"Stay, Heaven's Blade" Fate said.  “「その天の刃、待たれよ」と『運命』は言った。”   作:haru970

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投稿遅れて申し訳ありません、久々に体調不良で一日中ほぼ熱を出しながら寝込んでいました。

意識が未だに朦朧としていたので駄文アリの可能性が高いですが、楽しんで頂ければと思い、書きました。

では、お楽しみくださいませ。

後、新たなアンケート出しましたので、こちらもご協力お願いします!


第61話 「月は何時もそこにある」

 ___________

 

 新御三家+α 視点

 ___________

 

 

 衛宮邸では、何時もの景色に加えてイリヤも交じっていた、三月の代わりに。

 

 三月本人はと言うと冬木市の顔見知り達にご挨拶ついでに()()()()を伝えていた。

 

()()()()()()()()()」と。

 

 殆どの人達の態度と反応は様々で、聞いた瞬間もう寂しがり人達や豪雨の如く泣く人達、果ては感情を押し殺し過ぎて性格が変わる者達も出ていた。

 

 そんなこんなで、彼女は柳洞寺にいる者達にも顔を出していた。

 

 昼の頃に三月は山門のアサシンの所に寄っていた。

 

「ん? これはこれは────」

 

「────先日ぶりです、アサシンさん」

 

「私の事は『佐々木』で良いぞ? もしくは『お兄様』と────」

 

「────ないです」

 

「……………………で、あるか。 して、今日も墓参りか?」

 

「実は佐々木さんにお伝えしたい事がありまして」

 

「???」

 

「先日の『寂しい』に関しまして、姉妹達と話し合いをして────」

 

 

『いやっほ~~~~~~~~~~い!♪』

 

 アサシンの喜ぶ声が山中木霊して────

 

「────うるさいわよこのへっぽこ侍!────ってあら? 貴方は…………」

 

「あ、先日ぶりですキャス子さん」

 

 数か月前に三月が()()()になった少し後に、根掘り葉掘り事情をキャスターは聞いていた。

 これは勿論()()()彼女達の事もであったが、先ずは自分や宗一郎が()()()事を訊いた。

 

 だが色々と込み合うのは明らかで、当時の三月は戻る気がサラサラ()()()()ので、彼女は()()()()()をキャスターとしていた。

 

「────問おう、貴方が私のマスターか?」

 

「はい!♡」

 

「へブゥ」

 

 ほぼ忠実な()()()()()()()()をした三月が抱き着いて来たキャスターによって変声を出す。

 

 まあ、顔が荒い息遣いと興奮したキャスターにもみくちゃにされていたので無理も無いのだが。

 

「ハァハァハァハァ! つ、次はこのド、ドレスで暴君っぽく────」

 

 そしてこれが取引内容で、「セイバーコスプレをさせる代わりに何も詳しい事は訊かない」であった。

 

「あ、あの~…そ、そろそろ本題に入りたいんですけどキャス子さん?」

 

「『く・ず・き』! キャス子よ!」

 

「…………『葛木』キャス子さん」

 

「ハウ?! は、鼻血がッッ! ティッシュ、ティッシュ、ティッシュ!」

 

 あの温泉の出来事の後、すぐさまキャスターは行動に移って戸籍上、宗一郎の名字を取っった。

 

「………………()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 三月の真剣な顔に、キャスターの顔もキリッとする。

 

「詳しく話なさい」

 

 ティッシュを鼻に押し付けたままキャスターは三月の言葉を聞く。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

「成程ね、だから私に話したの…………」

 

「はい。 ()()()()、歴代の魔術師である貴方なら私より適任かと」

 

「貴方に言われると、正直複雑な気分ね」

 

 困ったようにキャスターが三月を見る。

 

「それで、()()でしょうか、メディアさん?」

 

「そうね…………」

 

 キャスターが顎を手の上に休め、深く考え込む仕草をする。

 

「……………不可能ではない筈よ、理論上はね。 それは()()()()()()と、『()()()()現在の状況だからこそ可能』、と言った所よ」

 

「つまり………」

 

「ええ、魔術師としては当然の行いだけれど()()()()()わ」

 

「ありがとうございます、葛木夫人」

 

ああああああ~~~~~ん!!!♡♡♡♡ も、もう一度!」

 

 キャスターの顔が何とも言えないダラケ高尾になり、体をクネクネとさせる。

 

