バカンス体):うるせえ! すくすく成長する桜ちゃんの合間に来てくれってチエさんが言うから来ただけだ!
チエ:??? 私はそんな事言った覚えは無いが…………………
雁夜(バカンス体):うぐ
ラケール:何かこいつ、慎二に似ているね