鬼武者の新作に鬼滅の刃の最終決戦の映画…
また生きる楽しみが増えましたよ!
・刀鍛冶の里 周辺の森林地帯
左馬介と杏寿郎たちは里から少し遠く離れた深い森が立ち並ぶ森林地帯にいた。一週間が過ぎ、まったく進展がなかった木霊探しだったが先日カナエが見つけたこの森林に霊脈が強い場所があると阿児は睨んでおり、早朝から付近を捜索していた。
「う~ん…見つからないなあ、この辺りにあると思うんだけど」
「阿児、もう日が暮れそうだ今日はここまでにしよう」
「ええ、また明日ここに来ましょう?」
「うん、残念だけど出直しだね」
ほぼ丸一日この付近を捜索していたが結局、木霊らしき結晶は見つからなかったのだ。収穫がなかったことを残念に思うながら左馬介たちは里へと戻ろうとするが、別の場所から聞き慣れた明快な大声が聞こえてきた。
「明智殿!阿児さん!こっちへ来てくれ!」
「この声…杏寿郎くんかしら?」
「どうしたのー?杏寿郎」
杏寿郎が何かを見つけたのか左馬介たちは声のする方へ向かう。するとそこには特に年季の入った一本の巨木の立っており、その根っこ部分を杏寿郎はじっと見つめていた。よく見ると虹色に光る小さな石ころのような物が根っこの間に埋まっているようだった。
「阿児さん、君が言っていた木霊とはあれのことじゃないか?」
「え!?どこどこ?」
杏寿郎の指差す木の根っこ部分に阿児が飛んでいく。根っこの間にするりと入り込むと阿児はその虹色に光る小さな石を左馬介たちの前に抱えて持ってきた。
「あったぁ!これが木霊だよ!やったね杏寿郎!」
「ああ、間違いない。俺が戦国で拾った物と同じだ」
「本当か!?それはよかった!」
「まあ…!綺麗な結晶ね、なんだか不思議だわ」
阿児の持っている木霊は霊力の結晶であり、小さいがこの石一つに強い霊力が結集しているのだ。ようやくカナエと杏寿郎の体内にある幻魔蟲を取り除く鍵となる物を見つけたのだ。
「あとはこれを使って二人の幻魔蟲を取り除くだけだね」
「うむ!阿児さん、どうかよろしく頼む」
「うん、とりあえず里に戻らない?ちょっと準備することもあるし」
「そうだな、辺りが暗くなる前に急ごう」
木霊を手に入れた一同は幻魔蟲を取り除く準備するためにひとまず里に戻ることになり、日が沈み辺りが暗闇に包まれる森林の中を駆けていった。
ーーーーーーー
・その夜 刀鍛冶の里
その頃、里にいた炭治郎と静音は同じ旅館にいた。実は縁壱零式という絡繰人形を使って修行していた炭治郎だったがその最中に人形を壊してしまったのだ。するとその人形の中から一本の古びた刀が見つかったのだ。その刀はひどく錆びていたがその時、行方不明になっていた鋼鐵塚蛍が突如現れその刀を奪うように持ち去ってしまったそうだ。
聞けば炭治郎を死なせないためにもっと強い刀を作るために修行していたらしく、その刀の研磨が終わるまで三日三晩かかるそうで研ぎ終わるまで炭治郎は待つことになった。
「ということがあってさ、研ぎ終わるのは明後日になるんだ。その研ぎ方、すごく過酷みたいで死んじゃった人もいるそうなんだ」
「そ、そうなんだ…というかそれならそうと素直に言えばいいのに」
「ま、まあ、鋼鐵塚さんも俺のために頑張ってくれてるし!」
(…私の刀の担当、珠希さんでホントによかったなあ)
お茶と煎餅を食べながら話していた二人だったが同じ部屋にもう一人の人物がおり、炭治郎はその人物に友人のように気軽に声をかけた。
「絶対に覗きに来るなって言われてるんだけど、見に行ってもいいかな?玄弥」
「知るかよ!!出てけお前ッ!!友達みたいな顔して喋ってんじゃねーよ!!」
(ていうか…誰だろう?炭治郎君の知り合いみたいだけど…)
モヒカンのような髪型の黒髪に鋭い目つきに右から鼻にかけて横一文字に刻まれた大きな傷跡のある隊服を着た男だった。彼の名は不死川玄弥と言い炭治郎とは入隊試験で顔を合わせており知り合いなのだがその時に一悶着あったのか玄弥の方は明らかに炭治郎を拒絶していた。
「テメェは俺の腕を折ったんだからな!忘れたとは言わせねぇ!」
「あれは女の子を殴った玄弥が全面的に悪いし仕方ないよ」
「下の名前で呼ぶんじゃねぇ!!」
(なんというか…ホントに友達なのかな?)
