今回はおまけが入ってます!
鬼武者を知ってる人ならより楽しめると思うので、よかったら見てみてください!
静音が蝶屋敷で休息を取り始めて一ヶ月。骨折と傷はほとんど治り疲労も回復した静音は機能回復訓練に明け暮れる毎日を送っている。毎朝、早く起きてカナヲたちとの訓練と自己鍛練の繰り返しで汗だくになりながら体をひたすら鍛え上げていた。
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・蝶屋敷 中庭
「んぎぎぎ…!!…九十九…!…百…!!」
屋敷の中庭にある木を使い巨大な岩を縛った縄を肩と腕力で持ち上げて体力と筋力を向上させる訓練を行っていたのは静音だっだ。本日の目標数をこなした静音はゆっくりと縄から手を離すとその場にへたり込む。
「はぁ…はぁ…」
「静音さん、お疲れさまです」
「あの、お水持ってきました」
「わあ、ありがとう」
蝶屋敷の女の子が静音に水が入った瓢箪と手拭いを渡す。静音が機能回復訓練を始めてから一週間ほど経ち、今ではアオイや他の女の子たちとも訓練を通じて親しい関係になっていた。静音は汗を拭い瓢箪の水を豪快に一気飲みする。
「はあ~…おいしい」
「毎日、訓練頑張ってますね」
「うん、私もっと強くなりたいの。だから死ぬほど鍛えなきゃ!」
「熱心なのはいいことですけど無茶はしないでくださいね?」
「あはは、心配してくれてありがとう」
午前中の自己鍛練を終えた後はアオイとカナヲを相手に反射訓練と全身訓練だ。その後少し休息を取って呼吸を整えた後、静音は午後からの訓練を開始する。今日こそはカナヲに勝とうと気合い十分で開始したのだが…
「始め!!」
「ぐぼっ!!?」
「……」
「…まだまだ!!もう一回!」
しかし何度挑んでもカナヲには勝てなかった。これまで幾度となくカナヲを相手に反射訓練を行ってきたが、まったく歯が立たないのだ。全身訓練も同様でカナヲに追い付くどころか体にも触れることすらできなかった。常人であればすでに心が打ち砕かれているのだが、不屈の精神力と根性を持つ静音はめげることなく挑戦し続けていたのだ。
「では、もう一回。…始め!」
(少しずつだけど…カナヲさんの動きが見えるようになってきた!)
最初は手を動かしている瞬間も見えなかったのだが何度も繰り返しているうちにカナヲの動作に目が付いていけるようになっていた。
(…そこだ!)
「……」
「ぶはっ!!?」
しかし目は追い付いていても体が追い付いておらず、湯飲みを掴んだと思えばいつの間にか押さえられ薬湯をかけられる。何度も挑戦したが今日も全身訓練と反射訓練は静音の惨敗で終わってしまった。
「お疲れ様でした。今日はここまでです」
「はい!ありがとうございました!」
「静音さん、ちゃんと睡眠は取ってますか?目の下に少しクマができてますよ」
実は静音は自分の寝る時間も削って自己鍛練を行っていたのだ。本音を言うとかなり眠いのだがカナヲに勝ちたいその一心でひたすら己を鍛え続けていたのだ。
「いえ、お気になさらず!私には寝ている余裕なんてありませんから」
「いいえっ!ちゃんと睡眠は取ってください!熱心に訓練するあなたの姿勢はご立派ですけど、それで体調を崩してしまっては元も子もありません」
「で、でも…」
「いいですか?今日はきちんと睡眠を取ること。休むことも大切な訓練の一つです」
「うう、分かりました…アオイさんがそう言うなら」
「ならいいです。さあ、今日はもう休んでください」
今ではアオイとも訓練以外で簡単な談笑をするほどの関係になっている。鬼殺隊で数少ない女性隊員同士でありお互いに気が合ったこともあって二人はすぐに仲良くなったのだ。
