【ストパンVR】初見で最高難易度だけど超余裕   作:Kkmn

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ちょっと短いですごめんなんダナ。


ベローズ作戦

――――もし幼い命を粗末にするような真似をしたら、アナタでも許さないわよ。

 

 

いつか友人であり戦友でもあるリカ、ドッリオ少佐に言われた事を思い出す。

今思い返せばあの時面倒臭がって適当な返事を返さなくてよかったと、心の底から彼女は安堵した。

 

「...リカに後ろから撃たれても、文句は言えませんわね。」

 

目下に広げたマルタ島の地図、そこに示された作戦の内容を確認しながら彼女は独りごちた。

島内部に巣食うネウロイからのマルタ島解放作戦、"ベローズ作戦"と名付けられた作戦。

その余りにも無謀すぎる内容に発案者である彼女自身さえ天を仰ぐほどだった。

 

 

『...こちら坂本だ、現在の時刻を以て住民の避難を開始した。続けて避難誘導の現場の指揮と護衛を開始する。』

「ええ了解しました。どうかご無事に、少佐。」

 

無線から聞こえてくる凛とした扶桑の魔女の声。

ああ、ついに賽を投げてしまった。もう後戻りはできない。

マルタ島南部の住民の大規模な避難、それに伴う大量の船や車の移動。無論混乱を抑制する為に統制と指揮はするが、どうしたって地下にいる大量のネウロイへの刺激は避けられない。

 

「少尉、エイミー、聞きましたか?」

『うじゅっ!!』

『はい、リリー様』

 

格納庫で出撃準備を済ませているであろう二人の幼いウィッチ達ヘと通信を繋げ、そこから返ってきたのは幼く未だ舌足らずでさえある少女達の声。

そんな彼女たちがマルタの、否、ロマーニャの、アフリカの、ひいては欧州の命運を握っていると言っても過言ではない。

もし彼女たちが失敗するようなことになれば欧州が墜ちるのは目に見えている、そうなれば次の戦場は我がリベリオンかもしれないのだ。

それは少女二人に背負わすには余りにも重すぎる責任だと言うのはわかっている。

そんな幼いウィッチ達に重役を押し付け、私は一人安全な作戦室で地図と睨み合いするのか。と不意に湧き出た自嘲をいまさらだと鼻で笑う。

 

『...ちゅーさ?』

「―――っ、いえ、ごめんなさい。聞いての通りです。民間人の避難が開始されました、出撃準備はよろしいですか?」

『うんっ、ばっちりぃー!!』

『はい、わたしもばっちり、です。』

 

いや、余計なコトを考えるな、今はリベリオンの為にこの作戦をなんとしても完遂することだけを考えるのだ。

そうだ、たとえ無知で弱い子供達を、自身の都合の為に利用してでも―――。

 

 

『グラマ...いや、リリー中佐』

 

再び思索の海に沈もうとした意識を呼び戻す、坂本少佐の凛とした声。

 

『この作戦の立案者は貴官だが、それに同意して詳細を組み立てたのは私だ。』

「....それが、どうかしましたか」

 

なぜ今になってそんな事を言うのだろうか。

 

『年端も行かぬ子供達を利用した汚い大人という誹りなら、私も共に甘んじて受ける。だから気負うな。』

 

なんとまあ、このウィッチの《魔眼》は心の内までも読み通すことができるのだろうか。

 

『こうして言葉を交えてみて分かった。お前はこの欧州で誰よりも欧州の行く末を深く案じているウィッチだ。たとえその手法ややり方が清廉と呼べるモノではなかったとしても、お前のその志には一点の曇りもない、私が保証しよう。』

 

「....たった数日の付き合いだと言うのに、よくそこまで言い切れますわね。」

 

『はっはっはっは!!そんな寂しい事を言うな!もう裸の付き合いをした仲ではないか!!』

 

まったく何と言う清々しいウィッチだろうか。欧州に漂う粘っこくジメジメとした陰湿な政治の空気とはまるで対極の存在だ。

その雄大な西部開拓時代のような気持ちのいい性格は、きっとリベリオンに行っても誰からも好かれることだろう。

 

「...ありがとう、坂本。」

『気にするな、互いに為すべきことを為そう。』

 

そこまで言われ、無線が切られる。

面白いウィッチだ、どうやら"人たらし"の噂は本当らしい。どうせなら直接本人の口からもっと詳しく聞きたいものだ。

 

