筆者はカリオストロは大好きですが、グラブルは辞めました。出来るだけ齟齬は無いようにしてますが注意して下さい。
筆者は3年目ぐらいでグラブルやめました。
カリオストロのイベントは追ってますが、齟齬がありましたら感想でお伝えしてくれるとありがたいです。
幼少期から父親がいなかった少年、グランは父からイスタルシアで待つという手紙を受け、故郷を出て空へと旅立ったらしい。
その途中で(本当に)数多くの仲間に出会ったグランは騎空団を結成し、道中で悪事を働く帝国や暴走する星晶獣と戦いながらも今も旅を続けている。
かくいう俺様もその内の1人なのだが、今はちょっとした理由で船から降りている。グラン達は散々俺様を1人にするのを心配してたが、面倒だからボコってやった。
「大体、世界一の美少女でありながら、最強の錬金術師でもある俺様を心配するなんて千年早いんだよ」
思わず出た独り言に茶々を入れる人は誰もいない。そのことに多大な気楽さとほんの少しの寂しさを感じながら、俺様は目的の場所へと着く。
「やっぱりここにあったか。どうやら晩年はヘルメス錬金術学会からは離れてたらしいな」
まぁそれはこの俺様を封印した、なんていう偉大な功績があったにも関わらず学会で讃えられてない時点で半ば予想できていたが。
「会いに来たぜ、バカ弟子。まぁお前は二度と会うつもりはなかっただろうし、実際俺様はお前に会えることは出来なかったがな」
その墓標は偉大な錬金術師の割にはこじんまりしたもので、俺様は初めて出会ったときの小さなガキだったアイツを思い出した。
ーーー
その島の名前が何だったかは最早覚えてない。だが緑が豊かで研究のための材料も手に入れやすかったから、俺様は気に入ってあそこに暫く滞在していた。その日も研究の材料を採取しようと森に入った時に気付いた。
「うえーん、うえーん」
「あん?泣き声...子供か?」
その時は無視して採取を続けていたのだが、止まらない泣き声に段々と苛々した俺様はその場所に向かい、アイツと出会った。
「おい、お前どうしたんだ?ってお前は...!」
「うう、ついに幻覚まで見えはじめましたぁ。ボクは一人っ子のはずなのにボクそっくりな子が出てくるなんて...」
そいつは俺様、いや正確に言えば俺様の妹にそっくりだった。ブロンドの髪を肩まで伸ばし、赤のマントを地面に引き摺りながら大切そうに何かを両手に抱えた少年だった。
「お前、名前は何だ?」
「うわぁ、幻覚が名前を聞いてきました。これは答えると名前を取られるというやつですか?」
「俺様は幻覚じゃない、さっさと答えろ」
「うぅ、ごめんなふぁい」
俺様はアイツの頬をつねりながら催促する。だがその時既に俺様はソイツが何者かを確信しつつあった。
「ボクはクロウリー。お父さんが先祖代々続く錬金術師の家系で、ボクも錬金術師を目指して修行してるんですぅ」
「(代々続く錬金術師の家系...やはりか)」
「そういう幻覚の人はなんて名前なんですか?」
「だから俺様は幻覚じゃ...ってまぁいい。俺様はカリオストロだ」
「カリオストロ?なんか聞いたことがあるような...」
「それよりなんでこんなところにいる?何故泣いてたんだ?」
「うう、それはですね...」
クロウリーは引っ込めていた涙を思い出し、両手に抱えていたものを明かしながら鼻声で話し出す。
「ボクは長年小鳥を飼ってるんです。羽を怪我していて自由に飛べないから面倒を見てたんですが、最近その子が元気が無くて...」
その手では小さな小鳥が眠っていた。外界からの刺激があるにも関わらず何の反応も返さないことが、その小鳥が衰弱しているのを物語っていた。
「それで自然に触れれば元気が出るかなって、森の深くまで入ったんですけど迷子になっちゃって...」
クロウリーは顔を俯かせて声を震わせるが、目の前の美少女の存在に気付くと、ここから抜け出すことができる方法を閃く。
「そうだ!カリオストロはどこから来たの!?ここから帰れる!?」
「カリオストロ、様だ。偉大な俺様を呼び捨てにするなんてお前には10年早い」
「(ボクと同じくらいの年なのに偉そうだなぁ)カリオストロ様、はここから帰れる?」
「まぁ天才である俺様にとって現在地の把握なんて余裕だからな」
「だったらボクも連れてってよ!お願い!」
手を合わせてお願いする仕草にかつての妹を思い出す。アイツは中々錬金術を習おうとしなかったから、お願いされて色々と世話してやったんだっけ...いや、俺様から進んでアイツを世話してた気がする。
