旅人はどこかズレている 作:歩みを止めた旅人
とはいえ長くなりそうなのでとりあえず一作品分で書いていきます。
他の話をするかは未定!
※今回は原神要素ほぼ皆無です。
ここはテイワット大陸のとある場所「じゃないぞ!おい!ここどこだ!?」...ではなく、よくわからない空間だった。周囲にはさまざまな形状の扉が浮いており一つとして同じものはない。前後左右だけでなく上にも下にも扉があるせいで、パイモンは方向感覚がおかしくなっていった。
「旅人もいないし、とにかく合流しないといけないぞ。一体どの扉が正解なんだ......あれ?」
あたりを見渡すと、ひとつだけ半開きになっている扉を見つけた。正直なところ不安しかないが、旅人を捜さないといけないと自分を奮い立たせパイモンはその扉へと飛び込んだ。
飛び込んだ先は、深い緑色の見たことない植物や背の高い木々に覆われた場所だった。
「見たことない植物だな。やたらでかいしそれに地面もジトっとしてる。ここは沼地か?とりあえず旅人を捜さないとだな!おーい!旅人ぉー!」
嫌な雰囲気がするその沼地をパイモンは独り、旅人を探しながら進んでいく。しばらく進んでいくと遺跡のような場所に着いた。もしかして探検でもしてるのでは?と思い中へと進んでいく。儀式を行うかのような広い場所を抜けるとそこには、
『グルルルルルウウウゥ...」
「わぁおっきい...まるでドラゴ......ドラゴンだぁぁぁぁ!」
『グオオオオオオオオオッ!!!』
緑色の肌に赤褐色の角や翼の生えたドラゴンがいた。かつてモンドで見たトワリンがイケメンに見えるくらいにはゴツく凶悪な顔をしていた。太い腕を振り上げ叩きつけてくる。パイモンはそれをなんとかギリギリで躱すことができた。次の攻撃が来る前に急いで逃げ出すパイモン。
「うへぇ、死ぬかと思ったぞ。でもあの巨体じゃ流石に追いついてはこな...なんかやたら速いぞ!?」
その巨体のどこからそんな速度が生み出されているのか、近くの木々や石柱を薙ぎ倒しながら追いかけてくるドラゴン。炎のブレスを吐いてきたと思ったら氷のブレスまで吐いてくる。再び振り下ろされる腕、倒れてくる石柱、逃げるパイモン。やがて広い場所へと辿り着くがその先は行き止まり。迫ってくるドラゴンを見てもうダメだと絶望するパイモン。次の瞬間、
「転んじゃうかな!?」
そんな聞き覚えのある声と共にドラゴンの目の前に液体が広がる。その液体はよく滑るようでドラゴンは足をバタつかせ立ち止まった。すると、
「やぁっと見つけたぞカラ○ン!このフェアリ○スターの面汚しがあぁぁぁぁ!」
どこからか現れた小柄な少女がドラゴンに向かって走っていく。それにしても聞いたことのある声だとパイモンは思った。そんな少女がドラゴンに向かって腕を振り上げ、
「これは私達に想いを託したカ○ラ様の分!」
炎の腕を地面から出現させ、
「これは大切な人を奪われたシー○ルの分!!」
連撃とばかりに氷の腕を出現させ、
「そしてこれはテメェ如きがベル○カード様で実験した分!!!」
ドラゴンの足元を爆発させ、
「そしてこれは!何度もテメェと戦わされてるワタシの分だぁぁぁぁ!!!!」
大きな筒を抱えて氷の光線を放った。相当ストレスが溜まってるらしく、ドラゴンに対しての攻撃が苛烈を極めていた。ドラゴンの攻撃をのらりくらりと躱し次々にカウンターを当てていく様は姿こそ違えど、どこか旅人に似ている。やがてドラゴンは飛び上がりどこかへと飛んでいってしまった。そこでパイモンは、少女に近づくことにした。
「助けてくれてありがとな!オイラこのまま死ぬかと思ったぞ!」
「無事で何より、キミに聞きたいことは幾つかあるけどまだ終わってないから帽子の中か上にでも居てくれると助かる」
少女は応えるものの目だけはドラゴンが飛んでいった方を見続けている。その視線が気になってパイモンも振り返ると、そこには先程飛んでいったドラゴンがブレスをチャージしていた。それを見た瞬間少女はパイモンを掴み全力で走り始めた。
「うわっ、何するんだ!そっちにいっても行き止まりなだけだぞ!」
