彩りの少女たちとの日常   作:咲野 皐月

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 皆さま、おはこんばんにちは。

 この小説……何と一年二ヶ月ほど放置をしてしまっていた咲野 皐月でございます。お待ちの皆様、大変長らくお待たせ致しました(いやマジで申し訳ないです)。


 今回のお話は、前回の続きとなります。

 それではスタートです。


第四話

「それじゃあ……」

『かんぱ〜い(乾杯)!』

 

 

 その掛け声と共に各々の持つグラスを合わせ、注がれている飲み物に僕たちは口を付けた。テーブルの上には袋系のお菓子がパーティー開きの状態になっていて、箱に入ってた物は二枚重ねにしたティッシュの上に置かれていた。

 

 

 こんな感じで唐突に始まった宴会なのだが……これには、キチンと開催した理由がある。その理由と言うのは、今し方合流した……彼女に原因があるのだ。

 

 

「んっ……んっ、んっ」

「うわぁ〜。千聖ちゃん、すごい飲みっぷり……」

「相当喉が渇いていたんでしょうか……。それか、ココ最近のお仕事が大変だったから……とか、ですかね……」

「多分後者じゃないのー? 千聖ちゃんのお仕事って、かなりスケジュールがパンパンだったと思うんだよねー。もしかしたらそれなりにストレスが溜まってたのかも」

 

 

 麻弥と日菜がそう零すのを後目に、ちーちゃんはと言うとコップの中に注がれていたジュースを一息で飲み干して、テーブルの上に置いていた。

 

 

「……はぁ、はぁ……。連日のお仕事はやっぱり身体に堪えるわね……」

「あ、あの……千聖ちゃん? ジュースの飲み過ぎは、身体に毒だよ?」

「彩、お前がそれを言うんやないよ」

 

 

 僕は隣に居た彩を軽く嗜めて、ちーちゃんの方へと近寄った。普段の彼女であれば、これくらいの事など気にせずに平然としているのだろうが……今回ばっかりはさすがに疲れたのか、息切れが激しくなっていた。

 

 

「……ちーちゃん、お疲れ様。よく頑張ったね」

「……ええ、ありがとうダーリン。一週間ぶっ続けでの収録は大変ね……貴方が居なくて、私は西へ東へ駆け回る始末だったのよ……そのクセ、何をしてたかと思ったら、学校での授業もあったり、彩ちゃんのお仕事に付き添っていたとか……学校は仕方ないにしても、ダーリンは私のマネージャーじゃない……ちゃんと仕事場に来なさいよ……」

 

 

 そう言われると何も言い返せないな……。

 

 

「それにしても……みんなでお泊まりをするんだ〜と聞いた時は、本当に驚いたわ。まさか彩ちゃんが動いていたなんてね」

「い、いやぁ〜。それほどでも〜」

 

 

 ちーちゃんからの言葉を受けて、その本人である彩が顔を少し赤らめながら後頭部を右手でかいていた。事実、僕も彼女が原因だとは海に行く前の段階で薄々気づいてはいたが、さすがに宿泊施設を予約していたと言う件については完全に予想外だったのだ。

 

 

 普段から、もう少し先の先まで見据えた動きをして欲しいなと思っていたりするのだが、彩の性格的に少々難アリかなぁと言うのも本音だったりするのだ。

 

 

「さて……みんな食べている所申し訳ないけど、ここでひとつゲームをしない?」

「ゲーム……それは今この場で出来ることかしら?」

「うん! エゴサをする段階で動画サイトを見る事もあるんだけど、それを見ていたら面白そうなのを見つけちゃって!」

 

 

 彩が見つけた、新しいゲーム……? なんか何処となーく嫌な予感はするけど、食後の余興がてらやってみるのも面白いかもしれないね。

 

 

「アヤさん、そのゲームとは一体何ですか?」

「よくぞ聞いてくれました、イヴちゃん! そのゲームの名前は……『信号確認ゲーム』!」

『信号確認ゲーム?』

 

 

 彩から告げられたゲーム内容は『信号確認ゲーム』と言う物だった。僕はその動画サイトで軽く見た程度だが、そこそこ頭を使う物だったと覚えている。まさか彩がそれをやりたいと言い出すとは……人の流行りとは分からないもんだね。

 

 