「いいだろう、但し俺様の作業を手伝え」
「やったぁ、ありがとうカリオストロ様!」
「じゃあその小鳥は寄越せ、作業の邪魔になる」
「えっ?」
俺様が気を利かせて作業をしやすくしてあげようとしてるのに、クロウリーは中々その小鳥を手放そうとしない。
「だ、だめだよ!この子はボクの大切な友達なんだから!あげないよ!」
「別に俺様はその子を奪うつもりはねぇ、少しだけでいいから寄越せ」
「うう、じゃあ少しだけだよ...」
そう言ってクロウリーは小鳥を手渡す。俺様は羽を怪我したその小鳥を見つめる。飛べない小鳥に少しだけ同情した俺様は、錬金術によって怪我をした羽を再構築することによってその怪我を治す。
「え!!!今どうしたの!?魔法!?」
「魔法じゃねぇ、これもれっきとした錬金術の応用だ」
元気を取り戻した小鳥は不恰好ながらも空を飛んでクロウリーの周りを回る。それは長い間飛べなくても原初の機能は忘れない、本能によるものだった。
「今のが錬金術!?っていうことはカリオストロ様は錬金術師!?」
「そう!天才美少女錬金術師のカリオストロと言えば私のことだよっ」
俺様が応えるとクロウリーは感動して色々なことを聞いてこようとする。それを制して先ずは作業をさせると、その途中でもしつこく聞いてくる。
「っていうことはカリオストロ様はヘルメスの人ってことだよね?」
「いや、俺様はヘルメス錬金術学会には所属してねぇ。俺様は誰かと一緒に何かをするなんていう柄じゃねぇんだよ」
「え!そんな錬金術師もいたんだ...」
「まぁ世界広しと言えども、俺様ぐらいしかいないかもしれないがな。それぐらい個人の手で錬金術を修めようなんていうのは難しいことだ」
「じゃあカリオストロ様って凄い人なの?」
クロウリーの無垢な瞳と発言に俺様は軽く吹き出す。錬金術の開祖である俺様にそんなことを言えるのはコイツしかいない
「そういうことだ。お前は父が錬金術師って言ってたが、お前もヘルメスに加入してるのか?」
「うん、そう...なんだけど」
俺様の問いにクロウリーは肩を落とす。そうして顔を俯けた彼はポツリポツリと語り出す。
「ボクは錬金術の才能が無いんだ。何を作ろうとしても失敗して爆発しちゃうし、同じ年の子が全員出来ることもボクは失敗しちゃうんだ」
「爆発、失敗、か...お前は自身に才能が無いことが分かってるんだろ?だったら錬金術なんてやめた方がいいんじゃないか?」
「それは...そうかもしれない。だけどお父さんとお母さんの為にもボクは絶対に錬金術師になるんだ!」
「そうか...」
それは間違いなく気の迷いだった。そして俺様はその時クロウリーと出会ってから一度目の間違いを犯した。
「その覚悟があるなら俺様がお前に錬金術を教えてやるよ。俺様にかかればどんなにお前に才能が無くても、1年あれば基礎は出来るようになるだろう」
「えっ!本当!?」
クロウリーは顔を上げて俺様の方を見る。俺様は間違ってはいたが、何も考えてないわけじゃなかった。
「但し!2つ条件がある。一つ目は絶対逃げ出さないこと、もしこれを破ればその時点で俺様はお前に教えることをやめる。いいか?」
「はい!ボクは絶対逃げません!」
「二つ目は俺様の存在、名前をはじめとした全てのことを他人には打ち明けないことだ。特にヘルメス錬金術学会には絶対に言うな。もしこれを破ることがあったら...」
「あったら...?」
「お前の命は無いと思え」
「ハ、ハイッ!」
ーーー
背を伸ばして頷くクロウリーを見て、俺様はクロウリーを連れて家へと帰る。その日から始まった2人だけの授業は一年続き、その後もクロウリーは暇を見つけてはここに来ることになる。俺様もこの島に長居するつもりは無かったのに、気付いたら何年も住んでいた。
妹そっくりだった容姿が成長するにつれて大人の男性ぽくなっていくクロウリーに俺様は複雑な感情を抱いた。気の迷いはいつまで経っても消えず、その日俺様は二つ目の間違いを犯した。
「なぁ、師匠ってさ。あのカリオストロでいいんだよな?」
「え、あのカリオストロって?カリオストロは、ここにいる天才錬金術師で、超絶美少女のカリオストロしかいないよ?」
「はいはいそうですね。だけど、錬金術の開祖の名前もカリオストロなんだよ。師匠って歳とらないみたいだし、もしかしたらそうなんじゃないかなーって」
「...まぁ正解だ。俺様は開闢の錬金術師カリオストロ本人で間違いねぇよ」
