トリノ脱出 part1
1943年10月、ロマーニャの一部がネウロイにより陥落しました。
…マジですか?早すぎません?ヴェネツィア陥落って確か2期の出来事ですよね。
陥落したのはイタリア半島の付け根(南側)にして、大都市ミラノの南部に位置する大港町ジェノヴァ。
ガリア方面より海経由で侵攻してきたマルタにいたタイプ───つまりインフェルノ仕様のネウロイ達は瞬く間に駐屯していたロマーニャ軍及びヴェネツィア海軍の戦艦3隻を殲滅。
地中海及び北アフリカ方面からのシチリア半島への侵攻に対処していたロマーニャ空軍及び504部隊はそれの対応に遅れてしまったらしいです。
「もう少しで到着します、プラマー軍曹」
…私はそして現在なんと、ロマーニャ北部の山岳基地へと装甲トラックで移動している最中です。
しかもフランチェスカ・ルッキーニ少尉───フランカお姉ちゃんと別れて。
そのうえなんとあのリリー中佐すらいません。
事の成り行きはこうです。
大陸側欧州の最後の砦であるロマーニャへの侵攻。
その重大事案に対し地中海方面統合軍総司令部、およびロマーニャ政府は各地へ派遣していた自国の戦力を慌てて招集。
それに伴い501へも、マルタを救った英雄であるフランカお姉ちゃんの原隊復帰を非常に強く要望。
同時にリベリオン、ブリタニアの両海軍のロマーニャ南部への派遣が決定。
それのリベリオン側のウィッチ隊の総指揮を、マルタで指揮を執ったリリー技術中佐にと強く推薦があったみたいです。
『絶対にまた会いましょう、私達は離れていても家族よ』
『待ってるぞ!戻って来いよチビ共!』
悲しそうな、不安げな気持ちを滲ませつつも温かな笑顔で送り出してくれた501の皆さま。
この人らが来てくれれば楽勝じゃね?と思いましたがブリタニア防衛の要ですものね…ダメですよね。
で、私です。
本来ならフランカお姉ちゃんに付いていき、504部隊らと共同しミラノからジェノヴァを奪還するルートか。
もしくはリリー中佐に付いていき、リベリオン、ブリタニア混合部隊でシチリア島を防衛するルートか。
だと思ってたんですけど、まさかの第3のルートです。
「──プラマー軍曹、ご覧ください、アレがかの有名なアルプス山脈です」
私は二人と離れロマーニャ北部のアルプス山脈の麓、トリノの基地へ向かっています。
ガリアから海を経由してのジェノヴァへの侵攻。
北アフリカからロマーニャ南部シチリア半島への侵攻。
そして同時に小規模ではあるものの、なんとネウロイがアルプスを越えてロマーニャ北部へ出没するようになってしまったとのことです。
それもあの、マルタにいたインフェルノ仕様のネウロイが。
さらに他の様々な要因も重なり合ってその北部戦線は非常に厳しいモノがあり、私はリベリオンからの支援人員の一人として現地部隊から強く要望され、加わるコトになりました。
その役割はマルタ仕様のネウロイとの戦闘の助言、アドバイザーみたいなモノです。
シールド張ったり透明になったりするネウロイとの交戦記録はリリー中佐が記した『マルタ・レポート』として出回っているようですが、実際に何度も交戦し帰還したウィッチとなると私かお姉ちゃんくらいです。
それ故ウィッチとしての能力ではなく、その過去の経験と知識を買われての抜擢と言った所でしょうか。
私を絶対に一人で危険に晒させまい、とするリリー中佐とフランカお姉ちゃんの強い意志が反映されてますね…。
その証拠に相棒である零戦五二型も、M1897ショットガンも持って来させてくれませんでした。
――November,1943
Romagna Near Turin
Sgt. Amanda Michael Plummer
Rebellion Romagna Detachment
おやおやおや!テロップさんちーっすちーっす。
そういえばこの独白テロップ?って大きく戦う場所が変わる度に出てますよね。
Sgtってことはまだ私ぐんそーなんですねー…昇進したいですなぁ。
ん?ドライバーさんが何かボヤいてますね…『なんだか道が騒がしい』?
確かに外を見てみれば、なんだかトリノ方面からこっちに向かって走ってくる人や車が多いですね?
しかも何かみんな慌ただしいような、ハダシの人までいます。
ガリアやカールスラントからの難民さんでしょうか、そんな身なりのような人たちも混ざってて…。
『少し急ぎます、しっかり捕まっていてください』
うぎゃあああ!?トラックがインド人を右に!!シェイクされちゃう!!
