海賊王におれは・・・・・ならないから!   作:ダーク・シリウス

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ワノ国の河童

カイドウとの決闘を始めてから三日三晩が経過。寝る暇も食べる暇も休憩する暇も惜しんで戦い続けた。意外と力強く何日間も動けれる自身に驚き初めて知って以降もカイドウに負けないよう戦い続ける。だが、いい加減に面倒になってきてカイドウに自分の分身体で動きを封じてから直接ぶった斬って、殺しはせず気絶した相手に勝鬨の咆哮を上げた。

 

「カ、カイドウさんが負けたぁあああああああああああっ!!!」

 

「なんて奴だ」

 

「これがあいつの実力か」

 

・・・・・あ。

 

「おれがカイドウに勝ったからって百獣海賊団を乗っ取ったわけじゃないよな」

 

「「「当り前だ!!!」」」

 

よかったー!海賊にならずに済んだ!でもま、これでおれの方が一番強いとわかってくれただろう。そう思っているとカイドウがムクリと意識をすぐに取り戻して起き上がった。

 

「これでお前の部下になる話はお終いだ。おれより弱い奴の傘下になるつもりはない」

 

「・・・・・もう一度おれと戦え」

 

「しねェよ今日は。流石に俺も腹減ったし眠りてぇ。しばらくは別の島で過ごさせてもらうからな。また戻ってきた時にでも歴史の本文(ポーネグリフ)を読ませてもらうよ」

 

そう言っておれは―――シャッキーとレイリーがいるマングローブへ一気に転移で戻り、久しぶりに見る諸島のシャボン玉を視界に入れながら店の中に入ると二人が丁度対面する位置で話をしていて、その輪の中に入れてもらった。

 

「ただいまー」

 

「おおっ、お帰りイッセー」

 

「イッセーちゃん、本当にとんでもないことをしたわね。新聞見たかしら?」

 

見たと首を縦に振った俺に新聞を渡してくるシャッキーから受け取る。記事には大きくおれの事が載っていて、懸賞金が―――数10億ベリーかけられていた。

 

「ところでもうおれの事は伝わってるのかこれ」

 

「勿論だとも。1週間もあれば全世界に広まっている。だからどうしたんだい?」

 

うんと頷き俺の手配書を見ながら東の海にいる分身体の事を教える。

 

「ハンコック達のところにも届いているかなって思ってさ」

 

「ああ、彼女達の島は凪の海(カームベルト)の海域にあるからニュース・クーは行かんのだ」

 

どうして行かないのか不思議でならないが、だったらこの新聞をニョン婆に届けつつハンコックの顔を見に行くのも悪くないだろう。

 

「一度女ヶ島に戻ってみる。全部終えたら帰る約束したから」

 

「その後はどうするのかしら。元の世界に帰る方法を探すの?」

 

「そうするつもりだ。あと、白ひげ海賊の顔を見てみたいかな。居場所知ってるか?」

 

「ふむ、白ひげエドワード・ニュー・ゲートか。彼は特定の自分のナワバリを持たず海を航海しているからな。私も知らないのだ、期待に応えられずで済まないね」

 

「いや、知ってたら知ってたで教えてもらおうかなって思ってたし、知らないのは仕方がないよ」

 

「知ってたら戦いに行くのかい?」

 

「ああ、どのぐらい強いのか知りたいからな」

 

「そうか、ならば大きい酒を持参して持って行くといい。話し合いぐらいは応じてくれるはずだ」

 

酒が好きな人なのか?どのぐらいの大きさだと質問すれば軽く身の丈を超える酒瓶が必要だと言われた。そんなもんこの世界に販売されているのかと怪訝してしまう。巨人でもいるのかと、これも聞いたら。

 

「いるぞ?新世界のとある海で、エルバフという島に誇りを重んじる巨人族の戦士達が住んでいるのだ」

 

「この世界にもいるんかい。じゃあ、ドラゴンはいる?」

 

「ドラゴンか、見た事はないがいる噂は聞いたことがあるぞ。ああ、ミンク族と言う種族もおるぞ」

 

「ミンク族?」

 

「人の形をした獣とでも言おうか。その昔、千年も生き続けている『ゾウ』と言う超巨大な動物の背中に存在している種族と会った事が会ってな。肌に毛が薄い私達のことを『レッサーミンク』と呼ぶ」

 

・・・・・ファンタジーか!そしてそんな種族がいるとは何て魅力的な!

