【ストパンVR】初見で最高難易度だけど超余裕   作:Kkmn

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家族

「悪い隊長!遅れたッッ!」

「シャーリーさん!エイミーさんも…ルッキーニさんは?」

「魔力も体力も使い果たしてる、無理だな。」

「…っ、そう、分かったわ。」

 

はいシャーリーさんのムリダナ頂きました。これはレアですよ!目指せ全員のムリダナ制覇!

 

「反応があったのは3つよ。――――パ・ド・カレー、ダンケルク、ベルク方面から。

このうちベルク以外から来た二つには皆に出撃、迎撃にあたってもらってるわ。

アナタ達は早急にベルク方面からのネウロイへの対処をお願い。」

「待て、コイツも出すのか?アタシ一人でも…」

「シャーリーさん一人でも大丈夫だから出すの、ここの空での戦闘に少しでも慣れて欲しいのよ。」

「んー…わかった。いくぞエイミー!」

 

あ、ちょっ、肩に担いでくれてるのは良いけど早いんですけどぉぉぉぉぉ…。

 

 

 

 

「シャーリーさん…ひ、ひとりでとべますよ?」

「気にすんなって。ちょっとでもネウロイとの戦いに回す魔法力を残しとけ、いいな?」

「は、はぃぃ…。」

 

空で連行なうです。8歳とは言えほんま皆さん過保護やでぇ。

 

「ん?ミーナ隊長?ああ、今出撃して…はぁぁぁっ!?」

 

え?何でしょう、耳に手を当てて叫んでいますね、通信内容が気になります。

 

「クソッ、アイツさっき見たけどひでぇ顔だったぞ!?あんなんで……あークソッ!!」

 

と、思ったらシャーリーさんはいきなり私を手放してぇぇぇあぶねぇぇぇ墜ちるぅぅっ!!?

 

「わりぃエイミー!!後から追いかけてくれ!先に行かなきゃいけなくなったッッ!!!」

「えっあっ。はいっ!!…ってはやっ!?」

 

その声に返事をした時にはもうとんでもない加速音と共にシャーリーさんの姿は遥か彼方に。

一体どうしたんでしょうか。ちょっと嫌な予感がします。

流石にこんな来て最初の出撃で死にループ地獄に陥らないとは思いますが…。

 

 

 

 

 

 

「……クソッ…」

 

一体、何なのだコイツは。

待機命令を無視して出撃したのは良い。私はウィッチだ。ネウロイが現れれば戦いに赴くのは当然だ。

だがこのザマはなんだ。いや、このネウロイは一体なんだ。

 

―――なぜネウロイがシールドなどを展開しているのだ。

見た目こそ一般的な航空中型だが、その能力は今までの戦いで見たことがない。

シールドの術式が意味不明な文字なのと色が禍々しい赤色なことを除けばほとんどウィッチのモノと同じだ。

無論その強固さも。

 

結果私の機関銃の銃弾もまったくダメージを与えることが出来ず、辛うじて装甲を傷つけてもすぐに再生されてしまった。

挙句勝負を焦りシールドの内側に潜り込もうとした結果がこのザマだ。

無理な機動がたたりストライカーが不調をきたし、私は地面に墜落しネウロイに撃ち殺されるのを待つだけとなった。

逃げようにもシールドを下に貼れないまま不時着した衝撃のせいか身体が動かない。意識が朦朧と霞む。

 

「クリス…」

 

これは罰なのだろうか、大事な妹一人守れなかった無力な己への。

そしてその後悔を関係のない姉妹二人へとぶつけ、同じ悲しみに突き落とそうとした愚かな己への。

 

「ごめん…な…」

 

 

―――――ビュグンッ

 

 

頭上のネウロイより放たれた暴力的な殺戮の閃光。

それが今まさに自らを焼こうとしているのが、魔力により強化された眼ではっきと見えて―――。

 

「馬鹿野郎ーーーーーーッッッ!!!?」

 

 

 

 

 

 

