原作の始まり
ボンジュール、バニヤンです
この世界に転生してからはや数ヶ月。この島に住む恐竜とかを狩るのにも慣れて来た。
やり方は簡単。巨大化し、オノを構えて恐竜の首に振り落とすだけだ。近所に恐竜が生息しているご家庭の方々には是非とも真似していただきたい。
それとドリーパイセンからこの世界のことをそこそこ教えてもらえた。なんでも海賊や海軍がドンパチやっているだとか。怖いね。
さて、そんなこんなで大きな恐竜を仕留め、今日の寝床であるブロギーさんのところへ向かった。
○●○●
「おーーーい!! ブロギーさーーーん!! でっかいトカゲ獲れたよーーーーっ!!」
「ぬ、ぬぉおおお!? 何だ!? 敵襲かモガペッ!?」
「ちょっと待ってウソップ。この声は…子供?」
いつもの巨大な骨の前に来たんだが…。ブロギー以外の影がひとつ、ふたつ。もしかしてこの世界に来て初めての人間か!? いやでも1人は鼻が異様に長いぞ?
「おーーーいバニヤン!! 珍しいことに客人だ!! 盛大にもてなすぞ!! あいつはな俺の義理の娘だ。バニヤンって言ってな。どうだ? めんこいだろ?」
とりあえずトカゲはそこらの森に置いといてっと。初対面の人と話すときは第一印象が大切だ。水溜まりを見ながら、前髪はOK! 服にも…血は付いていない! 靴もしっかり履いて…。よし! あとは小さくなりながら登場すればオールOK!!
とことこと体を小さくしながら2人の客人のもとに歩み寄る。
「えーっと、アンシャンテ! 私の名前はポールバニヤン。気軽にバニヤンって呼んでね!」
「おぉおお俺様は勇敢なる海の戦士ウソップ様だ!! 俺には6万ものの部下たちが居ヘヴッ!!」
「やめんかっ!! …ごめんねウチの狙撃手が大きな声出しちゃって。私の名前はナミ。さっき貴方のお父さんに助けてもらったところなのよ」
はて、お父さん…? ブロギーが私のことを娘って紹介してくれたってことでいいのか? いやでもたった数ヶ月一緒に過ごしただけの俺が娘だなんて図々しいにも程があるし…。
そんなことを考えていると、ナミが思い出したかの様にブロギーの方を向く。なにやら質問がある様だ。
「そうだ! ブロギーさん、一つ質問しても良いですか?」
「ん? なんだ小娘」
「この島のログは何日くらいでたまるんでしょうか?」
「一年だ」
その返答に綺麗にひっくり返るウソップとナミ。どうやらこの島から早く出発したいご様子。まぁ一年なんてすぐに経つんじゃないか?
「まぁゆっくりしていけ!! ガバババババババ!」
「そうそう、ゆっくりしていって!! そうだ、さっき獲れたて新鮮なトカゲ肉でも食べる?木の実なんかもあるけど」
「うぅ〜〜。一年、一年かぁ…」
「ど、どうすりゃあいいんだ!? 一年なんて待てるわけねーよ!!」
俯いたまま唸るナミに、狼狽えるウソップ。流石に居た堪れないから声でもかけようか。
すると どぉぉん! と火山が噴火する音が聞こえた。そう、戦いの合図だ。ブロギーはオノを片手に重い腰を上げ、約束の場所に向かって行った。
ここ数ヶ月見てきたこともあり慣れて来たが、ぶっちゃけどっちもやられてほしくないからドキドキしながら見ている。
「……でも…よかった…!!今のうちに逃げられるわ!行きましょウソップ!!」
あれ、もう行くの? ログとやらが溜まんないと出れないんじゃ?
