ほな呪術師と違うかぁ 作:破月
初めは自我などというものもなく、ただ、無為に、ヒトのカタチへと変化していく宿主を見つめていた。そうして数ヶ月ほど経った頃、不意に、
――これを、異質、と呼ぶのだろう。
そして、同時に。
――吾が宿主と共にいる意味はなんだ?
――宿主よ、なぜ、吾は生まれた。
●
我が子は、怪童と呼ばれていた。
並外れた呪力量、病気一つしたこともない頑健な体、大人にも負けない怪力、そして、総てを見通す力を宿した
それに、それら全てがなくても、愛する
だからこそ、気付けたことも多くあった。
早くに喃語を脱し、文字の読み書きも二歳になる前には覚え、術式を自発的に発現させては習得していく。その、神童と呼ばれる本家の跡取りと遜色ない――むしろ上回っているかもしれない――成長速度を見せる我が子に、無理をしていないかと声をかけた回数は百を超える。本人はけろりとした顔で、"心配あらへんで"と妻と同じ言葉で言った。
その時、そう、その時だ。僅かに、口の動きと、発声がズレていることに気付き、動揺してしまった。仕方がないことだ。だって、我が子は、
「期待に応えられそうにのうてかんにんな」
我が子の頭上の空間が歪み、そこに、ナニカのカタチをした影が現れる。発する呪力こそ薄いものの、それは、間違いなく呪霊だった。我が子が口を開くと同時に、その呪霊から
呪霊の存在は、実に巧妙に隠されていた。
難しい顔をして唸った彼に、しぃ、と人差し指を唇に当てて、我が子は目を細めた。酷く大人びた表情だった。彼はそっと頷き、口を開く。
「うまく逃げなさい」
その言葉に我が子は一瞬目を丸くして、しかし、直ぐに破顔する。猫のようにすり寄る呪霊を撫でながら、何よりも青い瞳を真っ直ぐ彼に向けて。
「――はい、明日にでも」
それは、坊ちゃんが六歳になる、前日の事だった。
●
――グシャリ。
物言わぬ肉塊となったソレを踏みつけ、軽く呪具を振って血を振り払う。この仕事を仲介した男は何と言っていたのだったか。
「なぁにが
確かに簡単ではあった。
荷物の運搬で一千万もらえるという破格な依頼。しかし、少しは疑うべきだった。まさか、運搬先が呪詛師共の隠れ家だとは。しかも、荷物の送り主はその呪詛師共と対立していた呪術師のグループだ。隠れ家についた瞬間荷物が爆発し、自身は無傷だったが、呪詛師共に甚大な被害を与えた。おそらく呪力に比例して威力が増す呪具だったのだろう。
これにより、すわ襲撃かと勘違いした呪詛師共が彼に襲い掛かり、仕方がなく応戦した。が、まさか、最初からこれが目的だったのでは、と気づいたのは呪詛師をすべて殺した後だった。武器庫呪霊に天逆鉾を入れ、軽く肩を回してコキリと首を鳴らす。嵌められた。それならそれで違約金を払わせればいいか、と仲介人の男に完了のメールを送った。
もし、渋るようなら脅す。なにせ、彼は
「あ゛ー…クソ、汚れちまったじゃねぇか。これから人と会う予定があるってのに……最悪だ」
カツン、コツン。打ちっぱなしのコンクリートの壁に、靴の音が反射する。いつかに子供たちから贈られた腕時計に視線を落とし、約束の時間まで余裕があることを確認した彼は武器庫呪霊から一枚の札を取り出して胸元に張り付けた。数秒後、彼の姿は掻き消える。初めからそこには誰もいなかったかのように。
「便利だよなァ、これ」
姿は見えないまま、彼の声だけが反響する。久々に会う友は、血濡れを自身を見て、何と言うのだろうか。そんなことを考えながら、込み上げてくる笑い声を噛み殺す。――後には、凄惨な殺人現場だけが残されていた。
根明こと主人公
中学二年生の姿。中二に上がる前、春休みに道に迷っていた伽藍に話しかけたのがきっかけで友達になる。職業が占い師だというので、胡散臭いとは思いつつ、たまに占ってもらって当たり判定が出るたびにテンション高くスゲースゲーと騒ぐ。控えめに言って天使。
伽藍のことは、兄がいたらこんな感じかな?と思っている。懐き度MAX、家にもよく招いて一緒に食事をする仲。じいちゃんとも仲がいいのでニッコニコ、たぶん、伽藍の前では弱音も普通に吐くんじゃないかな。
篠宮家の当主さま
伽藍の家出()を支援した心優しい父親。伽藍が喋れないことに気付いてしまった。SANチェックしてどうぞ。息子が天与呪縛であることに気付いていない。気付いてしまったら、もう一度SANチェック入ります。ちなみに、呪霊が喋っていることに関しては、呪霊操術の一種と思っている。
本人の呪術師としての才能は平凡、二級に届くかどうかというところ。術式は相伝のものだが、呪力が少ないのがネック。それでも、呪術界では稀に見る善人なので人望は厚い。そういうわけで、五条悟の乳母である奥さん共々信頼されている。
原作より子沢山なヒモ
奥さんは伽藍のお陰でピンピンしてるし、自分も生きてる。子供は四人、長女に津美紀、長男に恵、そして双子。津美紀はネグレクトされていることに気付いた奥さんに相談され引き取った。双子は男女、奥さんに似ているらしい。
天内理子暗殺依頼は受けていないため、武器庫呪霊および天逆鉾は所持したまま。それに加えて、伽藍が作成した呪具と呪符も大量に保持。伽藍に"対五条悟最終兵器"と思われていることを知らない。多分どっかのタイミングで五条悟と殺し合いはしたと思われる。
実は戸建てに住んでいる。ローンは一括で払った、何せ高給取りなので。家は伽藍の手によって至る所に術式が施され、一種の要塞のようになっている。呪いを弾き、癒しの効果を持つ。文字通りセーフハウス。地下には伽藍専用の研究室があるとかないとか。
どこかで傍観している誰か
――声がないと大変だよね?だから、ちょっとオマケしておいたよ。
そう言って、ガラスでできたダイスが振られる。カランコロンと盤上を跳ねたダイスの目は――
『
アハハ、と軽薄な笑い声が響く。きっと、それも、