【ストパンVR】初見で最高難易度だけど超余裕   作:Kkmn

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チ ュ ー ト リ ア ル

ウィッチに憧れる病弱◯リお嬢様が挑む難易度インフェルノストーリーモード初見動画、はーじまーるよー。

 

 

 

 

~前回の、あらすじ~

 

 

(♪某名探偵のテーマ)

私は扶桑でストライカーの製造開発をしている宮菱の重役のお嬢様病弱幼女 竹田美喜!

良い声でオジサマの従者さん達とロマーニャに船旅に行って、 美少女づくめのウィッチ達との怪しげな取り引き現場を目撃した。

(そのあと)星空を見るのに夢中になっていた私は、空から近付いて来るネウロイに気付かなかった!(無能)

私はオジサマに咄嗟に衝撃から庇われ、目が覚めたらょぅじょになっていた(元から)!!

 

 

 

 

「ひっ、いや、いやあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁっっっ!?!?!!!」

 

 

「ご覧になってはいけませんお嬢様!私の背中だけを見ておいでになってください!!....くっ!!」

 

 

 

 

従者のオジサマにおんぶされて部屋から出ると、そこはもう地獄もかくやと言う凄まじいセンシティブ映像でした。

死体、死体....さっきまで命だったものが当たり一面に散らばり、貨物に引火した炎がそれらを彩る最悪の光景。

赤い鮮血と赤い火、そして空には赤い閃光ーーーーー。

あぁ、そしてこの辺りに漂うニオイは・・・恐ろしくもハンバーガー屋さんの厨房から漂ってくるようなニオイをしてて・・・おげぇ、何もここまで再現しなくても。

ちょっと吐きそうです…無規制版買ったことをちょっと今更後悔してます…。

 

 

【スキルを獲得しました】

 

 

「トラウマ」: 自身の近くで戦闘の犠牲者が発生した場合、パニック状態に陥る。

 

 

あ、わーい。なんかゲットしましたね…(白目)

あといま私の精神は竹田ちゃん(8歳)に近くなっちゃっているので、そんな光景を見たら発狂寸前の悲鳴を上げてしまいます。

まぁでもこんなゾンビ映画でもここまでしないってくらいに真っ赤で悲惨で人間の投げ出された四肢を見れば、何も無くても叫んでたかも…。

 

 

「避難を!!待避を急げ!荷物など放っておけ!自分の命を最優先しろォォッ!!!」

「ロマーニャのウィッチは!?無線はどうしたんだ!早く救難を!」

「ムラモト様!美喜様は...良かった、ご無事なのですね!?」

 

 

軍人らしき人達の悲痛な叫びと怒号が爆音の合間を縫って飛び交ってます。

その中を私をおぶるオジ様を見た数人のスーツの男性達が、鬼気迫る表情で駆け寄って来ました。

うげぇ血まみれ....ってうわ、彼らの手を見てください皆さん。イカツイ銃が全員の手にしっかり握られているではありませんか。

 

「状況は!?襲撃してきたネウロイの数は!?」

「船の被害は甚大、これ以上の航行は不可能です!敵機は少数ですが、大型のモノが視認できるだけで5!高高度からの攻撃です!」

「随伴の民間船もまともに航行できる状態ではありません!ロマーニャの軍の動向は把握できていません!」

 

えっ...。コレ死ゾ。オイオイオイ死んだわ私。

てかコレもしかして選択肢とか行動かなにか間違えた?リベリオンのウィッチの女の子達にどうにかしてついていくべきだった?

これが難易度 インフェルノですか?もうちょっと勘弁してくださいよ。

それか無理矢理にでも引き留めて....

