「おいおいジッとしてろってルッキーニ、あらえねぇだろ」
「うじゃじゃー!!くすぐったいー!!」
「ほらエイミー、しっかりぎゅっと目をつぶってろ、染みてしまうだろ」
「は…はい///」
私の頭をわしゃわしゃと洗ってくれるトゥルーデお姉ちゃ…げふんげふん!トゥルーデさん!
そして隣では貴重な髪下ろしお姉ちゃんを洗うシャーリーマm…シャーリーさん!!!!
「えへへ~!!洗われるの久しぶりー!最近いっつもエイミーのカラダ洗ってばっかだったから~♪」
「おいリベリアン、そっちのブラシを貸してくれ」
「んっ、ほらよ。…はははおいエイミー!!耳と尻尾でちまってんぞ!!」
「ひゃっ、えぇぇっ!?使い魔がかってにぃ…」
あぁ4人でのお風呂楽しい…幸せ…。
あの初めてこの基地で出撃して以来、私とお姉ちゃんはシャーリーさんとバルクホルンさんにお世話されることが増えました。
お姉ちゃんも前にも増して無邪気そうに笑う事が増えて私も幸せですっ。
シャーリーさんとバルクホルンさんのお二人の仲も大分よくなったようで…あぁよかったぁ。
「おーい頭乾かすからじっとしてろよー」
「うにゃー!!光熱まほーでかわかしゅー!!」
「ほら足を上げろ、ズボン穿かせてやるから」
「////……ぅ、ん…///」
なんかもう、トゥルーデお姉ち…違う!!バルクホルンさんが超過保護で恥ずかしい///
「あははートゥルーデとシャーリー。二人そろってママみたいだねぇ」
そんな無邪気に私達の姿を笑うのはすっぽんぽんのハルトマンさん。
いや脱衣所だから別に間違ってはないんですけどぉ。
「おいハルトマンッッ!!この子達に悪影響だろうが、タオルを巻けぇっ!!」
「このセクシーギャルのスーパーボディーはちょっと子供には刺激が強すぎるかな?あははー♪」
そのぺったんこの身体をくるくる回転させ近づいてきたハルトマンさんが私に近づいてきて。
「――――ありがとね。トゥルーデを守ってくれて。」
そう耳元で小さく囁きました。
「……ううん。わたし、なにもしてません。」
その返事にニコリと天使のような笑みを返してくれると、彼女は浴場へ駆けて行ってしまいました。
そしてそれを…どこか穏やかな目で見送るバルクホルンさん。
「…もしかしてきこえてました?」
「ふっ、さぁな。…さあ、さっさと服を着るぞ、風邪でも引いたら身体に障るからな。ほらバンザイしろ。」
「だ、だからひとりで着られますってぇ///」
結局また今日のお風呂も、着替えから何まで全部優しいトゥルーデお姉ち…トゥルーデさんにされるがままでした…///
「ひゃ…わ、わわ…」
「…絶対に声を出すな。無理そうなら私に顔を押し付けておきなさい」
あぁ畜生、面倒くさい面倒くさい。
私は今扶桑の田舎のどこともしれない森の奥で宮藤芳佳を胸に抱きしめ息を潜めている。
視線の先にいるのは―――誰とも知れぬコート姿の男たち。それも4,5人。
(やはり狙いは私か。下手な尾行だとは思ったが)
あの後わたしは学生の少女二人を連れて目的のウィッチがいる村まで道案内を頼んでいた。
片方の少女がウィッチに詳しく、私のコトを知っていてくれたから話も早かった。
しかしそれも遠くからつけてくる車に気付くまでだったが。
「…絶対に逃がすな。そして生け捕りにしろ。殺さなければ銃を使っても構わん」
「はっ。」
コイツらは恐らく宮菱だろうか、何ともまぁ平和な扶桑で手荒な手段を選んだものだ。
二手に分かれたウルスラの方には目もくれずコッチに来た辺り、やはり目的は私。
「ふっ…んんっ///んふぅ…♪はぅぅん…///」
まったくこの少女には申し訳ないことをした。
見るとどこか興奮した様子で頬を赤らめ私の胸の中でもぞもぞしているではないか。
まぁこんな状況に陥ればパニックになるのも無理はない。さっさと片づけるか。
―――ガサッ。
「んおっ!?動くなッッーーーーーふげらっ!」
「へぇっ?―――おごぉっ!?」
投石の音を勘違いしたマヌケ二人の膝を蹴り跪いたところで首を捩じる。ゴキッとか聞こえたが知ったことか。
それになんだコイツらの銃?…二十六年式拳銃か?オモチャですね。
「おっ、い、いたぞっ!!うごく…へぎゃぁぁっ!?」
「おぎぃぃっ!?」
―――ドンッ。ドンッ。
派手な音の割には低い威力の弾を膝に撃ち込む。
しかしなんだこのトロさは、多分まともに訓練されてる奴らではありませんね。
「ひっ、きゃあああぁぁっ!!やめてぇっ、はなしてっっ!!」
残りの一人を探していたが、聞こえてきたのはさっきの宮藤芳佳の悲鳴…は?
