鬼滅の刃 鬼斬り武者   作:戦国のえいりあん

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忘れた頃に戻ってくる…
ということで、鬼滅×鬼武者の続きです!
ここまで書いたのはいいもののその後の展開をどうしようかと考えていたらいつの間にかこんなに時間が経ってました…
未だに読んでくれている方がいてくれて嬉しいです!
今後の展開が固まったので頑張って書いていきます!


第二十六話 鷸蚌の戦い

 

・刀鍛冶の里 倒壊した旅館跡

 

 上弦の肆、半天狗と戦っていた炭治郎兄弟と不死川玄弥は次々に分裂するその特性に苦戦を強いられていた。しかし、そんな彼らの元に強力な援軍が現れたのだ。炭治郎たちの救援に駆けつけたのは炎柱・煉獄杏寿郎と鬼武者・明智左馬介だった。

 

「あたいが本体を見つけるから!」

 

「よし、なら杏寿郎と俺で鬼の分裂体を食い止めよう」

 

「うむ!竈門少年と竈門少女、そして不死川少年は鬼の本体を探してくれ」

 

「分かりました!煉獄さん、左馬介さん。ここはお願いします!」

 

「ムン!」

 

「…待て!俺が上弦を斬るんだ!テメェはすっこんでろ!」

 

 炭治郎兄弟と阿児、玄弥に鬼の本体の討伐を任せて左馬介と杏寿郎は残り三体の分裂体の前に立つ。杏寿郎と左馬介を見た分裂体のリーダー各である錫杖の鬼・積怒は戦況を分析していた。

 

(柱の剣士か…面倒な奴が現れたのう。それに、あの鬼の侍…相当な手練れと見た)

 

「カカッ、柱の剣士か!手応えのありそうなのが出てきたな!」

 

「さっきの餓鬼共よりは楽しめそうだ!」

 

「お前たちの命、すべてこの煉獄の刃が断ち切る」

 

「覚悟しろ、貴様らの首を落とす」

 

 杏寿郎と左馬介は刀を構え戦闘態勢に入る。そんな中でも積怒は冷静に戦況を見ていた。すると杏寿郎に頸を斬られて動きが止まっていた哀絶に指示を出した。

 

「哀絶!お前は小僧共を追え!柱の剣士と鬼の侍は儂らが始末する。本体を襲わせるな!」

 

「…わかっている、そう怒鳴らなくともそうするわい」

 

 そう言うと哀絶は十文字槍を拾い上げ、素早く建物を抜け先にいった炭治郎たちを追っていた。それと同時に積怒が残りの分析体に指示を出す。

 

「可楽!空喜!儂らでこの二人を始末する。さっさと終わらせるぞ」

 

 合図と同時に飛び出したのは可楽だった。狙いは杏寿郎であり羽団扇を手に襲いかかる。その一撃を杏寿郎は難なく受け止めるがそれと同時に凄まじい重圧が加えられ足元に羽団扇の跡が刻まれる。互いに鍔迫り合いに突入し至近距離で向き合った。

 

「カカッ!今のを受け止めるか、さすがは柱だのう!」

 

「……」

 

 同じく空喜もまた左馬介に狙いを定め、高く飛び上がると変則的かつ加速しながら左馬介目掛けて鉤爪を振り下ろす。

 

「俺の爪は一味違うぞ!金剛石を砕く威力とこの速度!貴様などに避けられまい!」

 

「……」

 

 だが、二人は全く動じない。そこからの勝負は一瞬だった。

 

 力は互角に見えたが杏寿郎は力づくで可楽を押し返すと横一文字に切り払い、そのまま流れるような動きで呼吸の構えを取る。

 

「炎の呼吸…弐ノ型 昇り炎天!!」

 

「ガァァァ!!?」

 

 杏寿郎の弐ノ型によって可楽の頸は瞬く間に斬り落とされたのだ。さらに左馬介に襲いかかった空喜もまたその強さに驚きを隠せなかった。

 

(もらった…!)

 

 鉤爪が左馬介に命中したと確信した空喜は笑みを浮かべるが、爪が命中する直前、なんと左馬介の姿が一瞬で目の前から消えたのだ。

 

「何!?消えた…!」

 

 振り向けば左馬介は空喜の後ろに立っており、避けられたと思い追撃を試みるが、動いたと同時に空喜の首はストンと胴から落ちていた。

 

(ば、馬鹿な…!!?いつ斬られたのだ!)

