【ストパンVR】初見で最高難易度だけど超余裕   作:Kkmn

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TS作品に低評価を付けて回ってる方々に何故か大変ご注目頂いてるようで、最近☆1や☆2の低評価をたくさん頂いてちょっと悲しいです...
もしよろしければページ下部から皆様の評価お願いします…


ヘルキャット

格納庫で帰還したサーニャとエイラ両名からミーナへと告げられた報告は、予想していたモノよりも遥かに酷いモノだった。

プラマー軍曹が行方不明、更には彼女に守られていた輸送機の行方まで分からないとは。

 

「ごめんなさい、私のせいです。私がもっと早くネウロイに気づけていれば...」

「っ、サーニャのせいじゃナイ!アイツらが止めたのに勝手に離れたからダ!」

 

クロステルマン中尉とルッキーニ少尉が引き続き捜索に当たってくれているがネウロイも多い地域な上、暗闇では困難を極めるだろう。

坂本少佐とビショップ軍曹がたった今捜索隊の増援として出撃したが...。

 

 

「離せっリベリアン!!貴様は何とも思わんのか、エイミーがMIAなんだぞ!!?」

「落ち着けよ!アイツには未来予知があるんだ、最悪のことにはなってねーって。なぁハルトマン」

「大丈夫だってトゥルーデ、私達だって墜落の1回や2回してきたじゃん。あの子ならきっと平気だよ。」

 

先程から荒ぶるバルクホルンを必死に抑制してくれているシャーリーとハルトマンには言葉もない。

そうだ、たとえ家族の捜索とはいえここは最前線の基地。

万が一の為にこれ以上ここからウィッチを割くわけにはいかない。

 

 

 

 

「英雄も所詮は子供か、これだから私はアレほど反対したのだ。若い命をこんな最前線に配置するなど...」

 

滑走路に集うウィッチ達の元に聞こえてきた陰険な声―――マロニー空軍大将とそのお供。

見ればその顔達はこんな時だと言うのに醜くニヤついていた。

 

「失態だなミーナ中佐、君の部下のエースウィッチともあろう者が輸送機一つ守れずたかが小規模のネウロイに殺されるとは。」

「―――ッッッ!!!!」

 

バルクホルンが今にもそのニヤけた顔をぶん殴ろうとしたのを必死にシャーリーが抑えている。

 

「お言葉ですが。まだ彼女は死んだと決まったわけではありません。必ず見つけ出してみせます。」

 

 

―――ブロロロッ

 

厭らしく粘っこい雰囲気が満ちた格納庫の中に飛び込んできたエンジン音。

この音は...ペリーヌ・クロステルマン中尉、それも見れば二人ほど水浸しの男性を担いでいるではないか。

 

 

「―――輸送機は行方不明になったのではありません、ハイジャックされたようですわっ!!!」

 

 

そしてその2名を駆け寄ってきた作業員に預け、彼女は語り始めた。

 

ネウロイとの戦闘が始まるや否や、二人組の記者がいきなり伴兵から銃を奪い輸送機を乗っ取り、他の記者を海へ落としたこと。

そしてネウロイとの戦闘に気を取られていたプラマー軍曹が―――――背後から撃たれたこと。

更に極めつけは、その墜落した海面近くに―――どこの国のものとも知れない()()()()()()()を見たらしいこと。

 

以上の事が彼女が救助した記者達から話された真相だった。

 

「ふざけるなっっ!!一体どこの誰が、ウィッチの背中を撃つと言うんだっっ!?」

「ホ、ホントかよ...それ、そりゃあいきなり後ろから銃なんかで撃たれタラ...いくら未来が見えててもナ...」

「ウソ...そんな...」

 

あまりに突拍子もないその話にウィッチ達は皆憤り、そして困惑しているが当然だ。

ウィッチに対し快くない者達は確かに存在するが、ここまで明確に直接悪意の牙を向けたことはない。

 

「すぐに基地へ入った記者達の一覧を寄越して!!それと不明になった輸送機に乗っていた人物の洗い出しを!そしてその記者の人が見たという潜水艦の調査を―――」

 

 

「ああ、それなら()()()()()()()()()()()だろう。捜索も彼らに任したまえ。」

 

 

すると今まで黙っていたその男が、マロニー大将がそんなことをのたまい始めたではないか。

 

「...あんなネウロイの支配地域にですか?それに今日そんな訓練や動きがあるなど聞いておりませんが!」

「君が聞きそびれただけだろう。とにかく輸送機...そしてプラマー軍曹の捜索は彼らがやる。君たちはもう無駄な出撃を控え、いつも通りネウロイを警戒していたまえ。いいな?」

 

まるで有無を言わさぬ一方的な物言いに、さすがにまだ食いかかろうとするが―――。

 

「それとだ、今回の件は余りにも影響が大きすぎる。決して外部にこの事は漏らしてはならん。」

 

「―――はぁっ!!!?」

 

その言葉に全員の意思を代表するかのように、シャーリーが大声を荒げた。

それにちらりと一瞥することもなく淡々と言葉は続けられる。

 

