【ストパンVR】初見で最高難易度だけど超余裕   作:Kkmn

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短くなってごめんなさい…明日からはちゃんと通常投稿に戻ります。


天使の悔恨

「はい皆さんどうぞ。粗茶ですが。」

「...私のコーヒー勝手に淹れて言うセリフですかウルスラァァッッ!!」

 

 

ミーナ中佐ら501の中でも年長のウィッチ達、そして宮藤芳佳が集った執務室。

なのに、ああくそ彼女がいたら真剣な雰囲気で話せる気がしないぞ。

 

「あら...!すごく美味しいわこれ!」

「んん?そうか?私はコーヒーをあまり飲まないからよく分からん」

 

「―――ごほん....早速ですけどお話に入ってよろしいでしょうか?」

 

「さっさとしろ、わざわざ付き合ってやってるのだからな」

「うぅぅっ!苦い、苦いですわ...やはりワタクシは紅茶の方が」

「あの、よかったら私淹れてきましょうか?」

「Zzz...Zzz」

「いぇーいサーニャんまくらぁー」

「あーこらハルトマン!!サーニャがおきるダロー!!」

 

 

帰ってやろうかもう。

 

 

「ん"ん"っ、まずエイミーを誘拐したガリア王党派の連中の身柄ですが、自由ガリア政府に引き渡されました。

 クロステルマン中尉、政府への手引き感謝いたします。」

「当然の事をしたまでですわ。まったく、同じガリアの民として恥ずかしい限りです!!厳正な処罰を望みますわ」

 

正直ガリア政府とは余りコネクションを持ってなかったためガリアのウィッチである彼女の存在は非常に助かった。

 

 

「彼らの目的はこうです。ガリア解放はガリア人の使命、それを横取りする501は目障りだと。」

「...はぁ、祖国を失いながらなんて高尚な使命感だ」

「なんて身勝手な...一体どれだけの人々が今も苦しんでると...!!」

 

 

「それと宮藤博士の娘である彼女、宮藤芳佳です...これは私のせいですが。」

「なに?宮藤博士の!?...お前がか?」

「は、はいっ!!」

 

そういえば坂本少佐はかつて宮藤博士の研究に協力していたはずだ。

なるほどそういう縁があって本来は出会うはずだったのかも知れない。

 

「ええ、治癒魔法の研究の為会いに行ったところを勘違いされて...私からこの子とエイミーを取引しようとしたらしいです。」

「しかしどうして、宮藤博士はもう...」

「はい、行方不明です。ですが何の確証もなしに行動を起こしたとは考えにくい。」

 

その言葉に数名が目を見開いて驚くがその気持ちも無理はない。

 

「この件については調査を続行しますが、何か分かれば共有します。こんなところですかね...」

「ええありがとうグラマン中佐、では―――」

「待てミーナ、ルッキーニ少尉とプラマー軍曹についての話が先だ。」

 

 

そう遮ったのはは険しい顔つきのバルクホルン大尉。

やはりしっかり聞いてくるか。

 

「...ええわかったわ。グラマン中佐、あの子達...せめてエイミーさんだけでも本国に戻すつもりはない?」

「仰る事はわかります。ですがここまで有名になってしまった以上、本国でも様々な思惑に狙われてしまうでしょう。ネウロイ込みで考えてもここの方が安全です。」

 

 

コーヒーを一口飲む。

もう既に何度か一部のリベリオン軍幹部は彼女をペテルブルグやアフリカへと送ろうと画策したことがある。

もちろん言い出した奴らは全員失脚左遷させてやったが。

 

 

「...リリー、マルタでは敢えて聞かなかったが...あの子達の経歴は本当なのか?」

「本当ですよ。ルッキーニ少尉に関しては、ですが。」

「ならやはり...プラマー軍曹は...」

 

コーヒーを飲み干す。少し苦みが強く感じた。

 

「...始まりは違いましたが、今は彼女達のことを愛しています、祖国と同じくらいには。今はこの答えで許してくれませんか。」

 

その答えを聞いた坂本は目を瞑り静かに黙り込んでしまった。

不安だ、この扶桑の魔女は恐ろしいほどに鋭いのだから。

 

 

―――ガタッ

 

 

「一つだけ聞かせろ、あの二人がウィッチになったのは自身の意思か?それとも....」

 

怒りを露にした彼女、バルクホルン大尉が私の目を見据え覇気の籠もった声で問いかける。

 

「お前が裏で手を引いたのか?」

「...あの子達が今ウィッチであり続けているのは紛れもない彼女達の意思です。」

「はぐらかすなよ大将。そんなのは見りゃわかるさ。私達はそのキッカケを聞いてるんだよ」

 

 

見ればいつの間にかイェーガー中尉まで後ろに立っているではないか。

どうやら私に逃げ場はないようだ。

 

ああ、せっかく拾った命だが殺されても文句は言えない。

 

 

「―――エイミーは...()()、ウィッチにしました。」

 