「アイツの吐くブレスの色は青、来る属性は氷、攻撃の判定はあの石畳の切れ目まで!早く逃げるよ!」
少女はドラゴンに対して使っていた液体を地面にぶちまけるとそれを使い器用に加速していく。行き止まりにたどり着いた次の瞬間には、背後は一面氷の世界になっていた。
「いやぁ、相変わらずギリギリだね。少しでも遅れてたら今頃ワタシ達も氷像かな?」
「笑ってる場合じゃないぞ!アイツなんか迫ってきてるぞ!!」
「うん、チャージブレスの後は対の属性ブレスで突進だね。炎だから、右に避ける!!」
すぐさま炎を吐きながら突進してくるドラゴンを余裕を持って回避する少女、氷の世界は一瞬で終わりを告げ、元の景色へと戻った。
そして再び正面から睨み合う形になった。パイモンにとっては絶体絶命だが、少女はどこかスッキリとした顔をしていた。
「アハハ!満身創痍だなぁカラ○ン!もう飛ぶのも限界だろう?この一巡で倒してあげる!」
そう言うや否や拳を前へと突き出した。そして現れたのは
「それはもう見飽きたよ、ここまできたらテメェの負けだ!」
「最期は派手に吹き飛べ!」
少女はすぐさま
「チェックメイト、ワタシの勝ちだ!」
大爆発を引き起こした。やがて光が収まると、ドラゴンは影も形もなくなっていた。跡形もなく吹き飛ばしたのだろうか。
「お、お前すごいな!あんなドラゴンを1人で倒すなんて!」
「あはは......いやいや、今回は運が良かっただけだよ。ま、なんにせよ倒したことに変わりはない。街に帰ろうか。お腹が減ったよ」
「オイラも着いていっていいか?お腹もぺこぺこだしこの場所についても何も知らないんだ」
「うんうん、いいよいいよ。ワタシの知っている範囲で良ければ教えてあげよう。ワタシもキミについて色々聞きたいからね?ほら、街はあっちの方角だよ、街っていうか村かな?とにかく行こう」
そう言ってパイモンを急かす少女、少女を追い抜きパイモンが少し離れた時、旅人は振り返りニヤリと笑う。
「...次は素材のためにフルレイドでくるから。よろしくね、カラ○ン?」
遺跡を抜け出し、沼地を歩くこと1時間、2人は小さな村へとたどり着いた。2人は適当な店へと入り、料理を片っ端から注文していく。やがて大量の料理に囲まれつつ、談笑をしていた。
「なるほど、パイモンはこことは違う世界から変な扉を通ってやってきたんだね?旅人って言う相棒を探して...」
「そうだぞ、こんな不思議な話をしているのにお前は驚かないんだな」
「まぁ、ワタシもタイムマシンに乗って未来からここに来たからなぁ...どことなく親近感が湧くよ」
お互いの軽い身の上、互いの旅の目的、いろいろな話をしているうちにパイモンはふと少女の名前を聞いていないことに気づいた。
「そういえば、お前の名前はなんて言うんだ?」
「さてね、名前はあった気がするけど時間転移の影響でか忘れてしまってね、アカデミックの冒険者だからデミ子とでも呼んでくれ」
少女、デミ子は頭をぽりぽりと掻くとそう答えた。特に気にしてる様子はなかったのでパイモンは軽く謝ると話を再開した。
「しかし帰る方法かぁ、時間転移で使ったタイムマシンは魔物化してしまったしこういう時にこそ役立つであろうジャ○ミンとは敵対してしまったからなぁ...」
「どんなことでもいいんだ、あやふやな情報でも怪しい話でもなんでもいいから何かヒントになりそうなことはないか?」
パイモンの口から出た言葉にデミ子は一度目を閉じると何かを思い出したのか口を開いた。
「あやふや、曖昧、時間転移、もしもの可能性に賭けることになるけどさ?失われた時間の廃墟へ行ってみないかい?そこなら何か起こるかもしれない」
失われた時間の廃墟とは、過去と現在が入り乱れた不思議な空間になっている廃墟だ。過去で起こしたことを現在に引き継ぐことで道を切り開いていく場所なのだが、
「とはいえ、魔物が出るわ変なギミックがあるわでなかなか危険な場所だ。それでも行くかい?」
デミ子の言葉にパイモンは力強く頷いた。
