開拓者、海に出る   作:消波ブロック

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アンシャンテの意味は「はじめまして」です


アンシャンテ!異世界

 目が覚めるとそこはジャングルだった、って言ったら普通の人は信じるだろうか。

 まあ何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も何が起きてるかわからないんだよ。

 

 ギリギリ覚えているところは神様っぽい人に「孤独死乙、可哀想すぎるから転生させたげるわ」みたいなことを言われ、地面に穴ができて落ちていくところまでだ。

 

「っていうか俺の死因孤独死ってマジ?そんな…わ…け…」

 

 独り言を呟いてるうちに感じる違和感。

 

 あれ?こんな声高かったっけ自分。声が裏返ってるっていうことじゃなさそうだし…

 そう思いながら下を向くと平な胸…。まぁそこはいいよ、俺男だし。問題は妙に地面に近いことと俺の股間にあるはずのものがないということだ。

 

「い、一応調べとくか?そんなことはないと思うが…」

 

 周りに誰か居るわけでもないが、弁明をしながら少し、ほーんの少しだけ確認を………。ん?んんんんん!?

 

「う、嘘だろ…。お、俺の大事な相棒が居なくなってるぅーーーーー!?」

 

 ジャングルに可愛らしい声が響き渡る。

 

「どおしてそーなるんだよ!! 転生させてくれたのは感謝だけども! だぁれが性別転換してくれって頼んだんだ!! 最近流行りのTS転生ですかこのヤローがあーーーっ!!」

 

 自分の状況が信じられないのか、おかしい発言が出ている気がする。よし一旦落ち着こう。

 

 

 

 

 よし、何とか落ち着いて来た…。TS転生なんて初めてなもので。

 それはさておき自分の見た目を確認しようかと周りを見る。鏡っぽいのはないからとりあえず服装でも見るか?

 ふむふむ。服装は深緑のあったかそーな服に、頭にかぶった同じく深緑のベレー帽。さっきは気づかなかったが近くにオノと青い未確認生物がいる。髪は短く金髪で視線が低いから子供なのかな?

 

「んー? この感じどこかで見たことがある気が…」

 

 頭の中にこの服装と該当するキャラが自然と浮かび上がってくる。

 生前はスマホでよくゲームをしていたが、長年続けていたゲームが一つある。そのゲームのキャラに似ているのだ。

 

「もしかして…バニヤンか? バニヤンになっちゃったのか?」

 

 そう、Fate/grand orderに出てくるポールバニヤンというキャラにそっくりなのだ。

 

 もしかしてだが、これは憑依転生というやつなのではないか?仮に憑依転生だとしたらここはどこかの特異点、それか異聞帯になるはずなんだけども…

 だとしたらまずはマスターを探さなきゃ行けないな。バーサーカーのマスター抜きなんて即退場待ったなしだもの。

 

 そうと決まったら探索なんだけど…すっげぇ怖い。そもそも現代っ子が急にジャングルに放り出されてもどうしろってなるよなぁ!!(半ギレ)

 

       ズドォーーン

 

 うぉっ!!どこかで火山が噴火でもしたのか?そう思って周りを見渡す。すると目に入ってきたのは…

 

 

  ゲギャギャギャギャ!!

 

  ガババババババババ!!

 

 

巨大な人間二人が争っているところだった。

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 思わず女の子みたいな叫び声を出してしまったのはこの際置いておこう。

 俺は二人の巨人がこちらを覗き込んだところで完全に意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇●○●

 

 

 

 

 

「ん…。一体何が……!?」

 

 目が覚めると目の前には二人の巨人が座っていた。

 

「ガバババ!! 目が覚めたかちんこいの! おい、ドリー!! ちんこいのが目を覚ましたぞ!!」

 

「ゲギャギャギャ!! そりゃあ良かった!! どうだ?眠気覚ましに肉でも食うか?」

 

 俺が起きたことに気づいた丸っこい巨人が此方に声をかけてきた。それに続いて長い巨人も肉を片手にこちらにやってくる。

 見た感じ記憶にあるキャラじゃないが…一体なんなんだ?敵対エネミーじゃなさそうだし。

 

 そんなことより挨拶だ。いくら体が小さくなろうと挨拶だけは忘れちゃならんって婆ちゃんが言ってたからな!

 

「えーとアンシャンテ、巨人さん。私の名前はポール・バニヤン。バニヤンって呼んでください」

 

「アンシャンテ?の意味は知らんが、わしの名前はドリー。エルバフの戦士ドリーだ!!」

 

「わしの名前はエルバフの戦士ブロギーだ! よろしく頼むぞバニヤン! ほら、恐竜の一番いいとこ持ってけ」

 

 おおう、めっちゃ優しいやんこの巨人たち。

 

 しかし恐竜肉か…。善意を無碍にしちゃいけんし、まぁ一口……ん? う、美味いッ!!? 一噛みしただけで口いっぱいに広がる肉本来の旨味っ! 塩でしか味をつけていないとは思えないハーモニー!!

 

「してバニヤンよ、なぜあんなところにいた? 船はここ数年は止まっておらんかったはずだが」

 

 んぐっ!? そ、その質問は想定してなかった!!「目が覚めたらジャングルに!!」は流石におかしいし…。泳いできたっていうか?

