【ストパンVR】初見で最高難易度だけど超余裕   作:Kkmn

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死してなお

―――パァン、パァンッ!!

 

「ああクソッ!宮藤芳佳ッ無事ですか!!」

「はっ、はい!!だいじょ...ひゃあっ!」

 

開けた潜水艦からウィッチ達やこちらへ放たれる銃弾の嵐。

それを掻い潜りながらライフルで一人ずつ無力化していくが数が多すぎる。

 

「エイミー...!」

 

あの様子、恐らく催眠か調教を再び彼らから施されたか。

しかしこの短時間でやるとは中々腕のいい調教師か...いや待てまさか『ワード』か?

 

「頭を下げてなさいッ!絶対に―――はっ!?」

 

性悪女(ヘルキャット)ォォォオオ!!」

 

意識外だった船の背後にいたのは激怒した様子の金髪のウィッチ。

そいつが銃を向けてるのは良い、私の方が早い。

だがその銃口の向きはマズイ!どうして宮藤芳佳の方を向いているのだッ!!

 

「伏せなさい芳佳ァァァ―――ッッ!!!」

 

銃の引き金を引くがシールドはもう間に合わない。

いや彼女をここで死なせたら欧州が終わる、それだけは避けなくてはならない。

 

 

「―――ぐ、ぅぅっ...!!?」

 

 

咄嗟に覆いかぶさった身体の内部から、パジュ、ぐじゅり、と嫌な音が響き渡る。

 

「ガリア...わが、よろこ...」

 

確認は出来ないがどうやら王党派のウィッチは仕留めれたらしい。

それとどうやら身を挺して庇った宮藤芳佳も無事そうだ。

 

「イヤだッリリーさん!!死なないで下さい....!絶対に、助けます!!!」

 

―――パァァァ

 

昨日までただの一般人だった少女がこんなショッキングな出来事に直面したと言うのに、まるで彼女のその治癒魔法には困惑による動揺が微塵も感じられない。

 

ああ...よく分かる。私もバルバロッサの時にはそんな顔をして整備や治療にあたっていたから。

そういえばあの頃のリカはよく私の部屋で一緒に寝てて―――ああ、そうか。

 

これは走馬灯か。

 

 

 

 

 

 

殺さないと。

だって殺せと言われたのだから。だから殺そうとしてるのに。

なのにコイツにはどれだけ撃っても弾が当たらない。

まるでゴキブリのようにカサカサとすばしっこく動き回る。

 

「エイミーッッ!!?うじゅぁっ!!あたしだよっルッキーニ、フランカお姉ちゃんだよーっ!!」

 

さっきからずっと相手が何かを叫んでいるが耳障りで仕方がない。

それが更に私を腹立たせ、引き金を引く指に力がこもる。

 

―――ぐじゅり、プスップスッ...

 

あるじ様達が治療してくださった銃創が開いて血が溢れ出す。

あるじ様が与えてくださったストライカーが異音を立てて煙を吹いている。

 

その上銃ももう弾切れだ、だったらナイフで直接殺すしかない。

急加速してあの忌々しいウィッチに接近する。

 

「エイミー!!動いちゃダメぇっ!!怪我が!!」

「…だまれっ―――うぐぅっ!!」

 

何なのだコイツは、私のナイフを紙一重でかわして見せた上その上両腕で抱きしめてくるなんて。

 

「やだよぉっこんなのっ!!おねがい、ダメだってぇ!!おねえちゃんのこと忘れちゃったの!?」

 

ああくそ、何なんだこのコイツの声は。

頭に響いて痛くて仕方ない。

 

「し、ねぇぇぇぇぇえええッッッ!!!」

 

―――グジュ、リッ

 

無理やりもがいて抜け出した右手で思い切りナイフの刃をその無防備な背中に突き立ててやった。

眼を見開いて驚いている、ざまぁみrrrrrrrr

 

「―――あ?」

 

視界が揺らぐ、意識が揺らぐ。

まるで思い切り脳天を金づちで叩かれたように、世界が揺れる。

私は一体何をしたんだ?何をしているんだ?