一方的に炭治郎が玄弥を友達だと思っているだけで、本当は仲が悪いのでは?と静音は思っていた。その時、あることに気づいた炭治郎がふと玄弥に尋ねた。
「あれ…?歯が抜けてなかったっけ?温泉で…」
「………お前の見間違いだろ」
「見間違いじゃないよ、歯取ってあるから」
「何で取ってんだよ!!?気持ち悪ィ奴だなテメェは!!」
(…炭治郎君、今回は玄弥君が正しいと思うよ)
落とし物だから返そうとしていたらしいが、気味悪がられて炭治郎と静音は無理やり部屋から叩き出されてしまった。
「何であんなにずっと怒ってるんだろう?やっぱりお腹が空いてるのかなあ?」
「いや…多分そういうことじゃないと思うよ」
(やっぱり、炭治郎君ってどこかズレてるよね…)
その後、二人はそれぞれの自室に戻ることになり別れたのだった。
ーーーーーーー
・数時間後
日も暮れすっかり暗くなり、里に明かりが灯り始めた時間帯に鍛冶場を畳んでいた職人たちだったが、普段とは違う何かの違和感を感じていた。
「……」
「親方?どうしたんですかい?」
「…いや、何でもねぇ」
(妙だな…辺りが静か過ぎる)
職人たちは里の周りが静か過ぎることに違和感を感じていた。この時間帯であれば虫や梟の鳴き声が聞こえるのだが、この日は何も聞こえないのだ。そんな時、里の外れにある倉庫から道具を取りに行っていた一人の職人が戻って来た。
「おい!遅いぞ!道具は持って来たか?鍛冶場を畳むから手伝え!」
「…は、は…い…」
「ん?どうした?何をそんなに震えてやがる」
その職人の様子は明らかにおかしく、手足が小刻みに震え声も今にも死んでしまうほどに小さかった。気になった親方が職人に近づこうとする。
「…お…親方…ご…ごめんなさい…」
「一体どうしたんだよ、何をそんなに…」
ザンッ!!
そう言いかけた時、信じられないような出来事が起こった。なんと親方の身体が竹から割りように頭から縦に真っ二つに切り裂かれたのだ。その職人の後ろから巨大な斧を持った四足歩行の異形の怪物が職人たちの前に姿を現した。
「あ…ああ…そんな…!親方…!!」
「オイ!モタモタすんじゃねぇ!さっさと猩々緋鉱石を持ってきやがれ!」
「う、うわあああ!!?」
「ば、化け物だあぁぁ!!?」
親方を惨殺した高等幻魔ギンガムファッツは豪快に笑いながら雄叫びを上げる。それと同時にその背後から刀足軽、三つ目、手長といった無数の下等・中等幻魔たちが現れ里を襲い始めたのだ。
職人たちはおろか女子供まで容赦なく殺されていった。さらに建物を破壊しながら暗闇からもう一つの巨影が姿現した。
「グオオオォォォォ!!!」
「ヒィィィ!!?今度は獣の化け物だあ!!」
新たに現れたのは那田蜘蛛山で左馬介たちが戦った双頭の猛獣・ガートルードだった。二体の高等幻魔と幻魔軍の強襲に刀鍛冶の里は絶体絶命の危機に陥っていた。
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・同時刻 刀鍛冶の里 近辺
その頃、木霊を手に入れ里へと戻ろうと帰路についていた左馬介たちは里の近くまで来ていた。すっかり暗くなってしまったが、目的の物を見つけることができて一同は安堵していた。
「はぁ〜…今日も疲れたなあ」
「ふふ、里に戻ったらまた温泉で汗を流しましょう?阿児ちゃん」
「あ~…もうッ!阿児ちゃんって呼ばないでよ!」
「何はともあれ木霊は手に入れることができた!あとはカナエさんと俺の体内にいる幻魔蟲を取り除くだけだな」
「ああ、そうだな。阿児、準備には他に何が必要だ?」
「えっと、そうだなあ…あと他に…」
その時、里から離れていたにもかかわらず左馬介たちのいたこの場所にまで響く凄まじい咆哮が聞こえてきたのだ。その咆哮に聞き覚えがあった一同は驚愕した。
「グオオオォォォォ!!!」
「……えッ!!?この声ってまさか…!」
「間違いない、奴だ!」
「あの時の双頭の化け物かッ!行こう!明智殿!」
「大変…!里が危ないわ!急がないと!」
(でも…!アイツらはどうやってここを見つけたの!?鬼の一族ですらこの里を見つけるのは困難なはずなのに!)