「あぶねぇーっ!!マジで危機一髪ってヤツだったなコレ!!」

「ぁ…お前…?」

 

ぐったりと腕の中で力なく項垂れるその堅物の様子からいつものバカうるさい姿は見る影もない。

こんな調子なのに出撃しようとは、ホント規律バカじゃなくタダのバカだ。

 

「しっかりしろ堅物ッ!アンタこんなの一匹程度にくたばるタマじゃないだろッ!!」

「…もう、良い…やめろ、生き恥を晒した上に、リベリアンなどに助けられるなど…」

「はぁ!?まだんなコト言ってんのか…うぉっと!!」

 

相変わらずネウロイは空気を読みやしない。

下品な赤色をしたビームの雨をシールドで防ぐが、大した量じゃない。これならアタシ一人でも楽勝じゃないか?

と、思って仕返しとばかりに銃弾の嵐を浴びせてやると―――。

 

 

―――ガキィン、ガキンッ。

 

 

「は、はぁぁ!!?なんだありゃあぁ!?」

「見ればわかるだろう…シールドだ、私の銃でも無理だった…」

 

コイツの銃はアタシのよりデカくて火力もある…それで無理ならどうしようもないじゃないか!?

 

「逃げろ、リベリアン。これをミーナ達に伝え…ぐ、ぅ…」

「馬鹿言うな!アンタ見捨てて隊長にどの面下げてそんなコト言えばいいんだよっっ!!」

「たのむ…もう、私など…生きていても…」

 

―――ごつんッ!!

 

情けなく泣き言だけを呟くその堅物の顔に、思い切りヘッドバッドをかましてやった。

これで正気に戻るかと思ったが相も変わらずポカンとした顔でこっちを見つめてきやがって。

 

「…アンタに伝言だ。ロマーニャのちb…ルッキーニからな。」

「しょうい…が…?」

「もしお前に会ったら言ってくれってさ。『大尉のせいじゃない、落ち込まないで。お願い』だってよ。…あと訓練してくれてありがとう、ともな。」

「…あ…ああ…」

 

 

―――ビュグンッ!!

 

 

ああもう、話の途中だろうが馬鹿ネウロイ!

コイツを抱えてるから流石に動きにくいのにっ…クソっ!!

 

「――――あっ、ヤバっ!!!!」

 

しまった!しくじったッッ、この堅物が肩に掛けたままの重機関銃のせいでバランス崩したッッ!?

あ、無理だヤバイこれ、真っ赤な光が視界いっぱいに広がって――――!!

 

 

 

 

ーーーどこからか飛んできた変な形の短い刃物が、その光を弾き飛ばした。

 

 

 

『シャーリーさんっ、ソイツはわたしがやりますっ!!』

 

唖然とする私を正気に引き戻したのは耳に響いてきた舌足らずな幼い声だった。

 

 

 

 

 

 

丸太、じゃないマルタにいましたねコイツ。

シールド展開してくる中型ですがお姉ちゃんが突撃瞬殺した記憶があります。

でもコイツにはM1897は効きませんね、一旦捨てましょう。

 

『気をつけろエイミーッッ!!そいつはシールドを…』

「だいじょうぶですっ!!マルタでいちどたおしてましゅっ!!…ぁっかんだ」

 

ピロロロロと未来予知のアラート音が鳴り響くがその規模はしょぼくカスカスだ。

そのグルーポンおせちビームを避けつつ思い切りクナイをシールドにたたきつけます。

このシールド、銃にはめちゃくちゃ強いですが近接攻撃には滅法弱いです。

弱…あれ?

