今回は前回からの続きなのですが……オリジナルキャラクターが一人登場します!(そのキャラはパス病みRev.にも出しますので、まずは名前と性格と覚えて頂ければ)
それではスタートです!
「あ〜あ〜、何かるんっ♪てする事無いかな〜」
お日様が燦々と照りつけているこの暑い日に、あたしはソロで水着のグラビア撮影のお仕事を受けていた。
カメラマンさんに話を聞いてみると、どうやら『今人気急上昇中のアイドルバンド……パスパレをモデルにして、更なる飛躍と挑戦の足掛かりにしたい』と言う事のようで。
「指示の通りに求められたポーズを取るのって、なかなか退屈だな〜。イヴちゃんはこんな事を毎回してるのか〜」
だけど……蓋を開けてみれば、撮影自体かなり退屈に思えてしまう物だった。
あたしが今借りている水着は、この撮影用に使う為に用意されていた物みたいで……あたしのパーソナルカラーである水色が基調のビキニで、腰周りと胸当ての所にフリルが付いているのが特徴だった。
実際に着てみたら……物凄く可愛くてるんっ♪て来たのは、凡そ分かってた事なんだけどね。
スタッフさんから求められたポーズは、なんと言うかパッとしない物で……胸の谷間を見せてみたり、少し上品に見える様にポーズを取ってみたり……と言う、無難な物がセレクトされていた。
「こんなに可愛い水着を着てるのに、遊びに行けないなんて勿体無いよ〜! ……あ〜! あたしもお仕事なんて気にせずに遊びに行きたーい!」
あたしは両の手で拳を握って、勢い良く天高く挙げて自分の悲痛な想いを思いっきり叫んだ。
ここ最近はずーっとお仕事ばっかりで、さっくんとイチャイチャしたくても、そんな事ができた試しが無かった。
更に言うなら、彼も彼でドラマや番組の撮影やらタレントとしてのお仕事等色々あった為……あたしのイライラは確実に溜まりまくっていた。
……早く何とかしないと、あたし自身が壊れてしまいそうだよ〜! と思い、ある所に目を向けてみたら!
「あれ? さっくんに、麻弥ちゃん?」
そう言うあたしの視線の先には……後ろ姿だけでも凄く楽しそうな雰囲気を出している、さっくんと麻弥ちゃんが水着姿でシートに座ってて、何やら楽しそうに話をしていた。
……本来なら、さっくんとイチャイチャ海デートをするのはあたしだったのに。何でこんな時にイヴちゃん達と一緒に海へ来ていて、あんなに楽しそうに笑っているのか……あたしは全然分からなかった。
そこまで考えが辿り着いた時、突然あたしの脳内をビビッ!って電流が走った。
「……そっかぁ♪ こうしちゃえば良いのか♪」
そう結論づけたあたしは、二人が仲良くお話をしているパラソルの所に……気づかれない様にそ〜っと向かった。
さっくんは凄く勘が良いから、こっそりイタズラを仕掛ける時や、軽くちょっかいを出す時だって一苦労なのはいつもの事。……麻弥ちゃんはいつも驚いてくれるけど。
だけど、上手く彼を驚かせる事が出来た時の感覚と言ったら……これほど病み付きになる物も無い、と思っていた。
(さっくん♪ 今日こそは、あたしにいーっぱい構ってもらうからね♡毎回毎回、千聖ちゃんだけがいつもオイシイ所を持って行っちゃうから……今回は、あたしがさっくんをヒ・ト・リ・ジ・メ♡)
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「颯樹さんも無理矢理連れて来られたんですね……」
「うん、台本の読み込みをしてたらいきなり。まさかイヴがあんな事を言い出すなんて、思いもしなかったけど」
「ジブンは彩さんに連行されまして……」
「あー、彩ならやりかねない」
彩とイヴが海へ戯れに行った後、僕と麻弥は二人でパラソルの下にあるシートに座って話し込んでいた。
彼女とはちょくちょく互いの家に行って雑談を交わしていたりする関係上、こんな感じで愚痴を零していたりする事も多々ある。その話す内容はと言えば、お互い通う学校が違うのでそこで何があったのかとか……あとは、麻弥からの日菜に関しての困り事だったりと様々である。
その関係もあり、今はこうして話し込んでいると言う感じだ。お互いに遠慮しなくて良いので、言いたい事を言い合えているのは本当に助かっていたりする。
「……? どうかしたんですか?」
「……いや、何でもないよ。少し視界に入っただけだから気にしないで」
「そう……ですか? ジブンは颯樹さんになら、幾ら見せても良いですよ? さっきはいきなりだったので驚いてしまいましたが……」
そう言って麻弥は、僕の方に自身の着ている水着を見せて来た。その表情からは先程の恥ずかしさが消えており、顔はまだ紅いままだけど少し乗り気な様子が見て取れた。
彼女自身は何処か地味っぽさがあり、誰かの集団に入れば一人は居そうな目立たなさそうなイメージがあるのだが、ある一点に関して言えば、それは他のどのメンバーよりも目立っていると思う(ナニがとは言わない)。
だいたいこう言う行動をする時は、ほぼ自暴自棄になった時が多いのだが……今回に関して言えば、全く異例のパターンだ。
「颯樹さんになら、全てあげますよ……?」
「んなっ!?」
「ジブンは颯樹さんの事、大好きですから……」
そう言って麻弥は、僕の方にゆっくりジリジリと近寄って来た。シートが敷かれている面積が正方形位の大きさしか無いため、僕と彼女の距離がほぼ数cm位まで縮まっていた。
……え、えっ!? 麻弥ってこんなに積極的な女の子だったっけ!? それこそ……普段の麻弥なら、こう言うのは絶対にしないよね!? 夏の太陽の暑さで頭がヤラれたのかな、って思うくらいにはビックリだよ!
