旅人はどこかズレている   作:歩みを止めた旅人

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前回のあらすじ
星の子の世界にやってきたパイモンは星の子達に案内され草原を抜け、雨林を越え、峡谷のスタート地点で旅人?に出会った。


パイモンと夢の中そのにのに

ソイツが言うにはここは星の子の世界、雪に覆われた峡谷で焚き火に当たるソイツは旅人の声で語り掛ける。

「ようこそワタシの夢へ、歓迎するよ...... ってどうしたんだい?眉間に皺なんて作っちゃって...パイモンがやると面白いだけだよ?」

「オマエ本当に旅人か?偽物じゃないのか?」

「じゃあ自己紹介でもしようか?ワタシはテイワット大陸にやってきた旅人で溺れかけてたパイモンを釣り上げてモンドで風魔龍事件を解決した栄誉騎士の旅人!趣味は宝探しとバグ探し!相棒のパイモンは非常食♪」

「誰が非常食だ!」

疑ったのも束の間、返ってきた返答にコイツは間違いなくあの旅人で間違いないと理解した。宝箱を見つけるためにマップ上を歩きまわり、崖を疑似陽華タパルトでぶっ飛び、世界"で"遊ぶ旅人だと。

「ところで、この世界の人...星の子だっけ?あの子たちは喋れないのにオマエは喋れるんだな」

「あー、いやね?あの子たちも喋ろうと思えば喋れるんだよ?ただ特殊なアイテムが必要なのさ」

この焚き火とかね、とぼやく旅人。魔法のアイテムさえあれば他の星の子達も喋れるようになると言う。

「ま、それは今は置いておこう。問題はキミが"目覚めるにはどうすればいいか"だね?」

「そうだな、今回はどうすれば夢から覚めるのかわからないぞ」

「前回があるのならそれを参考にすればいいんじゃないかな?前はどこの世界にいたんだい?」

前回の夢を参考にすればいいと言う旅人にパイモンはどうしたものかと考える。前の世界は魔物と戦って道を切り開くことで門を開いたと言える。だがこの世界には戦うべき魔物も戦うための武器もない。

「前回はデミ子の錬金術と過去に時間を戻す門のおかげでなんとかなったけどここだと戦うことも無いし時間に関する魔法もないぞ?」

「デミ子に時間の門かぁ、アルチェ○ンガなら確かにあるな。ふむ、となるとパイモンの行く場所はあそこしかないね」

「どこにいけばいいんだ!?オイラどこへだって行ってみせるぞ!」

帰る方法についてアテがあると語った旅人にパイモンは食い気味に反応した。旅人はそんなパイモンを横目に少し思案するようなポーズをとりゆっくりと口を開く。

「星の子達の使命は各地の大精霊へと祈りを捧げ、はるか先に見える山を登りその最果てに光を灯すこと。ここから見える嵐の山、暴風域を抜け原罪へ至る道、光を全て捧げ天空へ...」

そこならあるいはと語った旅人はどこか硬い声色をしていた。まるでそこへ行くことを拒否するかのように。

「どうしたんだ旅人?その天空ってところに行くのに何か問題でもあるのか?」

「あ、いや?その、えっとぉ」

どこか歯切れの悪い旅人にパイモンが心配そうに尋ねると暫く唸った後ポツリポツリと語り出した。

「星の子達の命の源は光だ。無数の光を集め、光りの迷い子達を導き、最果ての原罪へと送り届ける。光を捧げ天空へ行くということはね?命を全て投げ出し一度死ぬということなんだ」

「おい、それって!」

「星の子はその後天空へと還した光や精霊達の力を受け継いで転生することができるから特に問題は無い。しかしパイモンは星の子でも無ければ精霊でもない。ワタシが実体を持って案内できるのは原罪までだがキミはワタシの魂まで見ることができるかい?」

かなり厳しい場所だがついて来れるかい?そう心配する旅人にパイモンは力強く頷いた。

「怖いけど、オイラ言ったぞ?どこへだって行ってみせるぞって」

少し震えてはいるものの、決意に満ちた瞳を見て旅人は頷いた。

「わかった、じゃあ超特急で向かうとしようか」

旅人はそう言うとパイモンへ手を差し出す。その手を取ると旅人は素早く立ち上がり、雪山を一気に滑り降りた。氷のトンネルを抜け、崖から飛び出すと翼を広げ一気に神殿のような建物へと飛び込んだ。そのまま小さな祭壇に火を灯し道を開くと再び駆け出し競技場の坂を滑り降りる。猛スピードで駆け抜ける先にはもうゴールの神殿が見えた。神殿に飛び込んだ旅人は祭壇に祈りを捧げるのかと思いきや、着地することなく神殿の上へと飛び、天井近くに空いていた窓から外へと抜け出した。