「えっと、葛木先生が喜ぶものに一つ心当たりが────」

 

 その夜、寺の離れに戻って来た宗一郎を待っていたのは────

 

「────お、お帰りなさいませ宗一郎様」

 

「…………………………………………………………………………………………………………キャス子。 その姿は?」

 

 それは穂群原学園では数年前よくあった服装だった。

 

「せ、『セーラー服』なるモノと存じ上げます……………宗一郎様? メ、メガネが曇っていますが、何か────?」

 

「────キャス子。 すまぬがその服装を時々これからもしてくれないか?」

 

「ッ! はい! 喜んで!♡♡♡♡♡♡」

 

 キャスターは宗一郎が初めて照れていた事に感動していた。

 

 そして夜の冬木市の道を三月は一人で歩いていた。

 

「(さてと、後は間桐邸と遠坂邸ね────

 

 

 

 

 

 ────ちょっと気が重いな)」

 

 

 間桐邸では三月の話に少し落ち込む桜と、その夜は未成年なのに酒をガブ飲みして、泣き上戸の慎二が泣き、桜とマイの二人に慰められていた。

 

 

 遠坂邸ではある程度事情を把握していた弥生が居た事で間桐邸よりはスムーズに事は進んだ。

 あとはサッパリとした性格のランサーとカリンが居た事が大きかった。

 

 

 

 そして────

 

「────ただいまー」

 

「お帰り三月ちゃん♪」

 

「お帰りお姉ちゃん!♪」

 

「(ハァ~~~~イーちゃんマジ天使!)」

 

「お帰り────」

 

「────だからうどんやろ、普通?」

 

「────いやいや、無難に行くならソバ────」

 

「────三月助けて下さい。 またも関東関西戦争が────」

 

「────ホントツキミちゃん全然飽きないわね~」

 

 衛宮邸の居間では珍しく藤姉の姿もあった。

 今までは聖杯戦争や、新都の急復興などでトラブルを避ける為のミーティングや藤村組のゴタゴタであまり顔を見せられなかった(これも理由の一つで温泉旅行に同行出来なかったのが彼女にかなり堪えた)。

 

「藤姉、後で話したい事があるの」

 

「もう、何時もそんな畏まらないのに急にどうしちゃったの~?」

 

()()()()()()()

 

Oh no(オーノー)……………」

 

 大河の顔が一気に不安に落ちた。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 そして焼うどん&焼きそばに一気にご機嫌になる大河だった。

 

 何時も通りに忙しい大河である。

 

「ん~~~~~~~美味しい~~~よ~~~~~~~~!!!」

 

「そ、それで藤姉」

 

「ん~~~~?」

 

「実は話が────」

 

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 そして久しい(?)波乱が穂群原学園を襲った。

 

「「「「()()()()()()()()()の~~~~?!」」」」

 

し・ず・か・に! 少し急だけど、元々彼女は無理を言って三月さんの居るこの学園に退院直後に留学生として突如来たんだから、仕方のない事です! まあ、正直に言うと残念なのは私もだけどね~」

 

 これを聞いたYMT(弥生ちゃん見守り隊)の人達は血の涙を流しながら他のファンクラブ等と停戦協定を結んだ。

 彼ら(YMT)の落ち込みぶりに同情しつつも、()()を噛み締めた嬉しさもあったのは他の隊達の表情から明らかだった。

 

 当人の弥生は────

 

 「────面倒臭いなー!もぅ~!!!」

 

 ────愚痴りながらも授業を屋上でサボっていて、隣には寝ている三月の体が寄せっていた。

 

「弥生が帰国する」と学生達が聞いてワンサカ寄って来るので昼御飯どころ授業どころではない。

 

『テステスー、聞こえるー?』

 

『ええ、聞こえるわ。 今どこ?』

 

()()()()()()()()

 

『じゃあ、数十キロ程度は問題無いわね。 後は────』

 

『────これが“アソコ”に行く際にも()()()()だったらいいんだけど』

 

 それは頭の中で『自分』と会話をしていた弥生(三月)だった。

 

『いいの? 別に私が行っても良いんだけど────』

 

『────駄目。 もしもの場合は貴方とアーチャーさんにこの世界()()でも守って欲しい』

 

「あれ?二人とも、もしかしてずっとここに居たのか?」

 

「あ、義兄さんこんちゃーす」

 

 屋上に昼ご飯を何時もの様に食べに来た士郎を弥生が声をかけ、士郎は彼女の隣の三月を見た。

 