里に危機が迫っていることを悟った左馬介たちは足を速め、全速力で里へと向かっていった。
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・同時刻 炭治郎の宿舎
同じ時、禰豆子と一緒に自室に戻っていた炭治郎はこれまでの疲労もあったのかぐっすりと眠っていた。そこにまったく気づかれずに近づきいきなり彼の鼻をつまむ者がいた。
「……んがッ!?」
「ねぇ、鉄穴森っていう刀鍛冶を知らない?」
「時透君!?今、俺の鼻つまんだ?」
「つまんだ。反応が鈍過ぎると思うよ」
炭治郎の目の前にいたのは霞柱・時透無一郎だった。実は無一郎とも里に来た当初の頃に一悶着を起こして面識があったのだがそれからはまったく会っていなかったのだ。聞けば無一郎は新しい自分の刀を探しているようで新たに担当になった鉄穴森を探しているそうだ。
「知ってるけど…どうしたの?多分、鋼鐵塚さんと一緒にいると思うけど」
「鉄穴森は僕の新しい刀鍛冶、鋼鐵塚はどこにいるの?」
「一緒に探そうか?」
「…なんでそんなに人に構うの?君には君のやるべきことがあるんじゃないの?」
「人のためにすることは結局、巡り巡って自分のためにもなってるからだよ」
「……!」
その一言を聞いた無一郎は何かを思い出そうとしたのか驚いたような表情をしていた。先ほどの言葉をもう一度聞こうとした瞬間、宿舎にあの咆哮が響き渡った。
「グオオオォォォォ!!!」
「…今のは」
「……!?今の鳴き声はッ…!まさか!!」
「君は知ってるの?さっきの鳴き声」
「うん、那田蜘蛛山で戦った幻魔の双頭獣の鳴き声だ!どうしてここが分かったんだ!?」
(幻魔…?ああ、宇髄さんや胡蝶さんが話してた化け物のことだっけ…?)
炭治郎と無一郎は日輪刀を手にガートルードの咆哮がした方に向かおうとすると目の前の襖が開かれその間からぬるりとした動きで何かが部屋に入ってきたのだ。
「…ヒィィィィ」
「「……」」
突如、二人の目の前に現れたのは何と鬼だった。柱である無一郎でも気づかないほどに気配の消し方に優れ、目視するまで鬼だと認識できなかったことからこの鬼は間違いなく上弦であると瞬時に見抜いた。
(お、鬼だ…!!気づかなかった…!)
この間の瞬きにも満たない一瞬で無一郎は上弦の鬼に技を繰り出した。
「霞の呼吸…肆ノ型 移流斬り!」
相手に向かって滑りながら高速で潜り込みつつ斜め上に斬り上げる技だがその斬撃は鬼の顔面を少し斬っただけで回避されてしまったのだ。
「ヒィィィ!!やめてくれぇ…いぢめないでくれぇ」
(速い…仕留められなかった)
二人の目の前に突如、現れたのは上弦の肆・半天狗だった。幻魔だけでなく鬼もまた刀鍛冶の里を見つけ同じく襲撃してきたのだ。炭治郎もまた遅れまいと無一郎に続く。
(気後れするな!大勢人を殺している鬼だ!そうでなきゃ柱の攻撃を避けられない…!)
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・静音の部屋
同じ頃、自室で自身の日輪刀を磨いていた静音もまたガートルードの咆哮が聞こえていた。それと同時に里に危機を知らせる鐘の音が全域に響き渡る。
「敵襲ッー!!幻魔だッー!!」
「……えッ!!?」
「鬼もいるぞッー!!」
「各一族の当主を守れ!!柱の刀を持ち出せ!長を逃がせー!!」
(鬼と幻魔が…!?どうしてこの里に…!!)