見れば何と彼女を肩に抱えた男が逃げ出そうとしているではないか。
「はは!!あばよクソリベリアーーーーぎゃぁぁっ!!?」
は?は?意味が分からない。そしたら次の瞬間にはその男の悲鳴が…。
「ぐるるぅっ…ぎゃう。」
「わっ…ありがとう!!助けてくれたの!?」
茂みを掻き分けるとそこには何と先ほどのあの熊と…彼女が命を助けた子熊がいたではないか。
見れば二匹とも宮藤芳佳のニオイをかいだり舐めたりしてて微笑ましい。
「はぁ良かった。ちょうどいい、ちょっとその熊の近くにいなさ…って何をしてるのです!?」
―――パァァァ。
折角熊が気絶させ血を流し倒れている男を、なんと彼女は治癒し始めたではないか!?
「ちょ、ちょっとやめなさい!ソイツはあなたを理由は知りませんが誘拐しようと―――」
「わかってます、でも私、目の前で傷ついてる人を放ってなんておけません!!」
「………。」
凄まじい。平和ボケもここまで来たら寧ろ尊敬さえ覚える。
薄汚い私とは真逆のタイプの人間だ…はぁもう好きにしなさい。
「まぁ巻き込んだのは私ですからね。好きになさい…どれどれ。」
きっとこの子が私の関係者だと勘違いしてさらったのだろうか。
まぁ何にせよまずはコイツらの持ち物を漁って何処の人間かの手がかりを探さねば…。
おや内ポケットに何かが…写真か。
一体どんな私の顔が撮られてるのか見てやろう――――――は?
「…ふぅっ、これで血は…あれ?どうかしたんですか?」
宮藤芳佳の顔を何度も見る。
そして次に
「あ、あのぅ…わたしの顔、何かついてますか?」
何度も何度も見る。念のため魔力まで使って。
いやでも間違いない、間違っていない…!!
「――――どうして
その写真に写っていたのは、満面の笑みを浮かべる扶桑の少女のあどけない姿だった。
「本当にありがとうございます。芳佳を助けてくださり。なんとお礼を言えばよいか…」
「いいえ、お気になさらず。私のような者といたせいで目立ってしまったからかも知れませんし」
あの後迎えに来てくれたウルスラと共に彼女の家であるらしい診療所まで足を運んだ。
しかしまぁ妙齢になっても魔力を失わない家系とは…ウルスラが変な道具取り出したのを慌てて制しましたが。
それよりも一番の驚きは私が探していた最強のウィッチ。
あのネウロイの巣を何度も撃破するというウィッチこそこの目の前の大人しい少女、宮藤芳佳だったのだ。
「心当たりはありませんか?宮藤芳佳さんを誘拐するような人間達や組織に。」
「いえ…まったく。特にこの辺りで今まで怪しい人間も見かけたことは…」
「ふぅむ…。一体全体私ならともかく何故彼女を。」
未来の事は、エイミーの語った事はこの世界で知るのは私だけだ。
つまり彼女を狙う理由がある存在など私くらいしかいない。
「私も宮藤芳佳さんのことを探して扶桑まで来たのです。実は私は欧州でウィッチ用兵装の研究をしており、ぜひ彼女の治癒魔法を一度見せて頂けないかと。」
「えっそうだったんですk…そうなんですよ。」
「話合わせろ」と殺意を込めた視線を送ると、出されたお茶を飲んでたウルスラが同意する。
「えぇえええっ!?そ、そんな…私なんかの為にわざわざ外国から!?」
「はい、しかしそれどころでは無くなってしまいましたね…。」
今回は彼女をウィッチ養成学校にでも誘導し、適当に育ったところに息をかけようと企んでたのだ。
それだけなのにどうしてこうなった。
遠い眼でぼんやりと扶桑の民家の中に視線を這わせ――――一通の手紙が転がっていた。
「その手紙…宮藤一郎!?あの宮藤博士から!?」
「えっ…はい、昨日いきなり届いて…おかしいですよね。お父さんはもう、ブリタニアで…もう。」
「きっと昔に出されたのが検閲で遅れたんだと思います。だって一郎さんは…。」
