【試走】がっこうぐらし!_二人っきりルート   作:千点数

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わりと真面目にお久しぶりです。

だんだんぶっ壊れていく前半1000文字くらいまでのKRMネキをご覧いただけると幸いです。

展開が少々急ですごめんなさい。


わがまま

 目の前には、あたしの手によって気絶させられ、あたしの手によって拘束された一樹がいる。

 

 やった。とうとうやった。とうとうやってしまった。

 

 これで、もう、昔のようには戻れない。

 

「は、はは……」

 

 自分が望んでやったことだ。一樹の頭には、そんなあたしの強欲(執着)の証として、たんこぶが存在を主張している。そう、自分が望み、一樹を傷物にして、自分のモノにしてやったんだ。こうしてやったらもう二度と、彼はあたし以外に頼れない。猫にも甘えられない。甘えられる相手は、このあたしだけだ。ああ、これでよかった。自分のモノに出来たんだから。自分だけの居場所を造れたんだ。だからこれで……

 

「う、ん……」

「ッ、!」

 

 うめき声。

 そして、痛みに耐えるような、そんな声。ごめんな。一樹。あたしが手加減しなかったばっかりに、頭にたんこぶが出来ちまった。でも、大丈夫だ。あたしが看病するから。お世話するから。後遺症とか残らないようにするから。

 

「えっと、あー……動けないんだけど、僕」

「そりゃ、動けなくしたからな、お前を」

「……えっと?」

 

 此奴は、混乱しているらしい。思いつきもしないのだろう。何故自分が、あたしのせいで動けなくなっているのか、その理由が。

 

「ごめんな。頭たんこぶ出来ちまってるから痛いよな、ごめんな」

「あ、うん、謝る事より僕は此処がどこで、何故縛られているかを聞きたいかな」

 

 そっか。やっぱりわからないか。そうだよなわかんないよな。何せあたしがどう思ってるか考えもしないで他の雌猫に気を取られてたもんな。

 

「ここは学校3階の準備室。何の……かは忘れた」

「で、なんで縛っているんだい」

「だって、こうすればお前は永久的にあたしのモノにならざるを得ないだろ?」

「……は?」

「そうだよ、最初からこうしときゃ良かったんだ。目を離したら初日なんてあたしをおいてどっかに消えるし、リバトロじゃあたしとのデートだったのに雌猫を拾ってくるし、こうしときゃあたしだけのモノに最初からなってたんだ。簡単じゃねぇか」

 

 何故か、一樹からの目線が鋭くなったけれども、関係ない。

 

「漸くだ。漸く、これからずっと、あたしの帰ってくる場所が手に入った」

 

 両腕をエアコンにつながる配管に縛られて動けない一樹を抱きしめにかかる。とても暖かい。もう二度と離さない。絶対に逃がさない。ずっとあたしだけのモノだ。

 

「……胡桃からそんなこと、僕は初めて聞いたんだけれど」

「そりゃ、今初めて言ったからな」

「……胡桃って、結局僕をどう思っているんだい?」

「絶対に誰にも渡さない居場所」

「初めて聞いたんだけれども」

「言ってなかったからな」

 

 何おかしなことを聞いているんだろう。そう思ってキョトンとしていたあたしの耳に、次の瞬間、一樹の一言が突き刺さった。

 

「じゃあなんで、いままで黙ってたんだい?」

「……へ?」

 

 一瞬、頭が真っ白になる。その状態を知ってか知らずか、一樹は言い聞かせるように、まるで子供に対して優しく叱るかのような声音で続けた。

 

「言えばよかったじゃあないか。何故黙っていたんだい。僕が幼馴染のささやかな思いも聞き届けない程の冷たい奴だとでも思ったのかい?」

「ぇ……」

「まったく、本当にいきなり問答無用で気絶させられるから何事かと思ったよ。話は分かったから早く解いてはくれないかい、ほら、この腕の奴だよ」

 

 動けない。え、なんで、動けない?