俺様の答えにクロウリーは驚く。相変わらず、ふとした瞬間に妹の姿を想起させるアイツの表情に複雑な思いをしている一方で、クロウリーはかなりの衝撃を受けていた。
「(え?だけどカリオストロって男性だったよな...?史実は間違っていたのか?それともなんらかの方法で女の子になってるとか...!いやそんなわけないな)」
クロウリーは此方の方をもう一度見ると、再度深く悩み出す。
「(いや、師匠のことだ...この姿がカワイイからってノリノリで女の子になってても可笑しくねぇ...!)なんで俺は師匠なんかに...」
「俺様がなんだってぇ?」
「い、いえ!なんでもありません!」
不審なアイツの態度に俺様はアイツがヘルメスに俺様の存在を打ち明かすのではないか?と考えた。しかし、心の底からそれを否定する。それは間違いなく冷静な分析であり、無視していいわけがなかったのに。
「じゃあ師匠、師匠が度々留守にしてる理由を教えて下さいよ。俺としては折角遊びに来てるのに誰もいないから暇なんですよ」
「あぁ?何がじゃあだ、遊びに来る奴の態度じゃねえだろ」
「折角の愛弟子が師匠に聞いてるのになぁ」
「俺様はお前のこと弟子だと思ったことはねぇからな...!」
ーーー
その日は雨が降っていた。俺様は家で実験の結果をまとめていると、勢いよくその扉が開かれた。
「師匠!お願いします!」
「あん?なんだバカ弟子?」
開口一番に俺様に対して頭を下げたクロウリーに俺様は書いていたノートを閉じて聞く。クロウリーは雨にも関わらず傘も差さずに走って来たようで、俺様はそこで不穏な予感を感じた。
「母さんがっ!病で倒れたんです!医者に訊いても、治すことは出来ないって言われて...!」
「師匠なら母さんを助けることできるでしょう!?お願いします!母さんを助けてください!」
「クロウリー...」
俺様は迷った。バカ弟子の必死な頼みは断りたくない...が、コイツの母を助けることは即ち、俺の存在がヘルメス錬金術学会に悟られることになる。
別にヘルメス錬金術学会が俺にとって脅威なわけじゃねぇ。あんな真理のしの字にも到達してねぇヒヨッコ共がよってたかったところで俺様を傷つけることすらできない。
だがヘルメス錬金術学会と表立って対立すると、コイツとの関係はどうなる?もう一生会うことは出来ないかもしれない。寧ろ、俺様を庇ったコイツにも危険が及ぶ可能性もある!
「師匠!」
だが、今コイツの頼みを断ったら...?それでもコイツとの関係は終わるかもしれない...!だったら!
「分かった。バカ弟子がそんだけ誠意を見せたなら、俺様も応えてやる」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
そうして俺様は三度目の間違いを犯した。だがそれと引き換えに見ることができた表情を俺様は忘れないだろう。
ーーー
俺様は正体を隠してクロウリーの家に行き、アイツの母を病気から救った。
クロウリーは俺様に何度も何度も感謝をしていたが、俺様は不安でそれに返す余裕なんて無かった。
「本当に師匠は凄いなぁ!伊達に何百年も生きてるわけじゃないですね!」
「あぁ、そうだな...」
「もう師匠、聞いてますか?今のはツッコむところだと思うんですけど!」
「あぁ、そうだな...」
「なんですか、師匠。最近はボーッとしてることが多いですよね」
「あぁ、そうだな...」
「(今ならなんか言ってもバレないかな...?)あのさ、俺本当は師匠のこと...」
その時俺様は周囲から大勢の気配がし、あの時から抱き続けていた不安が的中したのに気づいた。
「危ねぇ!伏せろ!!!」
そして今となっては愛着すら感じていた家は破壊され、俺様は防壁を展開してクロウリーを守る。
「やはり匿っていたか!バカ息子め!!!」
「と、父さん!?なんで!?」
「それは此方のセリフですよ、ヘルメス錬金術学会の目的は錬金術の更なる発展!それを邪魔する開祖は此方の捕縛対象であることは、此処に属する錬金術師には承知の事実である筈です!」
クロウリーの父らしき人物の他、錬金術師が数十人もそこにはいた。その中からトップらしき人物が現れる。
「ち、違う!師匠はそんな奴じゃない!母さんだって助けてくれたんだ!」
「そうだ、母さんの病気は本来なら治る筈の無い難病だった。それが病巣から取り除かれ、さらにその身体全体が生まれ変わったようになっていた!それは魔法でも不可能!新たに身体を再錬成することぐらいでしか出来ない!」