 

「その程度か?強さなら吉原で戦った鬼のほうが上だな」

 

 左馬介の一閃の一撃で空喜の首は攻撃を回避された瞬間に落とされていたのだ。援護する暇も与えずあっという間に分裂体の頸を落とした二人の強さに積怒は驚愕していた。

 

(強い…!空喜と可楽を一瞬で倒すとは!こやつらを行かせては本体が危険じゃ…!)

 

 想像以上の難敵の出現に積怒は本体を守るために踏み止まる。だが、炭治郎の言っていたとおりこの鬼は頸を斬っても倒すことができず、可楽と空喜の頸はすぐに再生し左馬介と杏寿郎を囲むように立つ。

 

「…少し油断した、次は殺す」

 

「カカッ!やるのう!楽しみがいがあるわい!」

 

 左馬介と杏寿郎は互い背を向け合い刀を構える。先行した炭治郎たちが本体の頸を斬るまでこの鬼たちを足止めすることが二人の目的だ。

 

「いくぞ、杏寿郎。さっさとこいつらを片づけて炭治郎たちの援護に向かう」

 

「はい、参りましょう!明智殿!」

 

 杏寿郎は呼吸の構えを取り、左馬介は武器を疾風刀へと切り替えて分裂体に向かって駆けていった。

 

ーーーーーーーー

 

 その頃、違うエリアの旅館街で戦っていた静音とカナエは幻魔と血鬼術の怪物を食い止めていた。だが、戦況は鬼殺隊の二人が有利であり周辺には幻魔と怪物の血によって無数の血溜まりができ静音とカナエも返り血で全身が鮮血で染まっている。

 

「水の呼吸…肆ノ型・打ち潮!」

 

「花の呼吸… 肆ノ型 紅花衣!」

 

「グォォォォ!!?」

 

「くっ…!キリがないよ…!」

 

「頑張って!里の職人さんたちはほとんど逃げられたみたいだから、後は鬼と幻魔を退治するだけよ!」

 

「はい!参りましょうカナエ様!」

 

 二人の時間稼ぎにより里の中でも住んでいた人が多いこの居住区の職人たちの多くは避難に成功していた。周りの幻魔と血鬼術の怪物の数も減ってきたその時、二人の前に建物を破壊しながら異形の怪物が姿を現した。

 

「待て待て待てぇ!そいつらは俺の獲物だぁ!!」

 

「!?」

 

 そこに現れたのは高等幻魔ギンガムファッツだった。ゴルドーの指示により柱の剣士を狙い、戦闘音を聞きつけてこの場にやって来たのだ。

 

「おお?お前らが柱の剣士って奴か?少しは骨がありそうじゃねえか」

 

「化け物め…!よくも里を!」

 

「ギャハハハ!もうこの里は終わりだぜ?アイツも大暴れしてるからなぁ!」

 

 

『グオオオォォォォ!』

 

 それと同時に聞こえてきたのは双頭獣ガートルードの咆哮だった。声が聞こえる方向から樹木を薙ぎ倒す音と凄まじい速さで走行する足音が響き渡る。

 

「…!?大変!あの双頭の怪物が里の中央に…!」

 

「中央には鉄珍様の御屋敷が…!このままじゃ!」

 

「静音、あなたはあの双頭の怪物をなんとか食い止めて!この化け物は私が倒すわ!」

 

「で、でも…」

 

「大丈夫よ。さあ、早く行って!」

 

「は、はい!カナエ様、どうかご無事で!」

 

 静音はギンガムファッツの相手をカナエに任せ自身はガートルードの足音を追って里の中央へと走っていった。その場に残ったカナエはギンガムファッツを向き合い互いに睨み合う。

 

「ほお〜?なかなか強そうじゃねぇか、女だからって手加減はしねぇぞ?」

 

「…どうしてこんなことをするの?何の罪もない里の人たちに手をかけるなんて」

 

「人間みてぇな下等生物どうなったって構わねぇからさ!お前ら人間共はおとなしく我ら幻魔一族の奴隷として死ぬまで生きればいいんだよ!」

 

「……残念だわ、あなたとは分かり合えない。覚悟して」

 

「ギャハハハ!面白えことを言いやがる。いいだろう、望み通り斬り刻んでやるぜぇ!」

 