そう、偉大な研究を成し遂げた彼はブリタニアでの共同研究の際、戦火の犠牲になったはず。
「―――今、思いつきました。宮藤芳佳さんを誘拐しようとする相手に心当たりがあります。」
「ええっ!?ほ、ホントにこんな私なんかを?」
「本当ですか?」
「…言いなさい、ウルスラ。」
ずず、とお茶を飲み一呼吸してから言葉を続ける。
「こんな噂をご存じですか?―――『宮藤博士は生き延び、欧州の何処かで今もストライカーを研究している』」
「…ッッッ!!おとうさんが、生きてる!!?詳しく教えて下さいッッ!!」
それなら私も少し聞いたことがある。余りにも意味不明でつまらない噂だったため調べもしていなかったが。
「いえ、本当にただそれだけの噂です。真偽はおろか何処から出た話かすらも分かりません。」
「…っ。お父さん…。」
なるほど、つまりウルスラはこう言いたいのか。
「―――
「宮藤博士は間違いなく世紀の科学者です。もし生きているのなら手に入れようとする勢力は幾らでもあるのではないでしょうか。」
ふむ、と顎に手を添える。
オラーシャか?いや彼らのやり方はもっとスマートだ。今回の手法はずさんすぎる。
だったらブリタニア、ガリア、ダキア…いや最悪リベリオンの勢力の可能性すらある。
―――こうなれば仕方ない。欧州に行って探ってみるか。
「ウルスラ、帰りますよ。ブリタニアまでは行くからそっからは自分で戻りなさい。」
「あ、そこまでは送って下さるんですね。」
立ち上がりお茶の礼をすると、ウルスラを連れて扉まで向かう。
「あの!芳佳を助けて頂き本当にありがとうございました…大したお礼も出来ずに…」
「構いません。それよりもしばらくは遠出を控えてください、警察も買収されてないとは限りません。あと私の部下も数名扶桑に置いておくので何かあればそちらまで。」
深々と頭を下げる宮藤芳佳の母と祖母。
何ともまぁこんな寂しい所に住んでいるというのに礼儀が素晴らしい。
二人とも穏やかで質素な物腰の中にも凛とした貴族のような品位が感じられる、これが扶桑か。
「―――あっ、あのっ。待って下さいリリーさんッッ!!」
そこに背後からかけられる、宮藤芳佳の声。
「お願いがあるんですっ!あの、こんなことを頼んでしまうのはおかしいかも知れないんですけどっ!!」
「…出来る事なら構いませんよ、言ってごらんなさい。」
そうだ、この子に恩を売っておくのも悪くない。もともと繋がりを持つ目的で来たのだから。
「
「…え?」
だからと言って、流石にこれは予想外でしたが。
『…予想外だった。まさか我々に先んじてリベリアン風情が彼女に目をつけるなど』
『しかも例の薄汚いコウモリ…性悪女の仕業とはまったく穢らわしい!!』
耳に当てた無線の向こうでは欧州にいる上の人間の苛立った声が聞こえる。
―――恐らく彼女はリベリアンに連れられ、欧州に向かうものと思われます。
『行き先は…』
『恐らくはロマーニャかブリタニアだろう。だがブリタニアに向かわれれば我々も派手には動けん。』
―――ブリタニアにいる同志は。
『ブリタニアに魂を売った逆賊など信用に足り得るものか!』
『そうだ、我らこそが正当であるにも関わらず、アイツらは自分たちこそ正当だと騙る売国奴だ。』
―――なら私達がブリタニアに向かいます。そこで彼女を。
『ああ、そうしろ。これは義務だ。我々の手で為されてこそ意義がある。』
『下品なリベリアンや家無しのカールスラント人に頼るわけにはいかん。祖国奪還は我々の手で為さねばならんのだ。』
『そのためにはどんな手段も肯定される。大義の前の犠牲だよ。』
―――ええ。
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