彩りの少女たちとの日常   作:咲野 皐月

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 皆さま、おはこんばんにちは。ここ最近は初めてのヴァンガードのBOX購入&開封……そしてデッキ構築にリモート対戦と、を行なっていた咲野 皐月です。


 今回はホラゲーPartの三話目をお届けします。

 前回の後書きにて注釈していましたが、ここから先のお話ではホラー及び凄惨な描写……他には、都市伝説の要素を一部で含んでおります。

 もし、その都市伝説に興味がありましたら、お話を呼んだ後に閲覧をするのは自由ですが、その後の事に関しましては私の方では一切責任を負いませんので、自己責任でお願い致します。


 それでは、スタートです。


第三話

「……あー、疲れた。ったく、あの主演俳優は何を考えてんだか……今日は一日撮影があるって分かってた筈だろうに、何でこんな時に体調不良を起こすかなしかも流行り風邪!」

「それはあの人の自業自得よ。結果的に開始時間は少しだけ遅れたけれど、撮影出来て良かったじゃない♪」

「ま、それはそうなんだけどね」

 

 

 僕は陽も西に傾いた夕空の下を、ちーちゃんと一緒に愚痴を零しながら帰っていた。つい数十分前まで、僕たちはドラマの撮影をするスタジオで撮影を行なっていたのだが……何とその作品に主演で出るはずだった俳優さんが流行り風邪に罹り、数日の間自宅待機と言う知らせが届いたのだ。

 

 

 それを聞いた僕たちスタッフは、急遽代役を立てる事にしたのだが、ここぞと言う時には京介に頼りきりだった事を寸前で思い出し、その場に居るメンバーの中で選出する事になった(そこで思い出したのが僕だけ、と言う笑えない事態だったが)。

 

 とりあえず数日は代役で何とか繋げるものの、今後の状況を警戒しながら様子見をする、と言う展開で今の所は落ち着いていた。

 

 

 ……ちなみに余談なのだが、その時のスタッフさんや共演者の人たちの目が何かを懇願する様に僕へと向けられていた事は、また別の話である。

 

 

「全く……流行り風邪に罹るのは仕方ないとしても、自分で自分の身は護るのが普通だろうに」

「そうね。もし貴方が流行り風邪に罹ったら、仕事を休んででも私が看病してあげるわね♡」

「……お気持ちだけで結構です。と、そろそろか」

 

 

 隣に居た彼女からの戯言を一蹴した僕は、少し歩いた先で足を止めた。この辺りは一軒家が建っている事が多く、僕やちーちゃんの自宅もその例に漏れなかった。そして僕たちの家は隣同士であり、何かあったら直ぐに駆け込める様になって居たりする。

 

 

 ……家の電気が着いてると言う事は、みんなもう揃ってるって事かな。何も連絡が届いてないから、キチンと合流出来たのかとか心配になったけど、この様子だと僕の不安も杞憂に終わったみたいだ。

 

 そこまで考えながら、自分の家のドアノブに手を掛けようとしたその時、突如として柔らかい感覚に襲われた。

 

 

「……ちーちゃん」

 

 

 僕に抱き着いていたのは、やっぱりと言うべきかちーちゃんだった。彼女曰く『これをしないと落ち着かない』との事だったのだが、僕で満たされてしまっては後々が大変な気がすると思っている。

 

 

「……やっぱり、貴方の匂いは最高。落ち着くわ」

「……こんな家の前でそれは止してよ、恥ずかしい」

「それじゃあ、また明日。おやすみなさい♡」

 

 

 僕の匂いを一頻り堪能したちーちゃんは、するりと離れて自分の家の中に入って行った。それを見た僕も自宅の中に入ったのだが、次に飛び込んで来たのは目を疑う光景だった。

 

 

「ただいま〜。みんな揃って……」

「お邪魔してます、颯樹さん(先輩)」

『あっ』

 

 

 ……僕が家に入るなり目に入ったのは、キッチンに立って料理をしているであろう京介とつくし……は、まだ良い。問題はと言うと、リビングで寛ぎながら何やら包み紙から取り出している他の三人だった。

 

 そのうちの一人に関しては、オロオロと左右を見渡して助けを求めていたのだが、残りの二人に関しては、チラッと見えた限りでは一口齧った後が見受けられた。

 

 

「……日菜、透子……」

「さ、颯樹くん!? これは、私が……その……!「彩は気にしなくていい。アイツらに言い包められたんだろ?」……はい」

「あとは僕に全部任せて。彩は今包みを開けた物をもう一度包んで。そして京介たちを手伝って」

 

 

 僕は一言そう言うと、状況も分からずにいた彩を、料理の真っ最中であろう京介たちの所へと向かわせた。これで多少はやりやすくなったかもしれないな。

 