…で、結局トリノまでかなり近づきましたが、近づく程に向こうから走ってくる人や車の量が増えてますね。
後部の貨物部分に乗っている兵士の方や隣のドライバーの方が慌ただしくなっています。
どうやらトリノに駐屯しているあらゆる部隊とまったく無線による連絡がつかないらしいですね。
まぁ先程からトリノ方面から聞こえてくる爆音や轟音、そして上空に広がりつつある黒い雲を見れば原因は火を見るより明らかですが。
間違いなくコレ、街の中央までネウロイ来ちゃってません?
でも待って下さいトリノって結構な大都市ですよね?それがここまで侵攻されるほど厳しい戦況だなんて話じゃなかったはずです。
それにしたってアレもしかして『巣』なんかワケないですよね、早すぎますもんね。
え?『このまま状況確認のために目的地まで行く』?大丈夫ですかそれ。
でも戦闘してる可能性がある以上兵士としては行かなくちゃ行けないんでしょうね。黙って従いましょう。
…で到着しましたが街中は酷い惨状ですね、悲鳴、倒壊、抉れた地面、命だったものが辺り一面に転がってます(AMZNZ)
某ラクーンシティのような状態ですね。
薄暗い空ではネウロイと十数名のウィッチ隊らしき影が戦っていますがお世辞にも渡り合えてる様には見えません。
───ガコンッッ!!
そして次の瞬間、私の搭乗していたトラックは倒壊した建物の陰から現れたナニカ。
不幸にも黒塗りの地上型ネウロイに追突し、凄まじい衝撃と共に私は身を車から投げ出されました。
──▽▽──
《目標:トリノからの脱出》
《防衛目標:避難民》
死体クッションのおかげで無事だった私はその恩人の瞼をそっと閉じさせると、燃え盛る装甲トラックと視界にポップアップする文字を眺めました。
はー!まぁ、でしょうね!なんかそんな気がしてましたもん!
《僚機を選択してください》
いつもフランカお姉ちゃん固定だった為無視していたポップアップですが、今日はその枠がカラッポですね。
《武器を選択してください》
懐にしまってたクナイ二本だけですね。持ってた拳銃は原型がないあの運転席の中です。
《ストライカーを選択してください》
ねぇよばかやろう。
《ミッションを開始します》
はいはい。
とりあえず眼の前でグチャグチャになって横転したトラックの物資を確認してみましょうか。
なにかしら銃くらいはあってくれれば嬉しいですが。
…荷台のカバーをめくるとそこには散乱した荷物と…荷台座席にはツキジめいたネギトロ祭りがががが…
《『トラウマ』が発動しました。》
げ、やばいですね。
唐突に吐き気と激しい頭痛と、あの懐かしいチュートリアルの惨劇のキツイ幻覚が襲ってきました。
フランカお姉ちゃん、もしくはリリーさんがいればすぐに落ち着くのですが…今は一人ぼっちです。
仕方ありません、こんな状態では脱出どころではありませんし苦肉の策を使いましょう。
震える手でリベリオン下士官服の内ポケットから小瓶を取り出し、手に内容物をぶち撒けて無理やり喉に押し込みます。
───ふぅ…おちつきました。
リリーさんから預かった…ちょっとラベルからヤバそうな雰囲気がするおクスリです。
飲むとHPが減るとかバッドステータスが付くとかはないですが…《催眠》のタダでさえ長い時間が更に伸びちゃいます。
できればもう飲みたくないですね、気をつけましょう。
さてトラックの中身はっと…使い物になりそうな銃はありませんね。
でも血まみれの医療キットは見つけました、中はキレイですし使えそうです。持っていきましょう。
───バコンッ!!
