体の節々が痛い…肌寒い…
そう感じた上井はうめき声を上げ目を覚ます。
体の節々が痛むがそれを我慢して体を起こす。
「あー、ここは?」
気を失う前を思い出そうとしながら周囲を確認する上井。幸い発光する鉱石のおかげで真っ暗と言う訳ではなく少し薄暗い程度で済んでいたのでなんとか確認でき、周囲はもやしのような植物とゴツゴツとした岩場と苔しかなかった。周りを確認した上井は自身の状態も確認しようと体を確認してみると自身体は柔らかい苔のような植物が下に敷かれておりその上に座っている状態であった。
上井が助かったのは幸運が重なったお陰であった、落下しながら気絶してすぐに蔦の密集している所にに引っ掛かり少しずつ落下速度が落ち最終的には上井の下にある植物がクッションの代わりとなり無傷とまではいかないが軽症で済んだのであった。
「えっと…俺は確かあの時…」
少しずつであるが霞がかっている気絶する前の記憶が鮮明になっていく。一緒に落ちてしまった友人の安否を考えながらこれからのことを考え始める上井。
「とりあえず移動してみるか」
そうポツリと呟き行動を開始する上井、幸い落ちたところの近くに迷宮に持ってきたリュックがあった上井はそれを拾い洞窟を進む。
「ハジメ大丈夫かな〜」
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そのころ上井と一緒に落ちたハジメはというと
「クシュン! うぅ寒い」
ハジメもハジメでなんとか助かったのでが上井とは違い彼の場合落ちる際に滝に流され地底湖に着いてしまった。そのせいでハジメの体は濡れてしまっていて現在魔法でつけた火で服を乾かしつつ暖をとっていたのであった。
「レイは無事なのかな…」
彼も彼で友人のである上井の事を考えながらこれからの事を考えていた。
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とりあえず洞窟の壁にそって上井が歩き始めて1時間程度が過ぎた。たまたま持ってきていた保存食をちびちび食いながら、途中で何回か広間のような場所に着いたがそこには階段もなく現在地を教えてくれるような物もなかく、あったのは座学で習った魔力で育つ植物と数種類の鉱石のみであった。上井はそれをいくつか採取する程度ですぐにその場を後にするの繰り返しであった。
最寄り広間を去って数十分経ち初めて別れ道を見つけた上井、どちらの道を選ぶかで悩んでいると左の方から獣の咆哮のような音が聞こえる。その音は少しずつだが大きくなっているように聞こえる。少なくとも人間が出すような音ではないと判断した上井は近くの岩場に身を潜める。
数十秒後に先ほどまで上井がいた地点に魔獣が現れた。魔獣の姿は狼に近く違う点といえば尾が根本は一つなのに対し二つに別れていると言う点であろう。
狼の魔獣は2匹おり2匹はまるで何者からから逃げているようであった。狼の魔獣が上井のいた地点について直ぐの事であった咆哮のような音が聞こえた途端2匹の内1匹の狼の魔獣が突然
そんな中狼の魔獣達と同じ道から大きな鳥に似た姿を魔獣が出てきた。その魔獣の姿は一言で言えば肥えた鶏のような姿をしている。それに気づいた狼の魔獣はあるで相方の敵討ちのように鳥の魔獣を警戒する。
それに対し鶏の魔獣は余裕の笑みのような物を浮かべながら狼の魔獣の攻撃を待っているような姿勢を見せる。
狼の魔獣はそれを見て怒ったのだろうか魔獣に感情があるかどうかはわからないが上井は少なくともその時の狼の姿は怒り狂っているように見えた。怒り狂った狼の魔獣は毛を逆立て物凄い勢いで鶏の魔獣に襲いかかる。しかしそれを待ってたかと言うように鶏の魔獣は口を開け鳴き声を上げ体を震わす、すると狼の魔獣は相方と同じようにはならなかったが足と胴体が切り離され絶命した。相手が絶命した事を確認した鶏の魔獣は2匹の亡骸を近くに集め貪るように食い始める。
狼の魔獣と鶏の魔獣の戦いを最後まで見た上井は鶏の魔獣がどのように狼の魔獣を真っ二つに切ったかを考えている最中であった。現在上井が最もあり得ると思っている候補にしているのは三つ。
1.透明なブレス
2.鶏の魔獣の咆哮(声)を聞くと真っ二つになると言った条件で発動する技
3.見えずらい何か(糸等)
どれか一つだけと知っているのなら対処はしやすいだがどれかわからずしかもこの三つ以外の可能性もあるそう考えると対策は難しい一人でどうするべきか悩む上井。仮に鶏の魔獣が来なかった方の道に行こうとしてもその際鶏の魔獣がいるところを通らなくてはならない見つかる覚悟で突破しようにも自身が真っ二つになる可能性があるそう考えると鶏の魔獣との戦闘はしなくてはいけないのだ。
しばらく悶々と岩陰で考え込む上井じっくり数秒費やした結果一つの考えにたどり着くそれは
自身の行動が定まった上井はすぐに行動を開始する。
鶏の魔獣は先ほど倒した狼の魔獣を貪っている。それを確認した上井は岩場から岩場へ移動し鶏の魔獣へ少しずつ近づいていくそして上井と魔獣との距離は上井が五歩、歩けば直ぐに魔獣にたどり着くほど近くなった。
緊張し息が粗くなりそうになる上井。
(落ち着け…勝負は一回魔獣の弱点は大抵人間と同じ部位だったはず。だから一撃で仕留めるなら狙うべきなのは頭!)