 

胸奥から溢れ出す途方もない吐き気。正気を保っていられないような眩暈。

 

「…えい、みぃぃ……」

 

目の前のウィッおねえちチからシボリダサレたコエ。

ワタシhaちまみれになった、私の両手をををを見てまっかででウィttの手で真っ赤ニニニニニニ。

 

 

―――――ずぐゅむ。

 

気が付けば私は自らの胸にナイフを突き立てていて。

何でそんなことをしたのか、なぜそんなことをしたんだろう。

だけどそうしないといけない気がして。

 

「―――――あ」

 

胸から何か熱いモノが溢れ出す感覚と共に、私の意識は冷たさに呑み込まれていった。

 

 

 

 

気付けば何故かまたあの忌々しい青髪のウィッチが目の前にいた。

良かった、きっともう一度あるじ様達の命を果たす機会を天が与えて下さったのだ。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁ―――!!?」

 

なのにどうして、私はこんなにも息を荒げているんだ。

どうしてこんなにも震え、吐き気が止まらない。

 

「…エイミーっ!?…あれ?()()()()…あれぇっ!?」

「―――ああああッッッ!!!」

 

今度こそ殺してやる。私を何度も弄びやがって。

あるじ様達の邪魔をする奴は誰だって殺してやる。

 

 

「…覚えてにゃい!?シチリアの夜空で初めて会ったことっ!イムディーナでデートもしたことっ!!」

 

ふざけるな、私は今までずっとあるじ様達と一緒にいたんだ。

 

「マルタで戦った時ね、あたしほんとはこわかったんだーっ!!だけどエイミーがいたからがんばったんだからー!!」

 

そんなのうそだ、だっておねえチャんはいつモかっこ違うウルサイ喋るなその口を閉じろ。

 

「その後もねっ!!あたし、ウィッチやめたいって思ってたのー!でもあなたがいたからっ!!」

 

うるさいお姉ちゃんうるさいうるさいうるさいうるさい気持ち悪いヤメロ。

ああ動かない、どうしてストライカーが動かないんだ、使い魔がいう事を聞かない。

どうして、どうして。

 

――――ガガガガガッッッ

 

「…あ…」

 

 

私の身体を貫いた銃撃。でもそれは目の前のウィッチからじゃない。

潜水艦から。ああそうか、あるじ様達だ。

私がいつまでたってもお姉ちウィッチを殺せないから。

 

不思議と懐かしい、海の中の世界に沈んでいく。

もう一度、これもまた懐かしい冷たい眠りに誘われていく。

海面の向こう側にいるウィッチが何かを叫んでいるが聞こえない。

 

「……」

 

そうして私の意識はまた、途方もない冷たさに呑み込まれた。

 

 

 

その次は、別のウィッチ達が戦っていたネウロイが抜け出してきて殺された。

次は、煙を吹いたストライカーが動かなくなって死んだ。

 

別の時はおねえ青髪のウィッチに連れ去られた。

でもしばらくしたらまた元の場所に戻ってきていた。

そしたら次はウィッチは驚いた顔をしていた。

 

失血して死んだ。傷が開いて死んだ。銃が暴発して死んだ。

その間一度もウィッチに銃を当てることは出来なかった。

 

何度も死んだ。

何度も何度も、数えきれない程に。

 

別のリベリオンやカールスラントのウィッチがやってきたこともあったが、ソイツらの声も耳障りで聞いていられなかった。

泣きながらそいつらに撃たれることもあった。

そいつらに連れ去られることもあったが無意味だった。

頼むから私をこれ以上苛立たせるな。

 

 

 

でも、だけど()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

何回目だろうか、何百回目、いや、何千回目だろうか。

もう。疲れた。でもやらなきゃ殺さなきゃ、だってあるじ様の命令なんだから。

 

「……?」

 

何故、だろうか。

 

今まで何度も、何回も見たその青髪のウィッチが無防備に佇んでいる。

見れば銃さえ構えることもせず、ただじっと、何もせずに静かな目でこちらを見ている。

 

 

――――パァン、パァン

 

 

私は大喜びでそれを撃った。

あンなにも当たらなかった弾が面白いヨうに当たru。

 

何発も何発も、その身体に撃ち込んでエエe 絵えe?