僕たちのこのやり取りを見た、周りの人たちは慌て始めていて……中には子供連れの客も居て、母親と思しき人が子供の視界を塞いじゃってるし!
「颯樹さん……」
「ま、麻弥……」
こんな人の眼がある所で、軽々しく18禁の展開に持って行きたくは無いんだけど……今の彼女を止めるには、覚悟を決めるしかないのか……!?
そう思っていた、次の瞬間。
「さ〜っく〜ん!」
「「!?!?!?!?!?!?!?!?」」
何処かから僕を呼ぶ声が。それも……僕に呼びかけてはいるが、規則正しい足音が聞こえてくる辺り、どうやらこちらまで全速力で走って来ているみたいで。
……ま、まずい! 早く麻弥を引き剥がさなければ、後々これがめんどくさい事になりかねない!
更に言うなら、今は海でキャッキャウフフと遊んでいる彩とイヴだって……いつ眼のハイライトを消して詰め寄って来るかが全然分からない!
そんな事を僕が考えているのもお構い無しに、その足音を響かせて来た人物は、こちらまで駆け寄って来て……。
「さっく〜ん!」
「ぐぉわぁぁぁぁ!?」
「さ、颯樹さん!? だ、大丈夫ッスか!?」
その人物は僕のあだ名を呼びながら抱きついた後、マーキングをする様に頬擦りをし始めた。それを見た麻弥はオロオロとしていて、何が起こったかが分からなくなっていた。
……この翡翠色の髪、もしかして。
「日菜」
「はーい♪ ねぇねぇさっくん、驚いた? るんっ♪てしてくれた? あたしにトキメいちゃった?」
「あのなぁ、お前は少し状況って言う物を考え『日菜ちゃん(さん)……?』ぁ」
僕はいきなり抱き着いてきた日菜を窘めようと、身体を少し起き上がらせようとしたのだが……それと同時に、嫌な予感が冷や汗となって頬を伝った。
この胃がキリキリ詰まる様な変な感覚……僕の予想が正しければ、これはさっきまで楽しく遊んでたあの二人からだ。
そう思って横を見てみると、その予感は的中し。
「日菜ちゃん? リーダーである私の目を盗んで……颯樹くんにナニをシテイルノ?」
「ヒナさんと言えど、サツキさんを困らせる様な事は許して置けませんね……カクゴハデキテマスカ?」
そこに居たのは、眼のハイライトを完璧に消した状態で仁王立ちする……彩とイヴだった。二人とも可愛らしい立ち姿で立っては居るが、実際は怒りでいっぱいだと言うのがよく分かる。
……特にこの二人は、普段から優しい一面を見る事が多い為……こうやって怒った時の迫力や威圧感は、パスパレのメンバー内で一二を争う程だ。
「お、落ち着こうか……ね? ほら、ここは外だし何なら人目に着くし……」
「じゃーあー、ここ以外の人目の無い所だったら〜、思う存分イチャコラしても良いって事になるよね♪」
「うん、どうしてその考えに行き着くの!? 言いたい事はわかるんだけど!」
まさかのそっちで来るかよ
僕としてはもう、後ろからの強烈なダイビングハグを貰っただけでもお腹いっぱいで……これ以上の激しいスキンシップを受ければ、帰った時にいつもの展開になりかねないのだ。
そしてそれを仕掛けて来る相手が、小さい頃からの馴染みがある幼馴染で尚且つ……演技をする事に長けた女優であるならば、多少の嘘を吐いたとしても軽く論破されてしまうのが関の山で、毎度毎度の事だが疲労困憊になりつつある。
……となれば、この状況を何とかするのが最優先事項なのだが、いかせん立場が物凄く危険な立ち位置だったりするのもまた事実なのだ。
「彩とイヴも一旦落ち着こ? ……ね? ここは建物の外だよ? ましてや人目もあるし、何なら黒いオーラ出してんのは二人だけなんだけど……」
「ナニを言ッテ居るのカナ? 日菜ちゃんニ抱き着かれて抵抗シナイなんて……どう言うツモリなの?」
「ヒナさんばっかりズルいですっ。ワタシだって、サツキさんとイチャコラしたいんですよ? それなのにワタシたちを放り出して……」
目の前に居る彩やイヴに関しても、もうあと何かひと押しあれば……完璧に壊れてしまうくらいまで来ていた。ギリギリで理性を保つのが精一杯で、今はにこやかな笑顔でこちらを見てはいるが、良からぬ物を呼び覚ましてしまいそうで冷や汗どころの話では無かった。
……早く何とかしないと……。と思った、その時!
