彩りの少女たちとの日常   作:咲野 皐月

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 また性懲りも無く新作描きました(殴)。


 前書きが短いですが、それではスタートです。最後までごゆっくりお楽しみください。


ひと夏の思い出、募る気持ち
第一話


「サツキさん!」

「? どうしたの、イヴ」

「海に行きましょう!」

「……は?」

 

 

 真夏の暑い日差しが照り付ける、外に出る事すら嫌になるくらいの今日この頃。リビングのソファーに一人座って台本を読んでいた僕は、隣に居た彼女……若宮 イヴの言葉に惚けた返事を返してしまった。

 

 

「な、何で今?」

「ここ最近のサツキさんは、熱心にドラマの台本を読み込んでいます! それはとても良い事ですが……集中し過ぎていると、今度は過労になりかねません!」

「……」

 

 

 僕の疑問に返されたイヴの言葉に……僕は、少し言葉を詰まらせてしまった。

 

 

 確かにココ最近は、オファーを受ける番組の数も多くなり……休む暇などほぼ無いに等しい状況だ。そうでなくても、ちーちゃんや他のメンバー達の付き添いとかも頼まれるから、実際は休みなんてあっても無いようなものだ。

 

 彼女の言い分もわからんでは無いし、正直な所を言うと……暑さで頭が少しやられかけていた。ここでその話題を出してくれたイヴには、感謝こそしても文句は言えないな。

 

 

「わかった。いつにしよっ『今からです!』……ごめんイヴ、もう一回言って貰える? 僕の聞き間違いじゃなければ、すごくとんでもない事を聞いたんだが」

「今から海に行きましょう! それも一泊二日の旅行ですっ! 幸い、明日は二人ともオフなので!」

「わ、わぁ〜」

 

 

 イヴが突然言い出したこの言葉によって、今日の今後が決められてしまう事になってしまった。

 

 

 ……まさか、そんなことを言い出すとは……。

 

 これは僕の中でもかなり驚いたし、普段の彼女であればあまりしなさそうな物だ。誰かに吹き込まれているのかと疑問を問いたいが……彼女は嘘を吐く様な娘では無いので、それ以上の詮索をしていない。

 

 

「さあ! 時間は足早に過ぎて行きますよ! サツキさん、早く準備しますよ!」

「わ、わかったから……押さないでイヴ!」

 

 

 そう言われて僕は、自室へと戻って準備をする事にした。確か彼女の話に寄ると今日は、一泊二日の旅行と言う事だったので……着替え等の宿泊セットも合わせて用意する事にした。

 

 

 ……しかし、僕はこの時に気付くべきだった。普段から気配り上手な彼女にしては珍しく、何かを急かす様な雰囲気に。

 

 

「……アヤさん、準備出来ましたよ!」

『ありがとう、イヴちゃん! じゃあ、私は先に行って待ってるから……イヴちゃんは海に着くまで、絶対に颯樹くんに知られないようにね♪』

「はい! ブシドーの精神で、そのお役目を果たしてみせますっ!」

 

 

 ……傍でその様な会話が行われていた事にも、僕は気づかないまま、自宅を出発する事になった。

 

──────────────────────

 

「〜〜♪」

「楽しそうだね、イヴ」

「はい! 今回の様に、サツキさんと一緒にお出かけする機会がワタシはあまり無いので……自然と楽しくなって来ちゃいます!」

「それは良かった」

 

 

 街中を歩いている隣で、陽気に鼻歌を歌っている彼女に……僕は声を掛けた。するとイヴは見る者を明るく照らす笑顔を浮かべながら、元気に返答してくれた。

 

 ……なんだか、この笑顔を見ているとすっごく癒されるんだよな。それは今に始まった事では無いけど。

 

 

「先ずは駅に行きますよ! 5つ駅先にある海岸がとてもキレイで、そこで休暇を過ごしましょう!」

「OK。そうと決まれば、早く行かないとね」

「はい!」

 

 

 そんなやり取りを交わした後、僕はイヴと手を繋いで駅へと向かった。普段から純真で積極的な彼女と手を握るのは、余計な思考を巡らせなくて良いので……非常に助かっている。

 

 そして……駅に着いて、五分ほど電車に揺られながら、今回の目的地である海へと向かった。

 

 

「うわぁ〜! 海がと〜〜ってもキレイです! サツキさん、海ですよ海!」

「わ、わかったから、そんな引っ張らないで! ……って、本当に綺麗だね。来た甲斐が有るよ」

 

 