「ふふっ...坂本美緒、ですか。」

 

私がここまで他のウィッチに興味を持つなど何時以来だっただろうか。

息を飲み、各種基地や通信班への通信スイッチを入れる。

 

 

 

「これよりベローズ作戦を開始します。ロマーニャ、そしてアフリカ戦線への補給の要所であるマルタをなんとしても守り抜かねばなりません。皆さんの健闘を期待します...!」

 

 

 

 

 

 

ついに始まってしまいました。

恐らくはチュートリアルに匹敵するかそれ以上の地獄になるであろうベローズ作戦。

 

作戦の流れはリリー中佐が総指揮、坂本少佐が住民の避難と護衛、フランカお姉ちゃんが巣から現れるであろうネウロイの群れの迎撃。

そしてこの私エイミーはとんでもない大役ですよ。

なんと島内部の空洞に単身突入し、最も巨大なコアの反応がある所へ向かい破壊することが任務です!!

 

...はぁ、マジやべぇっす...。

 

フランカお姉ちゃんではなく私が選ばれた理由は2つ。私では現れるであろう大量のネウロイに絶対勝てないから。それと空洞へのルートがかなり狭く、身体の小さな私が適しているからです!

 

「ふふふんふ〜ん♪」

 

目的地の途中まで一緒に飛んでるお姉ちゃんは全然緊張してない。

ああ今日もたなびくツインテールかわいいしキレイだし翠色の猫目もカッコいいしやっぱり素敵...今のうちにたくさんお姉ちゃニウムを摂取しておかないと(使命感)

 

「よーしっ、こっからは別々だけどだいじょうぶ?」

「うん、へいき。」

 

ああ、このゲームを始める前はお姉ちゃ...フランチェスカ・ルッキーニっていうキャラクターにここまで深く関わるとは思ってなかったですね。

まさか冗談じゃなく命を救われることになるとは思ってもいなかったですが。

しかしでも、まさかお姉ちゃ...彼女の妹ポジションとしての存在に収まるなんて、逆ならわかりますが今更だけどびっくりですね。

 

「....エイミー」

 

――――ちゅっ。

 

「は、わっ....///」

 

あ、またお姉t、ルッキーニ....ううん、お姉ちゃんにほっぺにキスされちゃいました...///

こうやってよく寝起きとか出撃の前とかにはぎゅ〜って強くハグしながらほっぺにキスしてくるのがお姉ちゃんです///

そのたびに私はもう気が狂いそうになるほど照れて...すごく嬉しくて、胸のあたりがぽわぽわするけど...♪

 

「...んー、はいっ」

「....??へ?」

 

あれ?お姉ちゃんがそのぷにぷにの丸いほっぺたを突き出してきまして?

 

「ん〜!!エイミーだけいっつもずるーいっ!!私だってキスされたいんだもんっっ!!」

「えっ...えええぇぇぇえぇっっっ!?」

 

う、うそぉぉ!?だめ、だめだってぇ!私からフランカお姉ちゃんのかわいいキレイなほっぺたに…き、き、きす、だなんてぇ///

 

「ほーらっ、はやくぅー」

「う、うぅぅ~……///」

 

――――ちゅっ...///

 

ふわぁぁぁっ///ふ、フランカおねえちゃんのほっぺ、やわらかくて、ふにふにで…はわわわ///

 

「んひひひ~♪エイミーに初めてキスされちゃったぁ~♪」

「う、うぅ…はずかしぃよぉ…」

「よぉーしっわたし、今ならとーーってもがんばれちゃうきがすりゅーーっっ!!うにゃぁぁーー!!」

 

――――だきっ。

 

ひゃっ!?お、お姉ちゃんがまた私のちっちゃな身体を包み込んでハグしてぇっ…♪

 

「この作戦が終わったらね、ちゅうさがママに会いに帰ってもいいよって言ってたの。」

「…おねえちゃんの、ママ?」

「うんっ!だから一緒にママに会いにいこーねっ!とーっても優しくてきれーで、おっぱいもおっきいんだぁー!!」

 

そこは重要なのでしょうか、いや、重要です(反語)

あーでも気持ちいい…お姉ちゃんにハグされ抱きしめられて幸せ…♪

 

「だからね、約束だよ。かならずお姉ちゃんの所にかえってきてね?」

「…うん、やくそく。」

 

