彩りの少女たちとの日常   作:咲野 皐月

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 皆さま、お待たせ致しました最新話です。


 そして……ご迷惑おかけして&最新話完成までの長期休暇……すみませんでしたァ!


 それでは、本編スタートです!


第三話

「こ、これまた豪勢な……。しかも事前情報無しで来たから、一瞬家に帰って来たのかと疑うわ……」

「私たちが頑張って予約したんだ♪ ……もちろん、宿泊費用は全員で割り勘にしてるよ!」

 

 

 海でのんびりとした(?)休暇を終えた僕たちは、そのままの足で今回泊まるホテルへと向かった。聞けばその場所は《家に居るのかと錯覚させる様な造りの部屋》が特徴的らしく、宿泊客からの人気もかなり高いとの事で。

 

 

 今回ここに泊まるのは、僕とイヴと麻弥と彩……そして、今現在お仕事でこの場には来ていないが、ちーちゃんと日菜も合わせた6人だ。

 

 お会計をする際には、彩が事前に『みんなで割り勘』という風に決めていた様で……全員自腹負担となっている。

 

 

「だとしてもこれは……今まで見た事ないぞ」

「驚くのも無理はないわよ。私だって彩ちゃんからこの情報を聞いた時は、夢か現実か疑ったもの」

「えへへ」

「褒めてない褒めてない」

「私とダーリンは一切褒め言葉を言っていないわよ、彩ちゃん?」

 

 

 宿泊する部屋の中を見た僕の言葉に、ちーちゃんから空かさずフォローが入り、それを聞いた彩は少し照れ顔で微笑むのだが……僕とちーちゃんで軽くあしらった。

 

 ……全く、彩ってば……こう言うのはリサーチや情報収集が速いのに、勉強に関しては人並みしか無いのかねぇ。

 

 

 ……ん? 気の所為じゃなければ、今の僕の言葉って誰かにフォローされた気がするね? 試しにぐるっと見渡してみると、麻弥とイヴは首を横に振っているし……彩は苦笑いを浮かべながらその場に突っ立ってるし。

 

 ……て事は。

 

 

「ふふっ♪ 私よ、ダーリン♡」

「ち、ちーちゃんナズェココニイルンディス!?」

「お仕事の現場から直ぐにここへ向かってみれば……不貞腐れた日菜ちゃんと、ご機嫌ななめで怒っている佳奈ちゃんが居るじゃない? しっかり私のために守っていてくれたみたいで嬉しいわ♡」

 

 

 先程フォローをしたのは、僕の隣で『してやったり』な笑みを浮かべた……《ちーちゃん》こと、白鷺 千聖……その人であった。彼女とは幼少期からの幼馴染で、自宅が隣同士且つ互いの母親が親友の間柄から関わる事が多くなった(産まれた時から関わっていたらしいが)。

 

 

 普段は女優として奔走する日々が多く、休みなどあっても無いような生活を送っているのは……実の事を言えば彼女なのである(それでも僕がよくその現場に連れ出される為、僕も同じ感じではあるが)。

 

 ……まぁ、その事に関しては煩わしく思ってないし……寧ろ僕で頼りになるなら、って気持ちで引き受けていたりもする……の、だが。

 

 

 彼女はリアリスト……言わば《現実主義者》で落ち着いてはいるのだが、少々悪ノリが過ぎる性格をしていて……それが災いしてとんでもない目に遭うのなんて、僕からして見れば日常茶飯事だ(僕の自宅に半ば強制的に同棲すると言い出したのが最たる例)。

 

 

「一日ダーリンと離れていて、本当に寂しかったわ。だから補給させてちょうだい♡」

「んなっ!?」

 

 

 そう言って彼女は音も無くするりと僕の方へと身を寄せ、腰に手を回してガッチリホールドをする体勢になった。僕が試しに振り解こうとしても、玩具を取り上げられて悲しみを浮かべる子犬の様な顔を見せるので……仕方無しと思い、ちーちゃんの気が済むまで抱きつかせる事にしたのだった。

 

 

 それを見た他の三人が、もちろんこのまま黙っているはずも無くて。

 

 

「ち、千聖さん……部屋に入って直ぐに、颯樹さんとイチャつかないで下さいッス。ジブンたち、その光景を見せられるのはかなり眼の毒です……」

「あら、麻弥ちゃん。貴女はダーリンと日中に散々いいコトをしたのでしょう? ……なら、私にだけお預けは酷いんじゃないかしら?」

「ぐうっ……。それを引き合いに出されると、ぐうの音も出ないですね……」

 

 

 麻弥が、そこへ空かさずフォローに入ろうとしたが……結局はちーちゃんに押し黙らされてしまった。その言葉を聞いた彼女はと言うと、どこか虚ろな眼になりかけていて……とても分かり易い位に気を落としてしまった。

 

 ……が、ここで黙って居なかったのが。

 

 

「チサトさん、それは違いますっ! マヤさんは……サツキさんにただ擦り寄っていただけですっ!」

「あら、イヴちゃん。それは一体どういう事かしら」

「はい! サツキさんは、ワタシが連れて来たんですっ! 海に来るまではワタシと二人っきりでした!」

「へぇ……そうなのね」

 