 その一言を聞いたカナエの表情が無表情になり日輪刀を構え戦闘態勢に入る。対するギンガムファッツも戦斧を構えるとカナエに向かって豪快に斧を振り下ろす。

 

「おりやァァ!!」

 

「……」

 

 鍛え抜かれたその豪腕から繰り出される一撃は一人振りで人間を容易く真っ二つにする威力かつ波の剣士にはかわせない速さだがカナエはギリギリまで引きつけ紙一重でその一撃を回避する。

 

「花の呼吸…」

 

 回避しつつ流れるような動きでギンガムファッツの懐に入り込み花の呼吸の構えを取りつつ胴体目掛けて技を放つ。

 

「伍ノ型・ 徒の芍薬!」

 

「ぐおぉぉぉぉ!!?」

 

 伍ノ型によってギンガムファッツの胴体に無数の斬撃の跡が刻まれる。その威力に少しひるむが決定打になっていないのかギンガムファッツはまったく動じていない。

 

「痛ぇじゃねえかこの野郎…!!ぶっ殺してやる!」

 

(…!技は当たったのに効果がない?いや、あの筋肉のせいで威力が半減されているの?)

 

 ゴルドーほどではないがギンガムファッツもまた鍛え抜かれたその肉体は並の攻撃なら効果がないほどの防御力を持つのだ。攻撃を受けてもひるむどころか戦斧を豪快に横にぶん回す。

 

「えりやァァァ!」

 

「…くっ!」

 

 その一撃もなんとか回避するが息をつかせる間を与えないと言わんばかりにギンガムファッツは斧による激しい連撃をカナエに浴びせる。

 

「おりゃァァ!!オラァァァ!!」

 

(見かけによらず素早い…!あの斧、一撃でも食らったら致命傷ね…!)

 

 その図体とは裏腹に素早い動きに加え底なしのタフネスによる激しい近接戦こそギンガムファッツがもっとも得意とする戦闘スタイルだ。だがその激しい連撃をカナエはいなしまたは回避してまったく命中していない。

 

「この野郎ぉ!!ちょこまかと逃げやがって!!」

 

(…でも、私には当たらないわ!)

 

 カナエはギンガムファッツの攻撃の一つ一つを正確に見切っており当たる寸前に最低限の動きで回避しているのだ。その動きは滑らかで美しさすらも感じさせるものであり、彼女の身体能力と洗練さを物語っている。

 

「花の呼吸…弐ノ型・御影梅」

 

 大きく振りかぶった一撃を見切ったカナエは花の呼吸の弐ノ型を放つ。相手の攻撃を捌き受け流しつつ攻撃する技であり、斧の一撃を捌くと同時に自身を中心に無数の連撃を繰り出すのだ。

 

「痛てて!!へへっ!全然効いてねぇなぁ!」

 

(やはり効果は薄い…なら、何度も攻撃するだけ!)

 

 捌きながら迎撃する戦法では自身が不利と悟ったカナエは今度は攻勢へと転じ、ギンガムファッツに向かって日輪刀を構えながら疾走していった。

 

ーーーーーーーー

 

 場所は移り、里の外れにある一軒の鍛冶場付近でも戦闘が起こっていた。戦っていたのは半天狗によって里の中心部から大きく吹き飛ばされた霞柱・時透無一郎と上弦の伍の鬼である"玉壺"が激戦を繰り広げていた。

 

 あれから無一郎は里の人々を救いつつ中心部へ戻っていたのだが、その途中で同じく里を襲撃してきた玉壺と鉢合わせ戦闘になったのだ。一度は玉壺の血鬼術による罠に陥り窮地に追い込まれるも里の少年である小鉄の助けにより再起したのだ。

 

 そして、無一郎は真の姿となった玉壺といま正に雌雄を決するべく戦っており鱗に覆われた半魚人のような上半身にヘビような下半身という奇妙な外見をしていた。

 

「どうだね私のこの"神の手"の威力…拳で触れたものは全て愛くるしい鮮魚となる。そして、この速さ!!」

 

「…どんな凄い攻撃も当たらなかったら意味ないでしょ?」

 

 しかし、無一郎もまた先ほどとは様子が変わっており頬には炭治郎と同じような痣が発現していた。これまでも上弦の伍を相手にまったく苦戦しておらずむしろ余裕すら感じさせている。

 

「私の華麗なる本気を見るが良い!いく…」

 

