【ストパンVR】初見で最高難易度だけど超余裕   作:Kkmn

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ユナフロにのめり込み過ぎた結果がコレです。
ごめんなさいこれからまた更新しますぅ


『過去が今、私の人生を収穫に来た』 #1

数日前、南部ロマーニャ防衛戦線の前哨基地にて。

 

「……?」

 

自室のシャワーで汚れを洗い流してる最中、リリーはふと他者の気配を感じた。

ノックもなし、声もなし、軽い足音だ。

ちらりと脱衣所のM1911をドア越しに見やり、音を立てずドアを開く。

 

シャワーは流したまま、濡れた手で銃のグリップを握りしめ部屋に向かい構えた。

そのベッドに腰掛けていた侵入者はぎょっとした表情を見せるも、すぐに怪訝な視線をリリーに向ける。

 

「…呆れた、あなたシャワーの時までそんなもの持ってるの?」

「リカ」

 

銃を下ろし、パタパタと脚をばたつかせるロマーニャの魔女に怪訝な視線を返す。

見れば彼女の隣には資料が四散している、代行してくれた部隊指揮業に関しての資料だろう。

 

「ああ、ありがとうございます。さっきお願いしたばかりなのに、流石ですね」

「そりゃあ何年もやってるからね。これに関しては貴方にも負けないわよ?」

 

タオルを羽織り、さっきまで着ていた服──血にまみれている──をこっそり隠し、フェデリカの横に腰掛ける。

 

「実際大助かりです。しかし何を考えて私みたいなのを部隊指揮に選んだんだか」

「アナタを選んだのってたしか」

「本国の反戦派ですよ。ネウロイを見たことも無い軍人様方です」

「でもリベリオンってネウロイを見たこと無い人の方が多いんでしょ?」

「ええ、だから馬鹿ばっかりなんですよ。そのおかげで私は欧州で好き勝手できてますが」

 

貰った資料に目を通す。

必要最小限の資料に、重要な所には印が丁寧に打たれてある。

補給状態、充足率、稼働率、スカーミッシュの状況、ストライカーの状態。

 

読んでいる最中、ふいにフェデリカがリリーの鎖骨あたりに顔を近づけた。

すんすんと鼻を鳴らし、その次には黙ってリリーの蒼い瞳を覗き込む。

 

「…血の匂い」

「生理です生理」

 

さっき暴漢を装ったリベリオン本国の親ウィッチ派の活動家を返り討ちにしただけだ。

恐らくはエイミーとルッキーニを無理やり戦わせてると言う根も葉もない噂のせいだろう。

取り立てて特別なことはない、日常の些事に過ぎない。

 

「ウソ、ここ血のシミ残ってるわよ」

「え?そんなはずは…あ」

 

してやられた、と思った次の瞬間には視界がぐるりと回転し、視界いっぱいにフェデリカの褐色の顔が写り込んだ。

ベッドに押し倒され、肩を押さえつけられる。

 

「いつまでそんなコト続けるの?」

「はて、そんなコトとは?」

「リリー」

 

逸らした目を、半ば無理やりフェデリカの目に合わせられる。

綺麗な目に写り込んだ薄汚い女の瞳は淀んで見えた。

 

「心配なのよ、わかるでしょ?もう嫌なのよ、アナタが何処かへ行くのが」

「嬉しい事を言ってくれますね」

「本気よ、もうバルバロッサの時みたいなのはこりごりなの。折角こうして仲直り出来たのに…また…」

 

フェデリカは自分がどれだけ子供じみた事を言っているのかを言い切ってから気づき、溜息を吐く。

どこうとした彼女の腕を、リリーが掴んで止めた。

少し驚いたような顔を向けられる。

 

「エイミーとルッキーニに、毒されましたね。私たち」

「…そうね、あの子達のおかげね」

 

顔が近い。

 

「リカ、この前言ってくれたこと、まだ間に合いますか?」

「…この前って?」

 

「504の副隊長、あなたの隣」

 

フェデリカの目が見開かれる。

バルバロッサで離別して以来、ここまで露骨に感情を見せたことがあっただろうか。

 

「もうちょっと、もうちょっとで終わるの、リカ姉。だからそれまで待って」

 

さらに目の前のリリーから昔の口調が飛び出せば、さしもの504の隊長、フェデリカもその表情を固まらせ、次の瞬間破顔した。

 

「リリーーーッッ!!お姉ちゃんは信じてたわぁー!!」

「あぁ…もう待ってって。もうちょっとでアタシ、欧州で自由になれるの。マルタの誘致さえ終われば…」

 