 そうして僕たちが訪れた海は、見るからにキレイな蒼が広がっていて……周りに人がチラホラと居る事から、余程人気の高いスポットになっているらしい。

 

 

 その海を見たイヴはと言えば……終始眼をキラキラさせて居て、今にも飛び出しかねない程のテンションだった。

 

 ……なら、僕もこれは楽しまないと損だよね。

 

 

「それでは私は……水着に着替えて来ます! サツキさんは着替え終わったら、外で待っていて貰えますか?」

「分かった。パラソルとかの設置は僕に任せて」

「分かりました! では、また後で!」

 

 

 僕はイヴとそう言葉を交わして、水着の入った袋を持って男子更衣室へと入った。一応……日焼け止め等に関しては、ちーちゃんから効能の一番良いものを勧められているので、それを使って対策する事にした。

 

 ……まあ、着替えと言っても、服を全て脱いで下に一枚水着を履くだけなのだが。それもあり、更衣にはさほど時間はかからなかった。

 

──────────────────────

 

「さて、着替え終わったのは良いけど……何処にパラソルを刺そうか……」

 

 

 先に着替えを済ませた僕は、砂浜に出て辺りを少し見渡していた。イヴから言われた件の事をしようと思ったのだが……何処も彼処もパラソルにシートが置かれていた為、探そうにも探せなかった。

 

 

「一応……手頃な場所を見つけて、そこにパラソルを『おーい! 颯樹くーん、こっちだよ〜! こっちこっち〜!』……? この声は、彩か?」

 

 

 探し始めようとした僕を遮る様に、何処かから彩の声が聞こえた。そうしてその場所へ向かってみると、桃色と白のパラソルが刺さっていて、下には水色のシートが敷かれてあった。

 

 そして、そこに居たのは……先程呼び掛けてた彩と、もう一人居た。

 

 

「……これはどう言うつもり? 彩、麻弥」

「す、すみませんッス颯樹さん……。ジブンは、家でゆっくり休養を取っていたのですが、彩さんから急にお呼び出しが掛かりまして……そうしたら、水着の入ったバッグを渡されて、今ここにいると言う訳です……」

 

 

 僕は彩と麻弥に説明を求めたのだが……状況を説明してくれたのは、彩では無く麻弥だった。この話を聞く限りでは、麻弥は完全にとばっちりを喰らったのだと見えてしまう。

 

 

「で? 何で彩はここに?」

「うん。ここ最近、颯樹くんはほとんどお休みが無かったでしょ? 現に、明日は本来ならドラマの撮影があったよね?」

「そうだね」

 

 

 確かにそうだ。僕は本来なら……明日は仕事が入っていた。少しの間自宅を離れる為に、台本の読み込みも確りしないと行けなかったのだ。

 

 そして彩は言葉を続けた。

 

 

「それを見て、私から社長さんにお願いをしに行ったの! 今度のライブでPastel*Palettesが良いステージを披露してくれるなら、颯樹くんのお休みを確保しても大丈夫です〜って!」

「……なるほど、そう言う事」

「だから、せっかくお休みを貰えたんだし……たまにはフルメンバーとは行かないけど、数人単位で旅行でもしたいな〜って。近場なのは目を瞑って欲しいな……あはは」

 

 

 ……打算的だと言うか、何と言うか。

 

 まあ……彼女の言い分はよくわかるし、それに上からの決定であれば、従わない理由は無いだろう。

 

 

「うん、今日は楽しもっか」

「そうだね! ……お、来た来た。おーい!」

 

 

 彩が声を掛けた先には……水着に着替え終わったイヴが、駆け足をしながらこちらまで向かっていた。

 

 彼女の水着はと言うと……白を基調としたビキニで、所々に薄く紫が入っているのがポイントだ。またフリルも付いているため、女の子らしさも感じられる水着になっている。

 

 

「どうでしょう、似合ってますか?」

「うん、バッチリ。さすがモデルさんだね」

「えへへっ、サツキさんにそう言われると……とても嬉しいですっ」

 

 

 その言葉を聞いたイヴは……顔を紅くしていながらも、自分の気持ちを簡潔にそう答えた。そして、喜んでいるイヴが居るって事は、それを見てあまり良く思わない人物もいる訳で。

 

 僕が視線を向けた先には、頬を膨らませて不満顔の彩が居た。

 

 

「颯樹くん、私の水着はどうかな? 似合う?」

 

 

 そう言って彩は、その場でくるっと一回転して笑顔を作って見せた。その影響でビキニのフリルがゆらゆらと揺れ、彼女の魅力をより一層引き立てていた。

 

 