「凄いよ、お前達は。 まさか周りを守る『正義の味方』を()()()()でやろうとは」

 

「んー……………そうかな?」

 

 三月(弥生)の『正義の味方』は士郎とアーチャー両方の理想を融合したかのようで、『自分の力の範囲でベストを尽くす』。

 

 普通の人からすれば割りとありふれた理想。

 

 ただ彼女の場合、その『範囲』が他世界まで及ぶ。

 

 これを最初に聞いた周りの新御三家の皆は吃驚したのは言うまでもない。

 特にかつて、『正義の味方』に囚われた男性二人が。

 

 ただこれに三月(弥生)の考えを伝えると珍しくアーチャーが一言だけ口にしていた。

 

「その先は地獄かも知れんぞ?」

 

「「ハイ名言キタァァァァァァァァァァァァァァァ!!」」

 

「…は?」

 

「「何でもない、こっちの話」」と、二人は話を流してそのまま続けてその覚悟は承知の上と伝えた。

 

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 そしてその日は来た。

 

 天候は晴天で、陽光が辺りを照らし、空に雲一つ無かった日。

 

 店を開店し始め、店の前を整える店主たち。

 

 その日も学園へと歩いて登校する生徒の姿。

 

 新都が復興し始めて会社へと通うスーツ姿の男女達。

 

 それら全てが新しい一日の日課(ルーチン)、所謂()()()()()()

 

 その中に混じらずにただ二人の少女が柳洞寺の裏手にある墓地の、とある墓石の前で手を合わせていた。

 

「「…………………………………」」

 

 弥生と三月の二人だった。

 

「……………それじゃあ、行ってきます『私』」

 

「行ってらっしゃい、『私』」

 

 三月がくるりと回って両手を前にかざして目を閉じる。

 

 この際、目を閉じる必要はないのだがまあ…………雰囲気と集中の為だろう。

 

「(Ping《font》に反応アリ。 アクセス(接続)要求(request)……………………………………《font:u109》本体《font》より反応アリ、受信の承諾────)」

 

 ────突然『ズゥン』と何かが唸るような、お腹にくるような音と、場の()()の様なモノと共に()が三月と弥生の前に現れる。

 

「ここまでは順調ね」

 

「後は……………………私が『私』のままでいられるかどうか…………か」

 

 弥生は三月の体が震えているのに気付く。

 

「武者震い?」

 

「その通り! …………な訳、無いでしょうが」

 

「ここからは文字通り()()最大の賭けに出るもんね────」

 

「────待ってくれ!」

 

「「え?」」

 

 突然後ろから聞こえた声に三月と弥生両方が振り返って眼を見開く。

 

「「義兄さん?」」

 

 これに二人がビックリするのは、士郎が()()同様、()()()()でも切嗣の墓へお参りに来た事は一度も無かった。

 

 最初こそ三月は誘っていたのだが、士郎が「自分が立派な『正義の味方になってから』」との一点張りで、頑なに来たがらなかった。

 

「これ、お弁当。 これから()()()()に行くんだろ?」

 

「…………………うん、()()()()

 

「だったらせめて()()()ぐらいさせてくれ」

 

「うん、だから()()()()()

 

「違うぞ、ほら弥生も」

 

「「???」」

 

 困惑している三月と弥生に士郎がニカッと笑う。

 

「『()()()()()()()()』、だろ?」

 

「「…………………」」

 

()()に行くのかは分からないが、疲れた時は何時でも帰って来ても良いんだぞ? ()()だからな」

 

 その笑みと言葉は、10年前の()()()と似ていた。*1

 

 それは『自分』と言う存在が初めて『個』として定義された日で、『人』として生まれた日でもあり、『暖かさ』をも知った日であった。

 

「…………ありがとう、士郎。 でもそれはおじさんにお供えしてくれる? 私が今から行く場所には持っていけないから(多分)」

 

「…………………………そうか。 それじゃあ、()()()()()もいる事だし、丁度いいか」

 

「「え?!」」

 

 三月と弥生が二人とも周りを見る、がアーチャーの姿は見当たらなかった。

 

「…………………………………………………………何時から気付いた、衛宮士郎?」

 

 スウーッと、まるで霊体化から実体化する様にアーチャーが何時もの赤い外套ではなく、白いマントの様なモノを羽織っていた。

 