「いや、ちょっと待ってくれ。俺はもう少し見てる!! まさにこれなんだ! 俺の目指す
"勇敢なる海の戦士"ってのは!! 俺はこういう誇り高い男になりてぇ!!」
ブロギーとドリーが戦いをしている方向を見て拳を握り締めながら声を出すウソップ。
わかるぞ少年。話だけ聞くと100年にも渡る殺し合いなんてバカらしくてしょうがないと思っていたが、いざその姿を見てみると何も言えなくなってしまう迫力がそこにあるからな…。
「…ふーんあんた巨人になりたいんだ…」
「お前は一体何を聞いてたんだ!!?」
海の戦士に憧れる少年にそれを見守る仲間の少女。
俺にとっては眩しすぎるような光景だ。誰かサングラス買ってきて。
「…あ、そういえばバニヤンは能力者なの?さっき小さくなってたけど」
能力者…能力者かぁ…とりあえずそうだって言っておくか? 「実はぁ、私サーヴァントなんですぅ」なんて言っても何言ってんだコイツって感じだろうし。
「うん、実はそうなんだ!名前はわからないんだけど大きさを変えたりできるんだー」
「まさか能力者だとはなー。お、そうだ!実はウチの船長もな、お前みたいな能力者で全身ゴム人間なんだぜ!」
全身ゴム人間!? おま、ウソップそれほんと!? 伸び縮み出来るとか一体どんなびっくり人間なんだよ!
そんな他愛無い話をしている間に二人の戦いが終わったようだ。7万3千466引き分けらしく、いつも通りの笑顔を浮かべながら帰ってきた。
そうだ! 折角だからとナミとウソップも一緒に宴会なんてどう…? あ、OK!? よっしゃ! お酒もここに…なにナミさん。え、お酒は禁止? そんなー。
美味しいお酒が飲みたいなー、と思いながらお肉を食べているとウソップが興奮した様子でブロギーに声をかけていた。
「勇敢なる海の戦士?なんだそりゃあ」
「あんたらのことさ!俺はいつかあんた達のようになりてぇ!」
「巨人にか」
「そうじゃねぇよ!!」
おいおい、何て速さのツッコミだよ…。海賊にしておくには勿体ない素質だぜ。
そんな誇りの話をしていたら火山が噴火する音が聞こえてくる。今日は1日に2回戦う日のようだ。ブロギーさんは肉を口いっぱいに頬張った後ズシンと体を持ち上げる。
「じゃあブロギー師匠っ!!頑張って!!」
「ガババババババ!あぁウソップ!!今度こそ奴をブチのめすつもりだぜ!!」
出来るだけ怪我はしないでよ!!なんて本音を飲み込みブロギーさんを見送る。男と男の戦いに手加減をしろって言ってるようなもんだからね。
「…とにかく船に戻りましょう。ログがたまるのに一年もかかるなんて無茶苦茶だわ!」
「えぇー!?もういっちゃうの?もう少し居ても良いんだよ?ほら、この赤い木の実なんて甘くて美味しいよ!」
あの2人以外との会話が久しぶりすぎてもう少し話したいんだけど! もう少し居てくれないかなー。ほら、おねがーい!幼女からの上手目使いおねがーいだぞ!
「でも一回仲間と合流しないといけないの。ごめんね?」
うむむむ、ならしょうがないか…。
「はーい。恐竜に気をつけてね?」
「おおぉおおおい!恐竜のことすっかり忘れてたんだけど!!ナミ!ブロギー師匠が戻るまでここでまたねぇか!?」
ゴツン!!鈍い音と共に倒れ落ちたウソップをナミが引きづりながらジャングルに消えていった。いやー賑やかな人たちだったなぁ。
戦いが起きていた方向からバキッ!!と鈍い音が聞こえた。
多分決着でもついたんじゃないかな。2人とも怪我が少なめだったらいいのだが…。
まあ、それは置いておくとして! ブロギーさんには寝床を借りるんだから料理でも作っとこうかな! 今日の晩ご飯はトカゲの香草焼きだ!!
ワンピースを久しぶりに読み返そうと思います。