海賊王におれは・・・・・ならないから! 作:ダーク・シリウス
壊してしまった王城は作り直されることなく、ソルベ王国の国民達からの願いを断り切れずくまは―――古い教会に住む「国王」となった。だが、問題はすぐに起きた。
「は? ベコリ王、生きてたのか? 殺傷力100%のブレスで城諸共吹っ飛ばしたのに」
「どうやらそのようだよイッセー。しかもこの国に戻ってくるんだって」
「世界政府を味方につけ軍艦の準備もしているらしいと、先々代の国王ブルドックが言ってたわ」
「悪の支配者バーソロミュー・くま」と城を破壊したドラゴンの姿の俺と一緒に記事に載ってる新聞を渡された。
「ふーん、俺達のことは気付いていないようだな」
「どうするイッセー?」
どうする、か。それはくま次第ではあるんだがな。
「くまがこのまま国王としているなら、殺しきれなかった責任として返り討ちにしてやる。でもくまが自分自身でするなら、手伝いたいと思っている。本人が良ければの話だけど」
「手伝いとは、あの難病のことですかな?」
「ああ、天才科学者ベガパンクと会ってみたいしな。あわよくばこっちに引き込めないかと試してみたい」
「政府側の人間だぞ。できっこねェって」
さて、科学者だからな。頼み事ぐらいはできるかもしれないぞ。俺は悟った顔でガンヴァに口を開いた。
「ガンヴァ、科学者はな・・・・・いつも金欠なんだ」
「何だ突然」
「物作りは何時も金がかかるモノなのさ。おれ達のグラン・エレジアだって天竜人から奪った金を使って完成させたほどだ。つまり、膨大な金さえある環境ならば鞍替えしてくれる可能性も捨てきれないのさ」
「なるほど。グラン・エレジアは娯楽施設。毎月多額の利益が得ておりますから科学者にとって最高の金づるもといスポンサーとなりますな。ですが・・・・・」
ワオウが懸念していることを口にした。
「グラン・エレジアの利益を提供するほどの科学者でなければドブに捨てる行為ですぞ?」
「そいつはこれから直接確認すればいいだけの話だ。そしてその日は必ず近いだろうよ」
そう宣言してから数日が経ったある日。警邏していたセルバンテスから沖に三隻の軍艦がソルベ王国に迫っていると知ったおれ達はくま達に「ベガパンクを探しに行くからここで待ってろ」と一言告げてから、海に出て軍艦にいた愚王諸共・・・・・。
「今度は直接、だ」
「こ、殺せ海軍!! この―――ぎゃああああああ!!!」
当然全てを沈めた―――。
「大量です♪」
「本当にお前は悪徳坊主だな」
「海に沈むより有意義に使う方が金品や食料も幸せですぞ」
沈む前におれ達が戦っている間に軍艦から全ての物資を拝借したワオウ。おかげでうちは潤うが、生粋の坊さんがする事じゃないのは確かだな。
「それじゃ、このままベガパンクのところに行くぞ」
「くま野郎はいいのか?」
「ああ、いい。くまを犯罪者にしたくないからセルバンテスに警戒してもらった。いつか自分で探しに海へ出ると思うけど、それならそれでいい。いつかどこかの海で会えるかもしれないから」
船はそのままソルベ王国を後に進んだ。ベガパンクを会いにしばしの別れだ。さて、どんな人間だろうなベガパンクさんとやらは。
―――新世界 冬島
目的の人物がいる島に辿り着いた。当然ながらこの島は海軍と政府の直轄の島だ。ここで暴れればあの勢力も黙っちゃいないがおれ達には関係ない。
「皆はソルベ王国に戻す。そこで待ってくれ。俺が説得してくる」
「わかった。行ってらっしゃい」
ソルベ王国の海岸に船ごとヤマト達を転移魔法で送還。赤い龍の鎧を着込んだ状態で機械の研究所へ侵入を果たす。・・・・・何だあの頭、頭蓋骨と脳がどうなっているんだと思うほど風船がパンクしそうな長い頭になっているぞおい。おまけに童話から出てきた感じの格好と大きな鉞を持っている男もいるし。どっちも俺に気付いていないようだな。