 ……さて、問題は。

 

 

「やっぱり元凶はお前らだったか」

「さ、さっくん!? こ、これには琵琶湖よりも広くてマリアナ海溝よりも深〜い事情があって!」

「そ、そうですよ! それにその顔……アイドルのマネージャーがして良い顔をしてませんよ!?」

 

 

 ……何か言い訳をしたいらしいが、目の前に物的証拠があるのであれば、言い逃れなどできるはずも無いと言う物。それなら、此方もそれ相応の態度と言う物があるはずだ。

 

 

 人を唐突に誘って置きながら、料理も手伝わずに座り込んで……挙句の果てには、夕食の前だと言うのに間食を決め込もうとしている……これはもう、慈悲も何もあった物では無いし、後から言い訳など聞ける道理も無い。

 

 

「……お前たち。僕の家から花咲川学園まで、往復ダッシュをして来い。その際何処にも寄り道などするな。真っ直ぐ往復できたのなら、一時間は掛かるかもしれないが、そう時間は取らないはずだ」

「さ、さっくん……な、何言って……」

「今から花咲川までダッシュって……辺りも暗くなってるんですよ!? そんな中を女の子二人だけで走れと」

「良いから……行け!」

 

 

 僕はしどろもどろになりながらも言い訳をする二人に向かって、短く一声告げた。それを聞いた二人は顔を青ざめながら家を出て、全速力で花咲川学園まで走り始めた。

 

 

 ……全く、二人は一体どう言う神経してんだか。

 

 その光景を見ていた三人から語られたのは、僕の背後に幾多の武器を携えた阿修羅が見えていた、との事だった。僕自身はそんなつもりで言ったつもりは無かったのだが……そう思わせてしまった事に対しては、本気で謝罪をする事で何とかその場は治まった。

 

────────────────────────

 

「……え、全員分より多めに作ってて全部無くなるとかアリな訳?」

 

 

 透子と日菜へのお仕置も済んで暫くした頃……僕はコンロの上に置かれている鍋の中身を見て、少し驚きを隠せずに居た。

 

 今回は事前に大人数で泊まりに来る事が分かっていたので、それならとカレーをしようと計画し、仕事で遅くなるから京介たちに買い物をお願いしていたのだ(ちなみに料理前の時点で、かかった材料費等は此方で補填しました)。

 

 

 ……それが、一日のうちでこれだ。日菜の大食いはいつもの事だが、今回は相当な遠慮知らずが居たものだと改めて感じてしまう。

 

 

「いやー、颯樹先輩の作るカレー、本当にマジで美味しかった〜! シロやななみにルイも来れば良かったのに〜」

「仕方ないよ透子ちゃん。みんな今日は予定があるって言って断ったんだから……」

「でも、透子の言った事にも納得だ。冗談抜きで美味しかった」

 

 

 ……そう。料理中の段階で、京介からの情報にはなるものの、つくしが緑の野菜をあまり好まないと言う事は聞いていたのだが、蓋を開けてみればどうだ……思いの外、一杯だけなのはまだ分かったが、カレーに使ったほうれん草も綺麗に食べていた。

 

 まあ、つくしに関して言うなら……京介からの説得の賜物と言うのも、あったりするのだろうが。

 

 

「しかし、そうなると彩さんたちが羨ましいよな〜。だってこんな美味い物食べてたんなら、色々変化しててもおかしくないし」

「あ、あはは……私たちは普段美味しい物を食べてる代わりに、色々とビッシリ扱かれてるから……」

「……何か、想像出来ました」

 

 

 ……それは、本当にごめんとしか言えないよ。

 

 

「じゃあ、早速やっちゃいますか? ななみが見つけたゲーム、持って来てますけど」

「透子ちゃん。食べていきなりは流石に考えようよ」

「んー、あたしは別に良いけど〜、彩ちゃんはー?」

「私? 私は先にゆっくりしてお風呂に入って、歯磨きをして、もう寝る準備まで出来たら、が良いかな〜」

 

 

 と言うか、京介以外の4人とも、食べた後の食器とかの片付けあるの忘れてないよな……と思ったが、そこら辺については全員が留意してた様で、ほっと一息吐く事が出来た。

 

 そして片付けやお風呂等の諸々も済ませて、僕たちはもう一度リビングにあるテレビの前へと集合した。

 

 

「それじゃあ! 気を取り直して、早速ゲームを始めましょっか!」

「おー!」

「エラくノリノリだね、透子……」

「やっと本題に入れるから嬉しいんですよ。ま、つくしの前で大遅刻をやらかすアクシデントこそありましたけど」

「……なるほどね」

 

