もう少し頑張って書こうと思わせて頂いて感謝の言葉もありません。
これからも更新がんばります。
人気の少ない夜のブリタニアを駆ける。
運転しているのはリベリオンから
「貴様には聞きたいことが腐るほどあるが、今は黙っておいてやる」
「お元気そうで何よりですわ、バルクホルン大尉」
助手席に座るダイナモ作戦以来となるウィッチに微笑み返す。
後部座席にはリベリオンのイェーガー中尉、そして扶桑から連れてきた子犬のような少女、宮藤芳佳。
「なぁ大将。これどこへ行ってんだ?」
「犯人の一味は特定出来てるので直接インタビューしに行こうかと。」
「えっ。はぁぁぁ!?なんで基地にもいなかったアンタが知ってんだよ!!?」
左手を空に静かに掲げ、使い魔を顕現させる。
するとソレを待っていたかのように車と並行して飛んでいた鳩の群れが我先にと掌に群がった。
―――そして彼らの首に掛けられていたカメラのレンズをそっと指で撫でる。
「エイミー軍曹とルッキーニ少尉を預ける時、悪いとは思いましたがこの辺りの鳥はほぼ全て催眠して『
この街はもう、私の掌の上です。」
「マジ…かよ」
「わっかわいいっ…!!」
現像したこの鳩達の写真の中に居た、不審なガリア人の記者達。
ソイツらの顔はもうこの子達に覚えさせて捜索させている最中だ。
「…ウルスラ、写真の複写は」
『予想より早く完成しそうです。ありがとうございます、お姉さま、ビショップさん。』
『いーのいーの、トゥルーデぇ、そっちもがんばってねー!!』
『えへへ、写真ってちょっと楽しいですね。』
よし、大量に写真が出来れば最悪人海戦術に移行もできる。
しかしやはり彼女は優秀だ、ノイエ・カールスラントまでの足くらいは用意してやるか。
「待て、もう既に逃げている可能性はないのか?あれから数時間は経っているんだぞ。」
「無いですね。港や駅には私の部下を露骨にバレるように見張りに立たせていますから。
あたかも『
「…しかしマロニー大将達…ブリタニア空軍タカ派が犯人達を匿っているのでは」
「ああ、さっき基地職員にタカ派のスパイが居たので一人買収しましたが、彼らも行方は把握してないようです。」
ぎょっとした風な反応をするがコレが普通か、やはりウィッチは馬鹿正直と言うか疑う事を知らない者が多すぎる。
と言うか私のスパイだってあの基地に居るということも知らなさそうだ。
「なぁ、コイツは一体何の為に連れてきたんだ?相手はウィッチ相手に銃を撃つような危険な奴らだぞ。」
「ぅぅ…」
ちらりと背後を見ると、鳩と戯れていた宮藤芳佳がその言葉にしゅんと落ち込んでいる。
「だからこそですよ、その子は一流の治癒魔法の使い手です。おかげで私達は安心して銃で撃たれられます。」
「えぇぇぇえっ!!じゅ、じゅう…うたれる!?」
「冗談ですよ。…ほら、アナタも一応持っておきなさい。」
そう言って座席の下にあったM1911を彼女に手渡そうとする。
多分使わないだろうが念の為だ。
「あっ…その、わたし、これは…」
「―――必要ない。この子は私が守る、それで良いだろう。」
しかしそれを遮ったのはバルクホルン大尉。
ふむ、まぁ彼女程の歴戦のウィッチがそう言うなら心配ないか。
「あ、ありがとうございます!え、えっと…」
「バルクホルンだ。」
「バルクホルンさんっ!!ありがとうございますっ!!」
「あ…ああ///」
…助手席に座るバルクホルン大尉の顔が少し赤い、調子が悪くなければいいのだが。
―――バサバサバサッッッ!!