「はい!今日はちゃんと寝ます!それとアオイさん、明日の朝ごはんは玉子焼きをお願いします!」
「はいはい、分かりました。そのかわりしっかり休んでくださいね」
ちゃっかり明日の朝食に自分の好物をリクエストした後、静音は嬉しそうに自分の病室へと戻って行った。
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・翌朝 蝶屋敷 訓練場
次の日、訓練場にぐっすり寝て元気になった静音の姿があった。ちなみに静音の左右には今日から機能回復訓練に初参加する伊之助と炭治郎の姿もあった。善逸はまだ完全に回復していないので訓練にはまだ参加していない。
「おい!静子!キノーカイフク訓練って何すんだ?」
「ちょっと!私は静子じゃない!静音よ!」
「どっちでもいいだろ!で?何すんだよ」
「俺も気になってたんだ。静音、教えてくれないか?」
どんな訓練内容なのかわくわくしながら聞く二人に静音はアオイから聞いた訓練内容をそのまま説明する。
「なんだ、それだけかよ!余裕だぜ!」
「以外と普通だな、もっと変わったことをするのかと思ったけど」
(最初は私もそう思ったんだけどなあ…)
「まあ、炭治郎君と伊之助君もやってみなよ。この訓練がどれだけ大変か分かるから」
その後、炭治朗と伊之助も加えて機能回復訓練が始まった。まずは最初の洗礼として二人は三人娘から体をほぐすマッサージを受ける。
「それー!」
「ガアァァァァ……!!」
「痛い!痛い!痛いっ!!」
(やっぱり男の子でも泣くほど痛いよね…あれ)
静音と同じく二人も涙目で苦しそうな叫び声を上げていた。伊之助でも涙を流すほど彼女たちのマッサージは痛いようだ。その後、体がほぐれた二人は続けて反射訓練を行うことになった。二人ともアオイには難なく勝利したのだがその次の相手であるカナヲとの勝負になると…
「…始め!」
「ぶっ!?」
「…始め!」
「ぐおっ!?」
(あの二人でも駄目なんだ…何が足りないんだろ?)
身体能力の高い炭治郎と伊之助でもカナヲの速さには敵わないようだ。その後、三人で何度もカナヲに挑んだが誰一人彼女に勝利することができなかった。続けての反射訓練もまったく歯が立たずあっという間に訓練終了の時刻になり本日の訓練は終わりを迎えていた。
「では、本日の訓練はここまでです」
「ありがとうございました!」
「……ありがとうございました」
「………」
その後、疲れ果てた三人は病室に戻るためにびしょびしょに濡れた姿で廊下を歩いていた。ちなみに初参加した炭治郎と伊之助は最初の威勢はどこにいってしまったのか訓練が終わってからまるで死んだ魚のような表情をして落ち込み廊下をとぼとぼと歩いている。
「はぁ…今日も勝てなかったか、よーし明日は絶対に勝つぞー!」
「……」
「……」
「二人とも元気出しなよ、また明日頑張ろ!」
「…まったく歯が立たなかった」
「…ゴメンネ弱クッテ」
特に女の子であるカナヲに完膚なきまでに負けたことが二人にとって精神的にダメージが大きいようだ。そんな二人を必死に励ます静音だが女の子に励まされても複雑な気持ちだったのかあまり効果はなかったようだ。それから数日、三人は同じように機能回復訓練を続けていたが未だに誰もカナヲに勝てていない。
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・数日後 蝶屋敷 中庭
蝶屋敷の縁側に座って瓢箪の水飲みながら首にかけてある手拭いで汗を拭く静音の姿があった。午前中の自己鍛練が終わって少し休憩している最中だった。
(…足りない。カナヲさんに勝つためには何かが足りないよ!)