 

そうすると当然、ウィッチは何もせず、ただ静かに墜落していった。

 

「―――――――」

 

私は何故か、それを必死に追いかけて手を掴んだ。

その行為の意味も、それが何をなすのかもまったく分からずに。

 

――――ぎゅっ。

 

私の身体を抱きしめるあたたか―――いや、つめたいて。

 

 

 

「…もう、つかれたよね。もういいんだよ」

 

 

 

みみもとでささやかれる、やさしいこえ。

 

 

「もう、おわりにしよ?」

 

 

―――わたしをつきとばす、つめたいて。

 

そうして、そのひとはうみのなかへ、ひとりでおちていって。

ぶくぶくとあわが、そこからでてきて。

 

わたしはそれを、じっと、みていて。

あたまのなかが、ぐるぐるになって。

 

わたしはじぶんのあたまをうった。

 

 

 

 

また、戻ってきた。

だから、すぐにまた自分の頭を撃った。

 

何度も。

何度も。

何度も。

 

何度も戻って、何度も死んだ。

 

ぐちゃぐちゃに泣きながら。

収まることのない嗚咽を漏らしながら。

 

何度も何度も、引き金を引いた。

何度も何度も、頭の中を銃弾でえぐった。

 

 

それを、それだけをずっと無限に繰り返した。

 

 

―――パァン。

 

私の何度も頭に向けていた銃が、弾かれる。

海面の向こうに消えていってしまう。

 

 

「―――エイミー。」

 

 

それをしたのは、目の前のあの青髪のウィッチ。

そして彼女がどんどんゆっくりと近づいてくる。

 

やめろ、来るな、近づくな、ごめんなさい。くるな、こわい。

 

―――ぎゅっ。

 

「ごめんね、こわいおもい、させちゃったね。」

 

吐き気がする。安心する。気持ちが悪い、温かい。

身体の内側を大量の虫が這いずりまわる感覚。

お母さんの腕の中にいる感覚。

 

脳みそが、ぐちゃぐちゃにかき混ぜられる感覚。

 

 

「………いいの、おねえちゃんは、大丈夫だから。」

 

爪がはがれるほど強くたてた指で、頭を掻きむしる。

そこから血が溢れ、口からこみあげてくる胃液を吐き出す。

それが目の前のウィおねえちゃんッチの服を穢す。

 

ぼろぼろと、止めることのできない。涙が溢れる。

 

 

―――ぱんっぱんっ

 

 

下から銃声が聞こえてきたのと。

ウィッチが私の身体を強く抱きしめたのは同じ瞬間だった。

 

そしてその身体が赤く染まり、潜水艦の上に墜ちていって――――。

 

 

私達二人は、爆発の光の中に呑み込まれた。

 

 

 

 

 

 

「流石に…ふざけてるだろこんな数っ!!」

「泣き言を言うなッ!!早く片付けてエイミー達をッッッ!!」

 

分かってはいる、それはシャーリーも勿論妹のような存在であるエイミーの異常に早く駆けつけたい。

だが余りにもネウロイの数が異常すぎるのだ。

 

「船が狙われてるぞっ!!大将がっっ!!!」

 

しかしそれでも食らいついてたエース達を掻い潜り、一匹のネウロイがその防衛線を越えてしまう。

そして放たれた赤い殺戮の閃光がついに浮かんでいた無防備の船を貫こうとした時。

 

 

「―――私がっ、私が守りますッッ!!」

 

 

彼女達にとっても初めて見る程の巨大な大きさのシールドがそれを遮る。

 

「宮藤芳佳ッ!?…なんというシールドの大きさだ…!!」

 

その余りにも現実離れした光景に奪われていた意識を呼び戻したのは、無線から響いてきた声。

 

