旅人はどこかズレている 作:歩みを止めた旅人
原罪編スタートだぁ!
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長いトンネルを抜けると、そこは地獄であった。とまあ冗談はさておき、ここは原罪、赤い岩が雨のように降り注ぎあたりに人型の石像が沢山ある池であった。
「原罪、失われし者たちに光を...か」
「旅人!赤い石がめっちゃ降ってくるぞ!オイラはどうしたらいい?」
星の子に害のある赤い石が大量に降ってくるそこはまさに星の子にとっての地獄。パイモンは旅人に指示を仰ぐ。
「パイモンは何もしなくていい。赤い石はパイモンには害はないはずだから、ただワタシについてきてほしい」
確かに、赤い石は先ほどからパイモンにも当たっているのだが、光を失う感覚も、ぶつかった痛みも感じない。どうやら星の子にだけ害があるらしい。
「わ、わかったぞ。旅人はどうするんだ?」
「ワタシは今からここにいる石化した星の子63人全員に自分の翼を全て与える」
そう言うや否や旅人は池に飛び込み石像......いや、石化した星の子へと近づいていく。旅人が自らの胸を押さえると光のカケラが現れ、石化した星の子へと吸い込まれていく。
「ワタシの光のカケラは138個!赤い雨に打たれ光が尽きるのが先か!星の子達に配り終えるのが先か!いくぞ原罪!」
岩陰の燭台に火を付けながら星の子達に光を分け与える旅人。赤い雨に打たれ黒子になりつつも進む旅人だったかやがて岩陰のない場所へとたどり着く。その先にも無数の星の子達が見えるため、ここからは雨に打たれながら、光を散らしながらの耐久レースになるのだろう。
「ここまでに33人に光を与えた。残りの翼は97個。ここから先には30人だから...よし!全員救えるな!」
すでに黒子状態となり満身創痍にしか見えない旅人だが一度気合を入れ直すと、岩陰から飛び出し赤い雨の降り続ける場所へと飛び出した。赤い雨は容赦なく旅人を吹き飛ばし、光を散らす。星の子としての命を削りながらすでに石化した星の子達に光を与え続ける様は正直痛々し過ぎて見てられない。それでもそうしなければ天空へと至る道は開かれないのだから、パイモンは只々旅人を見守り続けた。そして、
「この子で最後!...よし!よし!28個残しで何とか全員を救えたな!」バリンバリン!
満足げに頷く旅人だが現在進行形で赤い雨に打たれ光を散らし続けている。今も3つほど吹き飛んでいった。
さて、63人全員に光を与えたのだから道が開くのかと思えばそんなことはない。パイモンは不思議に思い未だ光を散らし続ける旅人に問いかける。
「な、なぁ?石化した星の子達全員に光を与えたのに天空への道が開かないぞ?どういうことだ?」
そんな焦った声に旅人はクスリと笑うと優しい声音で返事をする。
「おや?パイモン、判定抜けや肩車ロケットみたいなバグによる爆速ツアーでここまできたから峡谷でワタシが言ったこと忘れちゃった?」
「え?原罪から天空へと送り届けるって話だったよな?」
「そうだけど、天空へ行くにはどうしないといけないのか言ったよね?」
天空へ行くにはどうするのか、パイモンは峡谷で旅人が言っていた言葉を必死に思い出した。
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「星の子達の命の源は光だ。無数の光を集め、光りの迷い子達を導き、最果ての原罪へと送り届ける。光を捧げ天空へ行くということはね?命を全て投げ出し一度死ぬということなんだ」
「おい、それって!」
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「おい、まさか!」
「あっはっはっは♪キミが思い出している間にもワタシの光は散り続け気づけば残り3個。0になれば準備が整う。さあ、ワタシ達の魂を天空へと運んでおくれ!」
光達について行くんだ。旅人はそこまで言うと黒子の姿が散り、青白い魂となって周囲を彷徨い始める。それは星の子の死。そう、死んだのだ。夢の中の出来事とは言え、星の子が、旅人が死んでしまった。宝箱に目がなく、バグを探してあちこちで大暴れする困った奴だが、それでも溺れかけていたパイモンを救い、モンドで風魔龍事件を解決し、璃月で人と仙人を繋ぎ、