 

「最優先に会ってみたい!」

 

「ふふ、そうか。だが、簡単には見つからんぞ。『ゾウ』は移動し続けているから見つけることすら困難を極める」

 

それでも探し出してモフモフモコモコしてみせるぞ!元の世界へ戻す術を模索しつつ目標を目指してみるのも悪くないな!うん!

 

「これ以上ないって程に多幸感の表情を浮かべてるわねイッセーちゃん」

 

「いずれ見つけた時の為に手紙でも書いといてやろうか。無用な諍いが起きないようにな。ところで今までどこで何をしていたんだい?」

 

「ああ、ワノ国にいてな。カイドウのところに居候してた」

 

「・・・・・ロジャーに劣らず度肝を抜かせることをするのだな。あの男から離れているということは居候を止めたということかい?」

 

「んー、二人とハンコックに近況報告をしに来たかっただけ。またワノ国に戻るよ。あそこの住人たちが放っておけないからな」

 

耕す前と違って豊かになり食糧事情は解消されつつあると思いながら手紙を書くレイリーの姿に、モコモコの楽しみさを期待する。

 

―――ボア・ハンコックside

 

「・・・・・」

 

宵闇が地上を覆いどこまでも果てしない空は夜を迎えて数時間が経過した。夜空に浮かぶ煌めく数え切れない星の輝きは宝石の如く、幻想的な光を放つ満月と共に存在を示す。星と月に負けない程の光を背に受けながら女帝は城の窓から夜空を見上げ黄昏る。

 

「姉様、今日もあまり食事を食べなかったわね」

 

「ええ、このままじゃ何時倒れてしまうか・・・・・」

 

女帝であり姉でもあるハンコックを憂う二人の妹の眼差しは当人には気付かず、黒曜石のような黒い瞳は何かを思いながら遠い目をして息を零した。

 

(イッセー、そなたは今どこで何をしておるのじゃ・・・・・)

 

懸賞金に掛けられたことを知った時は大いに驚き、そして本当に天竜人に喧嘩を売ったことを知りこの額なのだろうと納得して心配しながらも自分の事のように喜んだ。毎日毎朝毎夜、一誠の事で頭がいっぱいとなるのが当然で時には夫婦生活をしている妄想さえしてしまい、ニョン婆に心底呆れ果てられる(当人はそんなこと知らない)。兎にも角にもハンコックは一誠に対する自分の気持ちを自覚し知ってしまったのだ。

 

―――恋を。

 

(ああ・・・・・!妾の愛しいイッセー・・・・・!この身に翼があればすぐにでも飛んで駆け付けれるというのに・・・・・)

 

恋焦がれる乙女が頬に手を添えて腰をくねらせたり、百面相する奇異な光景、姉妹は物凄く不安そうに見つめ、老婆はやれやれと頭に手を当てて呆れて―――。

 

「・・・・・お前、そういうキャラだったか?」

 

可哀想な子を見る目で空中から声をかける男の存在に驚きで気づき我に返る。

 

「イ、イッセー!?いつの間に帰っておったのじゃっ」

 

「今さっき、ただいまハンコック」

 

「お、おかえりなのじゃ(って、このやり取りはまるで新婚したばかりの夫婦ではないか・・・・・!?)」

 

「お主、今までどこに行っておったニョか」

 

「カイドウのナワバリに居候してた」

 

「・・・・・お前という奴は人の想像を遥かに越えたことをする」

 

「近況報告を兼ねて帰ってきたんだ。悪いけど腹減ったから飯食べたい」

 