それと同時に里のあちこちから悲鳴が聞こえてくる。日輪刀を手に急いで宿舎を出た静音は周囲を見渡し状況を分析する。下等・中等幻魔たちに加えて謎の金魚のような姿をした醜悪な怪物もまた里の人々を襲っていた。
(このままじゃ里は壊滅だ…!一人でも多く職人さんたちを助けないと!)
静音の姿を捕捉した中等幻魔である忍者の幻魔・闇鴉たちが一斉に襲いかかってくる。しかし、静音は瞬時に刀を構え水の呼吸の構えを取る。
「水の呼吸!参ノ型 流々舞い!」
流れる水のような動きで闇鴉の攻撃を回避しつつ一太刀で頸を落としあっという間に三体の中等幻魔を撃破したのだ。その動きは吉原遊廓で戦った時よりも洗練され無駄な動きのないまるで変幻自在な足運びかつ鋭い斬撃だった。阿児が言っていたようにもはや下等・中等幻魔程度では静音の相手にならないほど実力の差が現れていたのだ。
「化け物め…!覚悟しろ!私が残らず叩き斬ってやる!」
日輪刀を強く握りしめ里の者たちを襲う幻魔の集団に向かって駆け出した。襲い来る幻魔たちを次々と斬り捨て人々を救っていく。
「水の呼吸!陸ノ型 ねじれ渦!」
「グォォォ!!?」
「あ、ありがとうございます!」
「早く逃げて下さい!ここは私にお任せを!」
(凄い…!あの人は柱の剣士なのか…?強い!)
そんな中、戦っていた静音はあることに気づいていた。なんと幻魔たちと金魚の姿の怪物たちが同士討ちを始めていたのだ。この怪物は鬼の血鬼術で生まれた産物なのだが鬼もまさか先に幻魔が里を襲撃しているとは想定していなかったようで、吉原遊廓と同じように三つの勢力が入り乱れる乱戦になってしまっていたのだ。
(仲間割れしてる…?いや鬼も幻魔が現れたのは想定外だったはず!奴らが潰し合ってくれている間に里の皆を!)
その時、視線の先で金魚の怪物と何者かが必死に戦っているのが見えた。そこには職人用の大金槌で手傷を負いながらも後ろにいる女子供を守る鍛冶師、鉄賀珠希の姿があった。
「ギョッ!ギョッ!」
「この野郎…!かかってきな!化け物ッ!ぶっ倒してやるよ!」
「珠希さんッ!」
急いで珠希を助けようと怪物に向かって疾走するが突如、怪物の全身に無数の斬撃が繰り出され血飛沫を上げながら粉々に崩れ落ちた。
「花の呼吸…伍ノ型 徒の芍薬…」
「か、カナエ様!」
「大丈夫!?怪我はありませんか!」
「はぁ…はぁ…胡蝶の姉さんか…!助かったよ!」
現れたのは先ほどまで里の外に木霊探しに行っていたカナエだった。ガートルードの咆哮を聞いた直後、全速力で里に帰還したカナエは襲われている人々を助けながらこちらまで戻って来ていたのだ。安堵したのか珠希は金槌を落としその場に片膝をつきながら座り込む。
「珠希さんッ!大丈夫ですかッ!怪我は…!」
「…心配すんな!掠り傷さ!唾でもつけりゃ治るぜ!」
「大変!じっとしててください!」
左肩を負傷したのか左腕が血だらけになっていたが命に別状はないようだ。それを見たカナエは懐から綺麗な布を取り出し珠希の左肩に包帯のように巻いて止血処理を施した。
「ごめんなさい、しのぶのようにうまく出来ないけど…」
「大丈夫さ!ありがとよ!それより他のみんなが危ねぇ!早く助けてやってくれ!」
「でも、珠希さんは…!」
「あたしのことは心配すんな!早く行きな!!みんなを安全な所へ避難させるからここは頼んだぜ!」
「…はいッ!!珠希さん、気をつけてくださいね!」
「おう!死ぬなよ!静音!」
そう言うと珠希は隠れていた女子供を誘導しながらその場から撤退していった。それと同時にカナエと静音の背後から無数の金魚の怪物が姿を現し二人に襲いかかる。
「ここで化け物を食い止めるわ、里の人たちを一人でも多く救いましょう!」
「はい!カナエ様!」
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一方、上弦の肆・半天狗と戦闘していた炭治郎と無一郎だったが、あれから戦況は大きく変化していた。本体と思われる小さい鬼の頸を無一郎が斬り落としたのだが、その鬼は消滅するどころか分裂し二体になったのだ。新たに現れたもう一体の鬼"可楽"は風を操る力を持っており.その手に持つ羽団扇によって無一郎は遥か彼方に吹き飛ばされてしまったのだ。禰豆子と玄弥も参戦し何とか鬼の分裂体と渡り合っていたがさらに分裂し鬼の数は四体にまで増えていたのだ。
「カカカッ!喜ばしいのう!別れるのは久方振りじゃ!」
(この鬼は飛んでる!能力が四人とも違うのか!?)