 

「うっ…か、かたぃぃっっ…!!ふんすっ!!」

 

一枚割り砕けましたが、思ったよりシールドが固かったです。

新聞紙とダンボールくらい違いがあります。これが1枚2枚なら大した差ではないですが大量ですからまぁ大変。

 

「フランカおねえちゃんがいればっ…」

 

そう、お姉ちゃんがいれば手を繋いで火を貸してもらえる…なんかタバコみたいですねアブナイ。

光熱魔法を貸してもらって燃えるクナイが出来て多分簡単に切れるんですが。

 

―――ピロロロロ

 

ああもう、これ相手のシールド生成の速度に追いついているんでしょうか。

くっそお姉ちゃんがいればこんな奴相手に苦戦なんか…びくんびくん。

 

 

『あんな、クリスのような子供が戦っているのに…見ている事しかッ…やはり私なんて…』

『……おい、堅物。もういいだろ。もう一人で肩張るのはやめろって…』

 

 

お?これはアレですね!ずっと憧れてたシチュエーションですよきっと!

会話イベントを背後に流しつつ、大空で戦闘するステージですよコレ!!!

うおおぉぉぉぉ燃えてきたぁぁぁネウロイがなんぼのもんじゃぁぁぁ!!

 

 

『ッッ!!?貴様に何が……なにがわかるぅッッ!!』

『はぁ…姉ってのは皆こうなのか?ルッキーニもお前と同じだったよ。』

『な…少尉が?』

 

うおおお三回転半宙返りぃぃ!!左捻り込み!!剣一閃!!…はムリダナ。

 

 

『アイツもお前と一緒でずっと一人で悩んでたんだ…妹の為に、妹の為にってずっと不安も、恐怖も一人で抱え込んでな』

『……違う、私は彼女のような姉では…』

『違うもんかよ、一緒だ。どっちも優しくて、どっちも妹のことを大事にしてるけど…どっちも不器用なだけさ。』

『リベ…リアン…』

 

って言うかマルタから強奪してきたクナイが残り一本しかないんですけど折れそう。

そういえば坂本さんが扶桑からお姉ちゃん用の扶桑刀と私のクナイを取り寄せてくれてるらしいです楽しみ~。

 

 

『だが…もう、私には、何もできない…』

『はっ、アンタ一人ならな。でも違うだろ?ほらミーナ隊長がしょっちゅう言ってるじゃないか。』

『…「私達は家族」。か?』

『なんだ、よくわかってんじゃん。……アタシで良ければ手伝うぜ、堅物。』

『…はは、十分だッッ!!』

 

 

―――ガキンッ!!

 

ん、やばいですね、ついに最後のクナイが折れました。もう武器がありません。

後はもう救援が来るまでコイツを引き付けるしかないですね。

まぁそれまで魔法力が続けばの話ですが…今回は何回死ぬかな。

 

 

『エイミー!!悪いがソイツを引き付けてくれッ!!』

 

 

ん、シャーリーさんの声…お話が終わったのでしょうか。

 

『コイツの戦い方は見させてもらった!!まさか殴る斬るが攻略法とはなッッ!!』

 

地上から…す、凄まじい通常の3倍くらいの速さで駆けあがってくる…シャーリーさん!!

そしてそれに抱えられているのは凛とした顔のバルクホルンさんっ!!

 

『最大加速でぶつかるぞっ!!思い切りその拳骨を叩き込んでやれッッ!!』

 

見れば二人とも銃も投げ捨てて身軽な状態です。

そして凄まじいスピードを殺さないまま振り上げられた拳が。

幾重にも重ねられたシールド越しに、ネウロイのどてっぱらに思い切り叩きつけられて――――。

 

 

 

『『うおおおおぉぉぉおおおおッッッッッ―――――!!!!』』

 

 

――――ブゲメグジャアァァァッッ!!!

 

 

 

なんかもう、それはそれはスゴイ光景でした。

多分6重くらいシールドで防がれてたのをティッシュかのように豪快に消し飛ばし。

更にはその装甲すら一瞬で飴細工のように砕け散り―――露出したコアなんてもうその衝撃波だけで粉々になったのですから。

 

「しゅご…い…」

 

思わず舌足らずな声で驚いてしまうほどそれはすんごい光景で…。

 

 

『ははははは!!!今のスッゲー気持ちよかったな!!風船みたいに弾き飛んじまったよ!!』

『ははっ…まぁ、悪くなかったな…』

 

 