ニョン婆との会話の中で拾った空腹状態な男にハンコックはすぐさま行動に出た。配下の者達に料理の仕度させて仮称一誠の未来の妻として自分も用意すると意気込み、首を傾げる一誠は「気にするな」とニョン婆から諭された。

 

「近況報告ならあなたは凄いことしたわね」

 

「天竜人の強襲に続いて大海賊の一人を落とし、新たな海賊の名が世界に知れ渡ってるじゃない」

 

「あー、やっぱり知れ渡ってるのか」

 

「ええ、貴方の写し絵を大きく張ってるほどにこの島の者達は知ってるわ」

 

翌朝、マリーゴールドの言葉の意味を知った時。一誠は羞恥心でいっぱいになりながら女ヶ島の女人達に追いかけ回される羽目になった。

 

「ふむ、お主とハンコックが婚約を結べばこの島の安泰は約束されたようなものじゃな」

 

「おい、それは海賊としての立場になった俺とっていう限定の話だろ。嫌だぞ、海賊になるのは」

 

「海賊になろうがなるまいが、世界中にお主の悪名の代名詞という手配書が配られておる。海賊と肩を並べる犯罪者のお主はもうただの一般人として扱われぬニョ」

 

地味にショックを受ける。

 

「にしてもハンコックとの結婚を否定しない辺り、お主は満更でもないというわけかニョ」

 

「まぁ、嫌いではないからな」

 

「ほう、なら結婚を望むハンコックがそなたにプロポーズしたら受け入れるニョか」

 

「俺は元の世界じゃあ、片手じゃ数えきれない女性と結婚をする予定だ。ハンコックがハーレムを許すなら結婚を真剣に考えるよ」

 

―――部屋から聞こえてくる一誠の会話は、部屋の外で紅潮してるハンコックに聞こえていた。五月蝿いほど動悸が高鳴り鼓動を打ち震わせ、自分と結婚を考えてくれる男と結ばれた時の想像をしてしまい、意識が昇天してしまった。そのあと直ぐに廊下に倒れてるハンコックを見つけ介護されるのだった。

 

 

 

何でか気を失ってるハンコックを寝室に運んでから翌朝を迎えた。ニョン婆から気持ち悪い笑みでハンコックと一緒に寝ておれ、と言われその通りにしたら。

 

「ね、寝ている間に初夜を迎えてしまったのじゃ・・・・・!?」

 

「ニョン婆に言われて添い寝しただけだから」

 

あらぬ勘違いをさせてしまった。

 

 

 

数日ほど女ヶ島で寝ては食う生活をして英気を養わせてもらったお礼にビック・マムから奪ってとっておいた財宝の一部を渡す。

またワノ国に戻って貧民達の畑作業を豊かにしていく傍らで。

 

「まずは体力作りから始めよう。その為には軽くワノ国中を一緒に走り込むぞ。変身した姿でな」

 

カイドウに充てられた団員十名の強化に精を出していた。後に怪物達の走る日課により最初はたったの十名だったのが、何時しか多人数にも増えたことになるとは、一誠もまだ知らなかった

 

 

カイドウSide

 

「ジャック。あいつにつけた監視役からの情報はどうなっている」

 

「これまで報告した通りとは何ら変わりありません。九里の全住民達と農作業し、食糧を増やし続けているだけでなく、我々百獣海賊団の備蓄分も回り始めております。また九里の上がりも月日が経過するにつれ少しずつですが増加しております」

 

「別に困っちゃあいねェが、あいつがおれのナワバリに居座ってから少なからずおれの海賊団の食料事情は豊かになってねェか?」

 

「認めたくない事実ですがその通りです」

 

あいつは、一体なにがしてェんだ?愚民共の手助けをしようが構わねェがなにを考えてるのか理解ができん。

 

「・・・・・以上が今まで通りの行動の報告です」

 

「他にもあるのか」

 

「最近のあの男は、我々の船にも手を出し始めて改造を始めました」

 