タイミングを見計らい自身の武器を強く握りしめる上井、鶏の魔獣が狼の魔獣の死骸に顔を埋め肉をか噛みちぎり肉を飲み込みまた死骸に顔を埋めて肉を噛みちぎるを繰り返している。
そしてまた顔を埋めた瞬間、上井は走り出した。
上井の一歩目の上井の殺気のせいか鶏の魔獣は顔を直ぐ様上げた
こうなっては暗殺どころではないと判断した上井はそのまま特攻するように走り出す。
上井の二歩目で鶏の魔獣は辺りを見回し
上井の三歩目で上井と魔獣は目が合った
上井の四歩目で上井は自身の剣を五歩目に合わさるように振り始め、魔獣は咆哮を上げる
そして五歩目で互いに目と鼻の先ほど近くになり上井の剣は鶏の魔獣が攻撃する前に首を捉えた
次の瞬間上井が持っていた剣は右肘から下ごと吹き飛んだ。
「え?」
そんなすっとんきょうな声を出した後。
「あ…あぁ…うっ、う”え”ぇ」
囁き声にすらならないような小さな声が上井の口から漏れ出し体が震え始め嘔吐する。幸いなのか上井は大迷宮に入る前は食事をしておらず入った時も水しか飲んでいなかったので固形物は吐き出されていない。
それを見ていた鶏の魔獣は憎たらしい笑みを浮かべ上井に止めを刺すべくこちらにゆっくりと近づいていく。
それに対し上井は死に対する恐怖が上井を支配されているせいか、身体が危険信号を発信しているが体が動かない。
鶏の魔獣攻撃を警戒してなのか上井とは少し距離を置いていた。
上井はいまだに魔獣から逃げようともせずその場で体を震わせていた。鶏の魔獣は狼の魔獣を殺した際、上井の肘から下を吹き飛ばした際と同じように咆哮を上げる。
「…」
上井はまだ動けていない。しかし今回は直ぐには上井は死ななかった。上井はどうしたのだろうと顔をあげてみるとみると魔獣から一本の細い糸のような触手が見えた。
最初は寄生されていたのだろうかと考えた上井だったが寄生元の魔獣が異常な行動をしていないことからその考えを否定する。
(そっか、あれで俺の腕やさっきの魔獣を殺したのか…)
やっと鶏の魔獣の攻撃の種が割れた上井はだんだん死を受け入れるようになっていたった。
(直ぐに殺されなかったって事は踊り食いでもされるのかな?それともなぶり殺されるのかな?)
そんなことを考えながら早く殺せと言わんばかりに大の字になり寝転がる上井。それを見た魔獣は降伏のサインとでも受け取ったのだろうか警戒しつつも少しずつ距離を縮める。
鶏の魔獣が距離を縮めている中上井の中では昔の記憶が走馬灯のように流れていた。短かったような長かったような不思議な時間を上井は体験し今まで生きていた10年ちょっとの人生はあっという間に振り返ってしまい昨日の記憶が思い浮かぶ。
『俺があなたを…みんなを守ります』
『レイ…ありがとう』
昨日の夜、大切な人と約束した言葉が上井の脳内を駆け巡り、上井は先程までの死を受け入れていた自身を恥ずかしく思い掠れた笑みを零す。
「そうだ…俺はまだ…約束を守っていないじゃないか」
そう言いながら上井はゆっくりと立ち上がりながら先程吐いた際に口元についてしまった胃液を拭う。
「俺は…まだ生きて戦わなきゃいけないんだ!」
そう叫びながら上井はまだ無事である左手で握り拳を作ると上井は
魔獣の視覚から逃れるように上井は近くの岩場に転がり込む、視界を切った上井は自身の右腕から出ている血を左手の指に付着させ地面に魔法陣を描く。
描き終わったと同時に魔獣から視界を切っていた岩に亀裂が入る。
それに気づいた上井は急いで魔法陣を描き終え、探索するさいに手に入れた鉱石を握り掴み詠唱する。
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。
降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ
閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。
繰り返すつどに五度
ただ、満たされる刻を破却する
―――――Anfang(セット)
――――――告げる
――――告げる
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ
誓いを此処に
我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者
我は常世総ての悪を敷しく者。
汝 三大の言霊を纏七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
かすかにしか聞こえない詠唱はもはや何を言っているのすら他人にはわからないだろう詠唱が終わるのと同時に亀裂の入った岩が崩れる。そこから先程の魔獣が現れ上井を捉えている。
魔獣の触手はすでに上井を捉えており、勢いよく上井目掛けて飛んでくる。
すると次の瞬間、衝撃波によって砂埃が舞い上がり視界が視界が一面砂埃になり見えづらくなる。
その光景を見ていた魔獣は本能で一秒でも早く殺さなくてはと触手を上井目掛けて伸ばした、しかしその触手は上井に届く事はなく。上井もはっきりとは確認できないが誰かが触手を切ってくれた人の影は確認できた。
「まったく、せめてもう少し安全な所で召喚されたかったんですけど…」 ケホッケホッ
砂埃の向こうで少女の声が聞こえ咳をしている声が聞こえる。
次第に砂埃は落ち着き始め少しずつ視界がはっきりし始める。
そしてそこにいたのは桜を基調とした、淡い桃色の和服に一振りの日本刀を一人の少女であった。
少女は上井の方へ近づき
「新選組一番隊隊長、沖田総司推参!あなたが私のマスターですか?」
沖田と名乗った少女に対し上井はたった一言
「ふぇ?」
この時は右腕の痛みも消えていたと後に上井は語る。
沖田さんの次は誰を出そうかな?
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