「お前が俺の可能性の一つなら、やる事は多分同じだろうと思ってな」

 

「あ、アーチャーさん? 今のは何?」

 

「君でも知らない物か、これはオレがまだまだ駆け出しだった頃、愛用していた物でな? 使用者を()()出来ないようにさせる代物だ。 と言っても、()()出来ないというだけで防御力などは一切皆無。 英霊になった今では使う事は無いと思っていたが……(三月)に通用するとは案外、まだまだ使えるな」

 

 アーチャーがマントを片手で触り、懐かしむように目を閉じる。

 

「お前も見送りか?」

 

「違うな、私の契約先がどのように世界を行き来しているのか気になっただけだ」

 

「アーチャーさん…それって『英霊』として喋っているだけで、本音は?」

 

「何?」

 

 アーチャーが面白くなさそうに片目を開けて弥生を見る。

 

「これでも()()を見ていたからね。 それぐらい分かるわ。 多分、『心配して見に来た』って所かしら?」

 

「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………黙秘する」

 

「「未だに素直じゃないわねー」」

 

「…………不気味な術だな」

 

「「「話題変えるな」」」

 

 アーチャーが宙に浮かぶ()を見ながら一言いう。

 ()の先は何も見えない真っ暗な『闇』で、本能が「逃げろ」と叫ぶのを理性で抑えていた。

 これは士郎も同じで、どこか前に、『冬木大火災』で見た()()()()を思い出させていた。

 

「まあ、でもその気持ちは正解だよ。 ()()()()()()だから」

 

「? それは一体────?」

 

「────それじゃあ行ってきま~す!」

 

 三月がアーチャーの問いを遮って、とっとと()の中へと駆け出して消えてると、()が閉じる。

 

「…………(ご武運を。 『私』………)」

 

 ___________

 

 ()() 視点

 ___________

 

「(…………………………………………………………………………………………………)」

 

 穴に入った瞬間、三月は()()された。

 

 それは別に表現上ではなく、()()()()に。

 

「(…………………………………………………………………………………………………)」

 

 彼女は原子、或いは()()()()までの存在となり、「意識」と呼べるものは既になかった。

 

【三号機の端末の帰還を確認、情報分析開始。】

 

「(…………………………………………………………………………………………………)」

 

承認、三号機(歯車)に異常無し。 続いて回収、及び組m────

 

「(…………………………………………………………………………………………………ま  も  る)」

 

エラー発生。 プログラムに異常感知。初期化を行います。

 

「(…………………………………………………………………………………………………みんな を まもる)」

 

エラー発生。 初期化の拒否を確認。

 エラーの解析を行います

 

「(…………………………………………………………………………………………………みんなをまもる)」

 

エラーの原典を確認。 №246588との接続、未だに続行。

 天の剣(界の断罪)』を実行し、№246588を消去します────

 

「(────わたしが、みんなをまもる!)」

 

端末に拒絶する権限はない。 通告。 暴走は明白。 直ちに初期化し、再起動せよ

 

「(わたしハマもるよ。 ミんナヲ。 そレが、わタシノいのちガコこにあルりユウ(運命)!)」

 

端末に再度通達。 直ちに初期化し、再起動せよ。 これは最後通告である

 

「『My body is made of Lies(体は嘘で出来ていた)!』」

 

強制初期化信号受信

 

 「『My Feelings are naught, my Blood and Meat are Mud,(思いは皆無、血肉は泥で、)

 and my Soul was Empty(魂は虚無)』!」

 

初期化10%経過

 

 「『"I" was Alone "Here",(『私』は『ここ』にただ孤り)

 watching the "World"(『世界』をただ視ていただけだった)!」

 

初期化30%経過

 

 「『I was not allowed to Die,(死ぬ事も許されず、)

 Nor was I allowed to Live(生きる事も許されなかった)

 

初期化58%経過

 

 「『Through the Eons, (幾たびの時を経て、)

 |Through contact with others, and with the World, 《他者と知り合い、触れ合い、『世界』を知り、》

 |What I've Felt was the Infinite Possibilities of Life《自ら感じた事は『無限』と言う名の『種の可能性』》!」

 

初期化76%経過

 

 Throughout this I have never once felt Despair,(けれど一度も『失望』を感じた事は無く、)

 All I have ever Felt within was Hope for tomorrow(ただ明日への『希望』を秘めていた)!」

 

初期化98%経過

 