 

「避難挺が一隻あります!三人程度しか乗れませんが、すぐに美喜様を....ぎゃっ―――」

 

―――ビュンッ。

 

信じられないほど軽くあっけない、短い音が軽く鳴ったと思ったとたん―――目の前を赤い破壊の閃光、ネウロイのビームが頭上から貫きました。

そして次の瞬間には、今この瞬間まで呼吸し、言葉を発していた従者の男性が蒸発しました。

はい、蒸発ですよ?はっきりと見えてしまいました。

一人の人間が超高熱の光に晒されると、その身体が「キュッ」と胎児のように縮こまり、黒い影が点になって。

そしてやがて、真っ赤に染まって煙となってこの世から一片の欠片も残さず消え去ってしまうのを。

 

 

「えっ…あぁぁぁあああぁぁああっ!!?」

 

 

そして呆気に取られていた1秒の後、貫かれた船の船体から赤い炎が吹き上がりました。

その爆発的で暴力的な衝撃は軽々と、私を庇うように取り囲んでいた従者さん達をぶっ飛ばして…。

もちろん私も無事なわけがなく、私の画面は無事暗転しました。

 

 

 

―――▽▽―――

 

 

「…さま!…お…じょうさま!!…い、いかん、なんて怪我をっ!」

 

あ”あ”ー、づらい…。なにこれ?誰かに運ばれてるけど。よくわがん”ね”…。

 

「…避難艇ももはやこれでは無事ではあるまい。こうなればもはや覚悟を…」

 

…あ?なんでしょうか…コレ、マジでプレイヤーに容赦ないんですけど…怪我とか衝撃、痛みまで再現ってもうホント無理。

難易度インフェルノ舐めてました、ごめんなさい。

マジでちょっと一旦やめたい、QKしたい。お願いログアウトさせてぇ…マジ吐きそう、死んじゃう…。

 

「いや…こうなれば!宮菱の魂なれば、美喜様を救って見せろ、零式よ…!!」

 

 

―――▽▽―――

 

 

「うぇ…お、ぐっ…げぼっ…」

 

あ…やっと、なんか暗転が解除されましたね…。

お、おえぇ…口から何か溢れてくる…気持ち悪いし苦しいし、もうマジ無理。

目の前には血まみれ、いえそれ以上の、鉄の破片や誰かの…うわっ!?ほ、骨が…突き刺さったオジサン、が…。

それが、私と同じ視線でまっすぐと見据えていて、私の方に真っ赤に染まった手を添えてます。

 

え?なんで幼女になってる自分と、大人の彼が同じ目線…違う、自分が何かに乗ってる…?

 

「…大丈夫です。あなたは扶桑皇国が誇る戦闘脚企業、宮菱工業創業者、竹田信太郎様の血を受け継ぐ者、竹田美喜様です。」

 

へ?何?なに言ってるのこの人!?

ちょ、もう良いから。もうストライカーとかインフェルノとかどうでも良いから、一旦メニューを開いてゲームを終了を…。

 

 

《チュートリアル中はメニュー画面を開けません。》

 

 

「…へ?」

 

 

…は?は?は?

はぁぁぁぁああああぁぁぁ!?ウソ、何言ってんのコイツ!?ちょっとマジで、ダメだって!

 

「竹田様の魂が込められたこの零式なら、きっと貴方様を救ってくれるハズです。…ぐ、ふっ…。」

「ま、まって!!そんな!やだ、いや、まって!!」

 

 

《チュートリアル中はメニュー画面を開けません。》

 

 

焦ってパニクってばたばたと慌てふためく自分を、勘違いしてるのか血まみれの目の前のオジサンが微笑んで手を置いて!?

そして懐に震えるおぼつかない手を突っ込んだと思えば、そこから取り出されたのは血まみれの刀。

ってそんなのしてる場合じゃないんだって!?なんでセーフティ発動しないの!?は?は?ふざけないでって!!?

アゴの裏を舌で3回たたく緊急終了のプロトコルも機能しないし!?え、待って、待って、無理!!

 

「美喜…さま、どうか…ぅ…」

 

え?ちょっと待って、おじさん、そんな一際血を吐いて…しかもその姿勢のまま固まって…?

…うそ、死んじゃった、の?え?え?