「お前がベガパンクか?」
「「!!?」」
片やビックリしすぎて頭を強く打ち、片やようやく俺の存在に気付いて臨戦態勢の構えを取った。
「だ、誰だ!?」
「ベガパンク、あんたの科学の技術を見込んである母親と娘の病気を治してもらえないか?」
「な、なんじゃと? そのために私に訪ねてきたのか」
そうだと頷く。
「病名は知らないが、細胞レベルで日の光と月の光を浴びると体に石が出来る特徴の病気だ。知っているか?」
「・・・・・それは“青玉鱗”じゃな。治る」
おお、知っている上に治せるのか。来た甲斐があったよ。
「方法は?」
「新しい幹細胞を作り移植する。結果サイボーグを作る様な手間と費用が掛かる」
「サイボーグを作れるのか、やっぱり」
「じゃが、クローン兵の素体となる人材が見つからん。もしもその素体の人材と莫大な手術費を提供してくれるなら治してやろう」
「うーん、クローン兵の方は当人が良ければいいと思うが、素体は心当たりがあるぞ。手術費はおれが払う」
「ぺぺぺ!! 話が早い!! では私はここで待って―――」
「いや、すぐだ」
ソルベ王国の教会前に空間を繋げてすぐに出入りが出来るようにした。
「こっちだベガパンク」
「な、なぁあああああああっ!? べ、別の場所を繋げたのか!? 空間系の悪魔の実の能力者じゃったか!!」
「早く来い」
催促して教会に来てもらいくま一家とベガパンクの両者を会わせたところ。
「こ、こんな人間がこの世にいたのか!!!」
「それは私も今そう思っていた・・・・・!!」
「何という体躯!! 筋肉を調べさせてくれ!! 科学の発展の為に!!」
お互いの体の大きさと頭の大きさを指摘しあった。ボニーがベガパンクの頭を見て「うわー!!すっげー頭!! キモッ!!」と言う始末。ジニーも放心している。
「病気の母親と子とはその二人か・・・クソ生意気な子じゃな。嫌いじゃないが」
「ベガパンク、こいつだったらいいか?」
「理想的な素体じゃ!! 寧ろ血の提供とクローン兵の作る許可をくれれば手術費はゼロにしてもいい!!」
「何の話だ?」
そりゃくまは預かり知らないところの話だったな。ベガパンクから説明を受けくま、理解したと頷いた。
「どの道断ることはないが、手術費まで君が出してもらわずともいいだろう」
「いや、こっちにもメリットがあると思っての提供だ。ベガパンク、世界政府からおれ達に鞍替えする気ないか?」
「オイ私は政府側の人間じゃぞ!! というかお前さんは何者なのか訊いておらんぞ」
「ん」
手配書を見せるとベガパンクの目玉が飛び出すほど「えええええええええええっ!?」と驚いた。ボディガードも汗を大量に流して緊張が顔に出ている。
「つ、捕まっているはずではないのか!?」
「あっちは俺の分身体だ。こんな風にな」
魔法で魔力の塊の俺を数人分裂して各々戦隊ポーズをして披露し、ボニーには大うけした。一方のベガパンクは顎が地面に着くほどあんぐりとしていた。人間って驚くと人体が変わっちゃうんだな・・・・・。
「ど、どうなっておる・・・・・悪魔の実を複数食ったのか?」
「いんや? 悪魔の実は食っていないぞ。ま、秘密があるのは確かだがな」
様々な属性の魔力をお手玉にして披露する。ますます理解ができんといった具合で苦悩するベガパンクだった。
「言っておくが、俺のことは秘密にしてくれよ。せっかく四皇の肩書を消したんだからな」
「どうして四皇の肩書を自ら手放す真似を?」
「おれは普通に冒険がしたいだけなのに、ただ奴隷を解放する為に天竜人を何度も襲ったり、カイドウとビック・マムを倒しただけで海賊とか四皇にされたんだぞ。―――そんな肩書と称号何ているかー!!!」
心からの本音と魂の叫びで教会が震えた。おっと、驚かせてごめんな?