そう言ってハグが解かれると、物欲しげな声が漏れるのを必死にこらえました。

はぁ…つまりどうやらここでフランカお姉ちゃんとはお別れみたいです。

しかし甘えたことを言ってる場合ではありません。だって本来私より子供なハズのルッキ…ううん、お姉ちゃんはキリッとした顔で、不安そうな顔一つ見せないんですから。

 

「じゃあ、いくね。」

「うんっ。」

 

そう言って背を向けて小さくなっていくお姉ちゃんの背中を、私はただ不安げに見つめてました。

ただその軌跡に、数滴の雫のようなモノがキラキラと輝いてたことに私は気づいていませんでした。

 

 

 

 

 

彼女、フランチェスカ・ルッキーニは泣きそうになる心を必死に自制していた。

本当なら泣きたい。不安で心がいっぱいで押しつぶされそうだった。

すぐに此処から逃げ出して、大好きなママの元に帰って思い切り甘えたい。

 

―――でも、そんな訳には絶対にいかない。私はお姉ちゃんなんだから。

 

「ぐすっ…ううん!!エイミーに見られちゃったら…がんばらなきゃ!!」

 

不安でいっぱいだ。この作戦の内容自体、ウィッチとなって以来参加する作戦では最も規模が大きい。

そのうえその重大さも桁が違う、負ければマルタは墜ち、そうすれば故郷であるロマーニャはかつてないネウロイの危機に晒されることになる。

そのうえあの夜空で出会って以来、ずっと一緒にいたエイミーと別れてしまい、彼女のことが頭から離れない。

 

『エイミー…プラマー軍曹が突入場所へ到着しました。ルッキーニ少尉、行けますか?』

「…うじゅっ!!うんっ、まっかせてぇー!!」

 

しかし彼女はエースだ。

一瞬のうちにその不安を振り払い、聞こえてきた命令にすぐに意識を集中させる。

ストライカーの魔導エンジンに意識を集中させ、その最大速力での直進の準備をする。

 

『爆弾が使えない以上、基地付近に巣食うネウロイを一掃するにはコレしかありません。』

 

事前に受けた説明通りの方法を実践するため、思い切り高度を上げてマルタの海上に飛び出る。

そしてくるりと反転し、全速力で向かうは地下にネウロイが潜む基地――――その手前の海面。

 

「うぅぅ…りゃぁぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁーーーーッッッ!!!!」

 

最大加速と同時に前方に持ちうる魔力の全てでシールドを展開する。

その大きさと分厚さたるや、ウィッチ数十人を覆いつくせるほどの巨大さで。

そんなモノを展開したまま、とてつもないスピードで海面に激突したとなれば、引き起こされる現象は一つだけだった。

 

 

――――――ズゴゴゴゴゴゴゴッッ!!ザバァァッ!!

 

 

その海岸に面したマルタのロマーニャ軍基地、そこを吞み込んでもなお余りある巨大な津波の壁が生まれたのだ。

それは岩肌や亀裂から島内部の空洞、ネウロイ達が巣食うそこに染み込み、どんどんと侵食していく。

丈夫なつくりの建物の基礎や滑走路をほとんど傷つけることなく、それらは基地に覆いかぶさった。

 

「うぇー…ぺっぺっ!!」

 

ネウロイは何よりも水を嫌う。川や湖でさえロクに通れない彼らにとって、その津波はまさに青天の霹靂に等しい。

まるで巣穴に煙をいぶされたモグラやハチのように、たまらないと言った様子で慌てて大き目の岩の隙間から顔を覗かせた途端――――。

 

――――パンッパンッ!!

 

「うひひ、おっそーい♪」

 

大量の海水をまさしく浴びるように被ったネウロイ達の動きは明らかに遅く、精細を欠いたモノだった。

そのうえ装甲まで脆く崩れ去り、あれほど人類が倒すのに苦労した大型や中型さえ2、3発で沈められる有様なのだ。

 

『ふっ…ルッキーニ少尉、存分にスコアを稼ぎなさい!カールスラントの牙城を崩し、あなたの名を撃墜数ランキングに連ねるのです!!』

「うじゅじゅーっっ!!まっかせてぇー!!」

 

部下となってから初めて聞く、普段は冷静なそのリリー中佐のはしゃぐような声に、ルッキーニは釣られてその幼い顔に笑みを浮かべ引き金を引くのだった。

 




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