もちろん静音もただ負け続けているわけではない。何度もカナヲの相手をしていて彼女の癖や動きは見えるようになったのだが、体が静音の思考に追い付いていないのだ。どうすれば思い通りに体が反応するようになるのか静音は静かに目を瞑って考えを巡らせる。そんな時、ある人物との会話が脳裏をよぎった。
『おい静音!全集中の呼吸が止まってるぞ!』
『ぜぇ…ぜぇ…で、でも…先生、こんな状態で戦うなんて無理ですよ…』
『おいおい…それが出来なきゃ鬼と戦うなんて一生無理だぜ?ほら、やり直しだ』
『ぜぇ…ぜぇ…は、はい…』
『いいか?コイツは"全集中常中の呼吸"って言ってな、一度に大量の空気を肺に取り込んで身体能力を上げる呼吸法だ。習得するにゃまず肺を大きくしなきゃいけねぇんだ。肺に貯めれるだけの空気を貯めて呼吸する…それを繰り返しながら動くんだ。そうすりゃ少しずつ肺がでかくなってくんだよ』
『肺が大きくなったらどうなるんですか?』
『一度に吸える空気が増える以外に基礎体力の向上と身体中の筋肉の活性化に瞬発力の増加…いいことずくめだぜ?…まあ、習得できるかどうかは個人の才能と努力しだいだな』
『…無理ですよ…そんな難しいこと私にはできませんよ…』
『何、情けねぇこと言ってんだよ。お袋と親父の仇を取るんだろ?お前さんの覚悟はその程度なのか?』
『……』
『オラオラ!気合い入れろ!みっともねぇお前の根性をオレが叩き直してやる』
そう今は亡き師匠との会話だった。あれから修行を始めて一年後、静音の努力の甲斐もあって全集中の呼吸を習得し水の呼吸を使用することができるようになったのだ。その時、師匠と共に大喜びしてはしゃいだのは今でも忘れられない大切な思い出だ。思えばそれからは激しく疲れるという理由でいつの間にか全集中常中の呼吸の修行をやめてしまっていたのを思い出したのだ。
(…これだ!!全集中の呼吸の常中…!これを鍛えれば今より強くなれるかも!)
師匠との会話からヒントを得た静音は早速、肺に空気を吸い込めるだけ吸い込む。しかしこれがかなりつらいのだ。最初の内は問題ないのだが何度もこの動作を続けていると肺と心臓が悲鳴を上げるほど痛くなってくる。
(…やっぱりこの呼吸法、キツすぎるよっ!)
しかもこの呼吸をしたまま動き回らなければならないのだ。呼吸を意識して動くだけでも難しいのにその中で体の動きも考えなければならない。昔の自分なら諦めていたが今の自分は違う…静音は深呼吸して気合いを入れ直す。
(でも…私はもう諦めたりしない…!絶対に習得するんだから!私は強くなるっ!!)
「やってやる!!根性っーー!!」
それから静音は全集中の呼吸を意識しながら訓練と鍛練を行うようになった。コイツを四六時中やるんだ、サボるなよ?という師匠のアドバイスも思い出し普段の生活でも常に行うように心掛けた。ちなみにずっとやっていると体力が持たないので寝るときはしっかりと寝て体を休める、アオイから教えてもらったアドバイスを元に静音が決めた修行スタイルだ。
そして一週間後、負傷していた善逸の体が回復し彼もまた炭治郎たちと訓練に参加するようになった。
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・一週間後 蝶屋敷 訓練場
「善逸さんは今日から訓練参加ですので、改めてご説明させていただきますね」
「……」
今日も訓練場に来た四人は機能回復訓練を始めようとしていた。本日から初参加になる善逸はアオイから訓練内容を説明されるが両隣に同じく座っている炭治郎と伊之助は相変わらず訓練で負け続けて落ち込んでいる。すると突然、善逸が立ち上がるとアオイに待ったと声をかける。
「…すいません。ちょっといいですか?」
「…?何か分からないことでも?」
「ちょっと来い、二人とも」
「…善逸?」
「…行かねーヨ」
「いいから来いって言ってんだろうがァァァ!!」
何故か急に怒った善逸は炭治郎と伊之助を無理矢理引きずって訓練場の外に連れていく。
「来いコラ!クソ共が!ゴミ共がァァ!!」
「ああぁー!!」
「テメェ、なにしやがる…!」
「ち、ちょっと!どこに行くの善逸君!」
その後、善逸に訓練場の裏に連れていかれた二人は何故か怒られていた。どうやら善逸から見れば二人が女の子と訓練していたことがかなり羨ましかったようだ。
「天国にいたのに地獄にいたような顔してんじゃねぇぇぇぇ!!」
「わけ分かんねぇこと言ってんじゃネーヨ!!」
それから善逸の口から聞くに耐えない己の欲望丸出しの内容が大声で聞こえてくる。これを聞いていた静音を始めとする女性陣の表情はかなり不快なものになっていた。
(…やっぱり善逸君って、ああいう人なんだなあ)
静音もジト目でしばらくその罵声を聞いていた。その後、やっと満足したのか三人が裏から戻って来た。理由は分からないが伊之助がやる気になっており善逸も女の子と訓練できるのが嬉しいのかテンションが高い。
「よろしくお願いしまーす♪」
早速、機能回復訓練が始まり少女たちによる恒例のマッサージが始まったのだが、男でも泣くほど痛いあのマッサージを受けても善逸は幸せそうに笑っていたのだ。
「でへへ、大丈夫、大丈夫ー!」
(アイツ…やる奴だぜ。俺でも涙が出るぐらい痛いってのに笑ってやがる)
(嘘っ…!?あんな痛い間接技をされてるのに何で笑っていられるの!?)