「当然だろう。後日調整してからこちらで公式に発表する。まったく...無駄な仕事を増やしてくれるな。」

 

 

 

話は終わりと言うように最後にそう告げると、男たちはコツコツとわざとらしく軍靴の踵を鳴らしながら背中を向け去っていった。

そして残された彼女達のその表情は―――それはもう言い表せない程の怒りと困惑に満ちていた。

 

「アイツっっ!!アイツ絶対ナニカ知ってるゾ!!いや、エイミーを撃ったのもアイツらの仲間なんじゃないカ!?」

「わかんないけど、なにかウラがあるのは間違いないよ。私の直感がそう言ってる。」

 

途轍もない鋭利な目で去った背中を見つめるエイラとハルトマン達。

 

 

「おいミーナ!!勿論このまま指を咥えて待ってる訳にはいかないだろう!!」

「アタシならスグに墜落した場所まで飛んでいける!逃げられる前に奴らの尻尾を―――」

 

「落ち着いてッ!そんなことしたらきっと待ってましたとばかりに良いように言われるわ!!」

 

 

鼻息荒く近づいてきた彼女達を必死に制する。

そうだ、悔しい気持ちも、腸が煮えくり返るような気持ちも理解できる。

 

ただ今のこの状況はミーナがウィッチとして戦ってきた中でも最も異常で際立っているものだ。

敵の正体も掴めぬまま闇雲に動いても犠牲者を増やす結果にしかならない。

探索隊の報告を待ち、信用できる誰かに助けを乞うか、それとも...。

 

 

「...持ちうる手は尽くすわ、家族を見捨てるものですか...!!!」

 

 

未だ暗く、月明かりさえ雲に遮られた夜空を見上げる。

 

化粧すら知らず、自らの着飾った姿に幼い目を輝かせていた傷だらけの少女。

彼女の無事を心の底から祈りながら、ミーナは執務室へとその身を翻した。

 

 

 

 

 

 

...死んだと思いましたが、どうやら違うようですね。

見渡すと懐かしい感じがします、だって数ヶ月前にリリー様に催眠調教された部屋にそっくりなんですもの。

その上椅子に縛り付けられてるとなれば連想するなというのが無理なもの。

 

はてさてどういうことでしょうか。

えっとたしか...そう、夜空でネウロイと戦ってた私は何者かに背後から撃たれたんですっけね。

で、目が覚めたらこの有様と。

 

「ぃっっ....」

 

撃たれた脇腹と太腿が激痛が走ります。一応治療はされてはいるみたいですが。

誘拐された?…もしかして、宮菱工業の人だったりします?

しかしどうしましょうか、何時間経ってるか知りませんが、今死んでも多分あの空には帰れないですね。

 

 

―――ガチャ。

 

 

「おや、起きていたのか。やはり子供とは言え流石ウィッチだ。」

 

突然部屋に入ってきたのは…誰?多分ウィッチの金髪の少女と初老のおじさん。

そして彼女らのお供と思わしきスーツの男性らがぞろぞろと…?

 

「…哀れな子供だ。下衆なリベリアンの道具にされた成れの果てがこれか。」

「まったくですね。」

 

私の身体をマジマジと…って私何も着てない!?裸じゃん、やだーえっちー。

あ、もちろん私まだブラすらつけてないし、はえてないですよ。はい。

そんなぺったんこ傷だらけボデーを眺めていたおっさんが指を鳴らすと。

なんか薬が大量に載せられたトレーがゴロゴロと転がってきて!?いや量多くない!?

 

「あなたたちっ…だれ…」

 

舌足らずな幼い声を必死に張り上げて問いかけますが、全然迫力の欠片もないですね。

 

「くすっ…我々は愛国者さ。君の飼い主と同じね。」

 

愛国者?は?飼い主ってリリー様のことでしょうか。

そう言うと初老のオジサマは注射器で薬瓶をコンコンと叩き…ああ懐かしー!拷問する人って皆これしがちなのかなー!!

 

「…この子は()()()()を手に入れる為の取引材料ですよ、教授」

「無論そうだ。ただもしこの子供が私達に協力してくれれば心強いだろう?」

 

…え?今この人宮藤芳佳って言いました!?

宮藤芳佳ってあの宮藤芳佳ですよね!?主人公で魔法力チートでおっぱい星人の!!

えでも、まだこの時だとただの一般人で軍属ですらないですよね?一体どういうことですか!

 

 

「あの性悪女(ヘルキャット)と第501統合戦闘航空団、そしてブリタニア…それらの情報を提供してくれるよき協力者となってくれるだろう。」

「…わかりました。それでは私に任せてください。しっかりと彼女を『教育』してみせます。」

 

ニコリとそれに良い笑顔で頷いてその注射器を金髪のウィッチさんに手渡すと、オジサマは去ってしまいました。

残ったのは彼女と数名のスーツさん…ああうそ、もしかしてまた私調教されちゃいます?