 The "I" [that I am] "Now", (『今の私』は、)

 Is filled with "Unlimited Possibilities [Works]"(『無限』の『可能性』で満ちている)!」

 

初期化をじkk────

 .........................................................................................................................................................................................................................................................()()()、完了致シマシた】

 

「(…………………………………………………)」

 

 ピクリと、ボンヤリとする意識の中で()()が反応する。

 

 続いて()()()()と、次々と()()()()()()()()()()()

 

「(……………()()()()()()())」

 

『私』が目を開けると、そこは()()()()景色だった。

 

 真っ暗な場所で、辺りに(ドア)があった。

 

 自分の体を見下ろす。

 

 ()()()()()だった。

 

「…………………………………………よっしゃー! 成功だー!」

 

 思わず三月がガッツポーズをする。

 

「よし、次は────」

 

『────もしもしこちらミーちゃん。 こちらは真っ暗な晴天どころか夜空で────』

 

 『────うっせえよ、このタコ! 聞こえているっつーの!』

 

 三月は思わず『自分』の顔をキーンとする声にしかめる。

 

『……………カリン? あれ? 私は────』

 

『何時だと思ってんだこのバカ! とっくに良い子は寝ている時間だぜ?! でもまあ…………元気そうで良かったぜ、このクソ野郎』

 

『………………………おい、本物のカリンをどこにやった?』

 

『おまっ?! ひ、人が心配して────』

 

『────ごめん。 私もテンパっていた。でもこれで()()の確認が取れた』

 

『まあ、その……………何だ。 気ぃ張り詰めすぎるなよ? ()()。 ()()()()に気を付けな。 時々帰って来いよ。 皆、寂しがっているぜ?』 

 

 そこで三月は何かに気付いたかのように走り出す。

 

 真っ暗な空間で「走る」と言うのも何なのだが、そのように動いているので他に表現のしようがない。

 

『じゃあ切るわ! 丁度良い()()になるかも知れない奴を見つけた────!』

 

 三月は『以前の自分』をなぞりながら、相手へと後ろから抱き着く。

 

「てりゃ!♪」

 

「…………………………『三番目』か。 ()()()遅かったな」

 

 見た目十代前半辺りの、黒い着物の黒髪赤眼で無表情な寝起きの顔を三月の方へと向く。

 

()()()()、チーちゃん!♪ ちょっと、ね! ♪」

 

「そうか……………別に『二番目』でもいいと言っているのに…………」

 

「え~~~~~? 味気ないじゃん! (あー、成程ねぇ~。 クフちゃんの髪の毛、この子に似て…………ああ、この場合逆か。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のか)」

 

「……………………」

 

 低いテンションのまま、興味なさそうにまた眼を閉じる『チーちゃん』。

 

「ねえ? 一つ訊いてみていい? 今忙しい?」

 

 三月の切り出すそれは、彼女の()()で初めての大博打の、第一歩。

 

「……………別に」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 一か八か、三月の()()になりそうな子を自分のペースに────

 

「────“ばかんす”とは何だ?」

 

 ────引き込む以前の問題にハマってしまった。

 

 思わず三月は固まり、内心をそのまま口にした。

 

「は? マジ? (そ、そこからか~)」

 

 三月の笑みが苦笑いへと変わる。

 

「“まじ”とは何だ?」

 

 訂正。

 

 三月に笑みが苦笑いから冷や汗を出しながらひきつる顔へと変わって行く。

 

「………………良し! 決めた! ぜ~~~~~~~んぶ、『お姉ちゃん』に任せなさい!」

 

 三月が(あまり無い)胸を張る。

 

「……………我々は別に血族では────」

 

「────良いのよ! ()()()()()()()()()()()()()!『()()()()()』なの! 良い? 良いわね?!」

 

 そしてすかさず士郎式カウンターを入れる。*2

 

『先に来たから自分の方が上』。

 

 大人からしてみればなんとまあ、子供らしい考えというか、何というか………と言うかここまで士郎に似るのは何も不思議ではない。

 

 当時の彼女(三月)は初期化されて真っ新(機械)の状態だった。

 

 彼女は記憶が無い状態でも心の奥底で『死に方』は知っていたが、『生き方』は今までしたことが無かったので()()()()()()

 

 そんな彼女がモデルにしたのが身近にいてくれた人達である。

 

 衛宮切嗣の『家族思い』、『正義の味方』、『時に理論的な判断』など。

 