反射訓練、全集訓練でも善逸は驚きの反応速度と速さをアオイに見せつけたがあの時の会話が筒抜けで彼女に嫌われたのか体に触れた瞬間にボコボコにされていた。しかしそんな善逸でもやはりカナヲには勝てなかった。
「……」
「善逸でも駄目なのか…」
「紋逸が来ても結局変わらねぇな…」
善逸もまた女の子に惨敗したことが精神的に痛かったのか他の二人と同じように落ち込んでしまった。しかし三人の後に挑戦した静音は違った。
「お願いします!カナヲさん、今日は私が勝つんだから!」
「……」
いつものようにカナヲの前に座るとお互いに睨み合う。しかし今日の静音はいつもと違っていた。この間まで険しい表情をして身体もガチガチだったのだが今の静音の表情にはどこか落ち着きがあった。身体の力も抜け呼吸も深く、いつでも動けるよう準備万端だ。
(いつでも来い…!)
「…始め!」
(…!!そこだ!)
カナヲが湯飲みを掴んだ瞬間を見切った静音はカナヲの手を押さえるともう一方の片腕で湯飲みを持ち上げる。ちなみに炭治郎たちからは二人の動作は速すぎて目が追い付いていない。
そしてついに…
「とりゃああ!!」
「……!」
先に湯飲みを取った静音がカナヲの顔に薬湯をかけたのだ。これまで負け続けていた静音が初めてカナヲに勝った瞬間だった。それと同時にアオイや少女たちが歓声を上げる。
「わっーー!!すごいです!静音さん!」
「勝った!勝ちましたよー!」
「すごいです、カナヲに勝つなんて…!」
「や、やった…!やっと一本取れたよ!!」
ようやく勝利した静音も嬉しそうにガッツポーズする。負けるとは思わなかったのかカナヲは少し驚いた表情をしており、そんな静音を見ていた炭治郎たち三人も唖然としていた。続けて行われた全身訓練でも驚きの成果を見せた。
「……!」
「はぁ…!はぁ…!」
(ここを右に攻めて…次は左!)