「お、おい!祭壇は下だぞ!どこへ行くんだ?」

「ここはワタシの夢の中、あの時代の峡谷ならここから少し時間短縮ができる!」

神殿の外は先程の競技場、ではなく広大な海だった。旅人の進む先に風が渦巻いているのが見える。

「ようこそ峡谷神殿の裏世界へ、現実の星の子達の世界にはもう無い近道へとご招待しよう!」

「おい!なんかあの渦やばい雰囲気してるぞ!本気で飛び込むのか!?オイラ心の準備がっておい!やめ!」

明らかにやばい雰囲気の渦に2人は飲み込まれていった。ぐるぐると暫く回りながら落ちていくと、やがて薄暗い雰囲気の廃墟へと抜けた。地面に落ちる途中、不意に旅人が風の翼(魔法のケープというらしい)を広げると風に流されるように上昇し、一度も降りることなく奥に見えた遺跡の中へと向かっていった。

「ところでパイモン、この世界には敵になり得る生き物がいないって言ってたけどさ?いるんだよ、ほら」

「な、なんだあの黒くてでっかいの?」

遺跡の中でようやく着地した旅人は足音を殺して静かに歩き出す。そんな旅人が指さす方向には大きな黒い生き物が目を光らせ飛んでいた。

「あれは暗黒竜、星の子や光の生物達を襲う怪物さ。まぁその見た目から一部界隈ではエビって呼ばれてるけど」

「強そうな名前のインパクトが一瞬で消し飛んだぞ?」

「まあまあ、あいつらの動きは把握してるから任せてよ」

そう言うと旅人は翼を広げ飛び上がり、暗黒竜から見えない位置を素早く抜ける。外へと出ると暗黒竜が4匹もいたが、旅人は特に気にした様子もなく空へと羽ばたく。

「お、おい!たくさんいるのに大丈夫なのか?」

「大丈夫大丈夫♪あいつらの下しか見てないんだから」

遥か上を抜ければ大丈夫だと戯けて暗黒竜の頭上を真っ直ぐ飛んでいく。それにしてもかなり長い間飛んでいるのだが旅人は翼の光が尽きることがない、不思議に思い旅人を見ると何やらフラスコを取り出すと口に突っ込んで中身を飲んでいた。

「なあ旅人、それなんだ?」

「(ゴクゴク)んん?これ?リカバリードリンク。翼を回復できる。数に限りがあるから普通はここまでがぶ飲みしない」

空になったフラスコを投げ捨てる旅人、ソレは地面に落ちる前に光になって散っていった。その後も途中で翼を回復し、神殿へと向かう。しかし神殿には格子戸が降りており、中に入ることができなくなっていた。

「あれ?閉まってるぞ!どうやって入るんだ?」

「後ろに金色の円盤みたいなのがあるだろ?あれにロウソクの光を灯せば門が開くんだよ。そのかわりエビが3匹ここに解き放たれて迫ってくるがな?」

「ヒェッ!じ、じゃあ!どどど、どうするんだよ!」

「まぁこれくらいの隙間ならパイモン入れるだろ?先に抜けててよ」

そう言うと旅人は格子戸にパイモンを押し込んだ。案外幅広い隙間だったのでパイモンは抜かれたが旅人はどうするのだろうと振り返る。なにせ旅人はこの世界では最大身長らしくかなり背が高い。とてもじゃないが格子戸を抜けれそうに無いのだ。しかし旅人はギミックに近づくことなくほんの少し格子戸から離れると少しジャンプして突っ込んできた。するとどういった原理なのか、旅人は格子戸にぶつかることも隙間にはまることもなくすり抜けてきたでは無いか!

「......何したんだ?」

「判定を抜けた」

こいつはどこの世界にいてもバグなのか!とパイモンは只々呆れるしかなかった。よくよく考えれば峡谷の神殿も判定を利用して抜けているのだ、今更である。

神殿の中に入ると周りには目もくれず祭壇で祈りを捧げる旅人。正面の門が開き先へと進む。

扉の向こうは壁一面に棚が敷き詰められており四角い石が所狭しと並べられていた。

「ようこそ書庫へ、ここを登れば暴風域だ。ゴールは近いぞ?」

「いよいよだな!っておい、だれか近づいてくるぞ?」

もうすぐゴールだと張り切っていると2人の前に2匹の星の子が現れた。赤い帽子を被り、イタチ面を付け、白地に金の飾りのついたケープを纏った長身の星の子と水色のケープを纏った小さな星の子である。どちらもケープに溜め込んだ光は10個、旅人と同じベテランである。2匹は旅人に近づくと同時に話し始めた。