この今にもネウロイの襲撃で沈没しそうな船の、燃え盛る甲板の上で、誰も守ってくれる大人も居ない一人きりの子供。

しかもありがたぁぁいことに、この打ち付けた頭から血が溢れてる痛覚も、どこか破裂したであろう内臓から口に溢れる鉄の味も。

そして脳天を金づちで何度も殴打されてるような頭痛と吐き気も、バッチリ再現してくるような殺人的なゲームの中で。

 

 

 

《――チュートリアルを開始します》

《足に力を入れるようにして魔力を込め、ストライカーユニットを起動してください》

 

 

「……は?」

 

血と炎で真っ赤に染まった視界に、軽い信号音と共にポップしたメッセージ。

一瞬呆気に取られるもののそれが意味するモノにハッと自身の下半身を見下ろすとそこにはーーーーあった。

ストライクウィッチーズの世界を象徴する飛行機の権化、ウィッチの翼。あのストライカーユニットが自らの両足にしっかりと履かされています!?

しかもこれは、あのリベリオンのウィッチとの取引の場にあった零式艦上戦闘脚!!

 

「いや…もういいから、ちょっと、きゅうけい…」

 

《チュートリアル中はメニュー画面を開けません。》

 

「あ” あ”あ”あ”あ”ぁぁぁ…」

 

何度試してみてもポップアップされるメッセージは変わらず、無慈悲に繰り返されるシステム表示。

もう無理だ。これやるしか無いのか…もう既に満身創痍、吐き気も痛みも十分に堪能してるのに。

傷だってそうだ、さっきから頭が割れるように…いや、傷で割れてるんだろうけど、その痛みをリアルに感じてるし。

そもそも!そもそも使い魔もいないのにストライカーとか起動でき…チュートリアル表示出るってことは出来るんだろうなぁ…。

意を決し、痛む頭を押さえながら大きく息を吸いこんで、言われた通りに脚に力をこめてみる。

 

「…ぎっ…ぎゃぁぁぁう”う”う”ぅぅぅ”ぅぅ…!!」

 

痛い痛い痛い痛い痛いヤヴァイ!!wwwww

うっそwwww力グッと込めると身体中の傷から血がプシャーって漫画みたいにwww草

ww

特に破片か何かが突き刺さった頭からはダラダラとケチャップみたいにドロリと粘度の高い血がwwちょ、目に染みちゃうwww

もう草しか生えないwwwもういいやさっさと終わらせましょうwww死んじゃうwww

もうゲームオーバーでもいいからさっさと終わらせましょうwふへへw

 

「いぎぃっ...あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あああッッ」

 

うわw喉奥から溢れる血のせいできったねぇ金切り声ww

でも気合いを入れたおかげで何とかストライカーが起動したみたいですねwぶわーって物凄い突風が下半身から溢れてwwwwww

やだwwwパンツ見えちゃうwww違うズボン丸見えなんだけどwwww恥ずかしいwww

でもズボンももうお腹からの血でぐしょぐしょに濡れてるwwwこれぞ赤ズボン隊wwだれうまww

 

「あ、がっ。....あが、って。」

 

あっーーー浮いた、浮いてる...けど浮遊感気持ち悪いwwwスピードおっそwww

しかも、これ、超フラつくんだけどwwwまともに制御できないwwハンドル握ってない自転車みたいwww

ちょw今のヤバイww海面に頭から普通に突っ込みそうになったww

 

 

《この戦闘はチュートリアルです。船を守り、ネウロイを撃退しましょう!》

 

 

ピロン、と軽快な効果音と共にポップされるメッセージ。

ぐるんぐるんとストライカーの制御が出来ずぶん回されてる視界の中でそんな『撃破しましょう!』って。

無理どすwwwwwwできるわけないwwww

 

おや、辛うじて浮いたおかげで海面に浮かぶ船団が見えましたが、これはひどいwww真っ二つに船体が割れてたり、今まさに大爆発が起きて火の海になってたりwwwオワタww

 

てかその頭上にいましたwww夜空で見にくいけど黒いおっきなヒラメ状の空飛ぶ物体、ネウロイさんチーッスチーッスwwww

うはwカスっただけで死ぬビームの嵐が船めがけてビュンビュンで草wwwクソゲーかなwww

あ、私はただの一般通過ょぅじょなんでwwスルーオネシャス!wwww

とか思ってたらなんかまた私の目の前のメッセージがピロリンしてきたんだけどwwwもうええっちゅうねんwww

 

 

《チュートリアル:【未来予知】》

《敵の攻撃方向をアラートによる警告で知らせてくれます。》

《前方への加速や旋回などを駆使し、ネウロイからの攻撃を回避しましょう!》

 

 

あーもう、何このメッセージの距離感腹立つんだけどwwwwしましょう!じゃねーよwwお前は友達かよww

はいはい未来予知ね未来予知、何でもいいから早くしても....う...?