最初の頃はまったく追い付けず体に触れることもできなかった全身訓練だが今はカナヲの速度に追い付いている。何度も繰り返している内にカナヲの行動パターンや癖に気づいた静音はその隙を突くようにカナヲを追いかける。そして訓練場の端まで追い詰めた時ようやくカナヲの腕を掴んだのだ。
「……!」
「カナヲさん、捕まえた!」
「勝ったー!!」
「お見事です!」
この一週間、死に物狂いで行った全集中常中の呼吸の訓練が功を奏したのか静音の基礎体力と瞬発力、そして全身の筋力が大幅に向上していたのだ。もちろんここまでの道のりは決して簡単なものではなかった。つぶれるほど痛む肺と心臓の激痛に加えその状態のままで行う鍛練や素振り…途中で本当に断念してしまいそうになったことが数回あったが師匠の言葉と強くなりたいという己の信念が静音を最後まで支えたのだ。
「おっしゃー!!私、強くなってる!!」
アオイたちと喜ぶ静音の姿を見て、炭治郎たちは言葉を失っていた。訓練を開始した時間は彼女のほうが早いがいつの間にか静音が自分たちよりずっと先に行ってしまっていたことに驚きを隠せなかったのだ。
「静子の奴、アイツに勝ちやがった…!」
「すごい…!いつの間に…」
「マジかよ…!すげぇよ静音ちゃん…!」
その後、本日の訓練が終了すると四人は病室に戻る廊下を歩いていた。四人の中で唯一カナヲに勝利した静音は三人から質問攻めをうけていた。
「すごいじゃないか静音!あのカナヲに勝つなんて!」
「おい!静子!どうやったらアイツに勝てるんだ!俺にも教えろ!」
「静音ちゃん!なんか秘訣があるんだよねっ!俺にも教えてくれよ!頼むよー!」
「あ、あはは…」
だがこうして仲間から誉められるのは悪い気分ではない。静音は次の訓練から全集中の呼吸のコツを三人に教えるという約束でその日は丸く収まった。そしてその翌日のこと、突然しのぶから呼び出しを受けた静音はまた何か怒られるのではないかと少し怯えながらしのぶのいる部屋へと向かっていた。
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・翌日 蝶屋敷 しのぶの部屋
「し、失礼します…」
「伊角さん?どうぞ入ってください」
軽く扉をノックして部屋に入るとそこには見慣れた先客がしのぶと向かい合って座っていた。
「来たか静音」
「やっほー」
「阿児!左馬介殿も…!」
「さて揃いましたね、伊角さんもそちらに座ってください」
「は、はい」
静音は左馬介の隣に用意してあった椅子に腰を降ろす。どうやら静音がここに呼ばれた理由は左馬介に関する話のようだ。現在、しのぶが分かっているのは左馬介は鬼だが人は襲わず自分たち鬼殺隊の協力者であることぐらいだ。
「早速ですけど色々と三人に聞きたいことがあります。知っていることは隠さず話してください」
「別に話してもいいけど…あたい達をどうするつもりなの?」
「以前も言いましたけど、お二人が鬼殺隊の敵ではないことは認めます。ですが詳しい事情とお二人が何者なのかはまだ知りません。そこで一番お二人と長く接触していた伊角さんの話も含めて情報を整理したいんです」
「それで、私が呼ばれたんですね…」
「分かった。こちらも誤解は解いておきたい。俺と阿児も知るすべての情報を話す。それと静音との関係についてもな」
「はぁ~この説明をするのも何回目かなあ…信じられないかもしれないけど、落ち着いて聞いてね」
左馬介と阿児は自分たちの身の上とこの時代にやって来た理由、そして幻魔についてしのぶに話した。そして静音との出会いやそれまでの行動のすべてを包み隠さず打ち明けた。やはりというかしのぶは信じられないような表情をしていたが那多蜘蛛山で遭遇したゴーガンダンテスの存在や左馬介の強さや他の鬼とはまったく異なる性質を直接目にしていたしのぶは彼らの話を信じるほかなかったのだ。
「…少し整理させてください、不可思議すぎて考えが追い付きません」
「まあ、そうだよね…とにかくあたい達が敵じゃないってことは分かってもらえたかな?」
