朝比奈まふゆが救われるもう一つの方法

どうしてこんなにとても痛い?

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痛みを感じるのは痛みを感じたくないから

じゃあ、痛みを感じなくなるのは?

"消える時"?

それとも


どうしてこんなにとても痛い

今日も退屈な学校が終わる

 

予習も完璧にしており、塾にも通っている私にとって学校の授業なんてなんの価値もない

 

先生に当てられてもただ期待された答えを答えるだけ

 

学校なんて、みんなの理想であり続けるための単なる作業の一つにすぎない

 

「ただいま、お父さん、お母さん」

 

「あぁ、まふゆ 帰ったのね… 今日の学校はどうだった」

 

「楽しかったよ、音楽の授業でわからないところを聞かれたから一緒に勉強してたんだ」

 

「そう…」

 

「それじゃあ私勉強するから部屋行くね」

 

「ねぇまふゆ ちょっとこっちに来なさい…」

 

その時まふゆは気づいた、両親の表情がいつもと違うことに

 

そしてその表情には疑念や不安、そして怒りのような感情が含まれていることに

 

「…どうかしたの?お父さんも揃って、深刻な表情してるけど」

 

「ねぇ、まふゆ… ずっと聞こうか迷っていたんだけど…

 

「お 母 さ ん た ち に 何 か 隠 し 事 し て な い ?」

 

「…え?」

 

いままでそんなことを言われたことは一度もなかったため驚きを隠せない

 

もしかしてニーゴのことがバレたのか

 

バレるはずがない、親の前では完璧に”いい子”の朝比奈まふゆだったはず…

 

何度も頭の中で繰り返す、完璧に演じれていたはず…

 

いつも通り作った表情で言葉を返す

 

「もうやだな、隠し事なんてするわけないじゃん」

 

「そう、じゃあ こ(・)れ(・)は(・)一(・)体(・)な(・)に(・)?(・)」

 

そう言うと母は私が書いていた”ニーゴの曲の歌詞が書かれた紙”を取り出した

 

目の前が真っ白になった

 

どうして見つかったのか

 

クローゼットの奥の奥にしまっておいたはずなのに

 

どんな表情をすればいいのか

 

きっといつもの”いい子”の表情をしても意味をなさない

 

わからない 

 

わからない

 

わからないわからない

わからないわからない

 

 

わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない

 

「お、母さん、それ、を、一体、どう、して?」

 

「あなたが夜遅くまで起きているのは知っていたのよ、でもきっと勉強するためだろうと思ってそっとしてたの」

 

「…」

 

「でも、時々話し声のようなものがするから何をしているのか不思議に思って」

 

「…」

 

「それで今日部屋を掃除してたらたまたまこれを見つけてしまったの」

 

「…」

 

「そして、その歌詞をネットで調べたらこんなものを見つけたの」

 

そう言って見せられたスマホの画面にはニーゴのMVが映っていた

 

「ねぇ、まふゆ」

 

「…」

 

「あなた、サークル活動をしているの?」

 

「…」

 

「ねぇ、さっきから黙っているけど 何か答えたらどうなの」

 

「…」

 

母親が徐々に語調を強める

 

「何も答えないってことは、肯定と受け取っていいのよね」

 

 

何もかもが理解できない、でも一つだけ知っていることがある

 

 

母親がこういう語り口をするとき次にする話を

 

 

「それはあなたにとって本当に必要なものなの?」

 

「ネットで知り合った人たちと一緒に活動を、しかも作曲だなんて」

 

「こんな暗い曲を作るような人、きっとろくな人生を送れてないのよ」

 

「こんな人達と一緒にいてあなたまで悪影響を受けたらどうするの」

 

「こんなことをしたってあなたの将来のなんの役にも立たないわ」

 

「あなたは医者になるんでしょう?」

 

「ちゃんとした大学に行って、ちゃんとした仕事について安定した人生を送ってほしいの」

 

 

 

「 あ な た の た め を 思 っ て 言 っ て る の よ ?」

 

 

 

私にとってニーゴは居場所だった

 

私にとってニーゴは生きる意味だった

 

私にとってニーゴは私の存在そのものだった

 

私にとってニーゴは私の全てだった

 

「まふゆは”いい子”だから、私の言ってることが正しいって分かるわよね?」

 

だからこそ、それを否定されることは自分を否定されることと同義だった

 

痛い、とても痛い

 

どうしてこんなにとても痛い…?

 

きっとこの痛みは私にしかわからない

 

理不尽極まりない痛み

 

そのうち消え去ると思ってた

 

本当は痛がりたかった

 

平気なフリして耐えていた

 

私が耐えれば済むことだから

 

そして気がついた

 

この痛みを無くす方法を

 

私が消える以外のもう一つの”簡単な方法を”

 

 

 

もう無い どこにもない

 

アイツはどこにも見当たらない

 

あの痛みはもうどこにも無い

 

つらいことなんか無いはずなのに

 




プロセカを遊んで、すぐに朝比奈まふゆに惹かれた

でもそれは彼女が救われていなかったからで救われた後の彼女は他と変わらないただの凡庸なキャラクターだった

彼女が救われていると僕が救われない

だから救われていない彼女を創った
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