 玉壺が無一郎に襲いかかろうとした瞬間、両者の間に密林から樹木を薙ぎ倒しながら謎の巨影が姿を現した。

 

「ヒョ!?何だ何だ?」

 

「…そうか、あのうるさい鳴き声の正体はお前か」

 

「グオオオォォォォ!!」

 

 玉壺と無一郎の前に現れたのは幻魔軍の刺客である双頭獣ガートルードだった。同じく里の中央部に向かって前方の障害物を破壊しながら疾走していたのだが、その走行ルート上の先で無一郎と玉壺の戦闘が行われていたことで両者は鉢合わせになってしまったのだ。

 

 ガートルードは二人を敵と判断したのか排除しようと玉壺に攻撃をしかけた。右手の爪で飛びかかりながら玉壺に襲いかかる。突如、戦闘に乱入してきたガートルードに無一郎は距離を取り両者の戦いを観察する。

 

(鬼と獣の化け物が戦い始めた…どうしようかなぁ)

 

「ヒョヒョ!何だか知らんが、獣ふぜいが私の邪魔をするつもりか?そんな攻撃が当たるものか!」

 

 飛びかかってきたガートルードの攻撃を流れるような動きで回避すると同時に神の手による反撃の一撃を返す。その危険を本能で察知したのかガートルードは素早いバックステップで回避するが僅かに手に触れた右手の巨大な手甲が玉壺の神の手の攻撃によって無数の鮮魚へと変化していた。

 

「グルルル…」

 

「ほう?ただの獣ではないようだな。私の神の手の恐ろしさを本能で察知したか。ふふ、これで分かっただろう、お前ごときでは私の相手は務まらん!さっさと消え失せろ!」

 

「グオオオォォォォ!!」

 

(む?何だ?全身が輝きはじめたぞ?)

 

 すると咆哮と同時にガートルードの全身が虹色の光に包まれる。前脚で数回地面を蹴る動作の後、先ほどとは比べのものならない速さで玉壺に再び襲いかかる。

 

「おっと!先ほどよりも速くなった!だが、残念…それでも私には当たらない」

 

 玉壺は神の手によって再度、反撃の一撃を繰り出すが先ほどとは異なりその攻撃は全身を覆う虹色の光によって弾かれてしまったのだ。

 

「ヒョ!?私の神の手の攻撃が通らないだと!?」

 

 ガートルードの放つ虹色の光はいわゆる障壁でありダンテスの使う防御術によく似ているのだ。その防御力は玉壺の神の手の攻撃をも防いでしまうほどに強力だった。

 

「グォォォォン!」

 

 するとガートルードの左の頭が大きく息を吸い込み玉壺に向かって広範囲の氷のブレスを吐きかける。玉壺は難なく回避するがその周辺は瞬く間に氷漬けになり巨大な氷柱が発生していた。近くにいた無一郎も巻き込まれそうになるが木の上に移動し難を逃れていた。

 

(凄まじい冷気だ…もし食らったら一瞬で氷漬けだな)

 

「ヒョヒョ!何とも品のない攻撃だ」

 

「グオォォォォ!!」

 

 ガートルードは玉壺に向かって何度も氷のブレスを吐きかけるがまったく当たらない。その隙をついて玉壺が神の手で攻撃を仕掛けるがその度にガートルードは身体にオーラをまといそれを防ぐ…そんな攻撃の応酬が続く中、無一郎は戦場の変化にいち早く気づいていた。

 

(…ん?氷の柱が鬼を囲むように配置されてる?)

 

 ガートルードが吐いたブレスによって戦場のあちこちに巨大な氷柱が発生していたのだが、無一郎にはその氷柱の置き方に何かの意図があるように見えたのだ。

 

「むうう!鬱陶しい獣ふぜいめ!私の邪魔をするなァァ!!」

 

(…あの獣の化け物、何か企んでいるのか?)

 

 今度はガートルードの右の頭が咆哮を上げると身体全体に金色稲妻が走り、頭部の先端から激しい電撃が放たれた。

 

「ヒョヒョ!今度は電撃か!だが、どんな攻撃も私には無力なの…」

 

 しかし、ガートルードは電撃を高速移動する玉壺にではなく空中のあらぬ方向に向かって放ったのだ。その時、玉壺も無一郎も驚く出来事が起こった。

 

 なんと電撃はあちこちに配置されている氷柱に誘電され、それによりさらに強化された激しい電撃が恐ろしいほどの速さで周辺をほとばしる。

 

「ぐ、ぐああァァァ!!?」

 

「…くっ!?」

 

(あの氷の柱、電撃を誘電するのか!)

