三玖を愛する転生者の話   作:音速のノッブ

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元々、タイトルは『名探偵(?)と5人の容疑者達』ってやつだったんですけど、投稿直前に思い付いたのが上のタイトルです。


火野少年の事件簿

退院した翌日から上杉が家庭教師に復帰する事になったので、今は俺と一緒にマンションに向かってるなうである。

 

「いやー、良かった良かった。マジで1人で5人見るのは中々にキツかった…………」

 

原作ではたぶん上杉1人で面倒を見てるんだろうし 、ほんと凄いよな。

 

「俺がいない間、ちゃんと教えてたんだろうな?まさかずっとアニメや漫画を仲良く鑑賞してたとかはないだろうな??」

 

「お前は俺をなんだと思ってるんだ」

 

給料を貰ってる以上、そんな事をする訳がないだろうが!

 

「安心しろ。お前がいない間、この総悟君はめっちゃ頑張ってたんだからな。事件も何もなく家庭教師の使命を全うし…………………いや、強いて言うなら1つ事件があったな。もう解決済みだけど」

 

「事件?」

 

「お前が退院する3日前の出来事なんだが─────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「あー眠い…………久しぶりにとある科学の超〇磁砲を寝落ちするまで見てたから眠くてしょうがねぇ………」

 

玄関で靴を脱ぎながら呟く俺氏。昨日は何時に寝たのかすらもう分からん。ただ、明日は家庭教師の仕事があると言うのに見たのは失敗だったな。まぁ反省はしてるが、後悔はしてない。

 

「ふあぁぁぁ…………やー、諸君。頼りがいのある学園都市第1位の男が来……………ま」

 

「………………!」

 

バスタオル姿のお風呂あがりの誰かに遭遇。ふむ……………これはアレだな。良いものを見させて貰いま

 

「変態!」

 

「ペプシ!?」

 

テレパシーで心の内を読まれたかのように、そう罵られながら持っていた紙袋を投げつけられて顔面直撃。学園都市第1位じゃないので反射しなかったのは言うまでもない。紙袋が顔面に当たって床に落ちると、中から紙が5枚出てくる。

 

「ん?………って!?」

 

紙を見た俺はさっきの誰かがいた方を向くが、もうそこには誰の姿もなし。逃げられた後、と言うやつだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10分後、俺は5人を緊急招集。さっきの事を全部話した。

 

「────と、言うわけだ。この中の誰かが俺の顔面にぶん投げた袋の中に入っていたのは、先日俺が課題で出した、しかもご丁寧に名前の破られた小テストだった。採点してみると5教科全部0点と言うね」

 

バスタオル姿だったのに加え、声も聞き逃してたので誰なのか分からなかったんだよなー。声をちゃんと聞いてれば分かる自信があったんだけどなぁ…………べ、別に良いもの(意味深)を見るのに夢中だったから聞きそびれたとかじゃないからな?(震え声)

 

「さぁ、犯人は素直に自首しなさーい」

 

「「「「「……………」」」」」

 

…………無言。誰も名乗り出ない。

 

「名乗り出ないなら、犯人は四葉って事で、適当に見繕うぞー」

 

「当然のように私が疑われてる!私は全教科0点なんて取ってないですって!適当に見繕わないで下さいー!」

 

本当ですかねぇ……………はっきり言うと、四葉が1番勉強が出来てないので犯人の最有力候補なんだが。

 

「あの時に見分けられてればもう解決だったんだが、出会ってまだそこまで経ってないからか、顔だけじゃまだ見分けられないんだよなぁ…………ユー達はよく判別がつくな」

 

「そりゃそうよ。こんな薄い顔なんて三玖しかいないわ」

 

「こんなうるさい顔は二乃しかいない…………薄いってなに?」

 

「うるさいってどういう事よ!」

 

「ええい、喧嘩はやめい!」

 

にしても、三玖が薄いとは失礼しちゃいますよ。まぁ、二乃がうるさいのは否定しないが(おい)

 

「火野さん、良いことを教えますよ。お母さんが言ってました。『愛』さえあれば自然と分かると!」

 

「『愛』ね…………」

 

俺はまだ『愛』が足りないって事なのかー。なら───────大地よ、海よ。そして生きている全てのみんな………。このオラに、ほんのちょっとずつだけ『愛』を分けてくれ…………!!