 

 なぁるほど。アイツらは僕と合流する前にも、何か粗相をやらかしていた訳か。その点に関しては、後でミッチリお仕置をしようと心の中で決意する事になった。

 

 

「で? 今回やるゲームって何なの? 透子」

「誘ったからには、お前は当然知ってるんだよな?」

「まっかせて下さい、颯樹先輩にきょーさん! 今から挿し込んで準備をするので、少し待ってて下さい!」

 

 

 そう言って透子は、ゲーム機の本体にカセットを差し込んで、僕にコントローラーを渡した後に他の三人と一緒に画面が見える様にスタンバイをした。

 

 

 まさか、透子も知らないってオチじゃないよな……。

 

 そんな事を思いながらも、僕は隣に座っている京介を少し手招きをして呼び、テレビ画面に意識を向ける事にした。

 

 

 

「……ん? 何これ〜、ゲームにしてはオープニングが無い様な気がするんだけどー?」

「……何だこれ。えっと『怪異症候群』……?」

「怪異?」

「症候群……ですか?」

 

 

 僕たちの目の前に飛び込んで来た物はと言うと……広く世間一般で言う所の、所謂『ホラーゲーム』と言う物だった。テレビ画面の右部にはゲームタイトルが白字で記載されており、中央より少し下に三つの選択肢が出ていた。

 

 ……まあ、そのタイトルの『症』と言う文字が赤く記されていた事に関しては、ゲームの仕様上そうなっているのだと納得出来たのだが。

 

 

「そう。これは俗に言う『ホラーゲーム』だね。たまに某有名動画サイトの閲覧をしてると、時折見かけるんだ」

「「ひぃぃぃっ!!」」

「そ、そうか……七深が見つけたと聞いた時は、もしかしてとは感じていたが、これがそうか」

「ねっ、ねっ! 面白そうですよね!」

「あたし早くやりたーい!」

 

 

 この時点から既に乗り気な日菜&透子ペアと、恐怖で肩を抱き合っている彩&つくしペアを見て、僕と京介は心の中で同じ想いを抱いてしまう事となった。

 

 

 そしてゲームはタイトル画面から切り替わり、とある風景が出て来た。そこではデフォルメにされたドット風のキャラクターが、一人でパソコンに向かい合っていた。

 

 それを見た日菜と透子は、少しだけ拍子抜けと言う様な顔をしていたが、彩とつくしはホッと一息吐いていた。

 

 

「なんだ、最初から怖い訳じゃないんだ……」

「心臓に悪いです……出来る事なら、このまま怖いシーンなんて無い方が私としては嬉しいんですが……」

「えー、なんか退屈ー」

「そんな事言わない。ホラーゲームの最初はだいたい何でもない風景だ。そこから場面が切り替わって本番なんて、そこら辺にゴロゴロとあるんだから」

 

 

 僕が日菜のボヤきにそう窘めると、京介からも続けて彼女は苦言を貰った。さすがに今は物足りないと思うかもしれないが、怖くなるのはこの後からだったりするのだ。

 

 少しテレビの画面を眺めていると、突然雷が落ちる音が聞こえた。これはゲーム内の演出の一つなのだが、これだけでもかなり驚いた者が二名居た。

 

 

「「ひゃぁぁぁっ!?!?!?」」

「あっははは! 彩ちゃんとつくしちゃん、雷が鳴っただけで悲鳴あげるなんて面白ーい!」

「「日菜ちゃん(先輩)っ!」」

 

 

 彩とつくしが驚いたのを面白がったのか、日菜は笑いながらそう指摘した。それを聞いた二人は、涙目を浮かべながら日菜に名前を呼ぶ事で軽く叱責を飛ばした。その近くでは透子がいつもと変わらない様子だったので、僕と京介は揃って溜め息を吐く事となってしまった。

 

 

「……もうすぐゲームの本編が始まるんだが、あの4人は大丈夫なのかな……」

「ま、始まれば嫌でも味わいますよ」

「そうだね」

 

 

 そんな事を話しながら、僕たちはホラーゲームを遊ぶ事にしたのだった。画面に浮かぶ……『ひとりかくれんぼ』と言う最初の章タイトルと共に。




 今回はここまでです。如何でしたか?


 次の話からは、本格的にホラーゲームの内容に入っていきます。皆さまの知っている内容がありましたら、ぜひそれを頭の中で想像しながら読んで貰えますと幸いです。


 それでは、また次回。

 次の更新日時は未定ですが、作品としては『新日常はパステルカラーの病みと共に(Rev.)』を予定しております。まだ今年の間で更新ができていない作品もありますが、気長にお待ち頂けると嬉しいです。
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