 

 警戒していた無一郎なんとか回避していたが玉壺はその凄まじい速さの電撃をまとも食らってしまいその場に倒れる。それを見たガートルードは氷柱を破壊しながら痺れて動きが鈍っている玉壺に向かって突進攻撃を仕掛ける。

 

(ただの獣じゃないな、知能をもってる…!)

 

「お、おのれェェ!薄汚い獣ふぜいがこの私に攻撃ォォ!!」

 

「グオォォォォ!!」

 

 玉壺は突進を迎え撃とう痺れながらも神の手を構えるが、ガートルードの突進攻撃はフェイントであり直前でブレーキをかけながら左の頭で玉壺に向かって氷のブレスを吐きかける。

 

「う、動けん…!!おのれ…おのれェェ!!」

 

 首から上は無事だったが玉壺の身体はブレスによって完全に氷漬けになり身動きが取れない状態になっていた。そんな玉壺にとどめを刺そうとガートルードが全身に電撃とオーラを同時にまとい攻撃態勢に入る。

 

(だが…無駄だ!鬼狩りの刀でもない獣の攻撃では私は死なん!再生したら今度こそこの下等生物を地獄に送ってやろう!)

 

「グォォォォン!!」

 

 前脚で蹴る動作と同時にガートルードは玉壺の頸を狙って右爪による強力な一撃を叩き込む。日輪刀でもない獣の攻撃などでは鬼である自身を滅するなど不可能だと思っていた玉壺だったが思いも寄らないことが起こった。

 

ザシュ!!

 

「……ヒョ?」

 

 なんと玉壺の頸はガートルードの爪によって落とされてしまったのだ。頸の離れた胴体はひび割れて崩れ始めており玉壺の頸は間違いなくガートルードの手によって断たれていた。その一部始終を見ていた無一郎は驚愕していた。

 

(…!?どういうことだ?日輪刀でもないのに何で鬼の頸を斬れるんだ…?)

 

「ば、馬鹿なァァァァァァ!!?この玉壺様の頸が!何故、鬼狩りの刀ではないこんな下等生物如きに斬られるのだァァァ!!」

 

 実はバルドスタンによって吉原遊郭で戦ったヘキュバと同様にガートルードの爪にも猩々緋鉱石が融合されており鬼と戦闘になっても決定打を与えらるように対策されていたのだ。ゆっくりと近づいて来るガートルードに対し頸を落とされ最早なんの抵抗もできない玉壺は大声で罵詈雑言を吐き続ける。

 

「グルルル…」

 

「クソォォォ!!この蛆虫め!!私は選ばれし生物だ!!こんな醜い獣ふぜいがこの玉壺様を倒すなどあってはなら…」

 

「ガゥ!」

 

 頸のまま叫び続ける玉壺を右脚で勢いよく叩きつけると、そのまま何度もすり潰す動作を繰り返す。脚を離すとあとには塵一つ残っておらず上弦の伍である玉壺は突如現れたガートルードによってその命脈を絶たれたのであった。

 

「グオオオォォォォ!!」

 

(鬼が倒された…!この獣さっきの鬼より手強い…!)

 

 するとガートルードは木の上に逃れていた無一郎のほうに視線を向ける。今度は標的を無一郎に変更すると再び身体に金色の稲妻をまとい猛スピードで突進する。

 

「おっと!」

 

 素早く別の木に飛び移り突進を回避するが、ガートルードは無一郎から視線を離さず素早く方向転換すると再び周りの樹木を薙ぎ倒しながら突進する。何度か突進を回避していると無一郎の目にあるのものが映った。

 

「ギャァァァ!!?ちょっ…誰か!!誰か助けてー!!」

 

「…!!鉄穴森さん!」

 

 そこには鬼の襲撃から身を隠していた鍛冶師の鉄穴森鋼蔵の姿があったのだ。目の前には突進してくるガートルードが迫っており絶体絶命の危機に陥っていた。だが、間一髪で無一郎が鉄穴森を抱え上げ何とか攻撃を回避するが着地に失敗したのか二人とも体勢を崩し倒れ込んでしまう。

 

「痛っ!時透殿!ありがとうごさいますっ!」

 

「……早く逃げて、もっと遠くに…!ここは危険…だ…!」

 

「と、時透殿!?大丈夫ですかっ!?顔色が…」

 

(まずいな…さっきの鬼から受けた毒がまわってきた…!)