 

『元〇玉』ならぬ『愛玉(ラブボール)』──────つまらんジョークはさておき。

 

「あ、そうだ。ほくろで見分けられるよ」

 

おお!三玖さん、そりゃお手軽ですな。

 

「どこにあるんだ?」

 

そう尋ねると、何故か三玖はソファーに寝転がる。

 

「え、えっと…………ソウゴになら見せても………」

 

え。まさか、ほくろがあるのって────?

 

「ダメです!そもそも犯人のほくろを見てないと意味がないでしょう!」

 

「…………確かにぃ」

 

五月が余計なゲフゲフン………正論で止めてくれた。確かに姉妹がいる所では色々と不味いからね、しょうがないね……………………はぁ………。

 

「ソウゴ君、実はね………私たちには隠された6人目の姉妹…………六海はいるんだよ。彼女が犯人かも」

 

「……………へぇー。で、どこにいんの?」

 

「それはこの家の誰も知らない秘密の部屋に!…………そ、ソウゴ君?指を鳴らしながらどこに行こうとしてるのかな……?」

 

「秘密の部屋ってのは壁をぶち抜いた先にあるのが鉄板だからな。今から一花姉さんの部屋の壁をぶち抜いてくるわ」

 

「ま、待って!六海なんていないから私の部屋を穴だらけにしないで!」

 

閑話休題(茶番はさておき)

 

「結局、有力な手掛かりはこの答案か」

 

一花姉さんならもっと雑だろうし、二乃はファイリングしてるらしいから四つ折りにはしないだろうし、三玖よりは字が上手くなくて、四葉より漢字が書けていて、五月なら消ゴムで誤字を消すだろうし…………うーん、一貫性が皆無。あー、もう!

 

「犯人捜しが面倒になったので、元々今日やる予定だった確認テストで犯人を見繕う事にしたっ!内容はこの小テストから全部出てるから、これが解けなかった奴を犯人に認定&罰ゲームとする!」

 

「ば、罰ゲーム!?」

 

「そんな無茶な!」

 

四葉と五月が何か言ってるが、知らん!

 

「ついでに解くのが一番遅かった奴も犯人に認定!はい、スタート!」

 

「わーっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「(ふっふっふ…………追い詰められたね、ソウゴ君)」

 

五つ子たちがテストを解いている中、心の中で笑っている人物がいた。その人物────否、犯人は一花。バスタオル姿を見られて袋を顔面に直撃させたのも彼女である。

 

「(あの時はびっくりして追い返しちゃったけど………逆にそれが功を奏したみたいだね。みんなに悪いけど、さっさと終わらせよっかな)」

 

テストを解いている姉妹たちを見ながら、一花は答案を5人の中で1番の速さで埋めていく。

 

「(小テストの時は油断しちゃったけど、私だってやればできるんだから)」

 

そして最後の答えを埋めようとした時、一花は鋭い勘で総悟の意図に気が付いた。

 

「(…………そうか、筆跡!何食わぬ顔で筆跡を比べようとしてるんだ!危ない危ない…………)」

 

一花は消ゴムで消してから筆跡を変えて答案を書き直した。これで完璧、と一花は確信して声を挙げる。

 

「はーい、一番乗り!(あの短時間で髪を乾かせるのは私だけ。服を着る余裕はもう少し欲しかったけど…………君はフータロー君よりはちゃんと女の子を見ているけど、今回は君の敗けだね)」

 

「ふむふむ………」

 

総悟は渡された答案を眺めて頷く。そして次の瞬間、とんでもない速さで自分のリュックの中に手を突っ込み─────

 

ピコッ

 

「犯人見っけ」

 

一花はピコピコハンマーで頭を叩かれていた。

 

「な、なんで…………?筆跡だって変えたのに…………」

 

「こ↑こ↓」

 

総悟が指差したのは数学の問題のb=5と書いてある所だった。

 