 

 

巨大なヒラメ型のネウロイの一匹がギラリと赤く輝いたと思ったら。なんか何故か船への集中豪雨をやめて?

え?ちょっとまってアイツこっちみてない?やだやめて私か弱いょぅじょなのにwwww

 

 

ピロン。

 

 

あ、何か視界の上側に赤色の↓マークが。

おっおっおっこれはベテランゲーマーの私ならわかる攻撃アラートですね!!!

うおおおお結局全然操作も制御も出来ないけどインド人を右に!!wwww

あっ違う違うってwwww何で上昇しちゃうのwww草www

あ、視界端のアラートの点滅が激しくなって....何か赤いのが輝きを増して。

 

 

―――ビュンッ!!!

 

 

「ひ、ィィィッ?!あは、ふへ、へひゃ....」

 

 

何かすっごい熱い高速の物体がふらふら動く頭を掠めましたwwww髪の毛の焦げた匂いするwwww草ww

いや、もうやめてwwwもうマジで頭も全身もぱっくりお腹が割れた裂傷も刺さった傷も全部死ぬほど痛くて辛すぎるのにこれ以上はもういいでしょwww

焦ったらストライカーの操作が更にフラフラになってもう無理っすwww勘弁してwww

 

 

ピロン、ピロン。

 

 

↓↓やじるし...あーもういいっちゅうねんwwどうせ来るの分かってるんだから、余程じゃないとネウロイのびーむ攻撃じゃ死なないってwww

それよりもこのストライカーで海に突っ込んで死んじゃいそうなんだけどwww

 

 

ピロン、ピロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

 

 

「.........。.....え?」

 

 

え。ちょっとまって、なんか視界頭上が何か真っ赤に染まって前見えなくなったんだけど?

しかも何かシステム音バグってない?

え?え?だってこれ敵の攻撃のアラート音なんだよね?赤い矢印どこ?ねぇ上半分真っ赤に染まって見えないんだけど?

 

 

ピロロロロロロロロロロピロロロロロロロロロロピロロロロロロロロピロロロロロロロロロロ

 

 

「いや、ちょ、まっ。」

 

 

ピロロロロロロロロロロピロロロロロロロロロロピロロロロロロロロロロピロンピロロロロロロロロロロ

 

 

 

 

....視界、真っ赤wwww真っ赤...w...まっか....。

いや、草もはえない。

もう画面中アラートまみれや、もう気が狂う。

辛うじて見える視界の中央で上...どっちが上かもグルグルしてて分かんないけど多分上を見上げると、あれ?その視界の中央すら赤い光になって。

 

 

 

 

―――ビュンッ、ビュビュビュビュビュ

 

 

「へっ...こ、はッ...?」

 

 

何ででしょうか、急に肺の中から空気が無くなりました。不思議ですね~。

しかもそれと同時に全身に辛うじて入っていた僅かな力もすっぽりと抜け落ちて...ストライカーを履いた足も脱力してしまいました。

 

 

あ、何処からかハンバーガー屋さんの厨房で、お肉を焼いてるのとそっくりな匂いが近くでしますね。どこでしょうか。

 

 

 

 

ーーービュビュビュビュビュン

 

 

 

 

あ、そっか、これ。私なんですね。

熱い、熱い熱い熱い熱い。焼けた鉄とか熱湯とかそうじゃない、ただ、熱い、あついあついあついアツイアツイアツイ。

あー。胸を、胴体を、熱線が貫通してるのがはっきり見えました。

赤い光が赤い火の海と赤い血と赤い肉と赤いアラートが私の視界を埋め尽くして。

余りの激痛と苦しみと熱さに血でくぐもった金切り声すら、熱線に掻き消されました。

 