頭上で鳴り響く大量の翼のはばたき。
それが意味することをスグに理解してハンドルを切りアクセルを吹かす。
「おわっ!?」
「きゃぁぁっ!!」
「どうやら何かを見つけてくれたようですね。行きましょう。」
そして静寂のブリタニアの夜空を舞う鳩達に導かれ、車を走らせること数十分―――。
鳩たちは街の外れにある海に面した小さな一軒家の屋根へと次々と降り立っていった。
「ここか?…おい、裏に泊まっているアレは」
「…ええ、最近ここにやって来た船でしょうね。」
明かりもついてなければ物音もしない、だがもし潜伏しているならそれくらい隠すだろう。
「ドアをピッキングします、周囲を警戒しt….」
「 ど い て ろ ッ ッ!!!!」
―――ドグォォォッッ!!!
…何という事をしてくれたのでしょう。
もしかして彼女はドアというモノを存じ上げてなかったりするのでしょうか。
「―――何だっ!?戦車がやってきたのか!!」
「ウィッチ!?馬鹿な、軍は動かないハズじゃなかったのか!!」
…この慌てぶりからすると、多分こちらにはまだ気づいてなかったでしょうね。
しかし二人だけか、これならスグに片付きそうだと銃をホルスターから抜くと。
―――ビュンッッ!!
背後から飛び出してきた影が突風と共に駆け抜け、男達の背後に一瞬で回り込む。
無論その正体は《超加速》を持つウィッチ、シャーロット・E・イェーガー中尉だ。
「リベリアンッッ!!」
「わーってるっ!!」
それにより生まれた男達の隙を見逃さず、彼女たちはそれぞれ一瞬でラリアットを決めて―――。
―――ドグシャァァッ…!!
「きゃぁっ…!?」
一部始終を震えて見ていた宮藤芳佳が顔を伏せ目を覆うほどの嫌な音が響く。
血は出てないところを見ると多分死んではないだろうが…。
何やりきったみたいな清々しい顔で頷き合ってるんでしょうかこのウィッチ達はぁぁぁぁ!!
「み、宮藤芳佳、出番ですよ。治すのは犯人の方ですが」
「は、はぃぃぃ…」
―――パァァァ
使い道は全然違うが連れてきて良かった…。
さて縛り上げた男達の意識が戻るのを確認すると、銃で頬を叩きながら目を覗き込む。
「さて、まあ察しはついてますが『あなた達は何者ですか』?」
さっきウィッチ二人に頭をかち割られたのが余程恐ろしかったらしい。
驚くほどすんなりと催眠に導入させることができた。
「―――わ、我々は、真なるガリアの為に動くモノ….」
「真なるガリア…?まさか、ガリア王党派か!?」
「??なんだっけなそれ?」
「お、お前…それくらい知っておけ!貴族主義を主張して、祖国が奪われるその瞬間まで足の引っ張り合いをしていたガリアの連中の一派だっ!!」
やはりそうか、マルタ以降私を嗅ぎ回るネズミはそれはもう大量に増えたが、その中でも動きが特に活発で顕著だったのが各地に散らばったガリア王党派の連中だ。
恐らく次に欧州で何かしでかすならコイツらだとは思っていたが。
「『エイミーは何処です?』どうせ死んではいないのでしょう?」
「ど、同胞の潜水艦が回収した…行き先は、ブローニュ…。」
「ブっ、ブローニュ!?ガリアのか!?」
しかしその次の言葉は流石に少し予想外だった。
まさかガリアの海沿いの街、それもネウロイの支配下にある所に行くなどとは正気の沙汰ではない。
ネウロイに狙われる危険性はもちろん瘴気のせいで普通の人間なら5分も持たず死に至るのだから。
「『なぜブローニュに?あそこに何があるのです』」
「我らの。アジト、そこに…」
そこまで聞いて銃底で頭を叩き気絶させる。
ふむ、どうしたものか。
「信じられん、まさかあんな場所に人が居れる訳が…」
「だからこそアジトには最適なのかもしれませんね…ちょうど船がありますし拝借しましょうか。」
――――ブロロロッ
おや、このエンジンは少し懐かしい。マルタでよく聞いた