 

ゴグシャァと、鈍い音と共に私の身体は吹き飛ばされ壁に叩きつけられた。

口の中にじんわりと鉄の味が広がり、鼻から赤い血が滴った。

口内が切れただけではない、何本か歯も折れているようだ。

 

「....トゥルーデ...!」

 

彼女達が息を呑む空気が伝わってくる。

ああ、これのせいであの子達が部隊の中で避けられたりしないだろうか。

 

 

「...貴様がビフレスト作戦でしたコトは決して忘れていない、性悪女...!!」

 

ぐったりと項垂れる私の前に、手が差し伸べられる。

 

「だが...この件についてはこれで黙ってやる。民間人とあの二人を助けたことに免じてだ。次はないと思え。」

「.....ごめんなさい。」

「謝るならあの二人だ。私ではない。」

 

乱暴に手を解き椅子に座り込むと、彼女は沈黙を決め込んでしまった。

宮藤芳佳が治療しようとするのを制し私も黙ってハンカチで血を拭った。

 

この傷は、治さなくていい。

 

 

 

 

―――どうしてその年齢でウィッチになろうと思ったのですか?

 

「えと、あの、ウィッチに、あこがれてたからですっ!」

 

―――お二人は姉妹なのですか?

 

「えへへっ、使い魔は姉妹なんです。それにフランカおねえちゃんとはとっても仲良しでっ」

 

パシャパシャと鳴り響くフラッシュ音。

それに照れくさそうに答える可愛い妹をルッキーニは優しく撫でつけた。

昨日まで病室にいた彼女を気遣うように、優しく背中をさすりながら。

 

 

―――マルタで共に戦ったリリー中佐のことをお伺いしても良いですか?

 

「??うん、わかりました。」

 

―――彼女はアナタ達にとってどんな人ですか?

 

「んっと…ママ、みたいなひと、です!!」

「にひひ、ちょっと怖いけど、ママみたいにとってもおっぱいおっきいのー!うじゅーっ!!」

 

 

 

 

「…なるほど、アレをやってたからあの子達は来れなかったのですね」

「ええ、最近とっても多くて…。あ、勿論マスコミはしっかり事前にこちらで調査してあるわ。安心して。」

 

私とヴィルケ中佐、そして見送りに来てくれた坂本の視線の先にはインタビューを受ける二人。

もう調子はすっかり戻ったようだ、安心した。

 

 

「それでねーぇ!マルタだとご飯もたまに作ってくれてぇ…すっごくオイしいんだー!!」

「うんっ!あと、すっごく暖かくて、優しくて…」

 

 

…アレは本当に私のコトを言っているのだろうか。あの子達の将来が心配になってきた。

 

 

「あとねぇ、リリー中佐ってねぇ?なんかわるいヒト?みたいに言われてるーって聞いたんだけど。」

「―――そんなことないんです、すごく、いいひとなんです。」

 

そう言葉を続ける彼女達は私が聞いていることなどまったく気づいていない。

その上表情は無邪気そのものだ、嘘などついている様子もない。

 

「わたしとお姉ちゃんをずっとまもってくれてる―――ママみたいな人ですっ!」

 

そう、嘘などついている様子もなくて。

 

 

―――ズキリ、と、胸の奥が今までに無いほど酷く痛んだ。

 

 

余りにも痛くて立っていられず、眩暈すら覚えるほどの痛み、苦しみ。

思わず壁にもたれかかり息を落ち着かせる。

 

「…グラマン中佐、これを。」

 

そういってヴィルケ中佐が差し出してきたのは、一枚の写真。

 

「これ、は?」

「あの子達が、あなたが来たら渡してほしいと。」

 

受け取ったその写真の日付は、あの先日エイミーが攫われる事件があった日。

それを裏返すとそこにあったのは。

 

「…あぁ…」

 

そしてそこに写っていたのを見て、彼女は何時ぶりか思い出せない程の心の底からの優しい笑みを浮かべた。

 

―――無邪気に頬を寄せ合い笑いあう、二人のリベリオンとロマーニャの幼いウィッチ。

 

遠い昔、かつてフェデリカと自身がそうしたようにじゃれ合う二人の姿。

尊くて、愛おしく感じられて仕方ないその写真に、静かに彼女は涙を流していた。

 

「……」

 

リベリオンの為に、グラマン社の為にと誓ったその日から久しくしていなかった後悔を。

いまこの瞬間、彼女は酷く、重く心の奥底からしていた。

 

「リリー…私は、お前があの子達に何をしたのかは知らない。」

 

その悲哀に満ちたリリーの姿を、坂本少佐は静かに悟り言葉を告げた。

 

「だが後悔するなら今のあの子達を見守ってやるべきだ。違うか?」

 

 

 

マルタの絶望的な状況ですら涙一つ流さなかった少女が嗚咽を漏らし泣き崩れる。

先刻バルクホルンに殴られた頬の痛みが、唯一彼女にとって縋れるものだった。




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