昔と変わらぬ勢いで自らに抱き着く姉の頭を撫でながら、リリーは言葉を続ける。

マルタのロマーニャ基地ににリベリオンの一部の軍を駐在させる計画が進んでいること。

そして同時に、彼女の在するグラマン社の工場、および支社をそこに建立すること。

それも全て───彼女の息のかかった人間達によって。

 

「それが出来ればアタシはもう、本国とは関係ない権力が手に入る」

 

さながらかつてリベリオンがガリアから独立した過去の再現だ。

リリーはグラマンとリベリオンという呪縛から独立し、欧州での確固たる地位と力が手に入る。

 

「もう誰にも、アタシの人生を操らせない」

 

その声には固い決意と憎悪が滲み出ている。

 

「…そう」

 

それを最後まで聞き終わったフェデリカは、リリーの頭をそっと抱きしめた。

不意打ちの形だった彼女は戸惑うが、すぐにそれを受け入れる。

 

「…お姉ちゃんに手伝えるコト、ある?何でも言いなさい。」

「ん…んーん。もう十分に助けてくれてるじゃん」

 

抱きしめ合い、微笑みあい、語り合う。

昔のように、夢にまでみた、在りし日の幸せな過去の日々のように。

その時間はフェデリカにとっても、リリーにとっても甘美で尊いモノだった。

 

「あの子達は?どうするの?」

「…一生かけて、償う。許されるワケないけど」

「そっか」

 

自分達の過去の幻、幼いロマーニャとリベリオン…否、扶桑の魔女の二人。

 

「私も一緒に償うから」

「…なに言って」

「アナタを止めなかったんだもの、同罪よ、私も」

 

リリーの頬を撫でる、大きく優しく、温かい手。

 

「ごめん、おねえちゃん」

「良いのよ、可愛い妹のためだもの」

 

そう言って二人は顔を近づけ、艶やかな二つの唇を重ね合わせ────。

 

その部屋にネウロイ発見の報と共に飛び込んできた赤ズボン隊のルチアナにその現場を見られ、二人して必死に嘘で取り繕った。

その最中でさえも二人は無邪気な笑顔だった。

 

 

いずれその過去が、清算を求めにやってくるとも露も知らずに。

 

 

──▽▽──

 

 

アマンダ・M・プラマーの意識は深い夢の中にあった。

悲鳴と怒声、轟音と破裂音。鼻につくのは肉が焼けるハンバーガー屋の厨房めいた香り。

辺り一面の血と炎の海に、命だった物が散らかり果てた惨状。

 

もはや見慣れた光景である。彼女は長い時を経てなお、未来予知という名の呪縛に囚われたあの夜空の悪夢を追体験していたのだ。

 

「……」

 

『親の顔より見た光景』と言うのはネット空間では良く用いられる比喩ではあるが、彼女にとっては比喩ではない。

 

『...なんで、どうして…』

 

その時エイミーは、血塗れの零を履いた自分の向こう、血の海に蹲る一人の少女を見た。

 

『やっと、あえたのに…ずっと、あいたかったのに…』

 

少女は顔もあげず、従者達の死体…だったものを幼い手でかき集めながら、呪詛めいた言葉を漏らす。

その異様な光景に、エイミーは声をかけることも出来ず凝視し続けた。

 

『ずっと、さびしかったのにっ…ずっと、ずっと、ずっと、おかあさま…おかあさま…』

 

少女が立ち上がる。

血まみれの病衣には散乱した血肉と内臓がこびりつき、血とも分からない液体が滴った。

 

『おきなきゃ…』

「───ッッ!?」

 

瞬間、エイミーは絶句、いや、悲鳴をあげようとしたが声が出なかった。

少女の白い肌から黒いヘドロのような物体が溢れ出し、洪水のように周りを呑み込んだ。

 

『おきる、おきなきゃ。おきて、おかあさまに、あいにいかなきゃ』

 

零の魔導エンジンを起動させ逃げようと試みる。しかし離陸を行う前に彼女の下半身はすべて黒い液体に呑み込まれた。

感覚が消える。まるで元から存在しなかったかのように、腰から下の感覚がない。

 

『おきる…おきる…おきる!!おきる!!おきなきゃだめなの!!』

「美喜ッッ!!落ち着いてっっ!!話を…」

『おきる!わたしが、わたしがおきる!!!!おかあさまぁっっ!!』

 