「なんだと?」

 

「海に潜水できる小型の船から特殊な砲弾で海中から砲撃を可能にした武装を搭載。水陸両用に改造した船首から火炎放射や飛ぶドリル、ガトリングガンを模した大砲等・・・・・クイーンの兄貴が納得する武装を造り上げました」

 

・・・・・おれの海賊団の船の強化の話か。あの小僧は他の方面から強化して行っているのか。

 

「それは使えるのか?」

 

「俺とクイーンの兄御も見ている中で何度も試験を行いました。単独でも集団でも使える方かと思います」

 

「そうか。それなら問題ねェ」

 

と、言った直後に噂の小僧が銃を持って来やがった。

 

「カイドウ、カイドウ。面白い武器作ってやったぞ」

 

「なんだ」

 

「これ、対悪魔の実の能力者専用の銃だ。中身の銃弾は海桜石で作ったからこれならロギア系の能力者でも能力を封じ込めるぜ」

 

「それの量産をしろ」

 

思わず命令してしまうと小僧は不敵な笑みを浮かべた。最初から俺がそう言うだろうと見越していたような生意気な笑みだ。

 

「もう千丁は量産したぞ。弾は一万発な」

 

こいつ、有能か・・・・・。

 

 

九里―――おこぼれ町

 

荒れ果てた荒野だったとは思えない土地は緑豊かになっている中、九里の住民達の手で新たに耕されていく数多の畑と収穫されていく野菜と穀物。収穫したそれらを花の都へ持っていき売買して金銭を得たり、直接百獣海賊団に売り込んで金銭を得る九里の貧民達は満足に腹一杯食べれる状態に戻った。うん、安心したな。と、思ったところにおこぼれ町に江戸時代劇で見た格好をしてるお役人さんっぽい一団がおとずれてきた。貧民達は不安な色を隠さずに一団と相対した。

 

「ここ最近、花の都に違法な取引を行っている者達がここにいると情報があった」

 

「と、とんでもねぇ話ですお役人様。オラ達は大看板様への上がりのために商売をさせていただいておりますんだ」

 

「それは誰の許可を得てしている」

 

問い詰めるお役人に貧民達は一斉におれたちの方へ振り向いた。

 

「あー俺達だ」

 

「誰だ貴様」

 

「おれはイッセー、百獣海賊団に貢献しているものだ。ご覧の通りカイドウさんの部下と一緒に大看板ジャックへの上がりのために農作業をしている。これはカイドウさんから直々、おれに様々な権利を与えてくれているから花の都で収穫した作物を売買させてもらっている」

 

「・・・・・」

 

「真意を知りたいならカイドウさんに訪ねてみれば?ここの畑は百獣海賊団にも献上しているけど、花の都での商売を許されないならその通りにするよ」

 

と説明して納得させる試みをする。駄目なら力で納得してもらわなきゃならないがな。

 

「あい解った。一先ずこの事はオロチ将軍に報告させてもらう。よいな」

 

「良き返事を待っている」

 

去っていくお役人達を見送る。取り敢えずは難を逃れたかな?貧民たちから感謝されて気にするなと言って返す。それから素朴な疑問を一緒に耕している団員に尋ねた。

 

「ところでオロチ将軍ってのは誰だ?」

 

「カイドウさんが後ろ盾してやっている、共にワノ国を支配している黒炭オロチって将軍です」

 

「ふーん、どうしてカイドウがそんな奴なんか潰さずにいるんだ?」

 

「そりゃあ、手を組んでいる相手を殺す理由はないでしょう」

 

「海賊ってそんな利己的なもんだったか?」

 

ま、どうでもいいことか・・・・・。おれには当人達の関係にさほど興味はないし。あるとすれば―――。

 

「ワノ国で一番強い、強かった侍は?」

 

「強かったと言えば唯一、初めてカイドウさんに傷をつけた光月おでんって侍ですぜ。10年ぐらい前に釜ゆでの刑で処刑されましたけどね」

 

「へぇ、光月おでん・・・・・興味が沸いたな。そいつの墓とかは?」

 

「オロチ様の命で釜ごと海に捨てられて遺体はないですが、おでん城跡地に仮初の墓標ならありますぜ」

 

海に捨てられたか。ならワンチャンありかな?