「俺たちがこの時代に来たのは幻魔を滅ぼすためだが、この時代の鬼どもを放ってはおけん。俺も手を貸そう」
「胡蝶様!左馬介殿の助力があればきっと鬼を滅ぼすことができます!それにあの鬼舞辻だって…!」
鬼舞辻…そう鬼殺隊が倒そうとしている鬼の頭目の名だ。本名は鬼舞辻無惨、千年以上前に最初に鬼となった"原初の鬼"と呼ばれこの世に蔓延る鬼は彼によって生み出された存在であり鬼殺隊の宿敵とも呼べる存在だ。しかしその存在は僅かな記録が残されているだけで柱の剣士でさえもその姿を見たものはいない。現在その鬼舞辻と接触したのは竈門炭治郎ただ一人らしいのだ。
「…分かりました、信じがたいですが三人の話を信じます」
「胡蝶様…!」
「ですが…まだ鬼殺隊本部に報告するわけにはいきません。炭治郎君の件でもかなり荒れましたし、ここで明智さんの話をしてしまえば命の保証はできません」
「ちょっと!あんたはその柱の剣士の一人なんでしょう?あんたが説得してくれればいいじゃない」
「私一人では説得力に欠けます、もう何人か柱の人たちの口添えがあればいいんですが…冨岡さんはアテになりませんし、それに明智さんと阿児さんが味方である確実な証拠がありません」
「……」
「まだあたい達を信用できないの!?いい加減にしてよ!」
「胡蝶様…!左馬介殿は傷ついた私を助けてくれました。本当に左馬介殿が人を喰う鬼であるなら私はとっくの昔に殺されていました!」
「伊角さんの気持ちは分かりますけど、残念ですが私はまだ彼を完全に信じることはできません」
やはり完全に左馬介を信用しているわけではなさそうだ。こうして油断させた後に寝首をかく卑劣な鬼を何体も見てきたしのぶはそう簡単に鬼を信じられなかったのだ。だが左馬介が敵ではないということは信用されたのかしばらくは蝶屋敷に身を隠してもいいと二人に告げたのだ。
しかし、しのぶからすればこの措置は危険な賭けに等しい。鬼である左馬介を自分の屋敷に匿うなど明らかな隊律違反であり静音と同じく処罰されてもおかしくないのだ。しかも左馬介がもし本当に危険な鬼であるなら蝶屋敷の住人もただでは済まない。にも関わらずしのぶがこの決断をしたのには理由があった。
「…明智さん、私たちに証明してくれませんか?あなたが本当に人の脅威ではないということを。あなたの強さは私も認めています」
直接、彼と刃を交えたしのぶも彼の強さを認めていたのだ。本音を言えば是非、助力を頼みたいところなのだがまだ彼を信じるには証拠が足りない。そして左馬介が信ずるに足る人物なのかを自分が見極めようとしのぶは考えていた。
「どうすれば俺を信じられる?」
「現在、各地で鬼による被害が多発しています。情報は私からあなたに伝えるので鬼の討伐に力を貸してください。もちろんあなたには監視の隊士をつけさせてもらいます」
「…分かった。鬼が出たら声をかけてくれ」
「ち、ちょっと!いいの?左馬介。こんなところにいたら危ないよ」
「どのみち俺たちだけでは動きづらい。それに鬼殺隊の協力を得られれば幻魔の発見も早いはずだ。まずは彼らの信頼を得るぞ」
「それは、そうだけど…」
「明智さんの言う幻魔という化物についても現在、調査しています。そちらの情報も分かればお伝えします」
意外にも幻魔の存在についてはあっさりと納得しており先ほども詳しい情報をもっと聞かせて欲しいと言われたばかりだ。もちろんしのぶが幻魔の存在を信じることには理由があった。
「…那多蜘蛛山で化物の目撃情報が多数ありました。その化物と戦った隊士もいたという報告もあります。さらに死体の紛失…これだけの証拠があれば信じざるを得ません」
「はい、私も幻魔と戦いました。鬼ほどではありませんが常人では歯が立たないほど手強い相手です」
「伊角さんもですか?」
「今はまだ大した力は持っていないはずだ。叩くなら今しかない、何か分かったら知らせてくれないか?」
「分かりました。何か分かればすぐにお伝えします」
