ほな呪術師と違うかぁ 作:破月
伽藍が生きる世界は、漫画の呪術廻戦と似て非なる世界である。
そのため、伏黒甚爾やその妻、天内理子などの生存が許容されたが、イレギュラーな行動までは許されなかった。そのイレギュラーが何かと言えば、伽藍の出奔である。
伽藍が出奔したのは前世の記憶を持っていたからである。
前世の記憶によって、"呪術廻戦"という漫画の知識があったため、術士として使い潰される未来を危惧した。同時に、一番才能がある呪言が天与呪縛で使えないことが地味にコンプレックスで、こんな状態で
なぜ前世の記憶を持つことが出来たのか。
それは伽藍の前世で
渋谷事変で五条悟は封印されない。
それが、この世界の筋書きであり、何が何でも覆されてはいけない未来だった。そのためには伽藍の存在が不可欠であり、もっと言えば、伽藍が持つ
世界は、伽藍に、筋書きからそれた二十二年分の罪を、清算させるつもりだった。
偽物とはいえ、夏油傑の姿をしたものが現れれば、五条悟の動きは止まる。そうなれば、たとえ
――元々、世界の筋書きで、"篠宮伽藍"という男はこの日に死ぬことが定められていた。やや筋書きは狂ったが、それでも元に戻すことが出来た。ならば精々華々しく散らせてやろう。そんな世界の思惑なぞ知らず、まるで自分の意思でそうしているかのように、伽藍は渋谷へと向かっていった。
そうして、最初で最後の舞台に立つ。