 

「カイドウを傷つけた武器があるなら是非とも欲しいところだな」

 

「そいつは探そうにも無理ですよ。どこにあるのかもわからないんですから」

 

ほうほう、それは・・・・・探しようがあるじゃないか。好都合だ。宝探しは好きだからそのおでんと関係者の人物を探せば自ずと見つかるかもな。

 

と―――いうわけでワノ国中を調べ回ってみた。刀だというから鍛冶師がいる筈だよな。それも名刀を打てる鍛冶師だ。そんな人物だけを特定して探すのはかなり大変だろう。実際、色んな人達から大勢有名な鍛冶師の人の事を尋ねても花の都では情報を得らず仕舞いだった。九里のおこぼれ町でもいないかと、もう故人の者かもしれないと思いで尋ねたら・・・・・誰も知らない結果で終わってしまった。残念だと肩を落として九里に存在している人がいる場所を転々と移動していたら妙な人に捕まった。

 

天狗のような仮面に天狗のような服装をした変な人だ。場所は編笠を作っている村。ここは確かおこぼれ町で栽培している農園に手伝いに来てくれてる人の出身だったっけ?

 

「おぬしか。ここ最近、おこぼれ町で畑を耕し収穫した作物を食うに困る人々に与えている者とは」

 

「おれができる事をしているだけだ。えーとどちら様?」

 

「―――わしは飛徹。刀鍛冶師だ」

 

「鍛冶師!!」

 

もしかしてこの人が持っているかもしれないと可能性を見出して話を進める。

 

「おれはイッセー・D・スカーレットだ」

 

「イッセーと申すか。おぬしは海外の者であろう。よもや、カイドウの手先ではあるまいな」

 

「手先ではないけど貢献しているかな?そうすれば自由が利いてこうして貧民たちと畑を耕し収穫した作物を食べさせることが出来るから」

 

「どうして海外の者が関係ない者たちの為にそこまでする?」

 

理由は一つしかないだろう。

 

「助けられるなら助けたい。ただそれだけでありおれの偽善な想いさ」

 

「・・・・・」

 

「この村からおこぼれ町で農作業の手伝いをしてくれる人と知り合いがいる。やっぱり九里に住む人たちはカイドウとオロチによって貧しい生活を強いられている様みたいだから何とかしたいと思ってる。だから手始めに食糧事情の解決を勤しんでいる」

 

真っ直ぐ見据えてくる飛徹の眼差しを見つめ返して嘘偽りない言葉で述べる。

 

「今はそれでよくても、何時かカイドウ・・・いや、オロチはそれを許しはせず奪いにやってくるぞ」

 

「その時は、コイツでそいつの首を切り捨ててやるよ。邪魔なだけだし」

 

亜空間から封龍剣を取り出してこいつで切り捨てると飛徹に言い切った。飛徹は座った姿勢から前屈みになっておれの剣を凝視し始めた。

 

「なんだ、この剣は・・・・・こんな造形は見たことが無い・・・・・神秘的な・・・・・」

 

「こいつはおれ自身しか持てない剣だ。先日カイドウと戦ってこの封龍剣で斬って勝った」

 

「あのカイドウに勝っただと!?」

 

「まだ健在だけどな」

 

おれにカイドウを殺す理由はないから殺す気はない。でも、賞金首の額はカイドウを捕まえれば上がるだろうしそっちの意味での理由ならあるがな。

 

「ウソをつけ!!」

 

「いや、本当だから。信じられないのは当然だろうがおれは嘘は絶対に言わないぞ」

 

それよりも―――とある物に視線を送った。壁に掛けられている一振りの刀だ。

 