「いや、そこまですれば当然の結果であろうに」
「うっさい! 仕舞には海賊王にされかけたんだぞこっちは! ラフテルに案内しただけで!」
「ラフテルか・・・・・!! 教えてくれ、ラフテルには何があった? ラフテルはどこにある? ワンピースとはどういう物だったのか興味あるわい!」
「いや待てパンクのおっさん! それを知っちゃダメだろ、世界政府と海軍に追われるぞ!?」
「科学の発展の為には犠牲が付きものじゃ戦桃丸君!!」
「全然関係ねェー!!」
ボディガードみたいな男は名前は戦闘丸か。
「なんなら古代兵器の設計図もございますが・・・見たい人ー」
「そんな物まであるのかお前さん!? みたいに決まっておるじゃろう!!」
「なら、こっちに鞍替えしろベガパンク。知っているだろうけどうちは世界屈指の娯楽施設を作ったグラン・エレジアってカジノを運営している。カジノで得た利益を提供してもいいぞ」
設計図を札束のように持ち、ビシバシとベガパンクの頬を叩く。おい恍惚とした表情を浮かべるのは止めろ喜色悪い。
「元とは言え、海賊・・・・・すまぬ、四皇・・・・・ええい、大いに不満なのはわかるがそう怒り狂った目で睨むではない!!」
そりゃあそうだろう。海賊と四皇と呼ばわれる筋合いはないんだから!!
「おれに鞍替えするメリットがない、そう言いたいんだな。あるぞ」
「ほう、例えばなんじゃ」
「まずその一、今じゃソルベ王国を暴力で王位を奪った他称“暴君”バーソロミュー・くまのクローン兵。一国の王をクローン兵にしたら政府は黙っちゃいないと思うぞ。自分の思い通りに指示を出すようにしろとか言い出すに決まっている。世界政府の最高権力者の五老星と天竜人だぞ? まともなことを言うはずがない」
「・・・・・」
「その沈黙は、どうやら思い当たることがあるんだなベガパンクも。次にその二だ」
ベガパンクにさらに告げる。
「そこの戦桃丸とやらが言ったようにラフテルと“空白の100年”を知ったことがバレたら、全力でお前を殺しにかかるぞ政府が直々に」
「“空白の100年”も知っておるのか・・・・・では、ニコ・ロビンも知ったのか?」
「ああ、全部知っている。だから俺が守っているし直接滅んだオハラの島にも行って、クローバー博士達を甦らせた。今ラフテルで暮らしているよあの人達」
「なっっっ!!?」
おっと・・・話がそれたな。
「本題に戻ろう。治せるなら治してほしい。できるんだよな?」
「ああ・・・勿論じゃ。じゃがまずはくまの検査をしたい!!」
「あ、その前に。お前の研究所に小さい電伝虫が隠れていないか探った方がいいぞ。政府側の人間とはいえ、見張られているはずだからな。というか、言い出した俺が調べてやるよ」
足元の影からネズミ型の魔獣を地面が黒く塗り潰されるほど大量に創造して、ベガパンク研究所を探らせた。案の定、ベガパンクはやはり気になって仕方がないと質問責めして来た。
「お前さんは本当に何者なんじゃ。いくら悪魔の実の能力者でもおかしすぎる。獣を生み出す悪魔の実などない筈じゃ」
「俺の秘密を知っているのはカイドウとビック・マム、それにボア・ハンコックと少ない。公にできるほど簡単じゃないんだよ俺の秘密は。それでも知りたいって言うんなら、こっちに鞍替えしろ。色々と特典が付いてくるぞ」
「むぅっ・・・!!」
程なくして魔獣達が小さな電伝虫を複数見つけて戻って来た。
「ほら、あったようだぞ。おそらく政府と繋がっている」
「まさか・・・・・いつの間に仕込まれていたのじゃ」
覚えの無い電伝虫の発見に天才科学者も動揺を隠せない。魔獣に電伝虫を食わせてやって情報を遮断。
「おそらく近日中に海軍が来るだろうけど、絶対に無茶な要望は拒絶しろよ。お前が嫌な事をさせられると思うし」
「例えばなんじゃ」
「うーん、クローン兵を量産するっていうんなら、素体となるくま自身も思考と自我の無い完全なサイボーグにしろとか言い出しそうだな。そうすりゃ、何でも忠実に命令を従う機械人形と化するだろう」
「・・・・・それでも断れ切れんかったらどうするんじゃ」
当然の疑問をぶつけてくるベガパンクに黄金の龍を象った錫杖を具現化して握った。
「大丈夫。くま自身を増やせばいいだけだ」
「「???」」