「おい...おい!最後までオイラを連れて行ってくれるんじゃなかったのかよ!何で!何で!うわあああああああああああああん!ああああああああああああああ!」
大声で泣き喚いても旅人の魂は応えず、ただふよふよとパイモンの周りを回る。パイモンを元気付けるように、何も心配することはないと言い聞かせるように飛び回るのが悲しくてパイモンは泣き続ける。
どれだけ泣いただろうか...... いよ、実際はほんの数分なのだが今のパイモンには永遠にも等しかった。そんなパイモンの耳にパリンパリンと、何かが割れるような音が聞こえてきた。涙を拭いあたりを見回すと、石化した星の子達が次々に光輝き空へと飛び上がって行く。驚いて目を丸くしていると目の前の旅人の魂も周りと同じように眩しく光りだし、他の光る星の子達と同じ様な姿になると手を差し伸べてきた。
さあ、行こう!光の子は一切声を出さなかったがパイモンには確かにそう聞こえた。
「わかった、行こう!」
その手を取ると光の子は勢いよく空へと飛び出す。降り注ぐ岩をすり抜け、吹き付ける暴風を物ともせず、ただただ上へと飛び続ける。やがて雲を抜けると、星空が見えてきた。それでも尚光の子は飛び続け、空に浮かぶ建物を追い抜き、青い夜空を飛び越し、やがて何処を見ても漆黒の空と光り輝く星々が散りばめられた空の果て、天空へと辿り着いた。
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パイモンを連れた光の子がそこに降り立つと、先に到着していた63人の光の子達は一斉に光の玉となり、旅人だった光の子の中に吸い込まれていく。全ての光が1人に集まった後、光の子は急速に光を失い、やがて星の子の姿ではなく見慣れたテイワット大陸での旅人の姿へと変わった。旅人はどこかばつの悪そうな顔をしながらおずおずとパイモンに近づく。そして旅人が何かを言う前にパイモンが勢いよく飛び付いた。
「うわああああああああああん!ほんとに死んだかと思ったじゃないかああああああああ!」
「う、うん。その...ごめんね?」
「そんな一言で片付けるなああああああ!ばかあああああああああ!うわああああああああああああん!!!」
謝る旅人と泣き続けるパイモン。流石の旅人も今回は自分に非があると自覚しているのか、パイモンが落ち着くまで優しく抱きとめ背中をさすっていた。
「......落ち着いた?」
「うん、ありがとな旅人。ここが天空なのか?」
「そうだよ。ワタシの知ってる天空と少しばかり違うみたいだけど」
やがて落ち着いたパイモンに旅人は語り掛ける。本来の天空は天の川のような星の道がありその先にホームへと戻る石のアーチがあるのだが、本来アーチがある場所に見慣れない扉があった。その模様はどことなくテイワット大陸にある秘境の扉の模様に似ている気がした。
「あれはテイワット大陸に戻る扉で合ってるのかな?」
「前の夢で見た扉と同じだぞ!これで帰れるな!」
そう言って扉に近づくパイモンだったが、ふと後ろを振り返る。旅人は一緒にいるが彼女は扉に近づこうとしないのだ。
「なぁ、旅人は来ないのか?向こうで目が覚めるだけだぞ?」
「そうしたいのはやまやまなんだけどね、ワタシはそっちに行けないんだ」
ワタシはあくまでこの夢の世界の住人だからね、と旅人は寂しげに笑う。
「ワタシは確かにパイモンの知る旅人だけど旅人本人じゃない。夢の中のワタシは現実のワタシと記憶はリンクしてるけどあくまで別人。ここにいるワタシは星の子だから、テイワットじゃなくホームに帰らないといけない」
だからここでお別れだよ。そう言って旅人はどこからともなく黒いケープを取り出し鳥のお面を付けた。旅人はパイモンに手を振ると彼女の背後に現れた石のアーチをくぐり、姿を消した。パイモンは暫く石のアーチを見ていたがやがて振り返りテイワット大陸に戻る扉を開いた。
「じゃ、またな!
お疲れ様でした。星の子編全3部作、完結です。
結構すっ飛ばしましたよ?
第一部では始まりの孤島は全スルーして草原からスタートしたし、第二部も峡谷から暴風域までもバグを利用してかなーり省略してます。なんなら書庫は8割ほど内容が消し飛んでる!
そして第3部に至っては原罪と天空だけなのに第一部と同じくらいの文章量です。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
次回はテイワット大陸でお会いしましょう。