「さっきから妙な気配を発する刀があるんだけど、アレなに?」

 

「・・・・・あれは『大業物21工』に位列する刀。その名も『二代鬼徹』」

 

「大業物21工?なんだそれ?」

 

「海外の者でも知らんのか。世界に数多ある刀(剣・槍等)の中で名工達の作った武器をこう呼ぶ。『良業物50工』、『大業物21工』、『最上大業物12工』とな」

 

へぇ・・・・・・。

 

「じゃあ、おれの封龍剣はそれに例えると?」

 

「最上大業物の部類に数えられる。だが、それはあくまで名工達の間で定めた位列である。わしから見ても・・・・・この剣はこの世で作られたものではない恐ろしすぎるほど異常なものだ」

 

触るも非礼だと付け加えて言うが、さっき触ったよな?

 

「もしかしてその名工達が作った武器ってワノ国で?」

 

「うむ。我が先祖も『古徹』もワノ国出身でありあの二代鬼徹を打った。しかし、今となってはわし以外の名工は殆どおらん時代だ。そして業物の武器も数多の海外の者たちの手に渡っている始末。中には砕けている武器もあろう。実に残念なことだ」

 

目をつむり嘆息する飛徹。そんな彼に俺に宿っている蒼い龍が、「分かるわその気持ち」と共感してるし。

 

「まぁ、武器は持ち主に使われてこそが本当の在り方だって言うから残念がることもないか?せっかく打ったのにお蔵入りするぐらいなら作らない方がいいと思うし」

 

「その持ち主に厄災をもたらすことになってもか」

 

「妖刀でもあるのか?それは持ち主の器量、使い手として相応しくなかっただけの話じゃないか?」

 

勝手ながら壁に掛けられてる刀を魔法で浮かせて、飛徹の前で握って鞘から抜き放った。

 

「これが人を呪い殺す妖刀ならば勝負しようか」

 

「お、おい貴様なにをする気だやめろ!?」

 

「おれの運とこいつの二代鬼徹の呪い。どっちが強いのかをな」

 

真上に放り投げで横に腕を伸ばしたまま落ちてくる刀を待つ。飛徹は目玉が飛び出そうなほど開いた口が塞がらず見守ってくれている最中、二代鬼徹の鋭利な刃は真っ直ぐおれの腕を捉え―――途中で峰から落ちて腕に触れることなくそのまま床に軽く突き刺さった。

 

「・・・・・っ!?」

 

「持ち主に呪いを振るう妖刀・・・こんなものか」

 

床から抜き取り鞘に納めて壁に掛け直す。そして直ぐに飛徹からのお説教を頂戴したのだった。

 

「二度とこんな危険なマネをするではないぞ!!!」

 

「すみませんでした」

 

それからなんやかんやで飛徹と話を続け、美少女こけしコレクションを嬉しそうに(いやらしい顔で)見せながら教える飛徹の自慢話を長々と付き合った。美少女こけし・・・・・何がいいんだ?そんな話は夕日が顔を出した頃にまで続いたので、そろそろ帰らなければならなくなった。

 

「・・・・・あ、もう夕方か。帰らないと」

 

「む、もうその時であったか。もっと語り聞かせたかったのだが」

 

もう勘弁してください!

 

「・・・・・帰る前にもう一つ」

 

「なんだ?」

 

―――おれは飛徹に対して魔法を使った。

 

「おでんが持っていたという刀、あるなら見せてくれないか?」

 

「・・・・・承知した。直ぐに持って来よう」

 

悪いな。でも、盗みはしないから安心してくれ。ちょっと『複製』をさせてもらうだけだからさ。

 

それ以降のおれはというと・・・・・。

 

「イッセーさん。最近刀を持つようになったんですか?」

 

「知ってるだろ?おれは武器を創造することが出来るって」

 

「確かにそうでしたね。これでイッセーは鬼に金棒だ」

 

「おいおい、そいつは鬼より超コエーカイドウの為にある言葉だろ。カイドウに金棒ってな」

 