 彩の着ている水着はと言うと……黄色が基調となったフリル付きでスカートタイプのビキニで、横にピンクのラインが入っているのが特徴だった。

 

 そして水着を着ている関係からか……いつもは肩まで下ろされているセミロングの髪を、後ろでひとつに纏めていた。これはこれでアリだな。

 

 

「よく似合ってるよ」

「えへへ♡颯樹くんにそう言って貰えるなんて、とても嬉しいな♪」

「彩もそうだけど、イヴや麻弥も……何を着ても似合うから、正直在り来りな言葉になってしまうんだよね」

 

 

 これは紛れも無い事実だ。

 

 

 実際、僕は麻弥以外の4人から連れ出されて(ちなみに拒否権は無い)買い物に付き合う事があるのだが、その時には服を見る事が多い。

 

 そしてそんな時には、プチファッションショーみたいな感じで軽く見せられる事がお決まりなのだ。

 

 

 その時に思うのは、4人とも(これは麻弥も含むよ)普段からアイドル活動に……女優やモデルなどの芸能活動、羽沢珈琲店やファストフード店でのバイトに部活をこなしていたりするので、他の女性よりも飛び抜けてスタイルが良いと言う事だ。

 

 だからからかもしれないが、感想を求められても無難な言葉で返してしまうなんて……今に始まった事では無いのだ。

 

 

「ほら! 麻弥ちゃんも水着を見て貰……って、まだ着てたんだ……」

「じ、ジブンなんか良いですよ……似合ってませんし、颯樹さんに見せられる物でもありませんし……」

 

 

 自分の水着を自慢し終えた彩が次に目を向けたのは、深い蒼のパーカーを着ている麻弥だった。

 

 下にはキチンと水着を着ている事から、中も同じなんだろうなと思う事が出来た(水着を着た理由はと言えば、半ば強制的に彩から押し付けられたからなんだろうが)。

 

 

「水着を着た麻弥ちゃん、絶対可愛いよ! 颯樹くんに見て貰お! いや、見せよ! こんな可愛い麻弥ちゃんを見られないなんて、颯樹くんの立場からしたら勿体無いよ!」

「ちょ……ちょっと待って下さい彩さん! じ、ジブンは別に『それ〜!』うあああああっ!」

「ど、どうした麻弥……?!?!?!?!?!?!」

 

 

 未だに拒否し続ける麻弥に業を煮やしたのか、彩は強引に彼女の着ているパーカーを脱がしにかかった。そんな中で麻弥はと言えば、羞恥心と驚きとで叫びまくっているというのに、彩はと言うと終始ノリノリだ。

 

 そしてそこまで見た後で……僕は、驚愕な物を見てしまう事になった。その見た物はと言うと。

 

 

「う、うぅ……は、恥ずかしいッス〜〜!」

「……ぇ」

「マヤさん……」

「麻弥ちゃん……」

 

 

 麻弥が蹲って顔を隠す横で……僕とイヴと彩はと言えば、この一瞬の間に見えた物の正体に、驚きを隠せなかった。思わず見えてしまったとは言え、これは驚かざるを得ないだろう。

 

 

 麻弥の水着はと言うと、彩やイヴと同じくビキニではあるのだが……薄い緑色のチェック模様を中心としていて、落ち着いた雰囲気もありつつ、明るめな印象を受ける物だ。

 

 布の覆っている面積が少ないからか、肌の露出も多めになっている(これは当たり前だけど)。その関係で見えてしまったのは、これだ。

 

 

「麻弥ちゃん、そんなに大きかったんだね……」

「マヤさん、大きいです……」

 

 

 未だに顔を紅くして蹲る麻弥を見て、僕たちが唖然とした理由は……大きな二つのモノだったのだ。今まで服越しでしか分からなかったが、実際に見てみると破壊力が違った。

 

 ……この話題には、迂闊に触れてあげない方が麻弥の身の為だな。うん。僕からは何も言うまい。

 

 

 そんな混沌とした状況を宥めつつ、僕は彩たちから突如として齎された休暇を楽しむ事になったのだった。




 今回はここまでです。如何でしたか?


 このお話は次回も続きますので、よろしくお願いします。一応、この作品の形式としては……『シチュエーションの提案を貰う』→『話の内容を書き起こす』→『一話目執筆』→『それ関連で何話か連載』→『最後まで書き終えたらもう一度募集』(この流れを無限ループ)って感じにしたいと思います。


 それではまた次回。今回も感想を是非。

 いつもの事ではありますが……高評価やお気に入り登録の程、ぜひぜひお待ちしております。それだけでも僕の執筆意欲になりますので。
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