 

「…ゲギャギャギャ! ブロギーは昔っから女の気持ちがわかっておらんなぁ。女には誰にも言えない秘密がいくつもあるもんなんだよ!」

 

「ガバババ!! 何を馬鹿なことを! エルバフではわしの方がモテてただろうが!! 寝言は寝てからいうんだな、酔っ払い」

 

 笑いながら小突き合う二人。もしかして気を使わせちゃったのかな? それなら凄い申し訳ないんだが…。 っていうか小突き合いの風圧がヤバい。今にも飛ばされそうだぞ。

 

 

○●○●

 

 さて、ドリーさんとブロギーさんとのコミュニケーションもそこそこに、少し踏み込んだ質問でもしてみるか…

 

「はい質問いいですか?」

 

「ん? おう! 答えられるもんだったら答えるぞ!」

 

「この島って巨人さんたちの暮らすエルバフって国でいいんですか?」

 

「ここはエルバフではないぞ。この島の名はリトルガーデン。わしら二人と、あとは恐竜ぐらいしか住んでおらんわ。ガバババ!」

 

「わしとブロギーはあの火山が噴火するたび戦っててな、かれこれ100年はたったか?」

 

 え? 100年?

 

「あぁ、100年は経ったな。だがなこれが全くケリがつかないんだ! ガババババ!!」

 

 さすが巨人と言ったところだな…。普通の一般男性じゃそんなこと想像できん

 

「ところでバニヤン。ここやって来たは良いが寝床はどうするんだ?」

 

 あ…

 

「ガバババ! 完全に考えてなかったって顔だな!!」

 

「そうさな、あっちの方に2つでかい骨があるだろ?あの大きい方にわしが、ちょっと小さいほうにブロギーが住んでおる。自分で寝床を作っても良いが、なんだったらわしらが寝床を貸してやろう」

 

「おい待てドリー、ちょっと小さい方はお前の寝床だろ?」

 

「ゲギャギャギャ! 冗談が上手くなったなブロギー」

 

 えーっと、一気に張り詰めた空気になって来たんでお言葉に甘えて先に寝床のところに向かってますね?それじゃあ失礼しまーす。

 

 

 

 

 

 

○●○●

 

 

 

 

 

 

 

 どうも、バニヤン=サンです。

 今お二人はケンカしている最中なんで、お先にドリーさんの寝床に来ていまーす。

 

 さっきの光景を見てこの世界で暮らすにはだいぶ力が必要なのはわかった。

 とりあえずはこの島の恐竜を食糧にできるぐらいまでは強くなりたいんだけど…。まずはオノとあの青い牛?みたいなのを探さなきゃだな。

 

「願ったりしたら来ないかな?…いでよオノとウーシー!! …うおっ!?」

 

 何となくト○ロで見た芽が生えてくる踊りをしてみると、しゅわあーーっと何もないところからオノと青い牛が現れた。これって踊りは必要だったのか?どうだろ?

 

 それはさておき! オノと牛が願ったら手元に来ることはわかった。なら次はバニヤン本来の力を使いたいところなんだが…。

 とりあえずの目標は巨大化かな? コツなんかは全くわからない手探りの状態だが体の中を何かが巡っている様に感じる。多分この力が魔力だろうと目星をつけ、意識しながら思いっきり踏ん張ってみる。

 

「ふんーーっ! ふんーーっ! …ぷはぁ! はぁ…はぁ…」

 

 ゼェ…ゼェ…全く大きくならん。考え方が違うのかあ?あれか、魔術回路とかか?いやでもなぁ、バニヤンって魔術回路なんてあったっけ…

 

「ふんぬぅーーっ! とりゃあーーっ! ぐるぉあーーっ!」

 

 今度は魔力(仮)を意識して力を入れる。すると…

 

 ゴゴゴゴと地響きと共に視界が上がっていった。鳥たちや翼竜が羽ばたく音が間近に聞こえ首長竜を軽々と超えていき、視界にジャングルが広がっていく。

 

「ぬわぁーーーーっ!? すっごいぞこりゃあ!! ボンジュール! 鳥さんに翼竜さん! …ってあれ? 止まらないよ!? ちょ、どうやったら止まるの!?」

 

 初めての感覚に戸惑いながら何とか止まってくれと念じると、ピタッ! と大きくなるのが止まった。大きさ的にはドリーさんぐらいだろうか。

 

 おっ、噂をすればでかい魚を背負ったドリーさんが歩いてくるのが見えた。

 

「おぉ!? 目を話した隙にどんだけ成長してるんだ!? うーむ、子供の成長というのは凄まじいな! ゲギャギャギャギャ!!」

 

「いや、成長期じゃないよおじいちゃん」

 

「ゲギャギャギャギャ! 冗談だ! 能力者かなんかだろう? そこら辺はまた後で話してやるから、とりあえず小さくなれるか?」

 

 体の中を巡っている魔力(仮)を抑えていくと、空気が抜けていく様にどんどん縮んでいくのを感じる。これちゃんと元の大きさに戻れるよな?

 

「うむ、どうやら元の大きさに戻れた様だな! さて夕食にしよう!! 今日は良い魚が獲れたぞ!」

 

 巨大な魚が地面に落とされる。ズシンと地面を揺らす程の大きな大きなウツボみたいだ。

 

 ぐぅう〜〜〜!!

 

 

 

 その日の夜は焚き火を囲う様にドリーさんと焼き魚を食べた。途中でブロギーさんも加わってお酒も少し飲ませてもらった。

 

 

 少しだけ。ほんの少しだけこの世界でやっていける気がした

 

 

 

 

 

 

 

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