「シャーーリーーッ!!たいいっ!!…ちゅうさもぉっ!!!」
ああ、懐かしい。こんな時だが元気そうな顔を見れて少しほっとしてしまった。
フランチェスカ・ルッキーニが今にも涙を溢れそうな顔をしながら、イェーガー中尉の胸元に飛び込んできた。
「ぐすっ…わだじ、ぢがぐにいだのにぃ…エイミーのごど、だずげれだのにぃぃぃっ…!!!」
「大丈夫だ、落ち着け。お前のせいじゃない。」
「そうだ、それにまだエイミーは死んではいない!!泣いてる場合ではないぞ。」
遥かに年上で国すら違うウィッチ達に囲まれ慰められるその光景に、どこか安堵する自分がいた。
良かった、この子は良い上司に恵まれているらしい。
坂本に託したのは決して間違いではなかったのだ。
「…傷もそのままで捜索に参加したのですね。宮藤芳佳、彼女を治療して貰っても構いませんか?」
「はいっ!!もちろんですっ!!…えと、ルッキーニ、さん?ちょっとくすぐったいですよ。」
―――パァァァァ…ジリリリ
車の無線機のアラートが鳴り響く。恐らくは基地からだろうか。
『リリーか!?今何者かから無線が来て、お前に繋げと!!一体どこでお前が来たことを…!?』
「ああ、基地職員が空軍上層部経由で数人買収されてるみたいですよ、後で使うので泳がしておいて下さい」
『なっ…なんだとっ!?しかし、放っておいたらこちらの情報がっ!!』
「それまでに
こほん、と咳ばらいをして演技の準備をする。
さぁ、決してコチラが相手の正体にとっくに気付いてると感づかれないようにしなければ。
「えーこほんこほんっ…も、もしもし!?」
『ふふふ、始めましてグラマン中佐。その様子だと君の大事な部下に起きた不幸な事故についてはもう存じ上げてるのかな?』
まぁまぁ、何とも楽しそうな愉快なおじ様のお声だこと。
もう既に正体が看過されてるなど微塵も思ってなさそうだ。
「なっ…!?ど、どうしてそれをっ!!?あなたたちは一体…!!」
『まぁ落ち着きたまえ。彼女は私達が救助した、だが君の返答次第では命の保証はない。』
「くっ…!!何が望みです。」
ああ辛い…辛すぎる。
こみあげてくる笑いを嚙み殺すのはいつも大変だ。
『そうだなぁ…?まずは501を解散にでも追い込んでもらおうかな?君ならできる筈だ。
そうすれば宮藤博士の娘とプラマー軍曹の交換を考えてやってもいいぞ?』
「…くっ…w」
『君が断ればどうなるかわかるだろう?次はルッキーニ少尉を狙ってもいい。
賢い選択を期待しているよ、リリー・グマラン中佐…』
―――ガチャ。
「ふふっw…あははははははっっ!!!あはははは!!あーおかしい…!!ウルスラッ!!」
『―――はい。バッチリですよ。ブローニュ方面からの通信位置。
サーニャさんが協力してくれたおかげで細かい位置まで分りました。』
「よし。ではその地点を港の部下へ知らせなさい。民間籍の船を向かわせ救難信号を出させます。それを理由にあなた達はスクランブルで出撃を。」
必要なことを無線の向こうを伝え終わると、涙を拭う幼いウィッチの頭をそっと撫でる。
「行きますよルッキーニ少尉、
「――――うんっ!!」
力強く頷いたその瞳に宿る光は、あのマルタの決戦で見た時と寸分も違わなかった。
「ふふ、性悪女は自らが謀略の的になることには慣れていないらしいな。声が震えていたよ。」
「あははははッッ!!ええ、まるで言葉すら出てこず…何と惨めで滑稽なザマでしょうか」
王党派の首領とも言える彼、"教授"は部下である金髪のウィッチと忌々しいリベリアンの無様に頬を歪めていた。
心底彼は狂喜していた。
ロマーニャにおいて潜伏していた組織員のほとんどを捕らえた憎き相手を、ここまで弄ぶことが出来るなど。
「…ブローニュへの上陸準備を開始。浮上を開始します。」
よし、これでもう何があろうと手出しはされない。
あの
――――ドゴォォォンッッ!!