黒い泥の中から手を伸ばした美喜の顔。

その瞳は子供特有の純粋な───純粋な、狂気だった。

 

 

 

「っはぁ!?…はぁ…はー…」

 

目が覚める、そこは勿論現実のベッドの上だった。

全身が汗だくでじとじとしている。心臓さえもうるさい程に鳴っている。

 

「はぁ…ふぅーっ…」

 

息を整え、身を起こそうとした時、彼女は自身が誰かの胸元に抱きしめられてるのに気がついた。

暖かでかつ、大きな身体だ。

そして自身を包むお日さまのような香りに、その主が誰なのかを察し、ほっと息を吐き目を細めた。

 

「……」

 

ルッキーニは何も言わず、ただ静かに彼女の背中をさすり、柔らかな黒髪を撫でていた。

僅かにみじろぎするエイミーの様子に、彼女も目が覚めたことを察し顔を覗き込む。

 

「…うじゅじゅー」

「…うじゅ?」

 

にぱー、と満面の無邪気な笑みを向けられると、エイミーの心を覆っていた焦燥や黒い気持ちはゆっくりと消え去っていく。

頭を撫でる大好きなお姉ちゃんの手に、甘えきった猫なで声が漏れてしまう。

 

「ふふっ、にゃーにゃー♪」

「にゃっ…みゃぁぁ…///」

 

───ぴょこんっ

 

戦場ですらないのに、無意識に使い魔の猫耳と尻尾を出してしまう感覚。

それを彼女はいつぶりだろうかと思いながら、心地よい甘い感覚に身を委ねた。

もしその姿をかつて彼女を先生と仰ぎ師事したロマーニャのとある魔女が見れば、何と言っただろうか。

 

「えーいみーっ…♪」

 

その後も二人の幼い魔女達は、ただ無邪気に戯れる。

ほっぺたをすり付け合い、頬にキスを交わし合い、顔をうずめあい、お互いの尻尾を絡ませあい。

耳をはみあい、指を絡ませ合い、耳元で大好きな。お互いの名を甘く囁き合った。

 

「えへへ…♪」

 

その稚拙な戯れで伝わってくる大好きなお姉ちゃんの暖かさに、彼女はうっとりと目を閉じた。

その尊い温もりに心の奥底から安堵を感じると共に、かつてトリノで、あの地で同じ温もりを与えてくれた仲間達の顔が脳裏に浮かんだ。

アルプスの果て、エイミーの身体を吹雪から守り続けた年上の弟子の温もり、陽気でおおらかな陸戦ウィッチ達の温もり。

もう二度と触れる事は叶わない、思い出の中だけの残滓。

 

彼女のくすんだ翠の瞳から、後悔と悲哀がほろりと溢れる。

それを指ですくい取るように拭い、ルッキーニはそっと涙の筋が滲む頬を包み込む。

 

「エーイミぃ」

「…」

 

エメラルドの瞳と、翠の瞳が向き合う。

片方は曇りなく無邪気で真っ直ぐだが、もう片方はくすみ、奥底にはどす黒い淀みが覗く。

 

「あたし、どこにも行かないよ」

「…」

「だからそんな顔しちゃだーめっ」

 

幼い魔女は数秒黙った後、返事の代わりにルッキーニの胸元へ顔を埋めた。

その冷たく細く、儚い身体をそっと抱きしめる彼女の頭に一つの疑問が泡のように湧いて出た。

 

──あたしは何処にも行かない。でもこの子は?

 

それは声に出した疑問ではない、ただ頭の中に呟いただけだ。誰も返事を返してはくれない。

 

『ソイツ、そんなんじゃ長生きしないぞ』

 

ただ代わりにその問いに答えるかのように、先程風呂で話したリベリオンの魔女ドミニカの声が脳裏で反芻する。

 

『子供がしていい顔じゃない。死が目前に来ても『あぁ、自分の番か』って黙って死ぬ奴の顔だ』

 

ドミニカの声が続く。

 

『きっと慣れすぎたんだな、人が死ぬことに。私も昔そんなんだったから分かる』

 

心配げな面立ちでその顔を覗き込むジェーン。

ルッキーニは11歳という若すぎる頭脳で必死にそのドミニカの言葉を理解しようと咀嚼した。

 

『でもな、そんなだった私に、生きる意思をくれたモノがあったんだ。分かるか?フランチェスカ』

『…うーん』

 

どことなく抽象的で感傷的な彼女の話は、どことなく捉えがたい。

それでも彼女は必死の脳細胞が知恵熱を発する程に激しく思考した。

愛しい大事な妹のために。

 