「ギャハハハ!」

 

「確かにそうだ!イッセーさん上手い!!」

 

「近い内にお前達の武器も作ってやるよ」

 

「ありがとうございます!」

 

二振りほどの刀を腰に佩くようにした。名前は『閻魔』と『天羽々斬』だ。そんな折におれは出会った。

九里の住民達の農作業の監視中に三度笠を被り和服を着た緑色の肌をした変な人―――人?が、おこぼれ町の畑に現れるや否や。

 

「それは・・・・・おでん様の刀・・・・・!!」

 

「え?」

 

「どこで奪った、その刀を返してもらうっ!!!」

 

鍔が無い刀で斬りかかり、座っていた高台が斬られて崩れた。条件反射で『閻魔』と『天羽々斬』を抜き放ち鋭くて速い斬撃に対応する。

 

「待て待て!!お前の勘違いだ。この刀は複製したもんなんだ!!」

 

「拙者の目はごまかされん!!」

 

「大体お前は何しにここに来たのか理由を言え!!」

 

「食料を拝借―――いや、分けてもらいに来た」

 

「働かざるもの食うべからず!!盗人なら容赦せん!!分けて欲しいなら農作業の手伝いをしろ!!」

 

躊躇のない斬撃を白羽取りで刀を捉え固定、盗人の目は見開いて驚いた瞬間にどてっぱらを蹴って飛ばす。

 

「うぐっ・・・・・!!」

 

「それと、お前も力があんまり入っていないだろ。刀に感じる力があまり伝わってこない。長い間碌な飯を食ってないなお前」

 

「拙者は武士として空腹などに負けは・・・・・」

 

「武士以前に人間・・・・・なのかお前?ま、腹減っちゃ戦はできないって言葉を知らないとは言わせないぞこの馬鹿助」

 

バ、馬鹿助・・・!!とショックを受けた盗人を無視して見ているしかできなかったカイドウの団員に催促させた。

 

「この馬鹿助にありったけの飯を用意するようおこぼれ町の住民に言っておいてくれるか」

 

「え、捕えないんで?」

 

「面倒くさいからしたくない。お前がしたいならすればいいさ。ただし、この盗人さんは強いから気を付けな」

 

まだ弱い自分はそんなことしたくない、とこの場から踵を返して駆け出していく。で、こいつには―――。

 

「おい馬鹿助。ここに来たからには俺のルールで働いてもらうからな。まずは収穫ごろの作物を収穫しろ」

 

「せ、拙者も!?」

 

「餓死して生き恥晒して死にたいか?」

 

それは嫌だ、と思ったか逡巡した様子で少し沈黙する馬鹿助は作業してる九里の住民達とまじって収穫の作業を始めた。

 

しばらくして―――。

 

「拙者の名は河童の河松と申す」

 

腹いっぱい食べ終えた馬鹿助が招いた城の中で自分の名を教えてくれた。はて、河童とな・・・・・。

 

「本当に河童?その笠を取って皿を見せてくれよ」

 

「ダメだ!!ヤメろ、離せ!!」

 

笠を取り外そうとしたら全力で抵抗された。そんなに拒絶されちゃ仕方がないな・・・・・河松から離れ座り直す。

 

「単刀直入に訊くが、どうして作物を拝借しようとした」

 

「・・・・・それは言えぬ。だが、どうしても必要だったのだ」

 

「ふーん。他の奴もいるんだ?そいつに食料を提供するためか」

 

沈黙を貫いたのでどうやら図星のようだ。

 

「食うに困っているなら衣と住も困ってそうだな」

 

「だとしたら、何だと言う」

 

「いや、手を貸そうと思っているだけだ。ここ、おこぼれ町と花の都のえびす町のどっちか住めばいいんじゃないのか?」

 

「拙者等はわけあって人の住む所では住めんのだ」

 

訳アリか・・・・・だとすれば。

 