 

 実は無一郎は玉壺と戦う前に血鬼術によって身体に毒を浴びており、その毒は確実に無一郎を蝕んでいた。鉄穴森が見ても明らかに顔色が悪そうだったのだ。

 

「グオオオォォォォン!!」

 

(思ったより毒が強い…もう動けない…か)

 

「ゴホッ!ゴホッ!」

 

「ち、ちょっと!?あの化け物が突っ込んで来ますよ!は、早く逃げないと!!」

 

「…鉄穴森さんだけでも逃げて。僕は…ここまでみたいだ」

 

「そ、そんな!!時透殿!!」

 

 毒の影響で口から泡を吹き出し、もはや立っているのもやっとの状態の無一郎は鉄穴森だけでも助けようと彼に逃げるよう指示するがガートルードはもう眼前に迫っていた。

 

(兄さん…ごめん…せっかく思い出せたのに)

 

 最期を悟った無一郎は目を閉じるがその時、頭上からガートルードに向かって何者かが勢いよく落下して来たのだ。

 

「水の呼吸…捌ノ型・滝壷!」

 

「ギャウ!!?」

 

「…!?」

 

 なんと無一郎の目の前に現れたのは、ガートルードを追跡していた伊角静音だった。捌ノ型の強力な一撃を頭部に受けたガートルードは思わずひるみ、突進を中断してしまったのだ。その隙をつき静音は無一郎と鉄穴森の側に駆けよった。

 

「時透様!ご無事ですか!」

 

「…君は、少し前に見かけた」

 

「遅くなりました!これより助太刀致します!」

 

 無一郎は静音の技を見ていたが、その威力と動きは柱にも匹敵するものであることに驚いていた。すると無一郎の顔色が悪いことに気づいた静音は懐からあるものを取り出した。

 

「…!時透様、まさか毒ですか!?でしたらこれを使ってください」

 

「…何なのこれ?」

 

「丸薬です。すごく苦いですけど、とても効きます!」

 

 効力があるか疑問に思ったが非常事態であるため言われたとおりに無一郎は丸薬を口に放りこむが、静音の言葉どおりあまりの苦さに顔を激しく歪ませていた。

 

「…うぇ、なにコレ…まずい」

 

「あはは…私も初めて食べた時は吐きそうでした」

 

「…!!毒が引いた…体力も戻ってる」

 

 丸薬には解毒効果もあり、吉原遊郭で口にした天元もその効果に救われたのだ。解毒し体力も回復した無一郎は再び日輪刀を構え静音の隣に立つ。

 

「ありがとう、助かったよ静音」

 

「はい、ご無事でなによりです」

 

「鉄穴森さん、早く逃げて。この化け物は僕たちが止める」

 

「は、はい!どうか気をつけて!」

 

「…あの獣の化け物は強敵だよ。上弦の伍はあいつが倒したんだ」

 

「えっ!あの化け物が!?」

 

 鉄穴森を逃がすと無一郎と静音はガートルードの前に立つ。一人では不利だったが静音が援軍に駆けつけたことによって戦況が僅かながら好転したのだ。

 

「援護は任せたよ、僕の足を引っ張らないでね」

 

「承知しました!」

 

 こうして双頭獣ガートルードと時透無一郎、伊角静音の二人が戦うことになり新たな戦いの火蓋が切って落とされたのだった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 場所は移り、半天狗の分裂体の分裂体と戦闘していた杏寿郎と左馬介だったが戦いの流れは完全に二人に傾いていた。最初の余裕は完全に動揺と焦りに変わり、目の前二人の圧倒的な強さに積怒たちは戦慄していた。

 

「お、おのれぇ…!」

 

「貴様ァ!許さん…許さんぞぉ!」

 

「お前らの力はその程度か?上弦の鬼にしては弱い」

 

(強い…!まさかこれほどまでとは…!我らの技が効かぬ!)