こうしてしのぶとの会議が終わり左馬介と静音は部屋に帰るため屋敷の廊下を歩いていた。そんな時、静音が申し訳なさそうに左馬介に声をかけた。
「あの…左馬介殿?」
「ん?どうした」
「すみません、私のせいでこんなことに…阿児もごめんね」
「まあ…仕方ないよ。鬼殺隊がどれだけ鬼を憎んでるのかもよく分かったし、それに左馬介の言ったとおりあたい達だけじゃ幻魔を探し出して倒すのは難しいからね」
「ああ、俺たちも考えがあってここにいる。気にするな」
「…ありがとうございます。左馬介殿、これからもお願いします!」
「ああ、よろしく頼む」
「うん!よろしくね、静音」
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・翌日 蝶屋敷 訓練場
翌日、訓練場にいた静音は約束通り三人に全集中常中について解説していた。わくわくしながら炭治郎たちは静音のアドバイスを聞いている。
「私がやっていたのは全集中常中の呼吸といって全集中の呼吸を四六時中ずっと行う呼吸なの」
「全集中の呼吸を四六時中ずっとっ!!?」
「…無理無理無理!!そんなんできるわけないよ!!」
「いい?この呼吸を習得すれば肺が大きくなって一度にたくさんの空気を肺に貯めれるし吸い込む力も強くなるの。そうなればどうなると思う?」
「なるほど…!肺に吸い込む空気が多いほど血の巡りと心臓の鼓動が速くなる…そうやって肺を大きくして基礎体力を上げるのか!」
「ご名答、それに筋肉の活性化に瞬発力の増加…いいことずくめだよ。後は死ぬほど鍛える!」
「…うう、全集中の呼吸をしたままかあ…しんどいんだよなあ、あれ…」
「…つまりどういうことなんだよ?静子」
「伊之助君にも分かるように言うなら…思いっきり空気を吸いながら息をして死ぬほど鍛えるって言えば分かるかな?」
「なるほどな!分かったぜ!」
するとやる気になった伊之助は立ち上がって言われた通りに思いっきり空気を吸って呼吸する。すると自信満々に静音を指差して言い放つ。
「いいか!お前にできることは俺にもできるんだぜ!見てろよ!この伊之助様の本気を見せてやる!」
「うん、伊之助君ならきっと習得できるよ。私ができたんだから大丈夫!私も手伝うから一緒に頑張ろ?」
「……(ほわほわ)」
「よし!俺も負けてられないな!今日から特訓だ!」
「はぁ~嫌だなぁ…でも静音ちゃんが教えてくれるなら頑張ってもいいかも…?でもなぁ…」
「…真面目にしないと教えてあげないよ?」
「はいっ!します!真面目にします!」
こうして静音のアドバイスを受けながら炭治郎たちは全集中常人の呼吸を習得するべく激しい鍛練を始めたのだった。
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・おまけ
※鬼武者2の品物交換で登場するオウムを鬼滅キャラに渡したらどんな反応をするのか書いてみました!(鬼武者2を知らない人は分からないかも…)
・伊角静音の場合
○オウム 青
オウム青「カワイーカワイー」
静音「そ、そうかな…えへへ、ありがとう。いい子だね」
オウム青「カワイーカワイー」
○オウム 赤
オウム赤「カ、カ、カ、カッコイー」
静音「カッコイイ…?…ちょっと嬉しいな。よーし見ててね!私、これからもっと格好いい剣士になってみせるんだから!」
オウム赤「カッコイー!カッコイー!」
○オウム 緑
オウム緑「ブスーブスー」
静音「…ブス…!?わ、私って鳥に言われるほど可愛くないの…!?確かに叔母上からあなたには女性らしさが足りないって言われたことがあるけど…」
阿児「鳥の言うことを真面目に聞いちゃ駄目だよ」
オウム緑「ブスーブスー」
静音「…ぐすん」
・竈門炭次郎の場合
○オウム 青
オウム青「カ、カ、カ、カッコイー」
炭治郎「ありがとう、お前はいい子だな。鳥なのに喋るのが上手いね」
オウム青「カッコイーカッコイー」
炭治郎「はは、やめてくれよ。照れるじゃないか」
○オウム 赤
オウム赤「バカーバカー」