「「プワァ!プペー!」」

「パイモン、ちょっと待っててね?...コホン、ンワアアアア!」

「「プペー!ぺぺぺぺ!ンイイイイイ!」」

「プワッ!プワッ!ピー!」

「旅人も会話はソレなのか......」

鳴き声で会話?をする3匹、暫く鳴いていたが、やがて旅人が戻ってきた。

「パイモンを天空へと送り届けないといけないって言ったらこの2人が原罪手前まで案内してくれるってさ。コイツらワタシより飛ぶのもバグも上手いから爆速でいけるぞ?」

「お、おう(類は友を呼ぶ......か)」

話の展開についていけずただ頷くしかできなかったパイモンを掴むと旅人は小さな星の子と手を繋いだ。少し進み上にまっすぐ伸びた場所に着くと背の高い星の子が小さい星の子に何か合図を出す。それに合わせて2人が少しジャンプしたかと思った次の瞬間、4人は一瞬で遥か上に見えた天井スレスレまで飛び上がった。

「「プワァ!プペー!」」

「お、あっという間に最上階だな。やはり肩車ロケットは速いな」

「い、今何が起こったんだ...?」

「ワタシも厳密には分からん。互いに"肩車の上に乗る"と言う行為を同時に行うことでぶっ飛ぶらしい」

「???????」

パイモンは考えるのをやめた。旅人達は最上階の祭壇へと向かうと、祈りを捧げ、最後の門を開く。

「「プワワン!プペー!」」

「2人が言うようにここから先が暴風域だ、ワタシもここの最短ルートは慣れていないがこの2人になら安心して任せられるよ」

「旅人は星の子の言葉も分かるのか?」

パイモンの疑問に旅人は自分も星の子だからねと返す。門を抜けた先は突風が吹いており翼を広げ飛ぼうものならあっという間に吹き飛ばされてしまいそうだ。事実終始宙に浮いているパイモンは吹き飛ばされそうになっており旅人の背に必死にしがみついている。そんな暴風域の中でも案内人の星の子2人は構わず進み出し、崖から翼を広げ飛び出した。そして突風に逆らいながら上へ上へと羽ばたくと、やがて眼下に見える歩きのルートの先にある小さな祠へと真っ直ぐに飛び込んでいった。旅人曰くここがショートカットの第一関門らしい。難易度は普通だとか。

祠を抜けると、頂上から下に下にと吹き付ける突風とその風に流されて飛んでくる岩の雨が降る山道へとたどり着く。

「あの飛んでくる岩に当たったら羽が散る、地面から生えてる赤い石も触れただけでケープが光を失うからここから先は割と地獄」

そう愚痴をこぼす旅人だが案内人達は何度もここへ来ているのか、躊躇することなく駆け出し、そして翼を広げ飛び上がる。そして飛んでくる岩の上を飛び、ひたすら羽ばたいて奥に見える光るトンネルを目指す。

「ここは10枚羽ならいけなくは無いらしいがどうやったらできるのかワタシにはとんと見当がつかぬ。いつもおっかなびっくり岩を避け、エビから隠れながらあのパイプ周りを抜け、光を失い黒子になりながらあのトンネルに向かって歩くんだ」

このショートカットはワタシには理解できぬと愚痴る旅人はどこか遠い目をしていた。(鳥面つけてるから表情は読めないがそんな雰囲気をしている)

トンネルの中へ飛び込むと案内人達はようやく旅人から手を離した。

「「プワッ!プワッ!」」

「パイモン、この奥が原罪、ゴールだよ?案内してくれた2人ともありがとうね」

「ありがとうな!」

「「ンワアアアア!ンイイイイイ!」」

「じゃあ、また後でね?」

案内人達は手を振るとその場で祈りを捧げホームへと帰って行った。2人が消えるのを暫く見ていた旅人だが、やがてトンネルの奥を睨み進み出す。

「いくよパイモン、覚悟はできた?」

「いつでもいいぞ!相棒!」

2人は旅の終点、原罪へと歩き出した。




はい、ここまで4800字越えです。
ずいぶん書いたね?
残りは原罪と天空、そしてパイモンが目を覚ますところまでです。
実は原罪編まで書いてたのですが7000文字超えそうだったので一旦区切ることにしました。

続きも急いで書き上げるのでもう少しお待ちください。
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