ほな呪術師と違うかぁ   作:破月

7 / 9
補足が要るような小説を書くなよ…(自虐)


解説という名の補足

 伽藍が生きる世界は、漫画の呪術廻戦と似て非なる世界である。

 

 そのため、伏黒甚爾やその妻、天内理子などの生存が許容されたが、イレギュラーな行動までは許されなかった。そのイレギュラーが何かと言えば、伽藍の出奔である。五条悟(最強)と並ぶ存在になるべくして産み落とされたはずの存在が筋書きから外れて動き出す。それに、この世界は大いに困惑した。結果、夏油傑の離反という未来が確定する。

 

 伽藍が出奔したのは前世の記憶を持っていたからである。

 

 前世の記憶によって、"呪術廻戦"という漫画の知識があったため、術士として使い潰される未来を危惧した。同時に、一番才能がある呪言が天与呪縛で使えないことが地味にコンプレックスで、こんな状態で五条悟(最強)の側近なんて出来るかよ!と不貞腐れて出奔した。記憶が無ければ、出奔しなかったと思われる。

 

 なぜ前世の記憶を持つことが出来たのか。

 

 それは伽藍の前世で幼馴染(・・・)だったナニカが、伽藍(前世の姿)に(呪い)をかけたから。ナニカは、世界の壁を跨いだ後も、愛した子供を護りたかった。それゆえの、(呪い)。しかし、まさかそれが天与呪縛になってしまうとは、さすがにナニカも予想外だった。が、結果として伽藍の出奔に繋がったので問題ない。

 

 渋谷事変で五条悟は封印されない。

 

 それが、この世界の筋書きであり、何が何でも覆されてはいけない未来だった。そのためには伽藍の存在が不可欠であり、もっと言えば、伽藍が持つ呪言師(・・・)としての力が必要だった。ナニカの干渉によって天与呪縛持ちになったのは想定外だったが、それくらい、どうにかできないはずもない。五条悟を封印させないためならば、お安い御用。ただし、対価はもらう。例えば、そう、魂レベルで結び付いている呪霊(あれ)とか。

 

 世界は、伽藍に、筋書きからそれた二十二年分の罪を、清算させるつもりだった。

 

 偽物とはいえ、夏油傑の姿をしたものが現れれば、五条悟の動きは止まる。そうなれば、たとえ五条悟(最強)とはいえ封印されてしまうかもしれない。だったら、無理矢理(・・・・)動かして(・・・・)しまえば(・・・・)いい(・・)。だから世界は導いた。2018年10月31日に、歯車(伽藍)を、あるべき場所(五条悟の下)へ。

 

 

 ――元々、世界の筋書きで、"篠宮伽藍"という男はこの日に死ぬことが定められていた。やや筋書きは狂ったが、それでも元に戻すことが出来た。ならば精々華々しく散らせてやろう。そんな世界の思惑なぞ知らず、まるで自分の意思でそうしているかのように、伽藍は渋谷へと向かっていった。

 

 そうして、最初で最後の舞台に立つ。

 

 五条悟(最強)と並び立つはずだった呪言師(もう一人の最強)として。


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