と、それを雑嚢にしまうとトラック前方からそんな嫌な音が聞こえてきました。
あー…やっぱりさっきの不幸にも追突した黒塗りの地上型ネウロイ、どうやらまだ生きているみたいですね。
咄嗟に後ろに駆け出した数秒後、トラックを私に向かって弾き飛ばしてきました。
が、私だってもうチュートリアルごときでアホほど死んでたニュービーではありません、インフェルノ初心者は卒業しました。
使い魔の黒豹エイミーの猫耳と尻尾を顕現させてクナイを居合めいた抜刀で振りかぶります。
はい、鉄の塊ごときネウロイの装甲に比べればトーフ同然ですね、真っ二つですよ真っ二つ。
そのまま駆け出して唖然としてるかの如く固まっているネウロイの懐に潜り込み、魔法力を乗せた両手の刃を抉りこませました。
舐めないで下さい。大口径弾すら弾く装甲のネウロイをどれだけこのクナイで切り裂いてきたコトか。
ですが恐らくコアなしだったのでしょうね、それだけでネウロイは白化ののち霧散してしまいました。
さて、しかしコアなしでもやはり地上型はしぶといですね、大型トラックに突撃されてもピンピンしてるとは。
先行きが不安ですが考えても仕方ありません、とにかく何かしらの足を見つけてここから逃げないと。
──と、思ってましたが全然使えそうな車は見つかりません。
さっきから見つかるのは小型ネウロイ、または怪我して動けなくなっている街の人や避難民の人だけです。
もちろんそんな人にはさっき拾った医療箱で応急処置や添え木等を施してますが…逃げられるのでしょうか。
泣いてお礼を言ってくれるのは気分的に嬉しいのですが、私が助けた内の何名がこの街から生きて逃げれるんでしょうか?
《防衛目標:61%》
視界の端にチラチラ出てくる不穏な表示。
最初99%とかだったので…多分これ犠牲になった避難民の割合みたいな感じ?
だったらちょっとまずいですね、きっと私はコレが減らないようにしなきゃいけないんでしょうけども。
空の旗色も相変わらず悪そうです、恐らくさっきチラッとシールド持ちネウロイが見えたのでそれに苦戦しているのでしょうか。
──と、思ってたら空からなんかコッチに落ちてきますね?
親方!空から女の子が!!
形容しがたい轟音を立てて眼の前の民家に墜落した───ウィッチさん、私のニンジャ動体視力で見た限りシールド張ってたっぽいので大丈夫だと思いますが。
見に行きましょうか、何かしらの突破口になるかも知れません。
おーい生きてますかー?
…ロマーニャのウィッチさんですね、しかも何か制服とかが真新しく折り目とかもキッチリしてますし、色白な上ちょっとぽっちゃ…ふとまs…アレです。
なので見た感じ多分新兵さんですね、可哀想に。お目々グルグルさせてます。
あ、頭と背中から出血してますね、でも大した怪我じゃなさそうです、サクッと治療してあげましょう。
おっスキルチェックでグレート連発出来ました、一瞬で治療完了ですよ!
「──La strega della ribellione …?」
あ、どうやら私に気づいたらしいですがー。
やばいこの人、ブリタニア語話せないウィッチさんや!!すまねぇロマーニャ語はさっぱりなんだ。
忍殺語じゃダメでしょうか、ダメですよね。
空を浮かぶネウロイを睨みながら青い魔法力を輝かせ踏ん張ってますが、どうやら彼女はもう魔力切れのようです。
なら任せてください。代わって代わって!とジェスチャーしますがまったく伝わりません。
どけおらぁ!私のグラ〇フで培った乗り物強奪能力が輝きますよ!
「Ayeeeee!?」
すぽーん、とストライカーを脱がせて自身の足を滑り込ませます、あっこら背中にしがみつかれました!!
仕方ありません、このまま出撃しちゃいましょう。機関銃だってこのウィッチさんが持っていますし、クソエイムの私よりマシでしょ。
《MC.202 フォルゴーレ》
ロマーニャ製のストライカーであるマッキMC.200”サエッタ”にカールスラント製魔導エンジンへの換装およびそれに伴う各種の改修を施した機体。
良好な運動性と優れた最高速度を誇る。
お、簡易説明文が。
はーん?良好な運動性?でも何か履いた感じ零戦よりちょっと重いというか鈍い感じが…まぁいいや離陸!!
「Aspetta, cosa seiiiiii!?」
ぎゃああああ猫耳元で叫ばないでえぇぇぇええ!!
あ、でもこのストライカーボチボチいけますね、悪くありません。
ちょっと運動性は零戦には流石に構いませんが、それでも7割程度くらいはイケます。
──ピロン
おや、今度は彼女の持ってる機関銃についての説明文が出ましたね、どれどれ。
《ブレダM30軽機関銃》
ロマーニャ国産の機関銃。褒めるところを探すのが困難なほど性能が悪く、ロマーニャ兵は複数の装備を選択する余地があった場合は、迷わずほかの火器を選んだほどの性能。
………。
チラッと後ろのウィッチを見ます。
汚れのない純粋な新兵の目ですね。
嗚呼…今回の戦場もロクでもなさそうです。
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