 

 

 そう、先程まで苦笑いを浮かべていたイヴである。

 

 彼女の言う事は紛れも無い事実であり、何なら彼女からの誘いが無ければ……急にできてしまった休みを、台本の読み込みだけで丸一日潰してしまいかねなかったので、彼女には感謝こそしても文句は絶対に言えないだろう。

 

 

「私のダーリンを、一日好きに出来た感想はどうだったかしら? 優しくてお節介焼きな彼は、イヴちゃんにとって良い相手になったんじゃないかしら?」

「千聖さん……いい加減にするっす! 颯樹さんは千聖さんだけのモノじゃありません! それは何にも変えられない事実のはずっす!」

「麻弥ちゃんは、シレッと横から口を挟まないでもらえるかしら? 私はイヴちゃんと大事なお話をしている所なの」

 

 

 何方も売り言葉に買い言葉で、僕と彩が二人揃って蚊帳の外に放り出されてしまった。三人ともそれぞれに言いたい事が溜まりに溜まってるらしく、止めようとしたら逆にその飛び火を喰らってしまいそうな程だ。

 

 

「ね、ねぇ颯樹くん……どうしよう……」

「ここは部屋の中で入口付近だから……通行の邪魔になるんだよなぁ。タダでさえ僕たちは普段からお仕事とかで休みがほぼ無いんだから、こう言う時はゆっくり休みたいってのにね」

「そ、そうだけど……あの三人は……」

「……はてさて、どうしたもんかねぇ」

 

 

 僕と彩は未だに言い争いをしている三人を遠巻きに眺めながら、深い溜め息を吐く事になってしまった。普段からちーちゃんが怒ったら怖いのはよく知ってるけど、今回は麻弥とイヴがあっち側だ。

 

 

 ……止められる手立てが思いつかないよ。

 

 そう思って僕と彩が、荷物を部屋にあるベッドの上に置いた……次の瞬間。

 

 

「千聖ちゃん、麻弥ちゃん、イヴちゃん。すーっごく楽しそうなお話をしているね? それも颯樹くんや彩ちゃんを放り出す程に熱中しちゃって」

「はい? 一体誰かしら……!?!?!?」

「どうかしたんすか、千聖さん……うわぁぁぁ!?!?!?」

「お二人共どうしたんですか……ヒィッ!!!」

 

 

 突如として聞こえたその声に、今まで口論をしていた三人が目を向けると……そこには、黒い笑顔を浮かべて日菜の首根っこを掴んだまま此方を見つめて離さない……佳奈が立っていた。

 

 そして肝心の日菜はと言えば、既に意気消沈した様な抜けっぷりで、もう抵抗する気すら失せたのか……大人しく罰を受けていた。

 

 

 それを見た三人は思わず二の次が告げられず、ただその場に立ち尽くす事になってしまった。

 

 

「あれ? 良いよ、言い争いを続けても♪ 私は全然気に留めないし関わりだって無いから。その代わりと言ってはなんだけど……」

「「「あ、あぁぁぁぁぁぁ……!!!」」」

「三人とも。今からプロデューサーさんに頼んで、明日の休暇を無しにしてもらおっか。そして……今日のお夕飯と翌日の朝ご飯を、三人だけ抜きにするよ」

 

 

 その言葉が威圧感と共に聞こえた瞬間……ちーちゃん達三人は、普段なら絶対にしないと思っていた土下座謝罪を、その場でいとも簡単にやってのけた。

 

 その土下座をする様はキレイで、一糸乱れぬタイミングと角度でそれをやっていた。

 

 

「「……」」

「これで良かったよね? ……じゃあ、日菜ちゃんはここに置いて行くから、あとはゆっくりして来てね♪」

「え、あ……うん」

「ありがとね、佳奈」

 

 

 そう言って佳奈は部屋から退出し、呆然と立ち尽くす僕たちをその場に残して行った……のだが、直前で『忘れ物っ!』と言ってお菓子やジュースの入った袋を彩へと手渡して、そのまま出て行った。

 

 

 ……あのね、日菜も大概だけれども……キミも大概だと思うんだよ佳奈さん。残した爪痕が大きすぎて、僕と彩の二人だけじゃ収拾つかないんですが。

 

 

「……え、えぇっと……颯樹くん、どうしよう……」

「と、とりあえず……みんなを立ち直らせないとね。佳奈から飲み物やら何やらと貰ったから、ちょっと大宴会モドキをしようか」

「うん♪」

 

 

 そう彩と話を着けた僕は……放心状態になっているちーちゃんを始めとした、未だに固まっている四人を宥めにかかった。彩の方に麻弥とイヴを頼み、僕はちーちゃんと日菜を受け持つ事にした。

 

 

 ……そして立ち直った後に、二人から勢い良く抱き着かれてしまい、彩からの嫉妬オーラを受ける事になってしまったのはまた別のお話。




 今回はここまでです! 如何でしたか?


 次も今回の続きからです!


 それでは次回に……待て、しかして希望せよ!
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