そしてその白いネウロイの残骸の雨の向こうには、大声を上げるシャーリーさんとバルクホルンさんの笑顔。

 

ーーーそこには先日散らし合っていた火花など見えず、どこまでも清々しい爽やかな空気が満ちていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…扶桑の空気は良いですね。古臭く埃かぶったモノだと思ってましたが。」

 

美しい緑の木々に埋められた扶桑の山の光景。

それをさっき港町で買った馬で駆けながらぼんやりと眺めていた。

 

「馬なんてよく乗れますねぇ、ソレお股が痛くなっちゃいません?」

「…あなたがそのストライカーを除けてくれれば私もそのジープに乗れるのですがァ?」

「ストライカーはウィッチの魂です、手放すなんてとんでもない(キリッ)」

 

こんの隣で運転する金髪眼鏡は何を思ってわざわざ付いてきたと言うのだ。

勿論私が扶桑に何しに来たかなど伝えてないし、エイミーが言った未来のことも教えてないのに。

もしや扶桑の謎兵器に釣られてやって来たとでも言うのか。

 

 

「ん…中佐中佐、なんでしょうアレ」

「はぁ?また焼きポテト屋でも見つけましたか」

「違いますよ。女の子が熊に襲われそうになってません?」

「……ウルスラ、止まってなさい。」

 

 

見れば何だあれは。

扶桑の独特な学生服を着た少女二人が...熊の前で小さな熊を捕まえようとしている?

何を馬鹿で阿呆なことを。命が惜しくないのか。

 

「グルルルルゥゥゥ...」

「あ、わわ、危ないよよしかちゃん...」

「ううん、でもこの子のケガを治してあげなきゃ...!!」

 

よく分からない事を呟いてるがこの少女達には目の前のクマが見えてないのか?

 

「グギャァァァ――――」

「!!きゃああぁぁ―――」

 

 

 

「―――『止まりなさい』」

 

 

「...え...」

 

 

使い魔を顕現させ、その熊の前に立ち塞がり《催眠》の眼で相手を見据える。

 

「ぐ...る」

「…『落ち着きなさい。』『静かになりなさい。』」

 

さっさと荒ぶる熊を鎮静化させると、後ろで子熊の元に跪く少女達を見据えた。

 

「まったく何をして……おや?」

「くぅん……まぅっまぅ♪」

「あはっ、良かったぁ…!!ちゃんとなおせたぁ!!」

 

血だまり、今塞がれたばかりの傷跡。そして目の前の少女に懐く子熊。

そして犬の耳と尻尾を生やした、何とも地味で大人しめな少女――――。

 

なるほどそういうコトか。

どうやらこの子は中々珍しいとされる治癒魔法の使い手らしい。

それで傷ついた子熊を治そうと近づいたのをこの親熊に勘違いされたといった所か。

 

 

「あ、あのっ、助けて頂いてありがとうございます。リベリオンのウィッチさんっ!!」

「ん…良く知っていますね。この制服がリベリオンだと。」

「はい、私、ウィッチに憧れてて…えへへ」

 

青みがかった長髪の少女が笑顔で嬉しそうに語りかけてくる。

 

 

「…あなた、治癒魔法が使えるのですね、珍しい。だったら尚の事命を大事にしなさい。まったく。」

「あ、あはは…ごめんなさい。私、傷ついてる人を見るとどうしてもじっとしてられなくて…。」

 

犬耳の大人しそうな少女は立ち上がり、こっちを向いて笑顔を向けた。

 

 

 

 

「ありがとうございます!わたしっ、宮藤芳佳と言いますっ!!」

 

 

 

 

「……みやふじ、よしか…?」

 

 

…何という偶然だろうか。

まさかこの大人しそうな地味な少女は、私が探している扶桑のウィッチと同じ名前だったとは。

 

まぁ、こんなどこにでもいそうな少女がネウロイの巣を破壊するような天才な訳がないか。

きっと偶々同名なだけだろう。

 

 

「なるほど宮藤さんですか。ところで私、〇〇と言う村を探しているのですが…」




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