 

 可楽、空喜、積怒は連携して左馬介と杏寿郎の二人と戦っていたがまったく歯が立たず、数え切れないほど頸を斬られ続けていたのだ。半天狗の特性は斬られれば斬られるほど分裂するのだがその代償として分裂体の強さは弱体化していくのだが、この二人が相手ではいくら分裂体が増えても相手にならないため最も強い四体の分裂体を維持して戦っているがそれでも敵わないのだ。

 

(どれだけ頸を斬っても消滅しない…竈門少年の言うとおり本体の頸を斬るしか手段はないか。このまま分裂体をここに足止めできれば彼らが本体の頸を…)

 

「ハッハッハ!楽しそうですね、拙者も混ぜて頂けますか?」

 

「…!?」

 

「貴様は…!」

 

 なんと一同の前に高笑いと共に現れたのはゴーガンダンテスだった。基本的に命令に従って行動することを嫌うダンテスなのだが今回は気まぐれなのか指示通り柱の剣士や左馬介を足止めするために両者の戦場にやって来たのだ。

 

「左馬介!お前と決着を着けるために参上しましたよ、好敵手との再会に我が剣も滾っています!」

 

「くっ…!厄介な奴が現れたか」

 

「カカッ!何だ?あの妙な化け物は?」

 

「次から次へと面倒よのぅ…まとめて殺してやるか」

 

「貴様らあの剣士を侮るな!」

 

(ふざけた奴だが、この剣士も凄まじい使い手だ…!)

 

 だが積怒だけはゴーガンダンテスの実力を一目で見抜いておりこの敵も自分たちでは手に負えないこと瞬時に悟ったのだ。しかし、積怒は冷静に戦況を分析し今できる最善の一手を選択していた。

 

「可楽!空喜!こやつらの相手はこの剣士にさせておけ!我らはあの小僧どもを殺るぞ!このままでは本体が危険じゃ!」

 

 このままこの強敵二人と戦っても敵わない上に本体の頸が斬られては敗北すると判断した積怒は二人の相手を幻魔の剣士にさせて自分たちは本体を狙う炭治郎たちの排除に向かったのだ。その場に残されたのはゴーガンダンテスと左馬介と杏寿郎の両者が向かい合う。

 

「む!このままでは竈門少年たちが危ない!明智殿、ゴーガンダンテスの相手は俺が引き受けます!」

 

「…大丈夫か?奴は強敵だぞ」

 

「任せてください、今度は必ず俺が勝つ!あなたは竈門少年を!」

 

「分かった、死ぬなよ杏寿郎」

 

 左馬介はダンテスの相手を杏寿郎に任せ、積怒たちを追跡していった。こうして再び杏寿郎と相見えたダンテスはその眼をじっと見つめながら話し始めた。

 

「拙者と再び出会えて嬉しいのか?杏寿郎」 

 

「…何?」

 

「その眼が言っている、自分より遥かに強い強者と出会えて嬉しくて仕方ないとな!その炎のような闘気…いいぞ杏寿郎!」

 

「那田蜘蛛山では不覚を取ったが、今度は負けん!」

 

「ほう?では今度は本気を見せてくれるのか?いいでしょう!その実力、拙者に見せてみろ!」

 

 両雄は互いに剣を構える。以前に那田蜘蛛山で戦った時は炭治郎との死闘で負傷していたほかに慣れない幻魔刀を使っていたこともあって本調子ではなかったが、今回は万全の状態での戦闘であり戦いの行方は分からなかった。

 

(これほど早く相見えることになるとは…ゴーガンダンテス…勝負だ!)

 

「行きますよ!拙者の名前はゴーガンダンテス…幻魔界最高の剣士ッ!!」

 

 いつもの名乗りと共にダンテスは愛刀を片手に凄まじい勢いで杏寿郎に斬りかかり、それと同時に杏寿郎も日輪刀を両腕で振りかぶり渾身の一撃を繰り出す。互いの刃がぶつかり合うと同時に足元に地面に大きな円状のクレータが刻まれる。

 

「うおおおおお!!」

 

「ハァァァァァァ!!」

 

 両者共に一歩も譲らず、激しい鍔迫り合いが繰り広げられる。

こうして煉獄杏寿郎とゴーガンダンテスによる二度目の一騎打ちの火蓋が切って落とされたのだった。

 




鬼武者の新作めっちゃ楽しみです!
無頼伝でも登場した宮本武蔵が主人公なんて楽しみですね!
オズリックが出てましたけど話は戦国後期の時代でしょうか?早くやってみたいです!
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