 

「...ぁ"...」

 

 

あれだけ踏ん張っていた力が抜けると、さっきまで足元で鳴り響いていたエンジン音が嘘のように消えました。

そしてそれと同時に、引力に従い海面へ身体がひきづられていきます。

あ、そっか、下ってそっちだったんですね。もうどっちが上下かすらわかりませんでした。

 

 

―――ざぶんっ....ビュビュビュビュビュン

 

 

何かが起こった瞬間、やけに辺りが静かになって、辺りが冷たくなりました。

あれだけ熱かくて熱くて熱くて熱くてあつくてあつくてあつくてあつくてあつくてあつくてアツクテ仕方なかったのに。

何故でしょうか。今度はその逆で、身体の奥底からつんざくような、まるでツララをえぐり突き立てられたように冷たくて。

きっと私は凍りついてしまったのでしょうか、さっきまで熱くて仕方なかった右腕の感覚や、両足の感覚が無いのもそのせいでしょう。

 

 

「......」

 

 

寒い、寒い。寒い。寒い。つめたい。

ーーーーー寒い寒い寒い冷たい冷たい冷たい冷たい。

震えが止まらない、あれ違う、震えてない?いやちがうやっぱり震えてない。寒いけど震えてない。だって震える腕も、足もないんだもの。

ああ、寒い。寒い。寒い。嫌だ、寒い誰か―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《スキル:【未来予知】が発動しました。》

《今までのプレイ経過を予知体験として、何度もミッションをリトライできます。》

 

 

「―――え」

 

 

おぞましいほどの寒さに絶望し、意識を手放した途端。

私の目の前ーーーいや、私の回りの全ての光景が変わり果てていた。

 

 

燃え盛る甲板、夜空を彩る無数の赤い閃光、散らばっている命だったもの。

そして目の前には、懐から刀を取り出した姿勢のまま事切れたスーツ姿の血まみれの男性。

そして私の足に履かされた、零式艦上戦闘脚ーーーストライカー。

 

 

「.....め、にゅー....」

 

 

《チュートリアル中はメニュー画面を開けません。》

 

 

《チュートリアル中はメニュー画面を開けません。》

 

 

 

 

《チュートリアル中は メニュー画面を 開けません。》

 

 

「あ、あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁぁぁぁ.....」

 

 

決して逃げ出せないインフェルノのチュートリアルに、自ら喜んで飛び込んでしまったのだとーーーこの時やっと気づいたのでした。

 

 

 

 

―――▼▼―――

 

 

 

 

満天の星空が輝く、穏やかなロマーニャの空。

20世紀の文明技術、そしてこんな夜間となればそこに輝くのは夜間哨戒のナイトウィッチか月のいずれかのみであった。

 

 

「....む~~~っ!!」

 

 

そんな夜に輝く小さな光が一つ、怒りのままに星空を駆けていた。

その光ーーーーいや、『彼女』はプンスコと怒っていた。

 

 

「あんなにおこんなくたってもいーじゃん!!ちょっと訓練サボってお昼寝してただけなのにー!!ごはん抜きなんてひどすぎー!!」

 

 

彼女はうんざりしていた。

つまらない訓練を押し付けられ、どっちを向いても年上ばかり。

ご飯だってママの手料理に比べたら全然美味しくない、ベッドだって固くて狭いし。

楽しいことと言えば自由にストライカーを履いて空を飛んでいる間だけ。

 

 

それに何より、大好きで大好きで大好きなママに会えないんだから。

だから私は悪くないもん。

 

 

そんな年相応、少し悪く言えば身勝手な考えで彼女は軍事兵器であるストライカーを無断使用しての脱柵を繰り返していた。

 

 

「うじゅ?」

 

 

その狭苦しい基地からの逃飛行のさなか、視界の端でちらりと閃く光が覗いたのを、彼女が見逃すことはなかった。

 

 

「なんだろ、あれ?」

 

 

彼女―――ロマーニャ公国空軍第4航空団のウィッチ、フランチェスカ・ルッキーニは、静寂の夜の海上に輝く光に首を傾げた。




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