「鈴後はどうだ?あそこは確か無人になっている無法地帯。生活できる環境が出来るならそこでもいいだろ。暖かい着物も食料もあったら、住めば都になる」

 

「その通りだが、どうしておぬしはそこまで拙者を・・・・・」

 

「目の前に困っている奴がいたら助けたくなる性分なんでな。何ともそんな性格をしているとたまに思う時があるよ」

 

苦笑を浮かべるおれを河松は丸い目を向けて見つめてくる。

 

「おぬしは変わっておるな」

 

「よーく言われるよ。で、この刀を見ておでんと言ったよな?カイドウに傷を負わせた強い侍の」

 

「・・・・・おぬしはカイドウの手先か」

 

「天狗山飛徹と同じこと言うな。貢献しているけど仲間でも味方でもないから安心してくれ。あいつが誰かに倒されようが死のうが俺には関係のない立場でいさせてもらっているからな」

 

「飛徹殿と会っておるのか。ならば尚更その刀はどうやって・・・・・!」

 

「ちょっと見せてもらったんだって。で、こうして複製したんだ」

 

俺の周囲に複数の刀が床から飛び出してきた。河松はその複数のおでんの刀を見て唖然とした顔で驚いていた。

 

「俺は見ただけでその武器とほぼ遜色のない武器を創造する特殊な力を持っているんだ。カイドウを斬った刀なんて凄く興味あったから。是非見たくて思わず複製したんだ。それでも信用成らないなら飛徹に訊いてみるといいさ。俺は一切あの男から盗んでいないからな」

 

「・・・・・今見せられた手前、信じぬわけにはいかぬ。正直拙者の目を疑ってしまうが」

 

まだ半ば納得していないって感じだが、信用だけはしてくれたか。はぁ、盗んでいたら確実に敵対していただろうな。よかった、悪事を働かなくて!やっぱり海賊にはならない方がいいねうん!

 

「刀の件については一先ず信用しよう。しかし、カイドウに貢献しているとはどういうことだ?」

 

「一言で言えば九里の住民達の手助けするため、だな。食うに困っていたから俺ができる事をしたいからその権利をカイドウから得ているんだよ。貢献すれば色んな権利を与えてくれるからそうしている」

 

「海賊に協力することで九里の者達を助けていると申すのか。カッパッパッパ・・・・・何と豪胆な男だ」

 

何故か笑われた。いや、笑っている声なのかカッパッパッパって・・・・・?

 

「まぁ、そんなことよりもだ。これからもここに来るなら提案がある」

 

「提案?」

 

「一度、鈴後に行ってみて住める場所がなかったらこの城に住んでみないか?」

 

「!?」

 

「おでんの関係者なら百獣海賊団や将軍オロチ達に追われている立場かもしれないんだろ?逃げ隠れる生活は見知らぬ連れの方も辛いはずだ」

 

金色の錫杖を具現化して創造の能力を使い、一瞬の光と共に二つの宝珠を創り出した。

 

「これをやるよ」

 

「これは一体・・・・・?」

 

「それを身に着ければ別人に姿を変えられることが出来る。河松がワノ国中を歩き回れるようになれば行動範囲も格段に違うだろ」

 

着けてみるよう催促させ、手首にはめた河松はあっという間にどこにいても不思議ではないワノ国の男性と化したので鏡で見させるとビックリ仰天。自分の顔を触れて確かめる様は本当に信じられないという表れを浮かばせている。

 

「拙者が、別人になっておる・・・・・!」

 

「それがその宝珠の力だよ。外せば元の姿に戻るが、壊れたらその力が無くなって解けてしまう。扱い方には気をつけてな」

 

「・・・・・かたじけない」

 

深々と感謝の念を示した土下座をする河松にもう一つ。

 

「その代わりと言っちゃなんだがお願いがある」

 

「お願いとは?」

 

「カイドウの部下達に聞いた話だが、おでんの遺体は釜ごと海に捨てたらしい。だからおでんの遺体の捜索の手伝いをしてくれるか」

 

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