「なぁ!なんだっ!?」
「…機雷か!?まさか!!」
突如船体を襲った凄まじい轟音と衝撃。
それが一体何によるモノなのか、彼らにはまるで想像すらつかず―――。
「ぷはぁっ…へへ!!どーだぁ、やってやったぜ!!」
「よくやったぞリベリアンっ!!」
「ありがとうございますイェーガー中尉、さ、早く船へ上がって下さい。」
魔法力を展開し、深海に潜っていたウィッチの手を引き船へと戻す。
しかし酷い役目を任せてしまった、彼女には今度埋め合わせをしなければ。
「しかしなんなんだぁ?この棒の機雷、シールド張んなきゃアタシまでぶっ飛んでたぞ!!」
「………
さて機関部をやれたなら浮いてくるはずですが。」
…どうやら予想は当たっているらしい、海面を見ると巨大な影が浮上しようとしてくるのが見える。
「バルクホルン大尉!ルッキーニ少尉!!ストライカーを!!」
「ああ!!」
「まっかせてー!!」
潜水できない潜水艦など、ストライカーを装備したウィッチに為す術もない。
もうこれで私達の勝ちは決まったようなモノだ。
よもや…あのウルスラのポンコツ兵器が決め手になるとは。
「あっあの!二人とも気をつけて下さい!」
「ふっ、ああ。」
「ありがとね、よしかっ!」
ウィッチ達を見送る宮藤芳佳に返す顔は二人とも笑顔だ。
―――さて、それでは私も最後にもう一煽りしておこうか。
『メインエンジン出力低下!』
『浸水止まりません!内部の空気も漏れ出しています!』
"教授"と呼ばれるそのスーツ姿の初老の男性は、パニックになりそうな心を必死で自制していた。
唇を痛いほど噛み締めマヒする頭を何とか回転させる。
―――ジリリリッ
「だ、誰だッ…はぁ!?」
もしや同胞からの救援か、とすがるような思いで応じた無線の向こうから聞こえてきた声に彼は絶望した。
『―――こんにちわ王党派のみなさまぁ♪どうしますゥ?あなた達のお相手は世界最高峰のエース部隊、ストライクウィッチーズですよォ?』
「ふざけるなふざけるな、あのガキを殺すぞォッ!!!?」
『はっ、私の何を調べたのです?
―――ガシャンッッ!!
怒りに任せ無線機を地面に思い切り叩きつける。
そうか、コイツは初めから全てコチラの事を看過していたのか。
その上でここまでこっちの話に付き合い、演技していたと言うのか!?
「全員、道連れだッッ例の兵器を誘引モードで稼働させろ!!ガリアのネウロイを誘き寄せるんだっ!!」
ならばもういい。あの忌々しいウィッチ共も全員地獄へ送ってやる。
ブリタニア空軍から提供された試作段階の、『あの兵器』の奇怪な異音が鳴り響く。
そしてそれと同時に、船に搭載されていたレーダーに映る
「―――ガリア、我が喜びッッッ!!!」
海上に鳴り響くけたたましい異音と共に現れた無数のネウロイ達。
無論支配地域の近くなのだからその出現は予想の範疇だが―――その数は余りにも異常だった。
空を埋め尽くさんばかりに沸いて現れるそれは、ざっと見ただけでも中型大型交じって20匹程はいる。
「あたしが――「いいや、ネウロイは私がやる」
飛び込もうとしたルッキーニを制する、静かな上官の声。
「ルッキーニ!!お前はお前の手で、妹を絶対に救えッッ!!いいな!!」
「…うんっ。わかった、大尉っ!!」
尊敬し、自らを鍛えてくれる上官のウィッチの言葉に力強く頷くと。
彼女は目下の開口した潜水艦目掛け急降下を――――。
「…ふぇっ!!?」
―――しようとしたのを遮ったのは、目の前に飛び出してきた小さな影。
「…………。」
血に汚れた、翠のインナーカラーを入れた豊かな黒髪。
煤で穢された、リベリオンの小さな軍服。
そして、光を失った、幼い翠の大きな瞳。
そう、それは見紛うはずもない、彼女が探し求めていた
「…
「―――ガリア、わがよろこび…」
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