 

 

「アマンダ・ミシェル・プラマー…私も人の子だ。キミのような幼児に手荒な真似はしたくない。君が良い子になってくれれば、なあぁにも…痛いことはしないよ。」

 

 

私の肌をねっとりと撫でる女の人のその声は、あの出会った当初のリリー様とそっくりでした。

しかもその表情も、声音も。

ただ少しだけ違うのは、もう片方の手でトレー上の拳銃や薬をチラつかせていたところでしたが。

 

「……あなた達は、もしかしてガリアのひと、王とうは、ですか」

「!!!…ほう、これはこれは。性悪女は部下の教育はしっかりとしているようだね。」

 

あーやっぱりそうでしたか…。

今はまだ存在しない506部隊、ノーブルウィッチーズの因縁深い宿敵―――()()()()()()

ネウロイを前にして争う頭やべぇ奴らなんてブリタニア空軍やソレくらいしか無いと思ってましたが、ビンゴでしたね。

 

「…どうして?ガリアはまだネウロイの支配下なのに。こんなことして、何の意味が…」

「意味ぃ?ははは、分かってないなぁ。君たちの行為こそ無意味だというのに。」

「…?」

 

なんか話がかみ合いません。まぁまともな相手だとは思ってませんが…。

 

「リベリアンやカールスラント人、扶桑人混じりの部隊に解放されたガリアに意味なんてあると思うかい?

いいや。ない。恐らく彼らは恩着せがましくその後の内政にまで干渉するだろう。」

 

なんか両腕を広げて演劇役者みたいな仕草。

 

「そうなればネウロイから解放されたところでガリアは本来のあるべき姿とならない…。分かるかい。」

「ガリアのかいほーは、ガリア人だけですべきだと?」

「…やはり君は賢い子だ。そんな君なら『私達に協力するか』という問いにどう答えるべきか、分かるだろう?」

 

 

―――カチャリ。

 

 

おっと、眉間に拳銃を突き付けられました。

しかし何万回も死んでる私にとっては今更です。寧ろ即死できるのでラッキーまでありますから。

 

「うつなら、どうぞ。」

「…さすが『マルタの女神』と肩を並べ戦ったウィッチだ。眼の色一つ変えないなんてその幼さで信じられん度胸だよ。

それとも噂の《未来予知》とやらで予め分かっていたのかな?」

 

銃口で額をぐりぐりされますが、どうぞどうぞと言った具合だ。

しかし一向に撃つ様子がないあたりもしかして空砲だったり?

 

 

 

「ふっ、ところで話は変わるが、君は性悪女(ヘルキャット)の―――リリー・グラマン中佐のカウンセリングについて知っているのかな?」

 

?はぁ、どうして急にリリー様のお話に移るのでしょうか。

 

「彼女の催眠療法を交えたカウンセリングは有名でね。その手法について同胞が詳しく調査したことがあるんだ。」

「…。」

「彼女は一度治療した相手に『ワード』を設定するらしい。次に治療をする時にその言葉だけで催眠状態に出来るのだと。」

 

…初めて聞きましたが。

 

「ところで君の素性を組織総出で調査した時、さすがは性悪女(ヘルキャット)というべきかまったく粗も尻尾も見つからなくてね。

挙句数十人もの同胞を捕らえられて…ただ『仲良くなった』ロマーニャのある看護師から面白い言葉を聞いたのさ。」

 

 

 

にんまりとした笑みを浮かべた顔が、息がかかるほど私に近づいてきます。

 

 

 

「 『 () () () () 』という言葉をリリ―――佐は―――言っ―――らし―――おや―――ど―――」

 

 

…え。

 

 

あ。

 

 

 

 

 

 

「…お願いしますっ、私を探索に出させてください…!プラマーさんを必ず…!!」

「サッ、サーニャが行くならワタシモっ!!」

「……ダメだ。今ミーナがブリタニアの知り合いのウィッチに掛け合っている。それを待て。」

「でもっ!!」

 

隊長室の前で、嘆願に来たサーニャとエイラの二名は坂本に制止されていた。

居ても立ってもいられないのは皆同じだが、今の彼女達にできることはない。

それを自覚しているからこそ二人を止める坂本もぎり、と歯を鳴らしていた。

 

 

―――ああ。あの彼女に託された少女を、こんなに呆気なく失ってしまうなど…!

 

 

 

「いやぁやはり欧州はいい、なんて芳しく吐き気のする香りでしょうか」

 

 

 

―――コツ。コツ。コツ。

 

わざとらしく鳴らされた軍靴の音。

 

 

 

 

「肥溜めに吐瀉物と腐った死体をブチ込んで煮詰めたような最高のニオイ―――」

 

 

 

 

何処かウキウキとさえ感じられる、ねっとりとした蛇のようなその声は、間違いない。

 

 

 

 

「―――燃えてきました…ココこそ私の戦場です!」

 

 

 

リベリオンの性悪女(ヘルキャット)。リリー・グラマン技術中佐が、見慣れない扶桑の少女を伴い悠然と佇んでいた。




・ヘルキャット
直訳において「地獄の猫」と和訳できる英語であるが、用法上は専ら「性悪女」を意味する慣用句である。



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