 動けなくなるくらい、一樹の言葉が衝撃的だった。

 

「おーい。聞いているのかい。腕の奴とっちゃあくれないのかい? ……あ、とれた」

「ぁ……」

 

 衝撃で動けなくなっている間に、一樹が腕の拘束を解いてしまっていた。

 

 逃げられる。

 どこかに行ってしまう。

 

 そう思ったあたしは、反射的にスコップをもって振り上げようとして______

 

「はい、ストップ」

 

 一樹に距離を詰められて、そのまま抱き着かれた。

 

「まったく、僕が猫と戯れているときから何か変だと思ってたんだ。言えばよかったじゃないか。構って、と。何で言わないんだい」

「ぇ、と、ぇ……?」

 

 上手く思考がまとまらない。怒涛の展開に、脳みそが全くついていけない。

 ______でも。

 

「ゆっくりでいいから、言ってごらんよ。僕に、どうしてほしい? 胡桃」

 

 言葉単位で、言いたいことが解ってしまう。

 

「ほら、言ってしまえ。ある程度の我儘ぐらい、幼馴染特権で聞いてあげようじゃないか」

 

 優しさが、身に染みる。脳みそが未だ混乱して、何も返せないあたしだが、それでも、口が否応なしに動いた。

 

「……いっしょに、いつまでも一緒にいて」

「うん」

「おいていかないで」

「うん」

「ごめんなさい、2年前、あたしから離れた」

「気にしてない。そもそも、僕に胡桃を引き留められるほどの魅力がなかったのが悪いさ」

「ううん、そんなことない」

「そうかい、ありがとう」

「ん。……じゃあ、わがまま言う。……あたしから、離れないで」

「うん……言えたじゃないか」

 

 まったく、世話の焼ける幼馴染だと、そう言われながら頭をガシガシと撫でられる。気が付けば、カランと音を立てて、手からスコップを取り落としていた。

 

「ごめんなさい」

「うん」

「ごめんなさい。殴ってごめんなさい」

「うん」

「痛かったよな」

「今でもジンジンする」

「ごめんなさい」

「……まぁ、許そうじゃないか。子供の時からの相棒特権だぜ。だからもう、泣きながら謝るなよ。今泣くくらい思い詰めていたなら、ちゃんと事前に本心くらい言ってしまった方がよかったのさ。うん、このあたりでもうこの話は終わりにしよう」

 

 もう、昔のような幼馴染には戻れない。そう思うと、悲しくてしょうがなかった。だって、自分がどう思っているのか、アイツにすべて知られてしまったから。自分で望んで関係を壊すなんて、何をしているんだと自分自身でも思う。

 

 でも、関係は……昔とは違う、新しいものが手に入った。

 

「にゃぁ」

 

 何か聞こえた気がして、涙を拭い、足元を見る。

 

「にゃあ」

 

 猫が、あたしの足に体を擦り付けて鳴いていた。

 

「……にゃー」

 

 猫が、鳴いてあたしを呼ぶ。まるで、挨拶をするかのように。

 そしてそれが、新しい関係の、始まりの合図のようにも思えた。

 

「……ごめんな。それと、これから、よろしく」

 

 新しい関係、新しい同居人に、あたしはそう挨拶を反した。

 

 *

 

 スキル【新しい関係】を恵飛須沢胡桃が入手しました。

 トロフィー【ネコと和解せよ】が手に入りました。




雌猫(ガチ)に気になる男の子を取られて監禁……どれだけ危ない精神状態だったかが解りますね(自画自賛)。
これで、KRMネキの中身のドロッとしたものを半分浄化できたのではと思ってます。納得いかんという方はすみません。無言低評価へgo。
もう残り半分? はて……(痴呆)?
__________

*スキル【新しい関係】
入手条件:シナリオ【古い関係の自主的破壊】をTrue end、またはHappy endで攻略
効果:依存度が5以上にならない。スキル入手時に依存度が5以上あった場合、強制的に依存度が5未満となる。

______もう、元の鞘には、幼馴染には戻れない。
だから、もう一度。別の関係で。
もう二度と、あたしは間違えない。
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