「そしてそれだけの錬金術師を行使できるのは、開闢の錬金術師であるカリオストロ殿にしか不可能なのですよ」
「・・・」
「おや、流石のカリオストロ殿もこれだけの人数に囲まれては諦める他ありませんか?」
「・・・諦める?俺様がこの人数差に?クックックック...」
「...師匠?」
「アーハッハッハッハ!!!たかが数十人で俺様に敵うとでも思ってんのか!そんなんだからお前らは真理に辿り着けないんだよ!」
「なんだと!馬鹿にしおって!」
「それに、なんで俺様がこんなヘボヘボ錬金術師と一緒にいたと思う?」
「ま、まさか...!?」
リーダーが狼狽する。俺様は隣の顔を瞳に焼き付けるように一瞬だけ見ると、畳み掛けるように叫ぶ。
「それはお前達のことを知るためにコイツを利用してたからだ!万が一真理に到達したヤツなんかがいたら目障りだからなぁ、バカを使って情報収集をしてたんだよ!」
「貴様...!息子を騙してたのか!?」
「あぁそうだ、俺様みたいな天才は凡人のことが大嫌いなんだよ!理由でもなきゃ一緒にいるわけがねぇだろ!」
「し...師匠...」
「見ろよ、未だに俺様のことを師匠って呼んでるぜ。こんなバカな奴だから騙されるだよなぁ!?」
「貴様ぁあああ!!!」
クロウリーの父が錬金術で家の残骸を放つ。それと同時に他の錬金術師も攻撃し始める。
しかし、その全ては俺様に届くことはない。
「だから言ったじゃねぇか、お前達じゃあ俺様には敵わないって。分かんねえならその身に教えるしかねえみたいだなぁ!ウロボロス!」
錬金術師達が全滅するのに時間はかからなかった。俺様は振り返らずにその場から離れる、が唯一生き残った奴に脚を掴まれて呼び止められる。
「師匠!お願いします!父だけは殺さないで下さい!」
相も変わらず俺様のことを信じていたクロウリーに顔を背けたまま答える。もし奴の顔を見れば、立ち直れる気がしなかった。
「俺様はお前の師匠じゃねぇ、いい加減現実を見ろよ」
心が折れたらしいクロウリーを振り払うと、涙を堪えて足早に去ろうとする。
「あああああああああ!!!」
突然の気配に俺様は振り返る。そこにはクロウリーと、彼から放たれた濃密な破壊のエネルギーがあった。
「ッ!?」
咄嗟に防壁を展開するが、破壊のエネルギーに触れた所から防壁は消し飛ばされ、それを見た俺様は全力で回避した。
「何だ...?今のは...?」
クロウリーは意識を失って眠っていた。俺はヤツが風邪を引かないように羽織っていたマントを被せると、島から出る。
二度と此処には来ないと決心して。
ーーー
此処はその場所だった。バカ弟子との関係が始まり、終わった場所。長年の風化によって家があった形跡なんて微塵も無いが、その跡地には代わりにバカ弟子の墓標が立っていた。
「...ゴメンな、バカ弟子。全部俺様が悪かった。妹の幻影を追って悪い予感を無視してお前と関わったせいで、お前を傷つけてしまった」
「...まぁ、俺様も封印されたし。それでなんとか手打ちにしてくれ」
「...お前は呆れるかもしれないが、今もお前の祖先と関わってる。相変わらず妹そっくりでな、結局弟子にしてしまった。二度と弟子なんてとらねぇ、って思ってたんだがな」
「どうしてもあの顔でお願いされると断れねぇんだ。まぁ、可愛さだけなら俺様が圧倒的に優れてるんだがな!」
此処には俺様を肯定してるのか否定してるのか分からない少年も、可愛さで競おうとするバカ弟子も、棒読みで反応してくれるバカ弟子もいなかった。
「話したいことはそんだけだ。俺様も立ち止まるわけにはいかねぇ、やりたいことが見つかってな。それが何かは教えられねぇが、できれば見守っててくれ」
そう言って俺様は立ち上がると、墓標から背を向けて立ち去る。墓標なのに何も無いのは寂しいし豪華なのは嫌だろうから、俺様は風に飛ばされないように羽織っていたマントを墓標に被せると島から出た。
「また、機会があったら来る」
元々構想自体はカリオストロを知った時ぐらい前からあったのですが、文章力の問題で書けませんでした。前の連載が好評で自信がついて書きましたが、まぁまぁなものが書けたと思います。
個人的な趣味・性癖の話ですが、筆者は男の子なら苦しんで欲しくて、女の子なら無双して欲しいです。カリオストロはその両方を満たせる稀有なキャラです(他のTSキャラでは起きない現象)