少し時は経ち場所は暗い山裾、パイモンとデミ子はしばらく歩き続け、失われた時間の廃墟へと辿り着いた。しかしデミ子はそのまま足を進めず、その場で回ったりアイテムを取り出したりと不思議な行動を2分ほど続けていた。
「なぁデミ子?お前何やってんだ?」
「ん?(クルクル)あぁ、これをやることで(ガサゴソ)道中に出る魔物の(ブンブン)難易度を下げているのさ(クルクル)」
「...なんの話だ?」
「あぁ、すまない。(ぴょんぴょん)これはキミの認識の外の話だね。(モグモグ)なに、気にしないでくれ(ブンブン)もうすぐ終わる(かちゃかちゃ)」
やがて不思議な行動が終わると彼女はようやく前へと進み出す。やがてテイワットでは見たこともない建築物の前に辿り着いた時、魔物が大量に現れた。
「うわ、なんかいっぱい出てきたぞ!」
「コボルドにゴブリンか、これくらいならワタシが戦うまでもないな」
そういうや否やデミ子は腕を振り上げ、
「アルフ○ッド!転送!!」
振り下ろした瞬間目の前に大きな樽のようなものが落ちてきた。そして中から遺跡守衛に似たゴーレムが現れた。アルフ○ッドは腕を振りまわし、叩きつけ、魔物たちを吹き飛ばしていった。
「いや、快適だね。ほら、この魔石に触れるとあの装置が作動するのさ。やってごらん?」
デミ子に促され、恐る恐る目の前の石に触れると中央にある装置が起動し、ゲートを開いた。
「おお!なんか開いたぞ!」
「あれが過去のエリアに転移するゲートだね。さぁ、潜ってみよう」
2人がゲートを潜るとそこは色が失われた過去のエリア、ではなく何もない空間だった。
「おや?これはワタシも知らないね?これは...」
デミ子はキョロキョロとあたりを見渡しているがパイモンはこの場所に見覚えがあった。
「ここ、オイラがいた扉の空間だ!」
「お?どうやら戻れたようだね、良かった良かった。それじゃあ、ここでお別れかな?」
「なんだか名残惜しいぞ。色々ありがとうな、デミ子!」
「お礼はいいさ、ほらあの開いた扉からキミを呼ぶ声がするよ?早く行ってあげなよ」
デミ子に急かされ、パイモンは示された扉をくぐる。
「また会おう、パイモン」
そして、
「......!...モン?......て、パイ...!起きろ!パイモン!もうすぐ昼だよ!」
「うわぁ!うるさい!って旅人!?」
叩き起こされたパイモンは旅人に驚き周囲を見渡し、
「夢、だったのか」
「どうしたの、パイモン?」
「...いや、なんでもないぞ。それよりお腹が空いたぞ!鹿狩りへ行ってお腹いっぱい食べたいぞ!」
「起きてすぐお腹いっぱい食べたらまた眠くなるよ?」
元気にモンドの街へ繰り出していった。
暗い扉が無数にある場所でデミ子は1人呟く、
「おかえりはこちら、か。随分と不思議な体験だったよ、パイモン。ワタシの声が聞いたことあると言ったのも、きっと偶然じゃないさ」
やがてデミ子の体から光が飛び出し、頭ひとつ分ほど大きな少女の形を作り出す。その分離した少女はデミ子の方を向くと静かに微笑んだ。
「XD-26...いや、カ○リナ、キミもありがとう。後ろの扉をくぐればアル○ェリンガに帰れる。今は色々複雑な心境だろうけど、キミにとって良い結末になるよう祈ってるよ。ひとつだけヒントをあげよう、"泣き虫なあの子"の端末を探すといい」
そう言ってデミ子の頭を撫で、扉の先へと送り出した。やがて少女は振り返り、自分がくぐるべき扉を見つけ、向かっていく。
「遠い未来の別世界で、ワタシとキミは再び会うことだろう。その時はよろしくね、パイモン?」
扉をくぐるその姿は紛れもなく、旅人であった。
というわけでパイモンの夢物語という名の別のゲームの創作ストーリーでした。
ドラゴンなネストです。
かのゲームで作者はアチャ子とデミ子を使っていました。
それにしてもこのデミ子、なかなかにメタい!
謎儀式はゲームの難易度選択をしているとでも思ってください。
※13日追記 少し迷った文があったので手を加えています。
ところでデミ子の声がなんで旅人の声と似ていたかって?
旅人もデミ子(PC版)もCV.悠木碧さんだからね、ちかたないね。
今後の反応を見て他のゲームもネタにするか決めようかな?