『バルクホルン大尉、イェーガー中尉、聞こえますか!?ウルスラです!』

「ああ!聞こえるぞ、どうした!」

『…あの潜水艦には恐らくネウロイを誘引する兵器が積まれてます。それを破壊してください!』

「馬鹿な、そんなものが…!?…いや、アレか!?」

 

 

彼女が見下ろすと、開口された潜水艦から掲げられた赤く光るビーコンのようなものが見てとれた。

咄嗟にそれを銃撃したものの―――それは展開された赤いシールドに阻まれてしまう。

 

「―――潜水艦がネウロイに侵食されている!?しかもあのタイプは…くぅっ!!?」

 

その間にも容赦なく周りのネウロイは嵐のような集中砲火を浴びせてくる。

 

くそっ、こうしている間にもあの二人は――――!!!

 

 

 

 

 

爆炎と充満する煙の中。

その少女、フランチェスカ・ルッキーニは最愛の妹を力強く抱きしめていた。

庇った無数の破片が突き刺さり、大量の血でその身を染めながら。

 

「…うじゅ、だいじょうぶ?けがにゃい?」

 

それを抱きしめられながら、腕の中の幼女は呆然とした表情で見つめていた。

 

 

「…だいじょうぶ、だからね。…がふっ!!」

 

 

血まみれの手が、震える頭を優しく撫でる。

口から吐き出された血が少女の固まった顔に飛び散る。

 

 

―――――殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ。

 

 

ガチガチと震える幼い手が握られたナイフを包み込む胸に突き立てようとする。

 

それを見ていたルッキーニは止めることもせず、ただ真っ赤な手を静かに添えた。

 

 

 

「―――いいよ…。」

 

 

 

その幼い顔に浮かべたのは、いつも彼女の前で浮かべてきた優しい姉の顔。

 

 

 

「―――エイミーがもどらないなら、いきてたってしょうがないもん。」

 

 

 

そう、静かに告げられた幼女は。

 

氷のように凍てついた表情が溶かし、静かに瞳から感情を溢れさせた。

 

 

 

「…『()()()()』、エイミー。」

 

「―――――――。」

 

 

ルッキーニが呟いたその言葉は、心の底から彼女へ告げたその言葉は。

かつて『決して言われる事がないだろう』とリリーが設定した『()()()』は。

 

 

「―――――おねえ、ちゃん…」

 

 

その腕の中の少女(エイミー)は、涙を流し自らの最愛の姉に抱き着いた。

静かに嗚咽を漏らし、震えるその小さく儚い身体を、ルッキーニはただ静かに愛おしく撫でた。

 

このまま最愛の妹を抱きしめたまま、眠ることが出来たらどれだけ幸せだろう。

だがそれはまだ叶わない。だってまだ自らにはやらねばならないことがあるのだから。

 

 

―――シュインッ

 

 

出撃前に坂本から託されたばかりの扶桑刀を、初めて抜刀する。

その抜き身の刀が眩いばかりの焔を纏い、暁のような輝きを放つ。

 

 

そしてそれを眼前にある潜水艦を侵食したネウロイ、そのコアに―――思い切り突き刺した。

 

 

「う、じゅ……にゃ…」

 

しかしもう、彼女の身体は辛うじて気合だけで保っている状態だったのだ。

そんな状態で魔法力を発動し、その上身体を支えることなど―――。

 

 

「おねぇっ……ちゃんっっ!!!」

 

 

ただ、それを支える人間が居れば別だった。

ルッキーニの身体を支え、刀を握る血まみれの手に重ねられたその手。

それらは彼女にそれ以上の何かを与え、意識を固く、強く繋ぎとめた。

 

 

「えいみー…て、ぜっったいに…はにゃさ、ないでぇぇっ…!!」

「わかってる…!!ぜったい!!ぜったい、もうはなさないから!!!ぜったい!」

 

 

二人の力強く握られた手に支えられた扶桑刀は、そのコアを貫き、そして。

 

 

 

 

―――――長い、長い夜の夜明けを告げる暁が、水平線に輝いた。




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