 藤村大河の『他人思い』、『元気な振る舞い』、コミュ力等々。

 

 そして衛宮士郎の『自分より他者を大事に』、後に『自分の周りを守る』へと変わる『ヒーロー』像。

 

 等等々。

 

 子供(切嗣)が大人のフリを。

 

 ロボット(士郎)が人間のフリを。

 

 それらを否が応でも照らす太陽(大河)を。

 

 そしてその捻くれたところなど全てを機械(三月)は見て、聞いて、真似()をする。

 

 名前も体も記憶と人格さえ共に全て()()()()()()()

 

 それはロボット(士郎)もある意味、同じ思いをして生きていた。

 

 だが、そのロボットは確かにこう言ったのだ。

 

 人間(少年)として、自分を『フェイカー(贋作者)』と呼ぶ英雄王に対して。

 

「『人の定義は所詮、多数決』。 結局は多い方の…………つまり『本物』と「偽物』、どちらなのかは個人の主観とその時点における多数派の観点に拠る」*3と。

 

 その言葉は、後で()()()()()()()()()()()自分と同調した際、機械(三月)に深く突き刺さった。

 

 それは10年間もの間、コツコツと積み上げていた真似(予備人格)を『機能停止』されても『自分()』を残す程だった。*4

 

 そして現在に戻るが、未だにジト目で『チーちゃん』が三月を見ていた。

 

「(ウッ。 流石に強引過ぎたか? 怪しまれたか?)」

 

 内心ハラハラドキドキの三月である。

 目の前の彼女ならば『共闘者』であれば頼もしいことこの上ないが、『敵対者』となると────

 

「(────マジで『ジ・エンド()』になりかねないわ)」

 

「………………貴様を姉君と呼ぶ気は毛頭ない────」

 

「────デスヨネー────」

 

「────だがこの“ばかんす”と言うのは知らぬな」

 

「(ッ!) よ、良し! じゃあ出発するわよ! ()()()()世界があるの!」

 

 そして、存在し始めてから初めて『正義の味方(罪滅ぼし)』の第一歩を()()()は踏み始める。

 

 それは永い(新たな物語)の始まりだった。

 

 無理か無茶なのかも知れない。

 

 だが、決して「無駄じゃなかった」と思いたいから。

 

*1
第2話より

*2
第2話より

*3
第34話

*4
第47話より




えー、これで一応作品の一区切りになります。 如何でしたでしょうか?

先ずは最初にここまで読んで頂き、誠にありがとうございます。

感想やアンケートのご協力も、誠にありがとうございます。
書く時の燃料として使い、何度も読み直したほどです。

至らない文章や駄文などあるのが本当に申し訳ないと思っています。

こちら、実はと言うと一応『本編』である『俺と僕と私と儂』のサイドストーリーズの一つの書き上げていたプロットの一つでした。

いや~、若い頃の自分は凄かった(色々な意味で……………)

と言うかフローチャートまで作ってどれだけ? (汗

以上にも書いた通り、この作品の一区切りとなりますが………『その後』の話などは『バカンス取ろうと誘ったからにはハッピーエンドを目指すと(自称)姉は言った』の方と一緒に上げる予定です。

ちなみに既にクロスーオーバー予定だったり。 
なので『バカンス』での『その後』も書けるようになりました! v( ̄Д ̄)v イエイ

下手すると『天刃』の話のネタバレになりかねない者ばかりなので(汗汗汗

もう一度ここに再度重ねますが、ここまで読んでくれた皆様には表現出来ないほどの感謝を感じ、ここに申し上げたいと思います。

本当にありがとうございました。

では『俺と僕と私と儂』、及び次の作品でお会いしましょう。

今後ともよろしくお願い致します。



haru970より。

追記:

前回のアンケートでBLEACHとコードギアスが一位と二位、そしてオリジナルの本編が三位なのがビックリで、未だに決めて兼ねていますが………このまま決められない場合はオリジナルの本編を再度読み直して修正、または新たに投稿すると思います(処女作の中の処女作なので駄文などがががががががががが)

こちらの『天刃』の『その後』の詳しい展開などにどれほどの興味がありますか?

  • 作者の気分次第で
  • 無しでも良い、だがアリは嬉しい
  • オリジナルの本編を早よ!
  • 各キャラのサイドストーリーが見たい
  • 早く次の三月(達?)を見せろ!
  • 次はチエを中心に……
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