『…自分の故郷を守りたいってこと?』

『それも少なからずある、でも違うな』

 

ドミニカは隣に腰掛けるもう一人の魔女の腰に手を回し、抱き寄せた。

そして恍惚とした表情で、その白く艶やかな頬を撫でる。

 

『───愛だよ。お前達にも教えてやろう』

 

そう言って彼女はルッキーニに自分達がいかにして愛し合っているのか語りだした。

 

 

 

「あたしね、エイミーともっと、もーーーっと仲良くなりたいの」

 

ルッキーニがエイミーの瞳を覗き込む。

エメラルド色の瞳同士が見つめ合う。

 

「…ドミニカにね、教えてもらったの。ウィッチ同士が、女の子どうしが、一緒になれる方法」

 

幼い、日に焼けた肌の頬に朱が刺す。

触れ合った素肌が熱を帯びて、鼓動が伝わってくる。

 

「…おんなのこ同士で、一緒に…」

 

エイミーは少女だ。それも年端も行かないあどけない、幼女とさえ言っていい。

だがそれは見てくれの話、彼女の意志は本来成人、その上男性だ。

無論、彼女がその言葉の意味する真の意味をわからないはずもない。

 

「わたし、エイミーと、いっしょになりたい。もっと、つながりたい」

 

フランカの柔らかい手が、エイミーの肩に添えられる。

鎖骨にかかる息が温かい。珍しくルッキーニが緊張しているのが伝わってくる。

 

「……」

 

少し、逡巡する。

だが、それもすぐに終わった。

 

 

「エイ────んっ」

「……────ぷはっ」

 

僅かに、愛する妹に嫌われるのではないかという恐怖が滲み出ていた声が漏れた唇を、エイミーはそっと塞いだ。

自らの唇で。

大好きで大好きで憧れの姉の唇は、やわらかく、滑らかで、甘かった。

 

「おねえちゃん、だいすき」

 

二人の幼い魔女の唇の間に、唾液の糸の橋がかけられる。

心臓が痛いほどに鳴り響き、触れ合った胸からお互いの鼓動が甘く響き合う。

 

「…こわくなったら、すぐに言ってね?」

「うん」

 

そうしてルッキーニはたどたどしい手で、エイミーのワイシャツのボタンを外し始めた。

 

 

 

──▽▽──

 

「ふ…やぁっ…!!ぅくぅんっ…!!」

「なに、これぇぇっ…!おなか、きゅんってしてぇ…にゃぁぁぁ!」

 

──▽▽──

 

「やっ、おね、ぇちゃぁぁ…!!そんなとこ、きたなっ…ふにゃゃぁぁ……!!」

「ちろっ…にへへー♪エイミー、かわいい…♪」

 

──▽▽──

 

「にぅ…ぺろ、れろれろっ…ふみ、ふにゅぅ…」

「そうそう…じょうずだよ、エイミー」

 

──▽▽──

 

「じゃじゃーん!これ凄いでしょー!ドミニカがかしてくれたんだぁー!」

「へ…へ?な、なにそれ…ちょっ、まっ…ふみゃあぁぁぁぁ!!?」

 

──▽▽──

 

「すきっ♪だいすきっ!!フランカお姉ちゃん!!どこにもいかないでっ♪ずっと私といてぇぇ!!」

「うん…♪おねえちゃんは何処にもいかないよ。だから…♪」

 

──▽▽──

 

 

「…凄い声でしたね」

「ああ、まさかアタシらの部屋まで聞こえてくるとは思わなかったよ」

 

ジェーンとドミニカは自室でお互いの身体を貪り合いながら、幼い魔女達の情事の矯声を聴いていた。

 

「でも幸せそうな声だったな」

「んー…まぁそれはそうですけど…良かったんでしょうか、あんなに小さな子達に」

「良いに決まってるだろ」

 

ドミニカはその頭をぽんぽんと叩くと、ジェーンは猫のようにその手で縋り付き甘えた。

 

「明日死んでもおかしくない魔女(わたしたち)だ。限界まで愛し合わなきゃ死にきれないだろ。それに」

 

ロマーニャの空を見上げ、彼女は黄昏るように呟く。

 

「愛する奴の一人でも心にいなきゃ、この空は寂しすぎるのさ」

「────────」

 

その窓を見つめ、凛々しく美しい横顔。

それに心を奪われたジェーンは、未だ聞こえてくる幼い魔女達の嬌声をBGMに、再びドミニカを愛し始めた。

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