 ちなみに、信号確認ゲームとはざっくり説明するとこう言う物である(ゲーム自体が初見という方や、ルールが分からないと言う方は下を見て頂けるとわかりやすいと思います)。

 

────────────────────────

 

【信号確認ゲーム ルール説明】

・自動車の信号機の3つの色と、リズムに合わせてその3つのお題(色)に見合った物体や景色、生物などを回答する(※ただし赤、青、黄等の配色では無く、赤、赤、青等のように最後だけ違う色の組み合わせで進行されるのが基本※)

・時折、三色全てが同色で出題される事があるので、その時はそれに該当する物を全て異なる物で回答しなければならない(従来の場合は赤、赤、青なら……リンゴ、リンゴ、空と言う様に回答する)

・前回答者が答えとして使用した語句は使用可能で、国民的キャラクター等の汎用詞も同様に使用可能

・リズムがつっかえたり、間違えたり、噛んだりするとペナルティ加算対象(他人の妨害や勘違いから発生するお題の誤回答もペナルティ加算の対象行為)

・3回ペナルティを受けた人は罰ゲーム執行(ちなみに拒否権は無い)

 

────────────────────────

 

「とま、一応確認がてら聞くんだけど……このゲームの経験者は?」

「私は経験があるわ。番組の企画で呼ばれた時に」

「ジブンも一応は。難しい色の組み合わせが来ると対応が難しいですが」

 

 

 麻弥とちーちゃんがこのゲームの経験者で、残り三人は今回が初体験か……僕はちーちゃんの方に呼ばれた時に見た事があるけど、ある意味でこれは『心理戦』の一面を持っていたような気がする。

 

 主に……天の声の気まぐれが、それを物語っていたりするんだけどね。

 

 

「じゃあ、始めよっかー。あたしはサラッとやればだいたいわかっちゃうし……天の声で参加しようかな〜『日菜、お前はダメ』ぶー、なんでさ〜」

「日菜にやらせると、確実に人を揶揄うパターンが想像着くから断固拒否」

「では、ジブンがやります。この手のゲームは殆ど後半に連れて難しくなりますからね……ここは、ジブンの腕の見せ所です!」

 

 

 少しのやり取りを経て……麻弥が司会者である天の声を務める事になり、残りの僕を含めた5人で、円形になる様に床へと座った。なお、その際にちーちゃんが僕の隣が良いとせがんだのだが、彩と日菜からの言葉に寄るダブルパンチで泣く泣く引き下がることになったのだった。

 

 

 ゲームの順番としては、麻弥から伝えられるお題を僕から回答していき、そこから時計回りに……イヴ→ちーちゃん→日菜→彩と回答し、2週目に入って僕まで回る様になるみたいで。

 

 まあ、このゲームの性質上、2週目以降が難しい配色も多くなって来るから、それが来た時にどう反応するのかも考え物かな。

 

 

「それじゃあ、颯樹さんから時計回りに始めますよ。準備は良いですか?」

 

 

 麻弥からの確認を受けて、僕たちは無言で頷く事で同意を示した。なお、この同意には『罰ゲームでどんな命令が降ったとしても責任を持って全て受ける』と言う意味もあったりするのだが。

 

 

「では、最初のお題です。赤、青、青」

「リンゴ、海、海」

「白、白、白」

「雲、豆腐、ご飯!」

 

 

 最初の僕とイヴは難無く回答が終わり、その次のちーちゃんもこれまた危なげなくクリア。日菜も順当にクリアしたが、彩がどうしても少しつっかえてしまう場面が多々見受けられた。

 

 ……と言うか、シレッと二番目のイヴに対していきなり白三色を並べるんかい! こりゃあ、麻弥は相当なスリルを求めてるらしいな。気を付けないと。

 

 

 そう思いながらもゲームを進めると、ある場面で展開が動いたのだった。それは、日菜の番に変わってきた頃だった。

 

 

「黄色、黄色、青」

「レモン、レモン、海!」

「紫、紫、紫」

「えっ、えっ!? えーっと……わかんないよぉ〜!」

 

 

 ……なんと、まさかの彩でストップだ。しかも、このゲームの発案者で一時停止など、前代未聞も良い所だろう。その影響からか、僕を含めた麻弥とちーちゃんの顔には驚きが出ており、日菜は何かのツボに入ったみたいで笑っていたが。

 

 