「ひーなーちゃん♪」
「? 誰だろー、あたしを呼ぶのは……って、ゲッ」
「それは随分なご挨拶だよね、日菜ちゃん」
そう言ってその人は、胸の前で腕組みをして……目が笑っていない最ッ高の笑顔で日菜を見下ろしていた。それを見た日菜はと言うと、唖然とした顔で今にも逃げ出さんとしているかの様だった。
「ありがとう、佳奈。助かった」
「ううん? 私はただ、仕事パートナーが何処かに逃げ出して、それを捕まえて連れ戻そうとしただけだから……颯樹くんが責任を感じる必要は無いよ♪」
屈託無い笑顔を浮かべながら、日菜の首根っこを掴んで拘束しているのは、僕と同じ学校の同級生で同じクラスの……
背丈は157cmと女子の中では割と平均的で、その他もバランス良く体型維持が成されている。黒く綺麗に澄んだ瞳が特徴的で、まるで黒曜石を眺めているかの様な感覚になる。
彼女と最初に会った時は、お互いに転校生と言う立場であった為に……それぞれの引越し前の状況や、プライベートな所までも気軽に話せる関係にまでなった。
ただ一つだけ驚いたのは、僕と会って数日後に事務所のスカウトを受けて、同じ事務所に所属するモデルとなった……と言う事だろうか。その縁でイヴはお仕事でも関わったりするので、彼女との仲がかなり良好だと聞いた事がある。
「それで……日菜ちゃん? 最後に何か言いたい事はあるかな? 友達からのお情けでたった一つだけ聞いてあげても良いよ?」
「かなちゃん、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!! あたしはさっくんとイチャコラしたかっただけなの〜!」
「そんなの……ダ・メ♡」
自身の首の付け根あたりに感じる……あまりの激痛に涙を堪えている日菜が、佳奈に慈悲を欲しがるかの様に要求をしたが……その頼みを彼女は、一瞬の迷いも無く笑って一蹴した。その後、日菜は佳奈によって僕たちの居る所から離れる事になってしまった。
日菜が佳奈に連れて行かれる様はまるで……粗相をした飼い猫が叱られ、それを是が非でも止めんとする飼い主の図であった。
……まあ、お仕事をほっぽり出して遊びに行くだなんて、絶対にあっちゃ行けないんだけどね。
「え、えっと……お二人、とも?」
佳奈と日菜が去った後、僕は恐る恐る彩とイヴの様子を伺ってみる事にした。まだ怒りが納まっておらず、とんでもない方向に向かったらシャレにならないので、確認したかったのが本音だ。
そうすると二人はガシッと僕の両腕を掴んで……。
「「颯樹くん(さん)♡」」
「は、はい」
「「私たちと一緒に遊びましょ(うね)♡♡」」
「はい、喜んで……」
そんなやり取りの後に、僕は二人に連れられて海の方へと向かう事になった。途中で麻弥が駆け寄って来て、四人でワイワイガヤガヤと遊ぶ事になったのは、また別の話だ。
この時の僕はすっかり忘れてしまっていたのだが……海で休暇を過ごした後は、この時のために予約していたホテルでお泊まりと言う事になっていた。それもパスパレメンバーに僕を加えて6人で、だ。
……僕の突如として決まった波乱な休日は、まだほんの一部を終えたばかりに過ぎない事を、この時に察して後悔する事になってしまったのだった。
今回はここまで! 如何でしたか?
次回は今回の続きになりまして、海でのお話を終えてお泊まりの話を書きたいと思います! 完成はいつになるかわかりませんので、楽しみに待っていて下さいm(*_ _)m
それでは次回に……待て、しかして希望せよ。