「禰豆子!俺に構うな!玄弥を手助けし…」
「…哀しい程、弱い」
「げ、玄弥ーーッ!!」
なんと玄弥は新たな分裂体である"哀絶"という鬼に十文字槍によって腹部を貫かれていた。哀絶は槍を突き刺したまま力任せに玄弥を無理やり抱え上げる。
「禰豆子!玄弥を助けろ!頼む!急げ!!」
「人の心配とは余裕があるのう」
そして炭治郎もまたもう一体の分裂体である"空喜"によって足を掴まれて上空に飛び上げられていた。空喜は飛行能力を持つ鬼であり口から超音波に似た衝撃波を放つ技を持つのだ。片足を持たれて無防備になっている炭治郎に向かって衝撃波を放とうしていた。
(まずい…!!間に合えッ!!)
「ヒノカミ神楽…」
その時、何処からともなく凄まじい速度で放たれた何かが空喜の額を正確に撃ち抜いたのだ。たいした威力ではないもののさすがの空喜もひるみ攻撃を中断してしまった。
「ぬうッ!?何だこれは!?」
(弓矢…?まさか…!!)
額に刺さっていたのは矢であり、その矢は雷の矢という特殊な矢で命中すれば一瞬だけ動きを封じられら強力な矢だ。その隙を見逃さず炭治郎は自身の脚を掴んでいる空喜の鉤爪を斬り落とした。
(何とか脱出したが…着地できるか!?)
体制が取れないまま上空から落下した炭治郎は何処かに捕まろうとするが、そんな炭治郎を何者かが飛び上がりながら抱えて先ほどまでいた建物の二階まで戻って来たのだ。
「炭治郎、大丈夫か?」
「はい!ありがとうございます!左馬介さん!」
「すまない、遅くなったな」
「いえ!来てくれて心強いです!!」
「よかったあ、なんとか間に合ったね!」
なんと炭治郎を救ったのは同じく木霊を探しに里の外に行っていた左馬介だった。先ほど空喜の頭部を矢で射抜いたのも左馬介でありその直後、遅れて阿児も合流し改めて二人は鬼たちのほうに向き直る。
(…何だ?あの侍は?鬼の気配を感じるぞ…?)
突如、現れた左馬介の姿を見た錫杖を持つ鬼である積怒は思わず驚いていた。さらにその時、哀絶と戦っていた玄弥の元にも頼もしい援軍がやって来ていた。
「即死できぬというのは哀しいのう…」
「……」
「早く死ねるよう急所を狙ったが、槍を刺したままにしておいたからしてなかったか?だが、これでもう…」
「炎の呼吸…壱ノ型 不知火!!」
「何…!?」
気づいた時にはもう遅く、哀絶の頸は勢いよく胴から斬り離されていた。戦況を俯瞰していた積怒に援護する暇も与えないほどの速度で哀絶を斬り捨てその者は玄弥の前に現れた。
「遅れてすまない!ここからは俺も参戦する!」
「れ、煉獄さん…!」
「不死川少年、相当な深傷だ。君は下がっていろ」
「大丈夫だ…!まだ俺は戦えるッ!!」
左馬介と共に救援に駆けつけたのは炎柱、煉獄杏寿郎だった。心強い援軍に炭治郎は安堵の表情を浮かべる。一方、強力な新手に積怒は冷静に戦況を分析していた。
(柱の剣士か!それにあの鬼の侍…恐らく相当な難敵だな。もしやあのお方が申されていた鬼の力を持つ侍とはあの男のことか?)