「あっははは! やっぱり彩ちゃんで間違えた〜!」

「笑うなんて酷いよ日菜ちゃぁん! それより、紫三色って何があったっけ……喉の奥までは出てたのに……!」

「あはは……。参考までに例として挙げるなら、紫芋や葡萄に桔梗などがありますね。他にも宝石の部類で見ると、アメジストがあるッス」

「彩ちゃん……貴女、発案者でしょう? 少しは確りしたらどうなのかしら……」

 

 

 そんな事をちーちゃんから言われたので、彩の顔に少し曇りが出てきていた。まあ、こればっかりは彼女の言う事が正しいので、何も言い返す権限などあった物じゃないが。

 

 

 その後ゲームは再開されたのだが……案の定と言うべきかは分からないが、彩で一時停止する事態が発生した。その度に笑い転げている日菜に関しては、そろそろ彩が本気で泣きかけている状態に気づいて欲しかったりする。

 

 まあ、ルールはルールなので、三度間違えた彩に関しては罰ゲームを受けてもらう他に道は無い。心の中で彼女に合掌を送りながらも、僕は彩に罰ゲームを執行する事にした。

 

 

「彩、三回間違えたから……後はわかるよね?」

「……うん。どんな罰でも甘んじて受けます……」

「これだと流石にアヤさんが可哀想です! どうにかならないんですか、チサトさん!」

「無理よ。彩ちゃんは三回間違えたもの……ルールに則って、罰ゲームを受けてもらわないと行けないわ」

「そんな……!」

 

 

 僕は確認を込めて彩に問い掛けたが、その彼女は今にも泣き出してしまいかねない状況だった。この状況で彩にここまで言わないといけないと言うのは、僕としてもあまりやりたくない事なのだが……こうなった以上は腹を括るしかあるまい。

 

 

 そして少しした後に、麻弥がある物を持って彩の前に歩いて来た。手に持ってる物からして、紙コップに何かを入れたらしいが……さて、何があるのやら。

 

 

「彩さん、気を落とさないで下さい。彩さんの提案した信号確認ゲーム……ジブンは楽しかったですよ?」

「麻弥ちゃん……」

「これでも飲んで、元気出して下さいっス」

「……うん、ありがとう。いただきます」

 

 

 麻弥から手渡されたコップを受け取り、彩はゆっくりその飲み物を飲んで行く。……何か嫌な予感がするのは僕だけかな。一応、麻弥に聞いてみるか。

 

 

「ねぇ、麻弥。これに関しては耳打ちで答えてくれて構わないんだけど……何を入れたの『……な、なにこれ……苦ぁぁぁぁぁい!!!!!!』?」

 

 

 僕が麻弥に聞くより先に、その飲み物を飲んだ張本人である彩が慌てて室内を走り回り始めた。そして台所のスペースまで着くと、蛇口を捻って水を飲む音が聞こえて来た。

 

 

 ……彩のこの様子だと相当苦かったらしいな。そう思いながら事の次第を見ていると、麻弥から遅れて説明が入った。

 

 

「彩さんが飲んだのは、センブリ茶です。先程佳奈さんから渡された袋の中に入っていたんすよ。ジブンも彩さんにお仕置がしたかったので、とても良い機会になりました♪」

「……エグッ」

 

 

 ……普段温厚な人が怒ると怖いって言うのは、重々承知だったのだが、涼しい顔で微笑みながらこんな事をやってのけた麻弥は、それの最たる例だと実感できるな。

 

 

 絶対に麻弥は怒らせないようにしよう。

 

 ……うん、たぶん……と言うか絶対にそうした方が平和的解決にも繋がるし、被害を広げないために一番最適解だ。

 

 

「日菜ちゃん」

「なーにー?」

「貴女も彩ちゃんみたいになりたくなければ、今の光景を確り覚えておきなさい」

「……はーい」

 

 

 そしてそれを見ていた三人の中でも、麻弥に対するある一つの確定事項が出来つつあった。……マジで麻弥は怒らせちゃいけない……ヤバっ、思い出しただけでも身震いが。




 今回はここまでです。如何でしたか?


 次回は……いよいよ、Pastel*Palettesの夏休みオフPartが、ついにラストを迎える予定でいます。今回のお話の続きから始めますので、まだ前三話を未読と言う方は、この機会に覗いて見ては如何でしょうか?


 それではまた次回の更新にてお会いしましょう。
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