「筆記体でbと書く生徒が(一花)いるのはちゃんと知ってましてねぇ……………筆跡を変えたようだが、ここを直さなかったのは爪が甘かったな!」

 

「や、やられた~!」

 

「アーッハッハ!」

 

勝ち誇った総悟はピコピコハンマーで肩を叩きながら高笑いをあげた。

 

「あのー、私達も終わりました」

 

「お疲れさん。一応見ておきましょうねー」

 

総悟は渡された答案を眺める。見ている内に何かに気付いていった総悟の顔がひきつっていく。

 

「…………五月の平仮名の書き方、三玖の『4』…………二乃の門構え…………四葉の送り仮名の間違い…………犯人のと同じですねぇ…………?」

 

先程、犯人は一花と述べたが────正確に言うなら一花は犯人の1人である。即ち

 

「オイィィィィィィ!!1人ずつ0点の犯人じゃねぇか!!」

 

「「「「「……………」」」」」

 

総悟のツッコミに5人は一斉に目を逸らす。

 

「何してんのよ一花、こいつが来る前に隠す約束だったでしょ」

 

「ごめーん」

 

「隠そうとすんな!成敗!」

 

ピコッ、ピコッ、ピコッ、ピコッ、ピコッ!

 

何故か一花もまた叩かれ、残りの4人にも総悟による超高速ピコピコハンマー叩きによる罰ゲームが執行された。ちなみに、三玖だけこっそり他の4人よりは優しくしていた。何らかの補正()が入ったのだろう。

 

「よくも0点のテストを隠したな!怒ったかんな~、許さないかんな~!今日はみっちり復習だかんな~!」

 

「何かキモいわね」

 

「シャラップ!!」

 

ピコッ!!

 

二乃のストレートな───でもまぁ、あながち間違いとは言えない発言が刺さった総悟はさっきより少し強めにピコピコハンマーで頭を叩くのだった。

 

その後、総悟によって全員まとめてみっちりスパルタ指導で復習させられたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「────とまぁ、そんな事があった訳よ」

 

「ったく、あいつら………」

 

「ま、みっちり復習したからもう大丈夫だ。と、そんな話をしてる間に到着っと」

 

オートロックで中に入り、エレベーターで最上階まで上がって突撃する。今日もちゃんと全員揃っていた。

 

「喜べ、今日から上杉が復帰だぞー」

 

「上杉さん!もう大丈夫なんですか?」

 

「心配するな、四葉。もう完全に治った。じゃあ授業を始める………………前にだ。お前らに1つ聞きたいことがある」

 

お、何かなーと注目していると、上杉は予想外の質問を繰り出した。

 

「この中で、昔俺に会ったことがあるって人ー?」

 

「「!」」

 

この前の病院での話を知っている俺と五月はその質問の意図がすぐに分かった。さぁ、誰か手を─────

 

…………しーん。

 

──────挙げない。多分いる筈なんだけど。会ったことを忘れてるのか、それとも忘れたフリ(・・)をしてるのか─────。

 

「…………そりゃそうか。そんな都合よく近くにいる筈がない。そもそも、お前らみたいな馬鹿があの子な訳ねーわ」

 

「ば、馬鹿とはなんですか!」

 

辛辣ぅ。五月がそう言うのも分かる。ストレート過ぎるからね、しょうがないね。

 

「間違ってねーだろ。火野から聞いたが、全員テストで0点を取って隠そうとしてたらしいな?」

 

「「「「「……………」」」」」

 

あ、また目を逸らした。俺にとってはデジャブな光景だが。

 

「俺が復活したからにはもう0点なんて取らせねーぞ。次の期末試験に向けて、授業を始めるぞ!」

 

教師2人に生徒5人─────久しぶりにいつもの光景が戻ってきた。うん、やっぱいつもの光景ってのは良いもんだネ!

 

to be continue………




おまけ

総悟「ジッチャンの名に懸けて、美食王に!!!俺はなる!!!!」

神様「色々と混ってんなー」

今日もこんな駄文を読んでいただき、ありがとうございました!

シン・エヴァがもうすぐ公開!やったやったー!

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