炭治郎「こら!!そんな失礼なことを人に言っちゃ駄目だ!いいか?ちゃんと正しい言葉を言わないといけないぞ。こういう時はだな…」
善逸「…鳥に説教しても意味ねぇよ」
炭治郎「よし!今日から一緒に特訓だ。まずはこの言葉を覚えるんだ。アリガトウー!」
オウム赤「…バカーバカー」
○オウム 緑
オウム緑「ヤサシーヤサシー」
炭治郎「はは、そんな事ないよ。俺は思ったことをしてるだけだし他に優しい人はたくさんいると思うな」
善逸「いや…お前ほど優しくていい奴はそうそういないぞ?」
禰豆子「ムー!(お兄ちゃんが一番優しいよ!)」
伊之助「…まあ、そうだな」
炭治郎「みんな…ありがとな」
オウム緑「ヤサシー!ヤサシー!」
・竈門禰豆子の場合
◯オウム 青
オウム青「カワイーカワイー」
禰豆子「ムー♪(可愛い?嬉しいなぁ)」
炭治郎「ああ、禰豆子は町でも評判の美人だったんだぞ!」
善逸「そう!禰豆子ちゃんは可愛いよなぁ!お前なかなか分かってるじゃないか!」
オウム青「カワイーカワイー」
◯オウム 赤
オウム赤「キレイーキレイー」
禰豆子「ム~♪(綺麗?そうかなぁ…えへへ、ありがとう)」
善逸「鳥も認めるほど禰豆子ちゃんは綺麗で可憐なんだね…ああ~可愛いなぁ禰豆子ちゃんは」
オウム赤「キレイー!キレイー!」
◯オウム 緑
オウム緑「ブスーブスー」
禰豆子「ム~…(ブスっ!?ひどいよぉ…)」
善逸「…オイ、このクソ鳥今何て言った?禰豆子ちゃんがブスだと…!謝れっ!!今すぐ謝れコラァァ!!」
炭治郎「そうだ!訂正しろ!醜女のはずないだろう!!この顔立ちをよく見ろ!口枷が悪いのか!ならこれを外した禰豆子をもう一度よく見ろ!」
オウム緑「……ゴメンナサイ」
・我妻善逸の場合
◯オウム 青
オウム青「カ、カ、カ、カッコイー」
善逸「こいついい奴だな!チュン太郎と交換するか」
チュン太郎「チュン!?チュンチュン!!」
善逸「痛ててっ!!?冗談だって!やめろよ!」
オウム青「カッコイーカッコイー」
◯オウム 赤
オウム赤「ビビリービビリー」
善逸「うるせぇ!何で鳥にそんな事言われなきゃいけないんだ!!はい!そうですよっ!俺はビビりですよっ!だって怖いもん!しょうがないだろ!悪いかコラァ!」
オウム赤「ビビリー!ビビリー!」
◯オウム 緑
オウム緑「カワイーカワイー」
善逸「可愛い…?俺は男だぞ!嬉しくねぇよ!もっと他に誉めるとこないの!?」
伊之助「は?紋逸が可愛い?…コイツ目玉おかしんじゃねぇのか?」
善逸「…うるせぇ!猪頭は黙ってろよ!」
禰豆子「ムー!(私は善逸、可愛いと思うな)」
善逸「え?禰豆子ちゃんも俺のこと可愛いって言ってくれてるのかな?だったら悪くないかもな~でへへ♪」
オウム緑「カワイーカワイー」
・嘴平伊之助の場合
◯オウム 青
オウム青「カ、カ、カ、カッコイー」
伊之助「おう!俺は山の王だからな!当然だ!なかなか分かってるじゃねぇか!」
オウム青「カッコイーカッコイー」
◯オウム 赤
オウム赤「キレイーキレイ」
伊之助「ああん!?俺は男だ!!間違えんじゃねぇよ!!」
炭治郎「でも伊之助は色白だし髪の色も綺麗だからいいんじゃないか?」
伊之助「ぶっ殺すぞテメェら!!」
善逸(…黙ってれば普通に女の子みたいで可愛いのにな)
オウム赤「キレイーキレイー」
◯オウム 緑
オウム緑「オヤブンーオヤブンー」
伊之助「ああん?なんだテメェ?俺の子分になりてぇのか?いいぜ!今日からお前は俺の子分だ!」
オウム緑「オヤブンー!オヤブンー!」
伊之助「よーし!それじゃお前が俺の子分にふさわしいか試してやる!」
伊之助「俺は強いか!」
オウム緑「ツヨイ、ツヨイ!」
伊之助「俺は最強かっ!」
オウム緑「サイキョー!サイキョー!」
伊之助「よしよし!気に入ったぜお前!」
オウム緑「オヤブンー!オヤブンー!」
実は静音のイラストを描いてみました!
気になった読者さんは第二話に新たに載せたので是非、見てみてください!可愛いく描いたつもりです…
もう少しで無限列車編に突入です!