「何だ何だ?面白そうな奴らが出てきたなあ!」
「可楽!余所見をするな!」
その頃、可楽と戦っていた禰豆子はお互いに掴み合いの状況で膠着していたが余所見をしていた可楽の隙を見逃さず顎を思いっきり蹴り上げて拘束を無理やり解除したのだ。
「ヴヴウッーーッ!!」
「グォ!?はは!!いい蹴りだ!娘!」
「禰豆子こっちだ!一度態勢を立て直すんだ!」
「ムン!!」
しかし、少し怯ませただけで決定打になっておらず戦況を仕切り直すために炭治郎たちの元へ跳躍し距離を取る。左馬介と杏寿郎が加わり不利だった鬼殺隊側の戦況が好転しつつあった。
「竈門少年!あの鬼の特性は何か分かったか?」
「はい!この鬼は斬ったら斬っただけ分裂します!恐らく頸は急所じゃありません!」
「となると…吉原のあの鬼と同じように同時に斬るべきか?」
「多分、本体がいるはずだよ!そいつを斬らなきゃ駄目みたい!」
「はい!五体目の鬼が何処かにいます!一瞬だけですが…匂いを感じました!」
「分かったよ!あたいが探してみるから、みんなは時間を稼いで!」
「うむ!分かった!任せろ!」
「頼んだぞ、阿児!」
阿児が隠れている本体の鬼を探し出すまで他の鬼たちを足止めするべくそれぞれの相手に向かって駆けていった。
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・刀鍛冶の里 入り口付近
里で三勢力による激戦が繰り広げられる中、遅れて付近に配下と共にやって来たのはバルドスタンの腹心であり今回の襲撃作戦の総指揮を任されているゴルドーとゴーガンダンテスだった。中等幻魔であるドルドー数十体を直属部隊として従えながら前線の指揮を取っていたギンガムファッツの隣に歩み寄った。
「どうだ、ギンガムファッツ。首尾は上々か?」
「おお?ゴルドーか!今、人間共に例の鉱石を取りに行かせてるぞぉ!」
「そうか、…分かっているとは思うが迅速に行動するのだぞ、あまり時間を掛けすぎると鬼狩り共の援軍が来るぞ」
「よっしゃあ!任せろぉ!」
「鉱石の場所を見つけたらすぐに報告しろ。オレたちも手を貸す」
「ゴルドー、拙者はどう動こうか?」
「…ダンテス殿は好きに動け。だが、もしオレの指示を素直に聞く気があるのなら鬼狩り共の足止めを頼む。柱の剣士はオレたち高等幻魔にしかできん」
「ハッハッハ!いいでしょう!たまには指示通りに動くのも悪くない」
そういうとダンテスは里の中へと跳躍しながら向かって行った。すると、ゴルドーの側に一体の中等幻魔の闇蜘蛛が空中から姿を現し幻魔語で何かをゴルドーに報告し始めた。
「……!何?大正の鬼の一族も里に襲撃を仕掛けているのか?」
(なるほど、オレたちと襲撃が被ったのか。まさか、バルド様はこの事態を想定して十分な戦力を準備していたのか?その慧眼…感服致しましたぞ!)
すでに幻魔軍と血鬼術で生み出された怪物が戦っており、混戦状態になっている他にバルドスタンの予想通り確認されているだけでも明智左馬介に加えて柱の剣士が三人もこの里にいるという報告も受けたゴルドーは冷静に状況を分析し始める。
(単純な戦力であれば我が軍が有利だが、明智左馬介と柱の剣士が三人か…油断はできんな。だが、我らの目的はあくまでもこの里にある猩々緋鉱石の奪取だ)
「ギンガムファッツ、お前は里の攻撃に加われ。猩々緋鉱石の奪取はオレの部隊でやる、お前なら柱の剣士と渡り合えるだろう。前線の味方を救援しろ」
「おう!!やっぱり俺は前で戦うほうがいいからなあ!よ~し、行くぞぉ!!」
意気揚々と戦斧を抱えながらギンガムファッツは全速力で建物を破壊しながら中へと向かっていた。
「さて…行くぞ。お前たち」
ゴルドーは部隊を引き連れながら同じく里の中へ入っていった。
物語の展開を考えていたら投稿が遅くなってしまいました。今でも読んでくれている読者さん方がいてくれて嬉しいです!
相変わらず不定期更新ですが、頑張って続けていくので今年もよろしくお願いします!